機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン   作:アラタナナナシ

82 / 86
好敵手

 ゲイルのZⅡが持つクレイバズーカから射出されたロケット弾は、クィン・マンサの肩部バインダーに直撃した。

 だが、装甲は厚くバインダーを損壊させる程のダメージを負わせていない。

 続けて、ゲイルはメガビームライフルから高威力のビームを撃った。

 

 クィン・マンサは肩部バインダーを迫るビームに向ける。

 直撃コースだったビームがクィン・マンサの手前で消散した。

 

「くっ! Iフィールドか。なら!」

 

 実弾であるクレイバズーカの砲口をクィン・マンサに合わせて、ロケット弾を撃ち出した。

 Iフィールドはビームなどの粒子兵器を偏光、拡散するものであるため、実弾には通用しない。

 大型MSであるクィン・マンサの機動性は高くないため、バズーカなどの実弾は天敵とも言える。

 

 だが、そのロケット弾を撃ち落とせるのがクィン・マンサの強みであった。

 ZⅡとガンダムMk-Ⅲを標的にした拡散メガ粒子砲から無数のビームが放出される。

 ゲイルは咄嗟にMA形態に変形すると、ビームが着弾する前に飛び去ることができた。

 

 しかし、ガンダムMk-Ⅲのアオイはそうはいかず、ビームを必死に避けるが機体の装甲を焦がされ、損傷を受ける。

 

「アオイ!」

 

「大丈夫! 私に構ってないで、あれをなんとかして」

 

「分かった。アオイは援護に回ってくれ」

 

 ゲイルは言うと、味方の識別信号を発するザクⅢ改に通信を入れた。

 

「あの時は世話になったな」

 

 この言葉にローマンはくすりと笑った。

 

「根に持ってんのかい?」

 

「ああ。今すぐにでも、戦いたい気分だ」

 

「じゃあさ、あれを倒してからにしない? あれに親玉が乗ってんだよねぇ」

 

 クィン・マンサから一定の距離を維持するZⅡ。

 ローマンの言う通り、脅威的な戦力を持つクィン・マンサを落とさなければ、決着をつけるなどできようもない。

 

「分かった。なら、俺達で仕掛けるぞ」

 

「ちょい待った。弟くんに考えがあるみたいだよ? それまでは、あれを」

 

 ローマンが言いかけたとき、クィン・マンサから拡散メガ粒子砲が放たれた。

 ひらりとビームを避けるローマンが言う。

 

「って、簡単にはいかないか。落とす覚悟でやらないと負けるかもね」

 

「そうみたいだな。なら、バズーカを持っている俺が攻める。お前はあいつを引き付けてくれ」

 

「簡単に言ってくれるねぇ。ま、やってみますか」

 

 機体に傷を負ったザクⅢ改がスラスターを輝かせて、クィン・マンサに突撃を仕掛ける。

 クィン・マンサの背後でZⅡはMS形態に変形すると、バズーカを構えた。

 呼吸のあった2機の攻撃に、クィン・マンサはファンネルで対抗する。

 

 並みの強化人間では制御不能な数のファンネルを宙に放つと、ザクⅢ改の行く手をビームで遮った。

 同時にZⅡが放ったクレイバズーカのロケット弾を着弾手前で撃ち落とす。

 完璧な連携に見えた2機の攻撃をさばいたクィン・マンサは、目の前にいるザクⅢ改に拡散メガ粒子砲の砲門を向けた。

 

 ザクⅢ改はビームを避けるため上昇したが、拡散メガ粒子砲の有効範囲から逃れられない。

 死をもたらすビーム光を宿したクィン・マンサ。

 諦めることなく機体に鞭を打ちながら、加速を続けるローマン。

 

 ビームが撃たれる直前に、ザクⅢ改に迫る影があった。

 

「掴まれ!」

 

 MA形態に変形したZⅡだ。

 ローマンは口角を吊ると、ザクⅢ改の手をZⅡに伸ばす。

 ZⅡに掴まったザクⅢ改の足元すれすれを、クィン・マンサから撃ち出された拡散ビームが抜けていった。

 

「いやぁ、悪いねぇ。助かったよ」

 

「お前が落ちたら、こっちがヤバいからな。仕方なくだ」

 

「そういう判断ができるのは、有能な証拠だよ」

 

 微かに笑ったローマンはザクⅢ改の手を離して、クィン・マンサから距離を置いた。

 

「さぁて、どうする? おにいちゃん?」

 

「気持ち悪い呼び方をするな。ライセイなら、きっと来る。それまでに、やつを少しでも疲弊させるぞ」

 

「それしかないよねぇ。じゃあ、またやるとしますか」

 

 二手に分かれてクィン・マンサに迫る。

 熟練者のみが持ち合わせる呼吸で、互いの動きをカバーし合う様は敵同士ではなく相棒のようであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。