幼女極東戦記   作:信濃氷海

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セーフ?アウト?ふふふぼくはもうあきらめました。くわしくはあとがきをどうぞ


それでは本編です!


第十二話 思わぬ露呈

統一暦1925年2月6日

皇都東京 上野恩賜公園

 

 この日ターニャは、大使館での報告業務のため皇都へとやって来ていた。

 

 久々の皇都であった。少なくともターニャにとっては、実に約二ヶ月ぶりである。ヴィーシャは何用なのか、ほぼ毎週のように休日になると皇都に出かけていたらしいが…………

 

 報告はすぐに終わり、あっさりと暇になったターニャは、特にする事もなく皇都を歩いていた。……………習慣とは恐ろしいものである。外出のたびにこのふわふわの服を着ていたため、今では特に何も感じない。ターニャはそのことに気づき憮然とした表情で、周囲の景色に八つ当たりする。

 

(………そもそも何だこれは。完全に戦前の大日本帝国ではないか!特にだ!何だこの地名は!!そのまんまじゃないか仕事しろ存在X!!)

 

 コピペもどきで創造主を騙るなどまったくもって片腹痛い。やはりあれは悪魔か何かの出来損ないだろう。けっ

 

 ()()()オリの中をのそのそ動いているパンダをを見つめる。いや、こういう事じゃなくてだな…………小ネタは仕事ではないぞ存在X。

 

 日本っぽいが、どうもターニャの性に合わない。結局彼女は公園を出て、だいぶ早いが次官学校へ帰ろうとした。その時

 

「………………ん?あれは…………ヴィーシャ?」

 

 駅前の人混みの中に、何故かいる自らの副官。いや、今日は休暇だからどこに居ようと勝手なのだが、妙な偶然もあったものだ。ターニャはそのまま彼女に近づき、話しかけようとしたが————————

 

「よぉ、待たせたか」

 

「いえいえ、大丈夫ですよー」

 

 ………………………………………?!?!

 

 とんでもない光景が目に飛び込んでくる。な、なんだこれは………………

 

 私服姿(ターニャが善意(八つ当たり)で買ってあげたやつ。かわいい)のヴィーシャに、丸刈りの小男が話しかけている????

 

 ????????

 

「よーしそんじゃ今日もじゃんじゃんやるぞー!」

 

「おー!!」

 

「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 恥も外聞もかなぐり捨て、ターニャは叫んでいた。それと同時に、ヴィーシャのそばに駆け寄りグイと袖を引っ張る。

 

「何をしているんだヴィーシャ!よりにもよって貴官が!!」

 

「えッ?!しょ、少佐殿、なんでここに…………………」

 

「それはこちらの台詞だ!」

 

 途端にしどろもどろになったヴィーシャと、それを問い詰めるターニャ。その前で、目をまん丸にしていた子男は、やがてクツクツと笑い始めた。

 

「そこのお方、あなたにもご説明願いましょうか。場合によっては小官の権限で……………」

 

「いやぁ、ヴィーシャ。お前さんに妹がいたとはな。………だがあんまり似てないなって言うか、その顔どこかで………?」

 

 はぁ?!トチ狂った事を言い出す小男に、思わず怯むターニャ。そこにズイッと彼は近づく。

 

「まぁいいやはっはっは!いいぞいいぞ、そんじゃ今日は妹ちゃんも一緒にやろうや。なーにすぐに気持ちよくなるさカッカッカ!」

 

 は、はぁぁぁぁぁぁぁ?!人は驚きが過ぎると動きが鈍るらしい。その隙を突かれ、ターニャはそのまま小男に連れられて行った……………

 

 

 

 

 

 

 

 

同年同日

皇都 某所

 

 

「それでは、ごゆっくり……………」

 

 如何わしげな店員が去っていく。ど、どうしてこうなった………………

 

「うわーはっはっは!しかし三人ってのは珍しいなヴィーシャ!」

 

「そ、そうですねー…………」

 

 ターニャは、怪しい机に座らされていた。正方形のその机の上には、これまた珍妙不可思議な四角いサイコロのようなものが無数に置いてある………

 

 そう、ここは

 

「ま、麻雀……………?」

 

 震える声で呟く。と、小男は嬉しそうにニヤリと笑った。

 

「お!やっぱり知ってんじゃねぇか!流石はヴィーシャの妹だ。しかし、腕はどうかな…………………?」

 

 (全く訳のわからないまま)三人麻雀、開局!

