機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン   作:アラタナナナシ

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兄と弟

 ゲイルの乗るZⅡはヴェアヴォルフに迫る敵勢に、メガビームライフルとクレイバズーカを発射した。

 突然現れたZⅡの攻撃を避けるため、敵は回避行動を取る。

 その僅かな隙をライセイは狙った。

 

 ヴェアヴォルフのガトリングガンから吐き出された銃弾はズサ1機とガザD1機を捉えると、その体を蜂の巣にされる。

 戦場を駆けるZⅡは前方のガ・ゾウムに急接近を仕掛けた。

 発射されたクレイバズーカのロケット弾を避けるガ・ゾウム。

 

 そのまま過ぎ去るかと思われたZⅡがMS形態へと移行し、AMBACをした。

 完全に後ろを取られたガ・ゾウムの背中をメガビームライフルのビームが貫く。

 爆散するガ・ゾウムを見ることなく、ゲイルはZⅡを変形させ高速機動に入る。

 

 敵勢に確かな動揺が見て取れたライセイはゲイルに通信を入れた。

 

「兄さん、ありがとう。助けに来てくれて」

 

「当たり前だろう。家族なんだからな」

 

 ふっ、と笑ったゲイルに、ライセイも笑みを浮かべて答える。

 

「だね。兄さん、今の状況なんだけど」

 

「迫る奴らは全員敵。で、良いよな?」

 

「うん。こいつらを倒さないと皆を守れない」

 

「了解だ。新型の力を見せてやる」

 

 一時的に困惑した敵も落ち着きを取り戻したのか、ZⅡとヴェアヴォルフに勢力を分散させた。

 だが、ZⅡの機動力の高さに追い掛ける敵は離されて行ってしまう。

 追いすがる敵からの攻撃を細かくブーストを調整して避けるゲイル。敵がZⅡを捉えるのは、まだ先であろう。

 

 敵の数が分散したことでヴェアヴォルフへの攻撃の嵐が弱まった。

 敵機に向けガトリングガンから銃弾を吐き尽くすと、今度はコンテナから多弾倉のロケットランチャーを取り出す。

 接近してきたガルスJとガザD2機に、ロケット弾を一斉に発射した。

 

 一斉に放たれたロケット弾を必死に避ける3機だが、ガザDの1機に着弾すると連鎖的に爆発が起こり、爆発の衝撃に巻き込まれ3機とも宇宙の藻屑となった。

 全弾を撃ち尽くしたロケットランチャーを手放すと、今度は小型のコンテナごとアームで掴む。

 

 コンテナの前面の蓋が外れると、そこには2つの大きな砲門が開いていた。

 砲門に光が収束されると、拡散されたビームが大量に放出される。

 視界を埋めつくさんばかりのビームの雨に晒された敵機は、次々と爆発していった。

 

 一撃でエネルギー切れを起こした拡散メガ粒子砲を詰んだコンテナを捨てると、今度はビームライフルを2丁手にする。

 残りのコンテナは2基。ヴェアヴォルフが相手をしていたMSは残り3機まで減っていた。

 

 1機はドライセン。2機はガザDだ。

 距離を取ったライセイは、ビームライフルを連射する。

 そのビームをかいくぐったドライセンが3連装ビームキャノンでヴェアヴォルフの行く手を遮った。

 

 ビームアックスにビームを収束させたドライセンは一気にヴェアヴォルフに迫る。

 その時、ライセイは1基のコンテナにアームを動かした。

 コンテナの蓋が外れると、アームが連結したのは大きなカニばさみのようなクローである。

 

 クローが開くとビームが収束され大型のビームサーベルとなると、接近したドライセンを横一文字に斬りかかった。

 ドライセンは大型のビームサーベルに対しビームアックスで挑むが、その圧倒的な出力で繰り出された斬撃を止めることができず、両断されてしまう。

 爆発したドライセン。残りの2機のガザDは示し合わせたように二手に分かれると、MA形態に変形してヴェアヴォルフに同時に襲い掛かる。

 

 そのとき、クローから発せられていたビームサーベルが消えると、先端を1機のガザDに向けた。

 クローに光が収束すると一筋のビームが放たれる。

 ビームに貫かれたガザDは四散すると、残りの1機にはヴェアヴォルフの持つビームライフルを発射した。

 

 ガザDの脚部を撃ち抜き、制御不能となったところに更にもう一射するとガザDは爆発の光を発する。

 付近の敵を一掃したライセイは、深く呼吸をした。ゲイルが来なければ、こうはならなかっただろう。

 敵が戦力を分散してくれたお陰で、倒すことができた。

 

 ライセイはゲイルを追いかけようとスラスターを噴かしかける。

 その瞬間、ライセイは強烈な殺気を感じ、思わず振り返った。

 そこにはグワンザムのMSデッキから出撃するクィン・マンサの姿があった。

 

