おかしい......、ユグドラシルが落ちない。モモンガさんに言われて来たはいいものの、こんな時に限ってクソ取引先が電話かけやがって、モモンガさんに会えず残ったのは二分だけ。モモンガさんに会うには短かすぎるので、第6階層のお気に入りの場所、仲間からは『レオの寝床』、『ど〇ぶつの森』と言われていたスポットで世界の最後を送る予定であった。
月の光のような白銀色に毛並みと鬣、漆黒の鱗の持つ木の幹ような太さの蛇を尾に持ち、叡智を感じさせる海原のごとき蒼き瞳のライオン、レオガルシア・R・ロードは自分が植えたユグドラシルの全ての花、そして自分の弟という設定で作った、金色の毛並みに純白の鱗の蛇の尾、自分の姿の対を成すような姿をしたライオン、NPCであるレオナルドとともに眠ったはずだった。
「兄様、レオガルシア兄様、いかがされましたか?」
「.....お、おう」
なんか弟喋りだしぞ。おい。え、AIだよな?NPCが喋っている…?
と、とりあえず、モモンガさん、まだいるかな、連絡してみよ。
「メッセージ、お、つながった、あ、モモンガさん!俺です、レオです!
今さっき来れたんですけど、サーバーダウン来ないし、NPCしゃべりだしたんですけど...」
「え?…ええええええええええええ!!!!!」
その後、すこし間が空き、やけに冷静、のような上ずったような声が聞こえる。
「レ、レオさんですよね?レオナルドがいないから、もしやと思ったけど......、今六階層ですよね?そっち向かいますね」
「あ、俺行きますよ、玉座の間ですよね」
「あ、ちょ、ま」
なにか止めようとした声が聞こえた気がするが、リング オブ アインズ・ウール・ゴウンで第九階層、玉座の間へ転移する。
金と銀をふんだんに使ったような部屋の最奥――突き当たりには、数十段階段を昇った位置に真紅の布に大きく描かれたアインズ・ウール・ゴウンのギルド印がかけられていた。
その前に1つの巨大な水晶から切り出された椅子に、モモンガさん、そして玉座の周りには何人かのNPCが取り囲んでいる。転移した俺を見るとNPCはいきなり跪いた。
いや、どうした、どうした。眼鏡からちらりとのぞかせる理性的な瞳に、深紅の豪華なスーツ、腰から伸びる爬虫類的な尾、デミウルゴスは深く跪いた。
「おかえりなさいませ!至高なる41人が1人、レオガルシア・R・ロードさま!」
その後、一斉に守護者たちの「おかえりなさい」コールを受けた。え、なにこれ。
「あー…た、ただいま~」
「う、うむ!!よし!守護者および全シモベたちよ!私とレオさん、いやレオガルシアは二人のみで話があるので私の自室へ移動する!内密の話だ!決して近づくな!」
やけに偉そうに喋り方で命令を下した。......モモンガさん、RP好きだったもんなぁ……。そんな風に昔を懐かしんでいると、NPC、いや守護者たちはモモンガさんに向き直った。
「かしこまりました!アインズさま!」
と答えた。……アインズさま?
「では、レオさ...レオガルシアよ!私の部屋へ!」
「は、はい」
いろりろ分からないままだが、モモンガさんに案内され、モモンガさんの自室へ移動した。
「レオさん!!!会えて、もうめちゃくちゃ嬉しいです!!いやぁ!うれしい!本当にうれしい!」
部
屋に入り、ソファに座ると先ほどの支配者ロールをやめ、いつものモモンガさんに戻っていた。
「お久しぶりです、モモンガさん、えっと…これは一体?」
「えっとですね、話すと長くなるんですが」
今までのことをひとつ、ひとつ説明してもらった。なぜかナザリックごと別の世界に転移していたこと、調査のため冒険者になってみたりしたこと、いざ依頼を受け『森の賢者』なる魔物を倒そうとしたら、俺が飼っていると、見せたことのあったハムスターそっくりだったこと。
え、なにそれ、見たい。そして、俺たち他のメンバーがこの世界に来て、ちゃんと分かるようにアインズ・ウール・ゴウンと名乗り、名を広めるために汚いことも少なからずしたことも申し訳なさそうに言った。
「……ということがありました、……レオさん、この名前は俺一人の名前じゃないっていうのは重々分かっています、だから…」
「モモンガさん、いやアインズさん.....こりゃしばらく慣れないな」
そう言ってすこし笑う。アインズの骨の顔は申し訳なさそうに顔を落としている。
「そんな顔しないでくださいよ、ユグドラシルのときから、転移後の世界まで、ずっとナザリック地下大墳墓を守ってきたモモンガさんがその名前を名乗るのに反対するメンバーはいませんよ.....ずっと1人にさせて、すいませんでした、モモンガさん、いやアインズさん、アインズ・ウール・ゴウンの他メンバーを代表してギルド長、ありがとうございます」
そう言って深く頭を下げた。アインズさんだってバリバリ仕事をさせられていた、と聞いている。そんな生活の中、ナザリック地下大墳墓を守り、異世界に転移した後も、捨てることだってできたのにこの人は自らの手を汚してまでナザリック地下大墳墓を、アインズ・ウール・ゴウンを守ってくれたのだ。そんな、この人を攻めれる人がどこにいるだろうか。
「……レオさん、骨のこの体ですが、肉がついていたら涙が止まりせんでしたよ」
「ええ、泣いたってなぐさめますよ、ギルド長」
レオガルシア・R・ロード
混合魔獣王(キマイラロード)
月の光のような銀色の毛並みに、漆黒の鱗の蛇を尾にもつ獅子の姿をしている。ユグドラシルでも数がかなり絞られる4つ足のプレイヤー。
ビーストテイマー 自身がビースト(獣)であるのに、ビーストテイマーかよとナザリックメンバーに突っ込まれていた。メンバーには「レオさん」で親しまれおり、『獅子王』の名で恐れられていた彼だが、リアルでは花屋さんをしており、第六階層には彼が採取し、栽培していた花が咲き乱れるスポットが存在し、『レオの寝床』として、ナザリックの隠れ名所として知られている。
ユグドラシルでは取得しているのは3人のみの『フラワーマスター』という称号ももっており(持っていても意味はない)、花が好きな女性プレイヤーとも多々つながりがあったので、ユグドラシルメンバーから恨まれることも。
『レオの寝床』付近には、彼がテイムしたモンスター、また造った獣NPCが生息しておりまたの名を『どう〇つの森』。