ぶるーずの幻想郷生活   作:KUYU

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ういはろ〜。

第三話始まるよ。


3.人形師と自己紹介

「幻想郷か……」

 

 無意識に黛の口から言葉が漏れた。

 

「……まさかとは思ってたけど……そういう事か」

「まさか?貴方幻想郷を知ってるの?」

「いや、聞いた事があるってだけかな」

 

 目を見開きながらも黛は会話を続ける。

 もし此処があの東方Projectの世界なら、いろいろ訊かなければ不味い。そう判断した黛はその後も質問をする。

 

「幻想郷には魔法の森以外に何がある?」

「まあ博麗(はくれい)神社や人里、霧の湖に紅魔館、迷いの竹林等いろいろあるわ」

「妖怪はいるのか?」

「ええ、あちこちにね」

「幻想郷を創ったのは誰か、教えてくれるかな?」

「賢者と呼ばれる者達が創ったみたいだけど、主にこの場所を管理してるの八雲(やくも)(ゆかり)という妖怪ね」

 

 各返答を聞いて黛は小さく頷く。

 

 すると騒いでいたういはとアルスが落ち着いたのか、急に静かになり、ういはは黛の横に並んで「どうしたんですか黛さん?」と声を掛けた。

 

「ういは。どうやら俺達は幻想郷に迷い込んだみたい」

「幻想郷?」

「そう幻想郷。東方Projectというゲームの主な舞台となる世界の名前。とでも言えばいいかな」

 

 それを聞いた瞬間、ういははとてつもなく甲高い声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 東方Project。

 

 その名前は現代世界にあるゲームの一つであり、敵の飛ばしてくる攻撃を避けながら、自分の攻撃を相手に当てるという至ってシンプルなシューティングゲーム。

 出てくるキャラがほぼ女性であり、昔から語り継がれた妖怪や幻獣、神等をモチーフにしたキャラが沢山いる。

 また独特な設定や曲で世界観を作り上げている変わったゲームだ。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなゲームの世界にどうして来てしまったのか、黛には全く検討がつかなかった。

 

「うっそぉ!?ボク達そんな所に来ちゃったの!?」

「恐らく」

 

 ういはと同じように驚いたアルスは、口を開けたまま硬直した。

 

「そういえばさっき言ってた魔法の森は危ないって話、もしかして妖怪も危ないのか?」

 

 先程少女の言ってた魔法の森に滞在すると瘴気でやられてしまうという話に、気になった部分があった黛は少女に質問する。

 

「ええそうよ。魔法の森に充満してる瘴気に耐える力が無いと、生命ある者全てが瘴気で死ぬ事になるわ」

「成程ね。つまり俺達も危ないという訳か」

「そう。だから声を掛けたの」

 

 どうやら三人はそんな危ない森に入りかけてたのだ。

 もし少女が声を掛けずスルーしていたら、三人は今頃魔法の森で命が尽きていたかもしれない。

 

 わざわざ忠告してくれた少女に黛はありがとうと軽く礼をする。

 

「お礼なんてしなくても大丈夫よ」

「いや俺がしようと思ったからしただけ」

「律儀ね」

 

 その言葉に対し黛は「どーも」と軽く返した。

 

「まゆくん。この状況やばくない?」

 

 いつの間にか元に戻ったアルスが黛に尋ねる。

 この状況というのは恐らく幻想郷に来てしまったという事だろう。

 

「まあそうだね」

「帰る方法とか無いの?」

「無いね」

 

 黛は無いとキッパリ言った。

 

「そもそも俺達が何故此処に来たのか分からない時点でね」

 

 ため息を吐くように理由を述べた黛は、アルスと同じように固まっていたういはに近付き、左腕をういはの目の前に持ってくる。

 そしてなるべく目に映るように左腕をメトロノームみたいに左右に振った。

 

「だったらボク達はどうやって此処に来たのかな?」

「分かれば苦労はしないね」

 

 アルスの質問に黛は軽く答えながら、左腕を動かす。

 すると目に映る腕で我に返ったのかハッとした顔になった後、ういはは黛の動かしている左腕に何を思ったのか睨むように見詰める。

 

「それで何してんの?」

「いやういはが動かないから腕振ってただけ」

 

 そう言う黛だが既にういはは元に戻っている。更に言えば黛の腕を目で追っかけている。

 

「ういはちゃんもなんで動かないの?」

「先にやめた方が負けな気がしたので」

 

 ういはもういはで訳の分からない勝負をしているようだ。

 

「そういえば貴女、魔法使ったでしょ?」

 

 よく分からないやり取りをしている二人から目を動かし、少女はアルスに目を向けた。

 

「見てたの?」

「上空から見てたわ。寝転がってた所から魔法の森に着く所まで」

 

 どうやら少女は三人の動きを観察してたようだ。

 

「途中で声掛けようと思わなかったの?」

「魔法の森付近に人なんて滅多に来ないから警戒するわ。だから一時は観察という手段を選んだけど」

 

 それを聞いて黛は「俺がそっちの立場ならそうする」と納得しながら腕を動かすのをやめ、少女の方へ顔を向ける。

 それに続いてういはが勝ったと呟きながら同じように少女へと顔を向ける。

 

 一体なんの勝負をしていたのだろうか。

 

「そういえば名乗ってなかった。私はアリス・マーガトロイド。魔法使いでもあり人形師でもあるわ」

 

 アリスの自己紹介に続くように三人もする。

 

「ういはろ〜。にじさんじ所属バーチャルライバーのあ・い・ば〜~ういは~っと」

「にじさんじ所属バーチャルライバーのアルス・アルマルと」

「……どーも。にじさんじ所属バーチャルライバーの黛(かい)。どーぞよろしく」

 

 ノリノリで自己紹介するういはとアルスに対し、何故か若干乗り気ではない黛。その温度差に少々戸惑いつつもアリスはこれからよろしくと右手を差し出す。

 するとういはが両手でその手を掴み、 ブンブンと勢いよく上下に振り始めた。

 

「こちらこそよろしくお願いします!!」

「ういは!?い、痛いんだけど!?腕千切れそうなんだけど!?」

「あーういは、あーあーあー」

 

 助けを求めようとアリスは二人にアイコンタクトする。しかしアルスは「いつものだ」と言って助ける気は無いし、黛はその状況を見て少し笑っていた。

 完全に助ける気がゼロである。

 

「魔法で止めようとしてるのになんで効かないの!?」

「まあういはに常識は通用しないからねー」

「それ怖いんですけど!?というかこれ止めてくれないかしら!?」

「まぁ無理だね」

 

 黛が即答で拒否する。

 

「いや止めなさいよー!!」

 

 

 

 その後アリスの絶叫が数分間魔法の森に響いたという。

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