機動戦士ガンダムZZ外伝 亡命のアヴァロン 作:アラタナナナシ
ゲイルのZⅡが持つクレイバズーカから射出されたロケット弾は、クィン・マンサの肩部バインダーに直撃した。
だが、装甲は厚くバインダーを損壊させる程のダメージを負わせていない。
続けて、ゲイルはメガビームライフルから高威力のビームを撃った。
クィン・マンサは肩部バインダーを迫るビームに向ける。
直撃コースだったビームがクィン・マンサの手前で消散した。
「くっ! Iフィールドか。なら!」
実弾であるクレイバズーカの砲口をクィン・マンサに合わせて、ロケット弾を撃ち出した。
Iフィールドはビームなどの粒子兵器を偏光、拡散するものであるため、実弾には通用しない。
大型MSであるクィン・マンサの機動性は高くないため、バズーカなどの実弾は天敵とも言える。
だが、そのロケット弾を撃ち落とせるのがクィン・マンサの強みであった。
ZⅡとガンダムMk-Ⅲを標的にした拡散メガ粒子砲から無数のビームが放出される。
ゲイルは咄嗟にMA形態に変形すると、ビームが着弾する前に飛び去ることができた。
しかし、ガンダムMk-Ⅲのアオイはそうはいかず、ビームを必死に避けるが機体の装甲を焦がされ、損傷を受ける。
「アオイ!」
「大丈夫! 私に構ってないで、あれをなんとかして」
「分かった。アオイは援護に回ってくれ」
ゲイルは言うと、味方の識別信号を発するザクⅢ改に通信を入れた。
「あの時は世話になったな」
この言葉にローマンはくすりと笑った。
「根に持ってんのかい?」
「ああ。今すぐにでも、戦いたい気分だ」
「じゃあさ、あれを倒してからにしない? あれに親玉が乗ってんだよねぇ」
クィン・マンサから一定の距離を維持するZⅡ。
ローマンの言う通り、脅威的な戦力を持つクィン・マンサを落とさなければ、決着をつけるなどできようもない。
「分かった。なら、俺達で仕掛けるぞ」
「ちょい待った。弟くんに考えがあるみたいだよ? それまでは、あれを」
ローマンが言いかけたとき、クィン・マンサから拡散メガ粒子砲が放たれた。
ひらりとビームを避けるローマンが言う。
「って、簡単にはいかないか。落とす覚悟でやらないと負けるかもね」
「そうみたいだな。なら、バズーカを持っている俺が攻める。お前はあいつを引き付けてくれ」
「簡単に言ってくれるねぇ。ま、やってみますか」
機体に傷を負ったザクⅢ改がスラスターを輝かせて、クィン・マンサに突撃を仕掛ける。
クィン・マンサの背後でZⅡはMS形態に変形すると、バズーカを構えた。
呼吸のあった2機の攻撃に、クィン・マンサはファンネルで対抗する。
並みの強化人間では制御不能な数のファンネルを宙に放つと、ザクⅢ改の行く手をビームで遮った。
同時にZⅡが放ったクレイバズーカのロケット弾を着弾手前で撃ち落とす。
完璧な連携に見えた2機の攻撃をさばいたクィン・マンサは、目の前にいるザクⅢ改に拡散メガ粒子砲の砲門を向けた。
ザクⅢ改はビームを避けるため上昇したが、拡散メガ粒子砲の有効範囲から逃れられない。
死をもたらすビーム光を宿したクィン・マンサ。
諦めることなく機体に鞭を打ちながら、加速を続けるローマン。
ビームが撃たれる直前に、ザクⅢ改に迫る影があった。
「掴まれ!」
MA形態に変形したZⅡだ。
ローマンは口角を吊ると、ザクⅢ改の手をZⅡに伸ばす。
ZⅡに掴まったザクⅢ改の足元すれすれを、クィン・マンサから撃ち出された拡散ビームが抜けていった。
「いやぁ、悪いねぇ。助かったよ」
「お前が落ちたら、こっちがヤバいからな。仕方なくだ」
「そういう判断ができるのは、有能な証拠だよ」
微かに笑ったローマンはザクⅢ改の手を離して、クィン・マンサから距離を置いた。
「さぁて、どうする? おにいちゃん?」
「気持ち悪い呼び方をするな。ライセイなら、きっと来る。それまでに、やつを少しでも疲弊させるぞ」
「それしかないよねぇ。じゃあ、またやるとしますか」
二手に分かれてクィン・マンサに迫る。
熟練者のみが持ち合わせる呼吸で、互いの動きをカバーし合う様は敵同士ではなく相棒のようであった。