機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン   作:アラタナナナシ

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一進一退

 アヴァロン内に緊急警報が鳴り響く。

 MS隊の出撃命令が下ると、ライセイはプロトデルタを起動させカタパルトデッキへと向かう。

 先に飛び立ったのはシンリーのジムⅢだ。初の実戦で緊張しているのか訓練のときよりも加速がついているように見える。

 

 もう1つのカタパルトから射出されたのはウォレンのジムⅢで、シンリーの後を追うように飛んでいった。

 どちらも訓練通りの動きではない。ライセイはカタパルトで加速し、宙へと飛ぶとスラスターを強目に噴射しつつ、通信を入れる。

 

「シンリー曹長、ウォレン軍曹! 先行し過ぎている。訓練通りに動くんだ」

 

 ライセイの通信にシンリーが慌てた様子で答えた。

 

「す、すみません。下がります」

 

 シンリーのジムⅢが減速すると、ウォレンも速度を合わせる。ウォレンはシンリーのカバーに回ったのだろう。

 落ち着いているのか訓練通りの位置取りをしている。代わりにシンリーはまだ動きが固かった。

 気負いすぎてるのかもしれない。ライセイは再度通信をする。

 

「2人とも僕の後衛に回って。大丈夫、この日のために訓練してきたんだから」

 

 言ったは良いが、正直訓練はそれほど積めていなかった。

 アヴァロンに配属されて、まだ半月も経っていないのだ。時間が足りていないとしか言えないが、敵に通用するいい訳では無い。

 後方を見ると、後続のMSの発進が確認できた。

 

 伝え聞いた情報通りであれば、敵艦は巡洋艦1隻ということだ。ならば、戦力としては同程度だろう。

 後続組と合流を優先しようとした矢先、モニターに高速で近づく光が映った。

 早い。ライセイが声を上げる間に、光はもう目前に迫っていた。

 

「2人とも気をつけて!」

 

 ライセイは言うと、スラスターを噴かして加速を始めた。

 まずは自分が相手をして、2人が戦場の空気に慣れるまで時間を稼がなければ。

 プロトデルタのビームライフルが迫り来る光に向けられた。

 

 放たれたビームをすっと最小限の動きで躱したのは、ギルロードの乗るバウ・エーデルだ。

 ビームを撃たれたギルロードは、にっと口角を釣った。

 なかなかの腕前と見た。楽しませてくれる相手になるだろう。

 

 トップスピードのまま、バウ・エーデルは宇宙を駆け抜けて行くとプロトデルタにビームライフルを向け発射した。

 撃たれたライセイは冷静に射線を見極めてバーニアを噴射する。

 こちらも無駄の無い回避であった。

 ギルロードは自身の胸が高鳴るのを感じ、声を上げて笑う。

 

「良いぞ! もっと動いて見せろ!」

 

 バウ・エーデルはビームライフルを2射すると、プロトデルタも応戦のためビームを1発返した。

 一歩も引かない両者の間に、シンリーのジムⅢが入り込む。

 

「ライセイ少尉、援護します!」

 

「駄目だ! シンリー曹長!」

 

 ジムⅢから放たれたビームがバウ・エーデルへと走る。

 だが、そのビームはバウ・エーデルを捉えることはできず、虚空に消えた。

 シンリーの横槍に反応したのはギルロードだ。

 

「邪魔だ! 雑魚め!」

 

 減速知らずのバウ・エーデルはビームサーベルを引き抜くと、シンリーのジムⅢに直進する。

 バウ・エーデルの速度についていけていないシンリーは、慌ててシールドを構えた。

 ビームサーベルの一振がジムⅢのシールドを真っ二つに切り裂く。そして、駆け抜けざまに体を蹴られるジムⅢ。

 

 姿勢の制御を失ったジムⅢは、バーニアを必死に噴射し体勢を整えようとした。

 そんなジムⅢにAMBACで振り返ったバウ・エーデルのビームライフルが向けられる。

 シンリーの目に銃口が映ると目を閉じた。そのとき横からの衝撃によって、体を揺さぶられる。

 

 次の瞬間、爆発の光が見えた。

 モニターに映ったのは、片腕を失ったプロトデルタだ。

 ジムⅢを庇ったプロトデルタは、ビームライフルを撃ってバウ・エーデルを牽制した。

 

「ライセイ少尉!」

 

「下がって! こいつはやばい!」

 

「了解です」

 

 後退するジムⅢとバトンタッチするように、リックディアスⅡがプロトデルタの傍に回った。

 

「無事か?」

 

「腕をやられましたが、行けます」

 

「無理はするな。やつの相手は俺がする」

 

 リックディアスⅡの2連装メガビームガンから、極太のビームが撃ち出された。

 戦艦の主砲クラスのビームに流石のギルロードも顔色を変え必死に回避行動を取る。

 バウ・エーデルはビームの直撃は避けたが、余波によって足の装甲を焼かれていた。

 

 モニターに足の損傷を訴える警告の表示がされると、ギルロードの表情が険しくなる

 

「やるな! エゥーゴ!」

 

 不調を訴える体に更にムチを振るうように加速したバウ・エーデル。

 遠距離では分が悪いと判断したギルロードはビームサーベルによる接近戦を試みるが、クラウスは離れた距離を維持しようと動き回る。

 だが、バウ・エーデルの推力の方が上だった。徐々に距離が縮まっていく。

 

 バウ・エーデルがリックディアスⅡを捉えた。応戦を余儀なくされたかに見えたリックディアスⅡの脇をビームが抜けていく。

 すんでのところで反応したバウ・エーデルだが、避けきれず腰のサイドスカートを貫かれた。

 爆発によって姿勢を崩すバウ・エーデル。

 

「くそっ!」

 

 苛立ったギルロードは、リックディアスⅡの影から見えるネモⅢに憎しみの視線を向けた。

 クラウスとリュートの連携プレーによって、バウ・エーデルに手傷を負わせたのだ。

 

「絶対に殺す!」

 

 ギルロードの怒りが頂点に達した。

 

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