超次元の青い監獄   作:門崎タッタ

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第四話

 

「当たれッ!」

 

「そんなノロマなシュートじゃ当たんねぇよ!」

 

 ()()()()()が開始して60秒経過したが、一向に当たる様子は無い。

 

 俺なりに移動する方向などを予測してシュートを試みたりしたが、彼らは全国の数多の選手の中から才能を認められて選ばれた精鋭達。

 

 俺の所作からシュートの方向を予測する事は容易な様でいとも簡単に躱されてしまう。

 

 当てなきゃ終わるという事実から来る焦りが俺のシュートの精度を下げていく。

 

 すると、俺の目の前で選手同士で衝突が起きる。片方は直ぐに起き上がったが、もう片方は足を捻った様で立ち上がる事ができないようだ。

 

「今だ!そいつに当てろ!萩原ぁ!」

 

 何処からか分からないが、中谷の叫ぶ声が聞こえた。足を捻った彼には申し訳ないがもう時間がない俺にとっては確かにチャンスだ。

 

「ま、待ってくれ!頼む!俺、こんな所で終わりたくねぇよ!さっきお前のシュートを馬鹿にしたの謝るからぁ!」

 

 彼の懇願するような言葉に耳を貸さずにボールを当てようとする。すると俺の脳内に疑問が湧いた。

 

「……これで、こんなんで生き残って、豪炎寺修也に勝てんのか?」

 

 絶対に勝てない。一度妥協を自分に許した人間は自分に貸すハードルが低くなっていく。この場でこいつに当てて()()した勝利を収めた所でこの先、豪炎寺に勝つ事は不可能だろう。

 

「違う…俺は人生を変えに来たんだよ…。この青い監獄(ブルーロック)に…。狙うならこの部屋で一番強い奴(帝国学園のドレッド野郎)だッ!」

 

「俺かよッ…」

 

 俺の言葉を聞いたドレッドヘアーは驚いた表情を浮かべる。直ぐに向き直った俺は先程眼帯と共に行動していた、この部屋で一番ランキングの高い帝国学園のドレッドヘアーの生徒に向かってシュートを放とうとする。

 

「いいね…。君…。君も僕と同じで、この青い監獄(ブルーロック)()()を目指しにやって来たんだね…」

 

 すると、突然マフラーをした銀髪の髪の垂れ目の少年が俺に話しかけてきた。

 

「そうだよね、このまま逃げ回っていたら()()にはなれない。狙うなら一番ランキングが高い人だよね!」

 

 そう言い放つと銀髪の少年は俺からボールを奪い去り、ドレッドヘアーに向かってドリブルを仕掛けた。そのままの勢いでボールをシュートする。

 

「危ねぇ!」

 

 流石は帝国学園のレギュラーFWというべきだろうか。ドレッドヘアーの少年は銀髪の少年が放ったシュートをギリギリで躱した。

 

 ボールが俺の元に跳ね返ってくる。時間はもう数秒しか残されていない。このボールを見逃せば、俺は生き残る事ができるだろう。

 

「ビンゴ!」

 

 ……しかし俺は迷う事なく、ドレッドヘアーに向けてシュートを打った。銀髪の少年の声が耳に聞こえる。ボールはドレッドヘアーの腹を直撃した。

 

 その瞬間、モニターには0の数字が映し出される。その後に寺門大貴(じもんだいき)という名と共にloseという文字が表示された。

 

「ッざっけんな!テメェ!!」

 

 ドレッドヘアーが俺の胸倉を掴み、拳を奮おうとする。その瞬間、モニターには絵心が映し出された。

 

 ドレッドヘアーが、俺から手を離す。それを確認した絵心は何やら語りだしたが、その内容が俺の耳に届く事は無かった。

 

「……本当に…何やってんだッ俺ぇ……」

 

 あの銀髪の少年が俺からボールを奪い取る時、俺は意地でも奪われてはならなかった。あの場面は、俺自身の力だけでドレッドヘアーにシュートを当てなければならなかったのだ。

 

 俺は銀髪の少年の掌の上で転がされていたに過ぎない。銀髪の少年が口ずさんだ()()というものに彼がなるために俺は利用されていたに過ぎないのだ。

 

「このオニごっこにおけるオニはボールを持ち続けることで()()にもなり得るが、誰かに当てることで自らが()()になる事ができる有権者だ」

 

「ストライカーとはその全責任を負い、最後の1秒まで戦う人間のことですよ」

 

「倒れた奴ではなく自分よりランキングが上の奴を倒そうとした萩原走(はぎわらかける)

 

「そこからボールを奪い一番強い寺門大貴(じもんだいき)を倒そうとした吹雪士郎(ふぶきしろう)

 

 あの銀髪の少年は吹雪士郎という名なのかとぼんやりとした頭で思う。

 

「それこそが集団の常識に左右されない己のためだけの勝利の執念であり……俺が求めるストライカーのエゴイズムだ」

 

 絵心はそう俺達のことを総評したが、俺自身は何もなし得ることは出来なかった。

 

 強い後悔と悔しさを胸に俺の始めの試練であるオニごっこは終了したのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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