ベルカの天帝の末裔   作:龍神悠飛

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全てはここから始まった


追憶・全ての始まり

夜の小径で出会った少女は、大陸列強『聖王家』の王女

 

領土すら持てる予定のない血族の末席にすぎないと彼女は笑ったが──────

 

「ともあれ僕とリュウキはオリヴィエに乞われて、彼女の居城にしばし滞在することとなった──────」

 

 

 

 

それからはしばしの時を置いて、オリヴィエはシュトゥラへ「留学」することとなり、我らも共に赴くことになった

そこで我は生涯忘れることのない友との出会いを果たす

 

「実はオリヴィエに聞いてからずっと興味を持っていたんだ。

どうだろう?少し手合わせをお願いできないか?」

 

「ふむ。拙者も話には聞いていた故望むところではあるが、師匠から手合わせでは加減するように言われてる故軽くになるでござるが・・・」

 

「応ッ!」

 

(・・・隙が無い。この歳でどれ程の修練を積んできたでござろうな・・・)

 

「まずはお主から────」

 

「ああ!行くぞ──────!」

 

 

大地から足先へ

下半身から上半身へ螺旋を描いて力を伝える

 

「甘い!」

 

バシンッ!

 

その初撃を難なくいなし、反撃に転じる

 

「はぁっ!」

 

相手の攻撃をいなした直後にその円運動を活用して放つ蹴り技

 

龍神流・流転脚

 

その一度の攻防でお互いを認め、ついついギアを上げてしまい・・・

 

ジャラララララ!!!!

 

「なっ!」

 

「あっちゃあ〜封印式が発動してしまったでござるよ・・・」

 

「それはなんだい?」

 

「封印術式・封穴。

師匠が開発したもので、拙者の力を封じるためのものでござるよ」

 

「なぜそのようなものをされているんですか?」

 

「実は拙者別の世界から来たのでござるが、元の世界であまりにも酷い政を目にしてしまったもので愛想を尽かして祖国を捨ててきたのでござるよ。

その時に力の封印をして旅に出たということでござるよ」

 

「そんな過去があったんだね」

 

「今となっては笑い話でござるよ」

 

その一件からはクラウスと親友となり、我ら四人は気心の知れた仲として共にいることが多くなっていった

 

 

そんな日が幾許か過ぎ去ったがオリヴィエ・クラウスが戦場に出るようになり我はその同行、リッドも実戦と我との組手と通じて得た知識と技術の修練に勤しむようになっていった。

 

天真爛漫を絵に描いたいたずら猫のクロゼルクはクラウスと我に良く懐き、クラウスが王様になったら魔女の力で助けてあげると良く申しておった

 

「ちなみに僕には全くなつかなかったので基本的に険悪だった。

『何故かはよくわからない』・・・・・・なんでやろうね?」

 

「まあ気の合わない相手というのはいるものですわ」

 

「そーゆーもんだ」

 

しかしシュトゥラでの4年目が終わる頃──────

 

 

世界の情勢が変わり始めた

 

痩せ続け、疲弊し続けていく大地と人々。

滅びを間近にしたいくつかの王国が手をつけたのは

 

 

禁忌兵器の開発であった

毒を用いた弾薬、全ての命を腐らせる腐敗兵器

 

追い詰められた国々が最後の切り札として使い出した

 

そして「聖王家」がベルカの戦乱を終わらせるべく、守護兵器・・・

 

『聖王のゆりかご』の起動を決心させた

 

そんな「聖王家」に疑問を抱きながらも我らはオリヴィエの意志を尊重し、静観することと相なった

 

オリヴィエとクラウス

 

何事もなく、うまく平定できていれば二人はいずれ結ばれて幸せになると思っていた

 

そう、この時は戦乱が泥沼化するとは我には予想できなかった

そのことをずっと後悔している

 

「これで僕の勝ち越しは5勝目だったか?」

 

「まだ4勝目だよ!

あとは全部僕の勝ち!」

 

「クラウス。お主この後会食でござったであろう?

すぐに湯殿の準備をさせて着替えねば」

 

「ああ、そうだった。

 

ふむ・・・エレミア、たまには君も一緒にどうだ?」

 

「湯殿にですか?

遠慮しておきますよ。

相変わらず熱いお湯に入るのって苦手だし」

 

「この寒さでも水浴びか・・・

真似できないな」

 

「慣れですよ慣れ」

 

「・・・オリヴィエ、なんですか?」

 

「いえ、別に〜」

 

「お主、あれは本気でござるか?」

 

「・・・何がだい?」

 

「・・・お主、戦意外となると本っ当にニブチンでござるな。

リッドが可哀想でござるよ」

 

「?」

 

 

 

クラウスの勘違い

それはリッドが女子であったこと

我が知ったのは偶然で、目覚ましに水を浴びようとした時

 

「え!?リュウキ!?」

 

「な!?お・お・おぬ・・・!?」

 

「えっと、見ないで・・・」

 

「すまぬ!」

 

 

「その・・・さっきのは・・・」

 

「まこと申し訳ない。普段の一人称があれだった故、オリヴィエ以外警戒しておらなんだ」

 

「ふふ、それが本当の口調なんだね」

 

「お主、からかっておらぬか?

こちらは未婚の女子の裸体を見てしまった故罪悪感でいっぱいなのだぞ」

 

「だったら今度何か一つお願いしようかな」

 

「拙者ができる範囲でな」

 

 

 

 

 

と事故でリッドの裸を見てしまったことで知ってはいたが、よくよく考えてみれば女子特有の体つきになってきていたので我も少し鈍かったかもしれない

 

閑話休題(話を戻して)

 

 

しかしその日からわずか半月後

 

 

「魔女の森が──────」

 

「おおいっ!魔女猫!みんなっ!」

 

 

 

 

「クラウス・・・・・・

ヴィヴィさまぁ・・・・・・

ミアぁ・・・・・・

リュウ・・・・・・!」

 

 

 

「急げ!ここもまもなく火の海だ!」

 

ドゴォッ!

 

「・・・・貴様らか──────」

 

「森に火を放ったのはお前たちだな──────?」

 

「若造がただふたり──?」

 

「いや、あれは覇王の────!」

 

「生きて帰れると思うなよ、外道めが────!!」

 

断!

 

斬!!

 

 

この侵攻と時を同じくして

聖王連合の「威嚇による圧政」を許すわけにはいかないと

 

一部国家が聖王の血統所有者と

それを庇護する国や団体を狙い始め、彼女の決意は──────

 

この時に決まってしまったのかもしれない

 

そして我の眼も、この日を境に心を写す瞳──────写輪眼へと変化をしていった

            

 

 

 

 

                 続く




次回
追憶・訣別譚
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