超次元の青い監獄   作:門崎タッタ

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 今回は短めで申し訳ないです。



第十二話

 〜チームZ控え室にて〜

 

「チッ…雑魚共が俺の足を引っ張るせいで、初っ端から負けちまったじゃねぇか!」

 

「…雑魚はてめーだろうが捻挫野郎。お前が手足も出なかった守備を散々馬鹿にした萩原は突破できたんだからよ」

 

「喧嘩売ってんなら乗るぜ?緑隠キャがよ!」

 

 中谷と捻挫野郎の怒声が部屋中に響き渡る。初戦で完敗したのがかなり響いているのか、チームXとの試合後の控え室の空気は重苦しいものになっていた。

 俺は先程の試合で見た吹雪の「エターナルブリザード」が頭から離れず、選手同士で行われる喧騒など全く気にしてはいなかったが。

 

「いい加減にしろ!今、どういう状況に俺達が置かれているかわかっているのか?俺達は()()()()()()負けてしまったんだぞ!」

 

「は?それがなんだってんだよ!このインテリピンクが!」

 

 捻挫野郎が声を荒げる下鶴に罵声を飛ばす。普段は冷静な彼が感情的になった事に驚いた俺は意識を取り戻した。

 

「いいか?この一次選考は5チーム総当たりのリーグ戦で勝ち残れるのは上位2チームなのはわかっているよな?」

 

「…続けてくれ」

 

「仮に全チームが2勝2敗の互角だった場合の勝ち点は6()。つまり、勝ち上がるために目標とするべき勝ち点は6()を上回る7()じゃないといけないんだ」

 

 …なるほど。勝利した場合のポイントは3。負けた場合は0。引き分けの場合は1。なので、最低でも二勝と一分の勝ち点である7()が突破のボーダーラインとなるわけだ。勿論、他のチームの試合で引き分けが多ければ状況は変わるが。

 

「逆に言えばどのチームも二回負けたら絶対に勝ち点7()には届かない。二回負けた時点で敗色が濃厚になるんだよ」

 

 下鶴の言葉により、控え室の空気は最悪なものとなった。脱落を想像した俺の背筋にも冷や汗が滴るのを感じる。その部屋内にいる他の選手も青ざめた顔色をしていた。但し吹雪を除いて、だが。

 

チームZ(俺たち)は既に次負けたら終わりの所まで来てるんだ…。チームの選手内で揉めてる場合じゃない…。皆でどうやって勝つかを考えないとマジで終わるぞ!」

 

「じゃあ、何かいい案でもあんのかよ」

 

「………ある」

 

 捻挫野郎の急かすような質問に下鶴は困った表情を浮かべて深く考え込んだが、数秒も経たないうちに意を決して話し始めた。

 

「…俺は次の試合から吹雪を主軸に置いたフォーメーションで臨むべきだと思う」

 

 下鶴がそう呟いた瞬間、場の雰囲気が凍った。いつも口うるさい捻挫野郎も異論が出ないようで、悔しそうに唇を噛み締めている。恐らく全員が賛成の意を示しているのだろう。理由は明白だ。ストライカーとして試合に出たことがあるものならば、吹雪が放ったシュート技の精度の良さが嫌でも伝わる。他人に有無を言わせぬ説得力がその必殺技にはあった。

 すると、吹雪が意見を発したいようでおもむろに挙手をした。

 

「皆が賛成なら僕はそれで構わないよ。でも一つだけ提案があるんだけどいいかな?」

 

「…何でも言ってくれ」

 

 吹雪が俺の目を見つめてにこりと微笑む。その顔を見た瞬間に俺は吹雪の考えていることを完璧に理解した。

 

「僕がCFのポジションに着くとしたら、萩原君をST()のポジションについてもらいたいんだけど…いいかな?」

 

「俺は構わない」

 

 吹雪の提案に間髪入れずに答える。吹雪は俺に得点の補佐をしろと言っているようなものだ。多少思う所はあるが、セカンドトップにも十分得点の機会はある。決して、吹雪が居るからと妥協せずに自分の出せる全力で取り組もうと俺は心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ※ST:セカンドトップ

 ポジションのイメージとしてはトップ下とセンターフォワードの間。ゲームの流れを見てパスやドリブルでチャンスを作ったり、ゴール前に入って点を取ることが求められます。
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