第八話始まるよ。
実体を持ってない。その言葉にアリスは思わず目を見開く。
「実体!?あなた達幽霊なの!?」
幽霊という言葉に対して黛は首を横に振る。
「幽霊とはちょっと違うかな」
「じゃあなによ?」
いつもの喋り方とは違い、強い
どうして語気が強くなっているのかは三人には分からない。
「……ちょっと説明し
「これでも私は魔法使いよ。大体の事は分かるわ」
何処からそんな自信が出るんだと黛は思いながらも、分かったとだけ言い、アリスの家へと足を運ぶ。
「立ちながら話すのも疲れるだろうし、家の中に入ろうか」
「それ私の家なんだけど」
まるで自分の家のように扱う黛。他人の家だというのに何故そんな扱いができるのだろうか。
そんな黛は右手の人差し指でアリスの斜め後ろを差す。
その差した方向にアリスが顔を向けると、そこにはさっきの魔法陣で魔力を使い過ぎたのか、溶けた氷みたいにぐてーんと倒れるアルスの姿がそこにあった。
「疲れた~~」
「アルスさんがついに餅に──」
「誰が頭が餅だぁ!」
噛み合ってるようで噛み合ってない会話をしているアルスとういは。
この二人はいつもこんな感じだろうか。
「そういう事ね。なら三人とも、今日はもう遅いから私の家に泊まりなさい」
その言葉を聞き、アルスがバッと起き上がる。そして直ぐに歩き始めてアリスの家の中へと入って行った。
それを見ていたういはもアルスの後を追うように中へと入って行く。
「疲れてるんじゃなかった?」
「いや疲れてるとは思う」
そう言いながら二人とも家の中へと入った。
◇◆◇◆
「ほら、ステーキよ」
「「うまそ~!」」
アリスの家に入った四人は今晩飯の用意をしていた。
料理はアリスと黛が、食器やスプーン等の準備はういはとアルスがしている。
「
「施設で当番として作る事があったからね」
そう言いながら白いエプロンを付けた黛は、皿に盛り付けたオムライスを両手で持ってくる。
妙に様になっているのだが。
「オムライスも美味しそうです!」
机に乗せられたオムライスを見てういはが目をキラキラと輝かせる。
それを見ていた黛が「ういははステーキじゃなかったかな」と声を掛けると、ういははそうですと答えた。
「それじゃ、食べましょ」
椅子に座りながらアリスは人形を使ってお茶の入った容器を持たせ、コップにお茶を注いでいく。
それを横目で見ていた黛はそれは便利だねと、人形の汎用性の高さに感心していた。
「「いただきます!」」
元気に手を合わせて言うアルスとういはに遅れながらも、小さな声で黛はいただきますと言う。
アリスはただ手を合わせただけだが。
「はむっ。ん~おいしいです~!」
満面な笑みを浮かべながらういはは、食べやすい大きさに切られた牛肉ステーキを
「すっごいおいしい!」
アルスもういはと同じように頬張りながら絶賛する。
「……話の続きを」
先程外で話そうとしていた話題を振る黛。
その話にアリスは口に含んでいたものを飲み込み、えぇするわと答えた。
「俺達が実体を持ってないという話なんだけど……多分一度は霊になってるね」
「霊に?でもあなた達は霊とはまた別なんでしょ?」
「そうだね。まだ確証はついてないけど……一つ、俺達がこの状態になった仮説がある」
「それは?」
「それは…………
ういはという単語が出た瞬間、ういはとアルスはバッと顔を黛に向ける。二人とも口に食べ物を含みながら。
「ふぉんふぁんへふか!?」
「ういは。喋るなら飲み込んでから喋ってくれないかな」
黛に指摘されると口に含んでいたものを直ぐに飲み込み、これで大丈夫ですとドヤ顔を決める。
できればゆっくり噛んでから飲み込んでほしかった黛は、まあ仕方ないかと呆れながらも話を続ける。
「実は一回魔法陣に片足乗っけたけど、まったく反応しなかった」
「えっ!?いつの間にしたんですか!?」
「雪城にいろいろ説明してた時かな。あの時作動しなくて直ぐ調べたんだけど……予想外の情報が入ってた」
予想外の情報とはなんだろうか。
他三人はそれを聞いて少々前のめりになる。早く言ってほしいのだろう。
「
「「?」」
「!?」
ういはとアルスはそれを聞いても、分かってないのか首を傾げる。しかしアリスはその言葉の意味が分かっているのか、驚愕した顔になっていた。
「それどういう事よ!?」
「……本来人間には死というものが存在する。
「何よそれ……」
アリスに先程までの強い語気が無くなる。
「……簡単に言えば不老不死になったという事かな」
「え?ボク達死なないの?」
それまで黙っていたアルスが食べ物を
「そうだね」
「なんですかそのチートは」
「いや原因を起こした可能性のある人が言う事じゃないね、それ」
不老不死と言われても余り慌てた様子のない二人。寧ろいつも通りである。
何処で何をしたらこんな風になるのだろうか。
「なら霊になる事もないんじゃないの?」
アリスの意見は最もだ。
不老不死だというのに一度は霊に、死んでるというのだ。疑問に思うのも無理はない。
「一応俺達は死んだという情報がある。けど、その後に不老不死の情報が入ってきてる」
「えっ……何?どういう事?」
いよいよ頭がパンクし始めたのか、アリスは頭を抱える。脳の処理が追い付いてないのだろうか。
