超次元の青い監獄   作:門崎タッタ

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第七話

「いたのか…吹雪……」

 

「自主練なら僕も付き合うよ、萩原くん」

 

 吹雪の言葉は此方としてはかなりありがたい。これは部屋の連中との差を少しでも埋めるための練習だ。部屋のトップランキングの吹雪と練習する事によって学べる事もあるだろう。

 

「それじゃあ、言葉に甘えて……よろしく頼む」

 

「練習するのは1on1でいいよね」

 

 吹雪の提案を断る理由もないので肯定の意味を込めて肯く。フィールドに移動した後にお互いに準備運動をした。

 

「なぁ、吹雪。練習する前に一つ聞いていいか?」

 

「ん?なんだい?」

 

()()()()()の時にお前、俺からボール奪ったじゃん。その時に俺も完璧を目指している…だとか何とか言ってたけど……。何でそう思ったんだ?」

 

「……うーん…。もしも僕の中にもう一人の人格があって、()()()が[萩原って奴もお前と同族だ]って言ったから…って言ったら萩原君は信じる?」

 

 吹雪は茶化す様に俺に対してそう言った。確かに吹雪の言っていることは現実離れしている。しかし、どうしても吹雪がした話が俺をからかうための嘘だと思えなかった。

 

「…俺は吹雪の言っていること信じるよ」

 

「どうして?僕自身も随分と突拍子のない話だと思うけど…」

 

「…なんつーか、お前には発言が嘘じゃないって思わせる()()みたいのがあるんだよ。確かに突拍子の無い話だと思うけど…俺は信じる」

 

 俺がそう言い切ると、俺の言葉を聞いた吹雪は驚いた様に目を見開いた。しかし、その表情を浮かべたのはほんの一瞬だけで吹雪は直ぐに腹を抱えて笑い出した。

 

「おい、どうしたんだよ。いきなり笑い出して、そんな面白い事言ってないだろ」

 

「ごめん、ごめん。……ありがとう萩原君。君のその言葉を聞いただけで僕は青い監獄(ここ)に来て良かったって心から思えたよ」

 

 吹雪は屈託のない笑顔を俺に対して向けた。

 

 なんなんだよ、吹雪士郎という人間は。サッカーめっちゃ上手いけど、言ってる事は突拍子も無いし、行動がめちゃくちゃだし…。

 

 ………でも、吹雪(コイツ)は俺に勇気をくれる。

 

「どうやら、やる気満々みたいだね。有益な時間だったから名残惜しい気持ちもあるけど……そろそろ話すのは終わりにして練習しようか」

 

「ああ、そうだな」

 

 吹雪と話す事で初心を取り戻すことができた様な気がする。吹雪のような技術が直ぐに身につくわけでもない。焦らずに一歩ずつ進んで行こう。

 

「絶対、生き残ってやる…‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 …吹雪との1on1は夜が完全に明けるまで続いたが、この練習により自分の成長の兆しがあることを確かに俺は感じていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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