 

 ZⅡを追いかける8機のMS。

 ZⅡの機動力に着いてこられているのは、2機のガ・ゾウムくらいで、残りの6機とは距離が開いている。

 ガ・ゾウムから撃ちかけられるビームを巧みに避けるゲイルは、スラスターを全開にして更に加速した。

 

 必死に食らいつくガ・ゾウムの2機の前で、ZⅡが突如軌道を変える。

 骨が軋みそうなGに襲われたゲイルは直進するガ・ゾウム2機を見て、笑みを浮かべた。

 ガ・ゾウムのパイロットが見た最後の光景は、シマンのネモスナイパーが狙いをつけたメガ・バズーカランチャーのビームであった。

 

 強力なビームに一瞬で蒸散したガ・ゾウム2機。放たれたビームは更に、その先にいるガザDを1機を撃墜する。

 残りの5機をゲイルは確認すると、目を引かれたMSがあった。

 緑色に塗装されたシュツルムディアスが3機、ZⅡに向けビームカノンを放つ。

 

 スラスターを噴射して迫るビームを回避したZⅡは駆け抜けざまに、MS形態に変形してメガビームライフルの銃口を1機のシュツルムディアスに向けた。

 撃ちだされた高出力のビームがシュツルムディアスの胸部を貫通し、爆発してバラバラに砕け散る。

 素早くMA形態に移行したZⅡに追いすがる、1機のシュツルムディアスがオープンチャンネルで怒声を張り上げた。

 

「エゥーゴめ! よくも仲間を!」

 

 その声に聞き覚えがあった。デューク・ウェインズ。エゥーゴを裏切った者の1人だ。

 

「久しぶりだな、デューク大尉」

 

「その声はゲイル中尉か!? 我々の邪魔をするとは!」

 

「それはこっちのセリフだ。俺は急いでいるんだ。悪いが、さっさと墜とさせてもらう」

 

「ほざけ!」

 

 煽るゲイルに乗せられたデュークは、一直線にZⅡを追いかけた。

 MS形態に変形したZⅡはメガビームライフルからビームを撃ちだし、デュークを牽制する。

 するりとビームを交わしたシュツルムディアス。

 

 熱くなってはいても、デュークの技量は確かなものであることを知ったゲイルは、間合いをはかりながらビームを放つ。

 冷静沈着で丁寧な攻撃にデュークはZⅡに近づけないでいた。

 残りのMSがZⅡを取り囲もうとしたとき、二筋のビームがガザDを背中から射抜く。

 

 ビームを発射したのは、アオイの乗るガンダムMk-Ⅲであった。

 

「私を忘れてもらっては困るわ」

 

 1機を失い、残るはシュツルムディアスが2機とガザDが1機。

 ビームを撃ちながら接近するアオイが言う。

 

「ゲイル、こっちの2機は任せて。あなたはデュークを」

 

「分かった。死ぬなよ」

 

「私のスコアを知ってるでしょ? そう簡単には落ちないわよ」

 

 そういうと、ガンダムMk-Ⅲはビームライフルとビームキャノンで敵機を狙う。

 連続で撃ちだされるビームに足止めされた2機を横目に見たゲイルは、デュークに一騎打ちを仕掛けた。

 落ち着いた射撃をするゲイルに比べて、デュークは直線的な攻撃を仕掛ける。

 

 その攻め方を見て、かつての自分を重ねたゲイルは、デュークの次の手が何かを読み取ることができた。

 ビームで牽制しながら、一気に間合いを詰めての斬撃。

 その思惑通りにデュークは動いた。

 

 ビームピストルをZⅡに連射すると、ビームサーベルを抜き放って加速をする。

 距離が縮まり、シュツルムディアスの間合いに入ろうとした。そう思えたとき、ZⅡのメガビームライフルの先端にビームが収束される。

 銃口から伸びたビームサーベルでシュツルムディアスに斬りかかった。

 

 ビームライフルの銃身の分だけ、間合いの広いZⅡのロングビームサーベルがシュツルムディアスを袈裟斬りにした。

 ビームの熱量によって溶解した部分から爆炎が上がる。それはシュツルムディアスのコクピットのある頭部を飲み込んだ。

 

「ジークジオン!」

 

 デュークは言い放つと、プツンと通信が途絶える。

 エゥーゴを裏切った者の末路は、あっけないものであった。

 ゲイルは残るMSを探したが、そこにはガンダムMk-Ⅲの姿しかない。

 

 辺りを確認するゲイルにアオイから通信が入った。

 

「遅い。私が2機とも仕留めちゃったじゃない」

 

「2機ともか!? やるな」

 

「すごいでしょう? じゃあ、アヴァロン救出に向かいましょうか」

 

「ああ」

 

 ZⅡとガンダムMk-Ⅲは戦闘の光が発せられる元へと向かった。

 

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