機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン   作:アラタナナナシ

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ガンダム

 3日の休暇を終えると、招集されたのは母艦のケルンではなく、アナハイムエレクトロニクス社の工場であった。

 ゲイルとライセイ、ダンの3人を乗せたエレカは工場のゲートをくぐり、指定されたMSハンガーへと向かう。

 運転をするダンの横でゲイルは先日、スペクターから渡されたマニュアルを開き目を通していた。

 

 ガンダムMk-Ⅲのスペックはリックディアスを圧倒的に上回っており、火力も向上している。

 最新鋭機が自分に託された意味がよく分からないが、MSパイロットとしての性なのかガンダムがどのようなものなのか興味が湧いていた。

 ガンダム。その名は戦場に希望と畏怖をもたらす存在だ。味方になれば、これほど心強い響きを持ったものはいないだろう。敵にとっては恐怖以外の何者でもない。

 

 それだけ価値のあるMSに乗ることになるのだ。どこまで自分にやれるのか。密かに興奮している自分がいることを知った。

 目的地のMSハンガーに着くと、そこには3体のMS。どれもが見たことのあるシルエットをしていた。

 右から見て、1つ目のMSはリックディアスと同じ外見をしているが、背中のバインダーが大型化しており、推力の増強具合が見て取れる。

 

 真ん中のMSは白を基調として、機体の各所をエメラルドグリーンで塗装したものだ。なんとなくだが、データベースで見たことがある百式を連想させる。

 顔はガンダムタイプに近く、特徴的なデュアルアイをしているが、渡されたマニュアルに載っていたものとは違う形状をしているので、自分の乗るMSとは別なのだろう。

 その奥に佇むMSにゲイルの目が引かれた。

 

「ガンダム……」

 

 思わず口から漏れ出した。灰色を基調としたガンダムMk-Ⅲは、スラリとした肢体に大型のバックパックと、そこから伸びる2門のビームキャノンが特徴的であった。

 ゼータガンダムに近いガンダムフェイスが、突如首を動かしてゲイルに目を向ける。

 コクピットのハッチが開くと、白いパイロットスーツを着た人物がハッチから伸びるワイヤーを使って降りてきた。

 

 車を降りたゲイル達にガンダムMk-Ⅲから降りてきたパイロットが近づく。

 パイロットがヘルメットを取る。あらわにしたのは、20代と思しき青い髪を束ねた女性だ。可愛らしい顔立ちをしているが、どこか勝気にも見える。

 

「あなたがゲイル・クガ中尉?」

 

 女性がゲイルを見て言った。

 

「そうだ。君は?」

 

「私は、アオイ・スオウ。エゥーゴの階級は少尉よ」

 

「エゥーゴの?」

 

「そう。元はアナハイムエレクトロニクスでテストパイロットをしていたの。エゥーゴに参加してからも、こうして裏でMSの調整をしているのよ」

 

 アオイは手を大きく広げると、誇らしげに言う。

 

「この子達の調整は私が担当したの。バッチリ仕上げているから、安心して乗ってちょうだい」

 

「君が全機を? すごいな」

 

 ゲイルは感嘆した。MSにはそれぞれ癖がある。ただ始動させれば使えるものではなく、万全な状態に仕上げてから戦場に送り出す必要があった。

 その調整を1人でこなしたというのだから、褒める言葉しか見つからない。

 

「こんな綺麗な女性が仕上げてくれたんだ、ネオジオンなんて怖くないぜ」

 

 引き締まった表情を見せたのは、女好きのダンであった。

 

「あら、ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」

 

「いや、俺は嘘は言わねぇ。なぁ、ゲイル?」

 

 同意を求められても困ると言わんばかりにゲイルは冷めた瞳を見せ、話を戻す。

 

「どれも癖がありそうだな」

 

「そうね。特にあなたが乗るガンダムMk-Ⅲはかなりのじゃじゃ馬よ。乗ってみる?」

 

「良いのか?」

 

「あなた用に調整したんだもの。あなたのパーソナルデータを見せてもらったけど、すごい腕前ね。でも」

 

 笑顔で話していたアオイが不敵な笑みを見せた。

 

「十分に扱えるかしら?」

 

 挑発的な物言いであった。ゲイルにはガンダムMk-Ⅲは荷が重い。そう言っているように聞こえた。

 これにはゲイルだけでなく、ダンも表情を変える。安い喧嘩を売られたものだ。ゲイルはアオイの挑発に乗ることにした。

 

「良いだろう。じゃあ、勝負をしようか」

 

「話が早くて助かるわ。じゃあ、あなたはガンダムMk-Ⅲに乗って良いわよ。私はちょっと性能は落ちるけど、シュツルムディアスに乗るから」

 

「ハンデとでも言いたいのか?」

 

「いいえ。シュツルムディアスも良い機体よ。ガンダムだからって、舐めてかかって良い相手じゃないわ」

 

「そうか。なら、安心だ。あとで性能差のせいにされたら、たまらんからな」

 

 挑発の応酬にライセイはおろおろしており、ダンはアオイを忌々しそうに見ていた。

 微笑みを浮かべ、アオイが言う。

 

「じゃあ、30分後に始めましょうか。楽しい模擬戦を期待してるわね」

 

 まるで自分が勝つような言い草ではないか。ゲイルは焚きつけられていることは承知しているが、それでも頭にくるものがある。

 視線をガンダムMk-Ⅲへと向けた。ガンダム。その名を背負うことがどれほど重いものか想像できないが、こんなところで負けているようでは話にならない。

 味方を勝利に導く象徴であるガンダムを見つめる瞳に闘志を滾らせ、パイロットスーツに着替えるべく更衣室へと向かった。

 

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