幼女極東戦記   作:信濃氷海

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夕方ですね。勝ったなガハハ(^ν^)

では、どうぞ


第八話 美味い飯、せこい謀略

統一暦1925年12月6日 正午

陸軍航空士官学校 食堂

 

 

「いやぁ、圧巻でしたなセレブリャコーフ少尉!流石は帝国が誇るエース部隊出身者!うちの馬鹿どもにもいい薬になったでしょう」

 

 先ほどまでの動揺は嘘のように消え、大変上機嫌に副校長が言う。その横で、黙々と食事をしていたターニャたちは、それには答えず食事を見て言う。

 

「……………随分、料理が美味しいですね」

 

 ポツリと、思わずと言った具合で出た言葉に、副校長は一瞬沈黙するが、すぐに笑顔で返す。

 

「これはこれは、ありがとうございます。まぁそれも軍隊の大事な要素ですからな………そう言えば、皇国食は食べた事がお有りでしたか?」

 

 今更な質問である。が、ターニャ、ヴィーシャ共ににこりと頷く。

 

「ええ、着任する際に便乗させていただいた軍艦で、何度か頂いています」

 

「おお!そうでしたか。いやはやお二人ともその流暢な皇国語といい、皇国食への理解といい、素晴らしいものですなぁ」

 

 感服しきったように、副校長が言う。階級ではターニャたちのはるか上、少将であるというのにこの腰の低さ。ターニャは少しばかり呆れてしまった。

 

 ………だが、それにしてもこの男の言う通り、ヴィーシャの皇国語には驚いた。別に習得はゆっくりでいいと言っていたが、何故かみるみるうちに上達し、今ではほとんど支障なく皇国語を操っている。

 

 ………まさか貴重な休暇を、休みもせず語学学習に充てていたのか?!な、何というワーカーホリック………いや確かに、暮らしている以上職務以外でも言葉が話せるのは重要だが、それにしてもこれは…………

 

 流石は我が副官、万事完璧である。ターニャは感服しきってしまった。

 

「………ハクシュ!!うー、またです。最近くしゃみが多いんですよねー」

 

 どんぶり飯を器用にも箸(!)で食べていたヴィーシャが、突然くしゃみをした。大丈夫だろうか?

 

「風邪か?無理するな。………とすると先ほどの模擬戦は悪いことをしたな。別に私が出てもまぁ良かったのだが…………」

 

「いえいえ!大丈夫ですよ少佐!特に体調も悪くはないですし、絶好調ですよ!」

 

 …………まぁ、確かにそんなに食べれれば、なぁ。

 

「ううう、もう一杯、でも……最近食べ過ぎな気がするし………」

 

「……………流石にやめておけ、それ以上は」

 

 だって、四杯目だよそれ?五杯食べるつもりなの?それは、あの……………

 

「ええ…………そ、そんなぁ」

 

 潤んだ目でじっと見てくる。…………くっ、卑怯な!

 

「……………戦場(ライン)では、そんなじゃ無かったろ」

 

「そ、そりゃあ………帝国の食事は…………その…………」

 

 不味いですかそうですか。まぁ仕方あるまい。日本食には勝てんさ………そうでなくても代用品だらけだし。

 

 ………………はぁ、仕方あるまい。

 

「………分かった。だが今はそれで終わりにしておけ。その代わり酒保で何か買ってやるから」

 

 途端に、欠食児童(ヴィーシャ)は目を輝かせた。そ、そんなになるほどか………

 

「はぁ、現金なやつだな。………そういう訳で、副校長閣下。僭越ながらこの後酒保の場所を教えていただきたく」

 

「ええ、無論構いませんよ。何なら私が案内しましょう!」

 

 ええ……………それでいいのか副校長。

 

 

 

 

 

 

 

 

同年同日 同刻

陸軍航空士官学校 食堂

 

 

 ターニャたちが和やかに(?)談笑していた一方で。

 

「……………ぐええ、血の味しかしねぇ」

 

「えれぇ勢いで叩き落とされたもんなぁ…………あ、歯が」

 

「くそぅ…………楽しそうにしやがって。こちとら飯半分だぞ」

 

 別のテーブルでは、先ほど見事にぶっ飛ばされた馬鹿達(魔導師候補生)が、罰として減らされた(なんとか飯抜きは免れた)食事をヒイヒイ言いながら食べていた。

 

 そこへ、もう一人馬鹿が追加される。

 

「…………よぉ、てめぇら」

 

 ターニャに真っ先に噛みつき、呆気なく倒された男である。最後まで粘っていたのも彼だったが………

 

「…………くはははは!イカした顔になったじゃねぇか穴吹!」

 

 穴吹、と呼ばれたその男。見ると、なるほどとんでもないことになっていた。

 

 鼻にガーゼ、頭に包帯、両頬には絆創膏、まぶたは腫れ上がり、おそらくかなり見えづらいだろう。

 

 一見すると、死にかけの重病人にしか見えない。しかも、先ほどまでの反骨心も叩き折られているようだ。

 

「……………ありゃあ、なんだ。上坊のおっさんでもあそこまでやばくねぇぞ」

 

 ぽつりと、穴吹が言う。それに、ヴィーシャの洗礼を受けた面々が苦渋の顔で頷いた。

 

「…………あんな化けモンが、大使館附武官?おいおい、どんだけやべーんだよ帝国ってのは…………」

 

「あの二人いりゃ皇軍壊滅だろ…………なんてもん呼んだんだよ政府のアホは」

 

「あんな幼女いねぇよ…………帝国の作ったロボットじゃないのか?」

 

 散々な言われようである。が、事実ターニャの“制裁”により、彼らの闘志がすっかり消えてしまったのも確かだった。

 

 それを、打破するかのような大声が響いた。

 

