真剣で君達が主で最強執事が俺で純愛ロード!S 作:のとに館長
夕暮れ時、俺は桐山と、とある女の子と一緒にヘリコプターに乗っていた。女の子は緊張していた。
無理もない、これから世の中にデビューするようなものだ。
だが余りにも固い、こうも固いと存分に力を発揮できないのであろう。
「深呼吸でもしたらどうだ」
物静かな空気、俺の声は響いた。
「う、うん。スーハー、スーハー」
女の子はまだ緊張はしていたが少しは楽になったであろう。
やがて工業地帯上空に着いた。
「頑張れよ、義経」
「はい!」
女の子は大きな声で返事をして飛び降りた。俺達のヘリコプターは義経が無事なのを確認してその場を去った。
「義経と会話出来るようになったのなら、私達とも会話して欲しいものです」
桐山がニコニコ微笑みながら言う。その微笑みがウザイ。
いつも通り俺は無視する。
「ふむ、まぁいいでしょ。それより辻堂、明日から忙しくなりますよ」
「紋様の世話は基本ヒュームさんがやるだろ。俺が忙しくなる理由はない」
「紋様もそうですが、街の方もありますよ」
「釈迦堂という男は俺が仕置きすればいいんだろ」
「えぇ」
そして、再び無言になる。九鬼極東本部のヘリポートに降り立った俺達、不意に桐山が思い出したかのように言った。
「そういえば辻堂も川神学園に入学するんでしたっけ」
「義経、弁慶、与一、こいつらの警護に雑務だ。久々に日本に帰ってきたと思ったらこれだ」
「珍しく愚痴を溢すのですね」
「急用と言われたんだ」
「武士道プランは九鬼にとって重要なプロジェクトですよ」
「良いこと教えてやろうか」
俺は立ち止まった。そして、桐山を見て言った。
「俺は武士道プラン等に興味等無い」
そうして俺は再び歩き出した。そんな俺の後ろ姿を見て桐山は呟いた。
「貴方は今でも九鬼に対する忠誠心も無いじゃないですか」
小声で言っていたのであろう、だが俺には聞こえた。
俺は今でも久遠寺家の執事だ。
もしくはあいつの執事候補だ。
翌日、今頃は義経達は川神学園で自己紹介でもやっているのであろうか、俺は川神学園には向かわずある男の元に向かっていた。
気を探ってみた、どうやら川岸に居るらしい。
「釈迦堂、かつては川神院師範代、しかし、破門されたのち内閣諜報部に所属、最近は川神で弟子を造ったと」
俺が川岸に到着すると三人の女と二人の男が居た。
多分おっさんの方が釈迦堂という男だろう。
奴らは川岸でぐざい不明の鍋を食ってた。
「意外といけるね」
「だね~」
「あー、うちの肉!」
「はっ、さっさと取らねーからだよ」
「大人気無い」
ふと俺が呟いた言葉に奴らは振り向いた。
「あん、誰だオメー」
「辻堂流星」
そして、無言。
ちょっとした沈黙の後女が叫んだ。
「それだけかよ!」