俺たち300名の中学生FWは寮に向かうという事以外何も伝えられず、バスに乗せられて山を越えた先に、
その建物は真っ黒な長方形で中央部のライン上にはBLUELOCKと書かれていた。
…これが
バスから降りると、ケータイや財布などが全て没収されて、一人ずつにボディスーツのようなユニフォームが配布された。俺のユニフォームの腕のあたりにはチームZと書かれた文字の上に300番という謎の番号が印字されていた。
ユニフォームを渡した人の案内に従い、俺はZと書かれた部屋のドアノブに手をかける。ここから始まるのだ、俺の今後のサッカー人生を大きく左右する生活が。緊張が体に走るが、意を決して部屋に入った。
そこには俺を含めて12名の中学生がロッカーしか置かれていない部屋に集まっていた。
「お、萩原じゃねぇか!あの時はどうしたんだよ。いきなり様子がおかしくなって…体調とか大丈夫か?」
「あ〜悪い、あの時は余りにも展開が早過ぎてパニクっちまった」
部屋で寝転んでいた中谷が俺の姿を見て起き上がり、心配するような声をあげる。中谷には悪いことをしてしまった。素直に謝罪する。
辺りを見渡すと、眼帯とともに抗議の声を上げていたドレッドヘアの目つきの悪い少年、銀色の髪で、タレ目の灰色の瞳をしている首にマフラーを巻いた優しそうな風貌の少年とピンク色の後ろ髪が外側にカールした髪型の知的な印象を受ける中性的な容姿の少年が特に目に入った。
よく見ると、中谷を含めたその部屋にいる全ての人の腕に番号が印字されていた。
配布されたユニフォームの袖を通す。突然、部屋にあったモニターに絵心の顔が映し出された。その場にいた全員がモニターを食い入るように見つめる。
「やぁやぁ、着替えは終わりましたか、才能の原石共よ…」
相変わらずモニター越しでも印象的なギョロギョロとした大きい目をした彼が抑揚のない声で話を始める。
「今、同じ部屋にいるメンバーはルームメイトであり、高め合うライバルだ。お前らの能力はこれの独断と偏見で数値化されランキングされている。ユニフォームに示される数字がそれだ。300人中、何位かが一目でわかるようになってる」
ということは俺の順位はこの300人の中でもビリということだ。妥当な順位だろう。俺が部活を辞めて惰性的に練習をこなしていた間にその何倍も過酷な練習を重ねてきた人達に勝るわけがない。
今の状況で落ち込んでなどいられない。そんな逆境も乗り越える気概を見せなければ、豪炎寺修也に勝てるわけがないのだ。
「そのランキングは日々変動する。そしてランキング上位5名は無条件で、数ヶ月後に行われる大会。FFIのFW登録選手とする」
「ちなみに…
辺りが一気に響めきだすが、一度この監獄に入ると誓った以上もう戻ることはできない。俺にとっては本当にこれが一生で最後のチャンスなのだ。絵心が話を続ける。
「ここで勝ち上がるために必要なのは
「……さぁオニごっこの時間だ」
絵心がそう発言した瞬間、天井から一つのサッカーボールが降ってくる。
「制限時間は136秒。ボールに当たった奴が
絵心の姿がモニターから消えると、画面には黒髪のいかにも平凡な顔つきの少年の姿が映る………。
「………って、あれ俺じゃん」
そう俺が呟くと、俺の顔を見た周りの奴らが俺から一斉に距離を取り始める。
………どうやら俺の最初の試練となるオニごっこは俺がオニの状態で開始してしまったようだ。