「貴様らッッッッッッ!!それでも良いのか腑抜けのタマ無しめッッッッ!!あんな小娘どもに侮られたままでは、皇国男子末代までの大恥ぞッッッッ!!この溢れ出る皇国魂さえあれば、必ずや打ち勝てるのだッッッッッッ!!」

 

 立ち上がり、眦を上げ叱咤激励する一人の学生。だが、それを見る目は冷ややかだった。

 

「なーに言ってんだこのアホは。訳のわからん精神論抜かすな黙ってろ」

 

「いの一番に堕とされた間抜けが、よくもまぁ偉そうに喋れんな。ぶち殺すぞ」

 

 罵詈雑言の集中砲火。しかし彼は構わず続ける。

 

「黙れッッッッッ!!この敗北主義者どもッッッッ!!フフフだが諸君、まだ間に合うぞ?皇国魂を汚さずに済む方法が、まだ一つだけ!!」

 

 されど仲間達は取り合わず、食器を片付け始めてしまった。が

 

「いいのか?!このまま負けたままで!!俺は知っているぞ、あの小娘を打ち倒す唯一の方法を!!」

 

 ぴくり、と馬鹿達の耳が動いた。……………本当か?

 

 風向きが変わったことを悟った扇動者は、ニヤリと勝者の笑みを浮かべる。

 

「…………ここは、場所が悪い。河岸を変えようじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

同年同日 午後

陸軍航空士官学校 練兵場脇

 

 

「……………それで?言ってもらうじゃねぇか。有るんだろ?上手い作戦とやらが」

 

 誰もいない練兵場。その影で、コソコソと怪しげな男達が密談をしていた。

 

「ああ、無論さ。………戦術の基本だ、何も正面から馬鹿正直に突っ込む必要なぞないのさ」

 

「…………!まさか」

 

「ああ…………………側面への奇襲こそ、最適解だ」

 

 

 

 

 

 …………………………それから数時間後

 

 

 

 

 

「うーむ、まさかとは思ったが、本当に我々も寮で寝る羽目になるとは」

 

「幼年学校を思い出します!」

 

 確かに、帝国を思い出す………この皇国陸軍は、基本的に帝国の軍制度を模範としているため、寮の作りといい、いろいろ帝国に似ているのだ。

 

 まぁ、ターニャにとってはだからなんだ程度の思いしかないが、ヴィーシャにとっては感慨深いものがあるのだろう。

 

「では消灯するぞ」

 

「はーい」

 

 二人部屋である。副校長から平謝りされたが、別にターニャもヴィーシャも特に不満はなかった。たとえ二人部屋だったとしても、帝国時代よりはるかに上等な環境な訳であるし…………………

 

 そして、二人は就寝する。

 

 

 

 …………………………………

 

 ………………………

 

 ……………

 

 ……

 

「………おい、本当に大丈夫なんだろうな?!」

 

「何ィ?!貴様この期に及んで何を言うか!!」

 

「だ、だって…………これ、明らかにダメな奴だろ!!」

 

 天井裏を、ひそひそ声でうろつく複数の影。無論、例の馬鹿達である。正確には、その中でも特に選抜された少数のエリート(クソ馬鹿)達であるが。彼ら以外の者は、バックアップのため屋根裏への侵入口を見張っていた。

 

「………いよぉーーし、ここだ」

 

 先頭を突き進んでいた扇動者、坂川智が言った。しかし、この後は一体どうするのだろうか?

 

「お前、まさかここを蹴破ってとか言い出すんじゃねぇだろうな」

 

「何馬鹿なこと言っているんだ。そんな訳ないだろ。……………これを、こうして」

 

 取り出したのは、なんと千枚通し!

 

「…………おいこの馬鹿野郎」

 

「なんだ鼻血野郎」

 

「お前!!こんなもんあってどうすんだよ!!穴でも開ける気か!?」

 

「そうに決まってるだろ!!頭使えアホ!!」

 

「なんだとてめ」

 

 どったんばったんおおさわぎ!………数分後

 

「…………………はぁ、はぁ、こんなくだらねぇことしてる場合じゃねぇぞ」

 

「そりゃ、そうだ……………よし、やるぞ」

 

 そういって、坂川は静かに穴を開ける。嫌な沈黙が続き、全員の脂汗が大変な事になってきた時

 

「…………………っしゃ!開いたぞ!!」

 

 そこから覗き込めば、なるほど確かに。………って

 

「……………これ、犯罪だろ」

 

「何を今更。そもそも俺はあんなクソガキ対象外だ。ただ、ぶちのめすのみ!!」

 

 そう吐き捨て、坂川は宝珠に魔力を込める。憎き幼女を指差し………

 

「ふふふふふ………安心しな、殺しはしねぇ。もっとも、やった事ねぇから加減なんぞ分からんがな!」

 

「ちょ、おま」

 

「死ねェェェェェェェェェッ!!!!」

 

 小規模の貫通術式が、ターニャ達に迫るッッ!どうなるターニャ、どうするターニャ!!

 

 to be continued……………

 




待て次回!!というクソな引きでした。許して土下座

飯は…………少なくとも帝国の飯はヤバいと原作にしょっちゅう出てきますが、じゃあ皇国………というか戦前日本の軍隊ってどうだったんでしょうね?バリエーション豊富で、極めて豊かだったらしいですが。

あと、ヴィーシャ今回こんな感じですが、しかし米は食べれるのか?そりゃ食おうと思えば無理やりにでもいけるだろうけど…………

愉快な馬鹿達も、なんかこんな事になっています。当初はもっと良い感じにする筈だったんですが??あれ??

次話は…………なんか段々固定化されてきたが………………今日の深夜、あるいは明日になってすぐあたり、かな?

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