機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン 作:アラタナナナシ
ガンダムMk-Ⅲとプロトデルタの横に、リックディアスⅡとシュツルムディアスが並ぶと後方からビームが走る。
ネモⅢのビームキャノンだ。中距離からの支援攻撃によって、ネオジオン軍のMS隊は二手に分かれた。
「ゲイル中尉、左の部隊は任せろ」
「了解」
ゲイル達も二手に分かれ、敵の動きに対応する。
迫ってきたのはガザDが2機とズサが1機。右腕を失ったガルスJは撤退を開始していた。
数は互角。MS性能もこちらの方が上だ。気の緩みさえなければ、難しい相手ではないだろう。
ゲイルは牽制のために、両肩にあるビームキャノンを発射した。
2本のビームが1機のガザD目掛けて飛ぶが、難なく回避される。だが、そのお陰で連携に乱れが生じた。
もう1機のガザDにビームライフルを向けると、射撃のボタンを押す。
射出されたビームを避けるガザD。有効射程距離とは言え、まだ距離は離れている。簡単には落ちてくれないか。
再び、ビームキャノンをガザDに向けたとき、ズサが動いた。大量のミサイルを積んでいるズサの戦法は、一撃離脱。
ズサがガンダムMk-Ⅲに向けてミサイルを一斉に発射した。今度はゲイルが攻撃を凌ぐ番だ。
スラスターを噴射し、迫りくるミサイルを躱していく。大量のミサイルの嵐が去ると、次に襲い来るのはガザDのビームであった。
急減速を掛けビームを避けると、お返しにビームライフルの銃口を向ける。撃ちだされたビームはガザDの腹部に直撃し、ガザDは爆散した。
まずは1機。次の獲物に目を向けると、ズサに向けビームを撃つプロトデルタがいた。
すでにミサイルを撃ち尽くしたズサの手持ち武装はなく、腹部の拡散ビーム砲しかなかった。
ズサの腹部に光が集中すると、プロトデルタはいったん距離を置く。ズサから発射される幾筋ものビームを縫うように避けたプロトデルタは、すぐさまビームライフルを構えて撃った。
ビームはズサの肩に着弾し、爆炎を上げる。バランスを失ったズサに、プロトデルタの第二射が容赦なく襲った。
コクピットを的確に射抜かれたズサは宙を漂うデブリへと変わる。これで2機。
残りの1機のガザDを確認すると、おびえたようにその身をひるがえした。そのガザDの背中にビームが突き刺さる。
シマンのネモスナイパーが放ったビームだ。バックパックの推進剤に引火したガザDは木っ端みじんに吹き飛ぶ。
瞬く間に3機を撃墜したゲイル隊は、すぐにクラウス隊の応援へと向かう。
だが、すでに戦の光は消えており、戦闘宙域を離れていこうとする2つの光点だけが見えた。
「ゲイル中尉。そちらも終わったようだな」
「はい。こちらは全機無事です。そちらは?」
「こっちも無事だ。さて、敵はどう動くかな」
クラウスは二連装メガビームガンを構えると、遠く離れたムサイ級巡洋艦の1隻に目標を絞った。
吐き出されたのは極太のビームが2本。戦艦のメガ粒子砲にも負けない出力のビームが、ムサイを襲う。
ビームは直撃こそ免れたが、エンジンの一部を掠めたため、ムサイのエンジン部から爆発が起きた。
船首をこちらに向けていたムサイだが、すぐに回頭しメインエンジンを全開にして離脱を始める。
「追撃しますか?」
ゲイルの問いに、クラウスは否定した。
「いや。もう十分だろう」
戦艦が全力で逃げれば、MSで追いつくのは難しい。
手負いのムサイだけでもとも思うが、手負いの相手ほど何をしてくるか分からないので、無理な追撃は控えるべきだと考えたのだろう。
船影が消えると、MS隊に張っていた緊張の糸が少し緩む。
「クラウス大尉のメガビームガンの威力には驚かされるぜ。戦艦の主砲みたいだ」
「コスト面もなかなか凶悪みたいだがな。量産には不向きな武器だ」
「ジェネレーターの出力不足で、俺のシュツルムディアスじゃ使えないのが残念だ」
ダンの言う通り、リックディアスⅡの持つ二連装メガビームガンは、まさに戦艦の主砲クラスの威力を持っていた。
これがアーガマの火力不足を補う役目のMSかと改めて思い知らされてしまう。アヴァロンの剣と言っても過言ではない。
味方でこれだけの心強さだ。敵にとっては、厄介この上ない相手に違いない。
「よし。全員、よく生き残った。帰投する」
クラウスの言葉に了解といったゲイルは、彼方に浮かぶコロニー群に目を向けた。
コロニー落としは実行されるのだろうか。もしそうであれば、大惨事は免れない。
戦いには勝ったが言い知れぬ敗北感を味あわされたゲイルは、少し強めにフットペダルを踏み込んだ。