死ぬのが嫌なので防御力に極振りしたいと思います   作:くぼさちや

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Twitter始めやした〜
前書きをツイートみたいな使い方してましたので(笑)
雪見なうとか、コロナぶっころなとか、
これからはもっと普通に書きます(●ꉺωꉺ●)


23話 「授けられた歯車」

 

 

 ボスモンスターのHPゲージの上には《機械神》の文字。それだけでこのモンスターがSAO世界のモンスターでないことがわかる。

 プレイヤーネームを含め、アルファベット表記が基本のSAOではまずありえない名前だ。

 

(ってことは...《ヒドラ》と同じでNWOのモンスターか。)

 

 だとしたらかなり厳しい相手だった。

 いくらメイプルがレベルアップしているとはいえ、キリトが剣の手応えから感じたモンスターのステータスは以前戦った《ヒドラ》とは明らかに質が違う。

 相当数のプレイヤーが束になってかかることが前提となる、ボスモンスター独特の攻撃力とHP量だった。

 

「タゲは引き受ける。少しずつでも隙を見て攻撃してくれ」

 

 キリトはソードスキルの《ソニックリープ》を発動。背中すれすれまで振りかぶった剣がライトエフェクトを帯びると、システムアシストによる加速を伴って駆ける。

 

「せあああああっ!」

 

 《機械神》の腕部目掛けて剣を振り下ろした瞬間、その装甲がまるで武器同士を激突させたかのような甲高い音を響かせた。

 あまりの硬さに攻撃を加えたキリトの方が弾かれんばかりにその場から仰け反る。

 

(ぐっ...なんだよこの硬さは!?)

 

「キリトさん!」

 

 剣を弾かれてガラ空きになったキリトに向かって《機械神》が拳を振り上げる。

 

「《カバームーブ》!」

 

 スキルの効果によって一瞬にしてキリトと《機械神》の間に潜り込むとメイプルは大盾で拳による一撃を受け止めた。

 

「せいやぁぁぁ!」

 

 つかさずカウンターの一突き。しかしメイプルの攻撃ではまるで刃が立たない。超硬度の装甲に遮られて、そもそもダメージが通らないのだ。

 そしてキリトの攻撃も《ヒドラ》のときと同様、ダメージはなかった。違いがあるとすれば各部位の装甲板の硬度設定だろう。キリトが感じた《機械神》の硬さはまさしく破壊不能オブジェクト一歩手前。

 これではキリトがボスのヘイトを集められるかどうかも怪しい。

 

「どうすれば...? どこか弱点とかないのかなぁ」

 

「弱点か...まあ、普通に考えればあれだろうな」

 

 一度距離を取ると、キリトは胴体に埋め込まれた球体を見た。

 見るからにコアか、あるいは動力源といった類のもの。その他の装甲は鉄のように硬いが、剥き出しになったあの一点になら攻撃が通るかもしれない。

 

「どうにかして俺がタゲを取る。メイプルは俺が《機械神》の攻撃を受け切ったあと、カバームーブを使って即座にスイッチしてくれ。狙いは胴体だ」

 

「わ、わかりました...!」

 

 そうメイプルが返事するのを待たず、キリトは左側面に回り込むようにして駆けた。ロングコートの裏地からピックを取り出すと、胴体目掛けて投擲する。

 牽制にもならない、少しでもキリトにヘイトを向けるための苦し紛れに近い攻撃だ。

 

(タゲはメイプルに向いたままか...だったらこいつでどうだ!)

 

 キリトは距離を詰めた。

 剣が再びライトエフェクトを帯びると四連擊ソードスキル、《ホリゾンタルスクエア》を放つ。《機械神》の豪腕をくぐり抜けるように水平の斬撃が胴体の前後左右を斬り結び、四角い軌跡を描いた。

 

「......っ!」

 

 《破壊不能オブジェクト》の文字がキリトの視界の端に映る。しかし黒い真珠のような《機械王》の瞳が確かにキリトの方へと向いた。

 ダメージはなくとも、装甲の硬度にキリトのソードスキルが勝り、それが攻撃とみなされてヘイトが溜まったのだ。

 

「通った...!」

 

 キリトにタゲを向けた《機械神》は両手を組むとハンマーのように上段から振り下ろす。それをキリトは頭上で地面と平行に剣を構えて受け止めた。

 攻撃の衝突音とともに貫通ダメージがキリトを蝕むが、この距離ならメイプルの刃は届く。

 

「今だ!」

 

「《カバームーブ》!」

 

 キリトの目の前に瞬時に移動すると同時に、メイプルの突きが《機械神》の胴体に突き刺さる。しかしそれも矛先の数センチが球体にくい込むだけで、攻撃としてはあまりにも浅かった。

 

「うぬ〜...うぬぅ〜〜!」

 

 メイプルはその場で踏ん張ってどうにか《新月》の刃を押し込もうとするが、ヘイトは完全にメイプルに集中していて、タゲを向けた《機械神》の手のひらがゼロ距離から光を発する。

 

「うぅ〜ぬ、ぬぬぬ...! 《ヒドラ》!」

 

 攻撃が放たれる寸前、メイプルの叫びとともにわずかに通った剣先から紫色の光が漏れると、それが《機械神》の全身を余さず染め上げた。関節や排熱構などの僅かなパーツの隙間から毒液が吹き出し、ビームによる攻撃は半ば強制的にキャンセルされる。

 

「どうだー!」

 

 《新月》を引き抜き、メイプルはバックステップで距離を取る。

 力尽きたように膝をつく《機械神》。

 しかしまだ倒せてはいないようだった。ポリゴンになって散ることもなく機能停止した《機械神》は瞳に《ヒドラ》の毒液が放つそれとは異なる、紫色の光を点滅させている。

 

「ワズカニ意識ガ戻ッタ今、託ス。勇敢ナ者ヨ」

 

 ノイズにスパーク音が入り混じった音声で《機械神》はそう告げると、腹部の球体から一つの歯車が生成される。それが一直線に飛んでいくと避ける間もなくメイプルの胸に埋め込まれ、真紅の強い光を放った。

 

「我ノチカラデ...我ダッタコイツヲ......倒セ」

 

「え...?」

 

 それは攻撃ではなかった。

 メイプルの胸に埋め込まれた歯車はゆっくりと回転を始め、その輝きがひときわ強く瞬くと、メイプルの視界の端でスキル獲得を通知するシステムメッセージが表示された。

 

《機械神を取得しました》

 

「えぇ! ちょっと、これどうしたらいいの?」

 

「無駄ナコトヲ...」

 

 停止していた《機械神》から、先程までとは声色の違う機械音声が響く。すると全身から青白い光を発して《機械神》はその姿を変えた。

 細く洗練されたフォルムと白い装甲には以前のような無骨さはなく、その体躯はより人間の肉体に近いような曲線を描いていた。弱点だった胴体のコアはなく、全身の装甲の僅かな隙間から青いクリスタルのようなパーツが覗けて見える。

 それは誰の目にもわかるような、パワーアップだった。

 

 




ホリゾンタルスクエアとバーチカルスクエアの違いとは、
いったい......

くぼさちやのTwitter
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