「じゃあボク達は死んでから不老不死になったって事?」
それに黛は頷く。
死んだ後に不老不死になるとは、余りにも
「でも実体が無いですよね?」
鋭い所を突くういは。
「実体が無いのは、
更に意味不明な事を言う黛に、アリスは何かに気付いたのか頭を上げた。
「まさか……魂から肉体生成、更に不老不死になる……この全てをういはがやったって言うの!?」
「その通り。ういはの能力はあらゆる性質を操る。物の大きさの性質、草や水というその物体にしかない特徴の性質、更には
改めてういはの規格外過ぎる能力にアリスは顔を青ざめた。
能力を使えば物を
そんな恐ろしい能力を持った者が目の前にいるのだ。
アリスが顔を青ざめたのも無理はない。
「うわー。私人間やめてますねー」
「うん、そんな気楽に言う事じゃないと思うけどね」
どれだけ自分の能力が危険なのか分かってるのだろうか。
ういはの気の抜けた声と言葉に直ぐツッコミを入れる黛。
「そんなとんでもない能力なら現代世界に帰れるんじゃない?」
いつの間にか元に戻ったアリスが疑問を投げる。
勿論その疑問は黛がキャッチする。
「現代世界に行こうとすると弾かれるね」
「どうして?」
「なんて言えばいいかな……現代世界には生者と死者という区別が必ずあるんだけど、俺達はその
この話題に飽きてきたのか、ういはとアルスは再びステーキを食べ始めた。
「その生者と死者の枠に入ってないからって事かしら?」
「まあ恐らく」
それを聞いてアリスは頷き、再びスプーンを手に取って「冷める前に食べましょ」と言う。
先程までういはの能力を怖がっていたと思ったら直ぐに元に戻っている。
その気変わりの速さに黛は面白い人だと思いつつ、オムライスを食べる事にした。
◇◆◇◆
「それで……あなた達はこれからどうするの?」
アリスが皿を洗いながら、三人のこれからについて質問する。
「今日はアリスさんの家に泊まる事になったけど、いつか自分の……いえ、ぶるーず用の家を作ってそこに住みたいですね」
ニコニコしてるういはがそんな事を言う。
「ボク達三人の家かぁ。いいねそれ」
ういはの言葉に賛同するアルス。
「確かに……アリスさんのお世話になりっぱなしも良くない」
黛も珍しくういはの意見に賛同する。
現在三人はロングソファに座って
「ぶるーず?団体名かしら?」
「そうです。私達三人でぶるーずって呼ばれてるんです」
そうなのと軽く返しながら皿を洗い終えたアリスは、その場で人形を操作し、大きな黒い布と桃色の赤いチェック柄が入ったパジャマを持ってくる。
それが何をするのかいち早く気付いたういはとアルスは、急いで黛の目に互いの手──黛の右目にういはの手、左目にアルスの手──を被せた。
「女子の着替えを見ちゃ駄目ですよ黛さん!」
「駄目だぞぉ!」
「言いたい事は分かるけど、急にしないで貰えないかな。スマホの画面が見えないんだけど」
「まさか隠し撮りする気ですか!そうはさせませんよ!」
「早とちりが過ぎる。スマホの画面を見るってだけでそうはならないでしょ」
「まさか
「いくら黛さんでもそれは見逃せないです!いつからこんな悪い子に……」
「警戒するのはいいけど、勝手に話進めないで貰っていいかな」
ぎゃーぎゃーと騒ぐぶるーず──主にういはとアルスだが──に、絶賛着替え中のアリスは賑やかねと呆れながらも
そして着替え終わったアリスは、人形に黒い布と先程着ていた服を畳ませ、騒いでいる三人の所へと足を運ぶ。
「着替え終わったよ」
それを聞くや
「全く……悪い子ですね黛さん」
「ちゃんと覗かせないようにしました!」
ういははまるで世話を焼く母親のように言い、それに対してアルスはアリスに向かって敬礼している。
「どーも。視界」
しかし黛のその一言でういはとアルスは急に笑い始める。
そんな三人を見てアリスが微笑む。
「あなた達といると退屈しなさそうね」
「退屈しない分、俺の精神的疲労が尋常じゃないけどね」
それを聞いてそれもそうねとアリスは返し、ぶるーずの座っているソファの後ろにあるベットに寝転がった。
「それじゃ、寝るわよ」
そう言うとういはとアルスの笑い声が止まり、その代わりに元気なはーいという声が聞こえる。
それを聞いてアリスは魔法で
なんとも騒がしい一日ではあったが、これからぶるーずが
ぶるーずの幻想郷生活はこれから始まるのだ。
これにて序章は終わりです。
次から一章のスタート。
一章で登場するライバーはどれがいいですか?(2)
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夕陽リリ
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リゼ・ヘルエスタ
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夜見れな
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天宮こころ
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