機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン 作:アラタナナナシ
接近するガンダムMk-ⅢとザクⅢ改。先に仕掛けたのはガンダムMK-Ⅲであった。
両肩にあるビームキャノンが火を噴く。迫るビームをローマンはバーニアを調整して、すっと避けた。
歯噛みをするゲイルに、ザクⅢ改のビームライフルから放たれたビームが襲い来る。
次はガンダムMk-Ⅲが華麗にビームを回避した。
お互い一歩も引かず、スラスターの輝きは更に増す。距離が縮まるとゲイルはビームライフルの照準を合わせることに拘らず直感で撃った。
宇宙を切り裂くビームはザクⅢ改を捉えていたが、すんでのところでスラスターの角度を変えられる。
虚空に消えるビームを背に、今度はザクⅢ改からお返しのビームが放たれた。
相対距離が縮まった状況では高速で向かってくるビームを避けるのは難しい。
だが、ゲイルはそれを見切った。スラスターとバーニアを使い、ロールするようにしてギリギリの距離で躱す。
正面衝突が避けられないほどにまで迫った両機は同時にビームサーベルを抜く。
振りかぶったガンダムMk-Ⅲと、横に構えたザクⅢ改が間合いに入った瞬間、同時にビームサーベルが振るわれた。
閃光が瞬く。ぶつかり合いも一瞬で、勢いそのままに距離を取った両機はAMBACで振り返るとビームライフルを射撃した。
ビームが衝突するとビーム光が眩く輝く。その光に目もくれないゲイルとローマン。
再び距離を縮めて近接戦を仕掛ける。
両者、ビームサーベルで切り結ぶ。つばぜり合いとなった2機はパワーを全開にしてビームサーベルを押し込み始めた。
徐々に押され始めたのはガンダムMk-Ⅲだ。
じりじりと押されるゲイルの表情に焦りが生まれる。
スラスターの角度を調整し、つばぜり合いから逃れたガンダムMk-Ⅲ。
背中を見せたガンダムMk-ⅢにザクⅢ改は首を回してその後姿を捉えた。
そのとき、ザクⅢ改の口元にビーム光が宿る。
口から射出されたのはビームだ。出力はビームライフルよりも劣るが、十分な破壊力を持ったビームがガンダムMk-Ⅲの右足のふくらはぎに突き刺さる。
ビームに貫かれた部分が爆発を起こし、制御を一瞬失うガンダムMk-Ⅲは残った手足でAMBACをする。
姿勢を制御しつつ、ビームライフルをザクⅢ改へ向けて射撃ボタンを押した。
銃口から吐き出されたビームをザクⅢ改は右肩のシールドで受け止める。冷静に対処したローマンにゲイルは苦々しく顔を歪めた。
形勢が徐々にローマンに傾く。それも無理ないことだった。
最新鋭機とはいえ、ガンダムMk-ⅢとザクⅢ改の間には明確な性能差がある。
グリプス戦役末期に作られたガンダムMk-Ⅲと比較して、ザクⅢ改はつい最近作られたもので、更にチューンを加えられたMSなのだ。
その性能差は大きい。足を片方失ったガンダムMk-Ⅲの機動性は明らかに落ちていた。
ザクⅢ改の接近を妨げるためビームキャノンを撃ち、更にビームライフルを撃ち放った。
殺到するビームを読み切ったローマンは、小刻みにスラスターとバーニアを噴射し、難なく避ける。
ザクⅢ改に隙が見えない。ゲイルは焦りによって、心がじりじりと焼かれていく。
衝動に身を任せて得意の接近戦で勝負を決めたい。
だが、ザクⅢ改のパイロットのローマンも接近戦は得手であった。
ゲイルに残された道はプレッシャーを掛けつつ、一瞬でも隙を作ることである。
機体のバランスが悪くなったガンダムMk-Ⅲは一定の距離を維持するため飛び始めた。
不利な状況であっても、無理な戦い方をしない。ゲイルは着実に進歩していた。
そんなゲイルの動きにローマンは感心する。
「やるじゃない。さすがはガンダムのパイロットだねぇ」
ローマンが敵を褒めたのは久しぶりであった。
今まで歯ごたえのない敵とばかり戦ってきたので、ゲイルとの戦いは心躍るものである。
にやりと笑うローマンは、一気に加速を掛けた。
全推力を発揮したザクⅢ改の速度は、ゲイルの常識を覆す。
気づいたときにはビームライフルで対応ができない距離まで近づいていた。
咄嗟にビームサーベルを構え、ザクⅢ改の斬撃に対応しようとする。
だが、ザクⅢ改はビームサーベルを振らず、ガンダムMk-Ⅲの腹部を蹴りつけた。
強烈な衝撃がゲイルを襲う。頭を揺さぶられたゲイルの思考が一瞬飛んだ。
蹴られたことで距離が空く。それはザクⅢ改のビームライフルの射程内に入ったことを指していた。
銃口に光が灯る。確実な死がゲイルを捉えた。
「うぉぉぉ!」
咆哮を上げたゲイルがビームライフルを手放すと、バルカンを放った。
撃たれたのはガンダムMk-Ⅲのビームライフルだ。ビームのエネルギーパックに当たった銃弾によって、ビームライフルは爆発を起こす。
目が眩む光に、ローマンは一瞬ビームライフルの射撃ボタンを押すタイミングが遅くなった。
発射されたビームはガンダムMk-Ⅲの傍を抜けていく。
ローマンの攻撃をしのいだゲイルはスラスターを全開にして、お返しとばかりに急接近をする。
ビームキャノンで牽制し、ザクⅢ改の懐に入り込むと、そのまま体当たりをした。
「ごふっ!?」
今度はローマンが脳を揺さぶられた。思考を奪われたローマンは、ビームサーベルを構えて接近するガンダムMk-Ⅲに気づく。だが、ビームサーベルで応戦する猶予はなかった。
ゲイルは必殺の一撃を繰り出す。その瞬間、ローマンの口元に笑みがこぼれた。
右肩のシールドの内側から尖った何かが射出される。それはガンダムMk-Ⅲのコクピットの傍に刺さった。
その尖った何かからはワイヤーが伸びている。ワイヤーに電気の光が宿ると、ガンダムMk-Ⅲを高圧の電流が襲う。
「がぁぁぁぁ!」
絶叫するゲイル。ガンダムMk-Ⅲを襲ったのは、海ヘビと呼ばれる特殊兵装だ。
電流を流すことで電子機器を破壊するだけでなく、パイロットを殺傷できる程の力を持っている。
隠し武器を使用したローマンは珍しく安堵の息を漏らす。
「さて、これで終わりかな」
ザクⅢ改は悠々と近づき、ビームサーベルを振りかぶった。