機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン   作:アラタナナナシ

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アヴァロンMS隊

 月周回軌道上を航行するアーガマ級巡洋艦アヴァロンから、順々に6機のMSが飛び立った。

 先行するのはクラウスの乗るリックディアスⅡである。リックディアスの強化型で、シュツルムディアスとは別系統のMSだ。

 バインダーの大型化に加えて、機体各所のスラスター、バーニアを改良されており、その性能はシュツルムディアスに負けていない。

 

 火力の面でも専用の二連装メガビームガンは、シュツルムディアスのビームカノンを凌ぐパワーを有しており、MSでは破格の火力と言ってよい。

 ただ、コスト面や扱いづらさもあってか量産化はされず、試作機が1機と予備パーツをいくつか製造しただけに留まっている。

 これを前線に出した理由は2つあった。1つはテストデータの収集。2つ目はアーガマの火力不足をMSで補うためだ。

 

 アーガマ級巡洋艦の課題として挙げられるのが、メガ粒子砲の数が同じような巡洋艦の中でも少ないというものであった。

 これはMSの母艦としての運用をメインに考えられたものであるためで、MSの活躍によって不足している火力を補おうというものである。

 高火力の二連装メガビームガンを持つリックディアスⅡの存在は、アヴァロンにとって重要な役目を果たしてくれる存在なのだ。

 

 リックディアスⅡの後方についているのは、オレンジ色を基調としたネモⅢである。ネモ系統の最新型で、左肩にビームキャノンを装備し、中距離支援も可能にした万能機だ。

 ネモ単体の火力不足を補ったネモⅢは、ネモの代わりとして量産され配備され始めていた。

 これに乗っているのは、金髪の優男と評されたリュート・ラインリッヒ少尉である。ネモⅢを追うように飛ぶのは、ネモのカスタム機であった。

 

 ネモスナイパーと周りからは呼ばれており、専用のスナイパーライフルとセンサーの強化、追加装備の高性能カメラを搭載したバイザーを装備している。

 基本性能はネモと大差はないが、その支援力は格段に向上しており部隊を支えるMSとしては十分な性能であった。

 このネモスナイパーにはネモの扱いに慣れていたシマンがあてがわれている。幸運なことにシマンに射撃の素質があったのか、訓練では上々の成果を上げていた。

 

 リックディアスⅡ、ネモⅢ、ネモスナイパー。そのあとに続くのは、ゲイルのガンダムMk-Ⅲとダンのシュツルムディアス、ライセイのプロトデルタであった。

 出撃したMS隊の中にアオイは入っていない。それは彼女の腕前が劣っているということではなく、他のパイロットに何かがあったとき、全てのMSに対応できるサブ要員としての位置づけだった。

 本人は不服そうではあったが命令に従い、MS隊のサポートを行っている。

 

 そのことについて、普段アオイと仲の悪いダンが珍しく意見を言った。

 サブであれば、シマン、もしくはリュートであり、腕の立つアオイを控えに回すのは勿体ないというものである。

 隊長のクラウスもそれについては理解は示したが、MS隊のバランスを考えてダンの意見は却下された。結果、今の編成となったのだ。

 

 編隊を組んで宇宙を飛翔する6機のMS。

 ゲイルは前方を行くシマンとリュートの動向に注意を払っていた。

 まだ未熟なシマンはもとより、リュートも連携行動については若干独特な癖がある。動きに乱れがあれば、後ろから指示を出すという体制だ。

 

「シマン、もう少し距離を詰めろ。リュート、横に逸れているぞ。クラウス大尉から離れすぎるな」

 

 早速、連携に乱れが生じたので、ゲイルは的確に指示を出す。

 後方のシュツルムディアスとプロトデルタは指示を出すまでもなく、多少無茶な動きをしてもしっかりと付いてくる。

 MS隊としてはまだ万全ではないが、それでもそこらの部隊と比べると頭一つ抜きんでいているのは間違いない。

 

 先頭を行くリックディアスⅡがスラスターを噴射し、更に速度を上げる。

 反応が遅れたのはシマンで加速にもたついたこともあり、ガンダムMk-Ⅲのすぐ傍まで寄ってしまった。

 

「危ないぞ、シマン。もっと、注意深く見るんだ」

 

「はい! 了解です」

 

 加速を始めたネモスナイパーを見て、ゲイルは思う。

 クラウスはシマンの限界を見抜いたような動きをしている。ギリギリのところを攻めて、鍛え上げているようだ。

 それだけの腕前を有しているクラウスとゲイルの模擬戦の戦績は五分五分であった。

 

 MSの性能はややガンダムMk-Ⅲの方が上ということを考えると、ゲイルの腕前の方が若干劣っているということになる。

 悔しい反面、嬉しくもあった。自分よりも強い相手が近くにいてくれることは向上心につながる。まだ成長の余地があると思わせてくれる相手がいてくれたことに感謝をしていた。

 アヴァロンの光がまだギリギリ見える距離で、クラウスはスピードを緩める。

 

「さて、これから模擬戦を行うが、今日は2班に分けてのチーム戦だ。チーム分けは、俺のチームにダンとリュート。ゲイルのチームにライセイとシマンだ」

 

 今回はなかなか良いマッチングだとゲイルは思った。

 先日組んだのはシマンとリュートで、ボロボロに負かされたのだ。1機の性能が高くても戦場では勝てないことを改めて知らされた模擬戦であった。

 それぞれが携行してきた模擬戦用のライフルを手に取って準備を始める。ゲイルは無線のチャンネルを合わせて、ライセイとシマンに言う。

 

「ライセイ、腕の見せどころだぞ。シマン、援護射撃は頼んだ」

 

「任せて」

 

「了解!」

 

 チーム別に分かれたところで、距離を取り、開始の時を待つ。

 モニターに映るタイマーが刻々とゼロに近づいていく。訓練とは言え、漂う緊張感は実戦に負けていない。

 そう思わせるだけの必死さが全員にあるということだ。

 

 アヴァロンのMS隊は間違いなく強い。そして、更に強くなれると思う。

 ネオジオンへの反攻はここから始まるのかもしれない。やられっぱなしは性に合わないんでね。ゲイルは胸の奥に熱い思いを滾らせる。

 タイマーがゼロを告げ、各機のスラスターに光が灯った。模擬戦の始まりだ。

 

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