死ぬのが嫌なので防御力に極振りしたいと思います   作:くぼさちや

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コロナぶっころな(●ꉺωꉺ●)


13話 「メイプルvsアスナ」

 

 

 

「攻略組のメンバーじゃないわよね、その子。初めて見る顔だけど名前は?」

 

「は、はいっ! メイプルです」

 

「ちょうど今、俺がレベル上げを手伝っているプレイヤーなんだ」

 

「レベル上げを手伝ってるって...まさか」

 

 アスナは表情を渋めた。

 先のボス攻略戦でキリトが不参加であることは当然アスナも知っている。同時に、その理由についてもそれとなく他の攻略組のメンバーから耳にしていた。ならば当然、メイプルがキリトの手助けが必要なほどのレベルにしか達していないことも想像できることだった。

 

「ちなみに、今のあなたのレベルはどれくらいなの?」

 

「14レベルになりました!」

 

 えっへんと、自信満々に答えるメイプル。それに対して、やっぱり思ったとおりだったと呆れ半分にため息をついたアスナはキリトの方を見やった。

 キリトは無言のまま頷く。

 こちらからは止める気はない、というキリトの意思表示がアスナに伝わったのか、再び視線をメイプルに戻す。

 

「......やっぱり、四十九層どころか十層ボスの安全マージンにも達してないじゃない」

 

「た、確かにレベルは低いですけれどバイタリティには自信があるんです! 毒の攻撃は効かないですし、みんなの盾になることならできると思います!」

 

 メイプルは必死に言うが、アスナも頑なに譲らない。当然だ。メイプルの《絶対防御》や《大物喰らい》などのスキルを知らないのだから。たとえどんなにVITにステータスポイントを振って装備品を整えてもレベル14ではボス相手に通用するわけがない。

 しかしひとつだけ、アスナの耳に引っかかる言葉があった。

 

「毒攻撃が効かない? それはどういうこと?」

 

 アスナの質問にはっとしたような顔をするメイプル。すぐさま助け舟を請うような視線をキリトに送ると、キリトはそれに応じた。

 

「メイプルはちょっと特殊なスキルを持っているんだ。多分エクストラスキルなんだと思う」

 

「エクストラスキルって、どんな?」

 

 重ねての質問に、キリトは一瞬話すべきか躊躇ったものの、ごくりと息を呑んでから答える。

 

「......毒の状態異常の完全無効化」

 

「ほんとなの!?」

 

 食い気味の様子でテーブルに手をつき、身を乗り出したのアスナにキリトは大手を振って言い足した。

 

「ただ取得条件はメイプル本人にもわからないらしいんだ。でも事実メイプルに毒系の攻撃が効かないことは確かで、俺もこの目で確認した」

 

 攻略組の今後の動きをそのスキル獲得にシフトすればあるいは、と思ったのかもしれない。肩の力が抜けた様子でソファに座りなおすアスナはメイプルに視線を向けた。

 

「......でも、それにしたって初心者同然の子をボス攻略に連れて行くなんてできないわ。ボスの使う毒攻撃が効かなかったとしても、攻撃はそれだけじゃない。物理的な攻撃を受けたらひとたまりもないわ。キリトくんだってわかるでしょ?」

 

「ああ、無謀な話だと思う。俺も実際アスナの意見に賛成なんだけど」

 

「わ、わたしはキリトさんとアスナさんの意見に反対です! 断固!」

 

 先生からの質問に答えようとする学生よろしく、挙手をしながら椅子から立ち上がり、反対反対と連呼するメイプル。そのまま話が平行線のまま続くことがなんとなくわかったのか、アスナはため息をつく。

 

「なら、こうしましょう」

 

「はい、どうしましょう!」

 

 一歩も引かない、という心意気の表れなのか、ガチガチに肩の力が入った姿勢で微妙にズレた返事を変えすメイプルにアスナは言った。

 

「私と決闘しましょう。それであなたがボス攻略に参加できるだけの実力があるか判断します」

 

「いいですとも! 望むところです!」

 

「ちょっと待てメイプル! それにアスナも、正気なのか? このデスゲームで決闘だなんて!」

 

 この世界での死はそのまま現実世界の自分の死と同義である。それはプレイヤー同士の決闘でも変わらない。もちろんメイプルが他のプレイヤーと同じような条件下でSAOにいるのか、キリトにはわからない。が、少なくともアスナは自分たちと同じようにHPが全損すれば死ぬ存在であると認識しているはずだ。

 まして二人のレベル差では一撃決着モードに設定しても、その一撃でメイプルのHPは完全に削り切られる。

 

「大丈夫よ。ちゃんと手加減するし、それに」

 

 アスナはアイテムストレージを開くと、ある武器の名前をタッチした。ライトエフェクトの中から現れたのはひと振りの木剣。細長い刀身と柄の形からレイピアであることがわかった。

 

「何だその武器? 見たことないな」

 

「この間エギルさんのお店で買ってきたの。耐久値も低いし大して威力もないんだけど、武器そのものにエクストラ効果があってね。この武器でいくら攻撃してもレッドゾーンから先は絶対にダメージが入らないんだって」

 

 アスナは得意げに木剣を腰に差すと、立ち上がる。

 

「問題、ないわよね?」

 

 

 

 

 

 

「うわー、おっきい...」

 

 アスナに連れられてギルドホームの地下へ降りていくと、そこにはちょっとした闘技場があった。

 これにはメイプルだけでなく、さすがのキリトも感嘆のため息を漏らす。

 

「確かにこりゃすごいな......さすがは血盟騎士団のギルド。ここも含めていったいどれだけ金かけて作ったんだ?」

 

 なんの気なしに呟いたキリトに、どうということはない、といった様子でアスナは天文学的な数字を言ってのけた。 

 

「ここは装備の試し切りとか、PVPの演習目的で作られた場所なの。今はボス戦絡みでみんなバタバタしてるし、それなりに広さもあるからちょうどいいでしょ?」

 

 そう言ってアスナは木剣を抜き放った。それに応じるようにメイプルも大盾と短剣を構える。

 やがてアスナからの決闘の申請が届くと、ゴクリと息を呑んで承認する。頭上に決闘開始を告げるカウントダウンが始まった。

 

 





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