 

 

 

 

 ……………………三十分後

 

「ロン、国士無双だ」

 

「は????」

 

 ターニャはボロ勝ちしていた。

 

「くくく…………な、中々やるじゃねぇか。ええ?だがな麻雀ってのはこう、時の運を——————」

 

「ロン!清一色ですよー!」

 

「へあっ?!」

 

 対し小男は、ターニャとヴィーシャからの集中砲火で既に死に体。だが、ターニャにとっては大した感慨もなかった。

 

(……………なんだこれは。ただの運ゲーではないか。こんな不合理の塊にうつつを抜かす輩の気が知れんわ)

 

 ……………あぁ、ヴィーシャ。優秀な部下だと思っていたが、ギャンブル狂だったとは………

 

 今後は付き合いを改めるか………?ターニャは残酷にもそんな事を考えていた。

 

 そして、終局。結果はターニャの圧勝。次点が接戦でヴィーシャ。最下位は小男。彼は現在雀卓につっぷし、白い灰になっていた…………

 

 が、ターニャは手加減などしない。なにせ、ここからが本当の反撃なのだから。

 

「さて、それでは吐いてもらおうか。貴様は我が副官といかなる関係か?…………そしてヴィーシャ。貴官も、よもやこの変人に何か機密を喋ってなどいないだろうな?」

 

「そ、そんな!言ってないですよ少佐殿!!」

 

 知れたことか。ターニャは心中で吐き捨てる。こうなったら外交官権限で尋問…………?しかし、そんな権限は流石に無いか…………ならばこのまま隠密な処分するか?

 

 ターニャの思考がどんどん物騒になっていく。と、灰になっていた小男が不意に立ち上がった。

 

「副官?!少佐?!?!………………あ、そうだ思い出した」

 

「あん?なんだ急に、言っておくが私は貴様が狂人であっても容赦はしない。諦めて全て吐——————」

 

「あんた、まさかこないだ着任した帝国の武官か?!いやぁー写真では見ていたがすっかり忘れていたぜ………………ってことは!」

 

 ヴィーシャを指差す。叫ぶ。

 

「ヴィーシャおまえ!!まさか軍人だったのか!?」

 

 がはは、と実に愉快そうに笑う小男。そして、ひとしきり笑い終わると彼は言った。

 

「…………だとすると、話したいことがある。ちょいと来てくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

同年同日

皇都東京 某所

 

 

 なんでもあそこは、会員制の高級雀荘だったらしい。

 

「元々はあそこの近くのボロ屋でやってたんだがな。しかし環境が良くねぇってんで、あそこ見つけたって訳さ」

 

 “とらや”と印字された羊羹を食いながら、小男は言う。

 

 あの後、三人は小男に連れられ、皇都中心部のとある場所に来ていた。出された紅茶を、若干顔を顰めつつ飲み、ターニャはしかし油断なく彼を見ていた。

 

「……………にわかには信じられませんな。貴方が皇国海軍省次官とは」

 

「うーむよく言われる。だが、さすがにここに来ればさすがに証明になるだろ?」

 

 そういって、彼——海軍次官山野四六中将は笑った。まぁ、それはそうだ。なにせここは、皇国陸軍に並ぶ国防の要、秋津洲皇国海軍省なのだから………

 

「そして、貴殿は帝国大使館附武官ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐でよろしいな?………ヴィーシャはその副官か。ふーむ、覚えておかねばな」

 

「ええ、そうです。しかし……………ここに来るのは初めてですな」

 

「そうだなぁ、何せ()()()()()()()()()()()()からなぁ」

 

 ?!

 

 ぽつりと、にわかには信じがたい事を言う山野。それに対しターニャはキッと反論する。

 

「呼んだ?いえ次官殿、小官の聞く限りでは、皇国海軍からのお招きは現在までありませんでした。それをこちらの落ち度のように仰られるのは心外です」

 

 が、それを静かに見つめ山野は言う。とんでもない事実を………

 

「それはだな、少佐。貴官の反応ではっきりしたが…………

 

 

 

 

 

 意図的に、貴官への情報が遮断されているからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………斯くして、混乱はまた一歩、彼女の元へと近づいてくる。幼女は、それを止められることができるのだろうか…………?

 

 

 

 




山野次官の思わせぶりな言葉!待て次回!という訳です。あ、おそらく次話で第二章完結です。本当は今話の予定だったけど、文字数が嵩んだので………

で、お知らせというか何というか………ついに執筆速度が一定値を割り込んだため、以後は毎日二話投稿になります。おそらく夜0時ごろと、17〜18時あたりの二回になると思われます。もしそれで無理そうなら一話ずつになるかも………

という訳で、次話は明日0時ごろです!まぁ多分ですが………

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