とあるオタク女の受難(刃牙シリーズ編)。   作:SUN'S

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第2話

∈月≦日

 

私は会社の同僚が暮らすマンションへ避難している。もう、あんな訳の分からない変人の生息する都市部には住みたくない。

 

しかし、不幸中の幸いとはこのことだ。私の同僚は神心会空手の有段者らしい。あの少年や気持ち悪いオッサンを撃退してくれるはずだ。

 

そして、あることに気付いた。

 

わたし、生まれてから男性の部屋に入ったのは初めてなのだ。そんなことを思いながらもキョロキョロと部屋の中を見渡せば胴着や表彰状など様々なモノが無造作に放置されていた。

 

よし、同僚のためにご飯を用意しよう。この部屋には御総菜やコンビニ弁当の空容器しか転がっていない。そうと決まれば買い出しだな。

 

やはり、肉料理を披露すべきなのか?

 

財布と小さく畳んだエコバッグをポケットの中へ入れながら玄関の扉を開けると眼鏡を掛けた愚地独歩が佇んでいた。

 

まだ寝ている同僚の許可も得ずに招き入れるのは勝手すぎるので謝罪しながら後日にしてほしいと頼めば「そいつぁ邪魔したねえ」と陽気な雰囲気で帰ってくれた。

 

やっぱり、都会は怖い場所だ。

 

∈月◎日

 

翌朝、愚地独歩の訪問を伝えれば用意した朝食を吹き出ししそうな勢いで噎せていた。まあ、私も愚地さんの訪問には困惑しているよ。

 

ズズッと味噌汁を啜っている同僚を見ているとアラート音が聴こえてきた。愚地さんかな?なんて考えながらも玄関の扉を開けると少年と小さなお爺さんが立っていた。

 

私は生きてきた中でも最大の速度でベランダの柵を乗り越えて二十四階建てのマンションから飛び降り、僅かな階層違いの段差を使ってマンションの駐輪場へと着地する。

 

うぅ、同僚には悪いけど。

 

女として自分の貞操を死守することを優先するのは当然のことなんだ。

 

そんな言い訳を独り言のように思いながらも職場へ向かっていると高級車に乗って追い掛けてくるお爺さんと少年に泣きたくなった。

 

もう、田舎に帰りたいよぉ…。

 

∈月ξ日

 

もう、自棄酒しようかな。

 

同僚は愚地さんと食事へ行っちゃったし、ポツンと部屋の中に取り残されるのは寂しかったりするんだぞ?なんてことを考えながらもデスクの書類を整理する。

 

たぶん、今日も平穏な一日を過ごすことは出来ないんだろうな。会社の出入り口に、この前の高級車と似てるヤツが停車してるみたいだからね。

 

あの時のお爺さんが訪ねてきたとしか思えない。このまま会社員として勤めることは出来るのだろうか?いろいろとネガティブなことを考えながらもデスクの書類を上司へ提出する。

 

よし、今日はトイレへ引き籠ろう。

 

無駄な努力だと笑いたければ笑えばいいさ。それでも平穏な生活を取り戻すためには女子トイレという強固な城壁に逃げ込むしかないんだよ。

 

トイレへ入ってきた女子社員を捕まえ、へんな集団は帰ったのか?と聞けば今も屈強な男達がトイレの前で待ち構えているそうだ。

 

とりあえず、トイレの窓を開ければ換気扇の出っ張りを摘まんで一つ上の階層へ飛び移るしか逃げる方法はない。上の階層のトイレから顔を出せば誰も通路を歩いていない。

 

そう、誰も通路を歩いていないのだ。

 

更衣室のカバンを回収するのは諦めるべきか?

 

 

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