それでは本編スタート!!
統一暦1926年4月30日 午後
皇都東京 国会議事堂
「それでは、時間になりましたので『東南事変対策会議』の方を始めさせて頂きます」
議長たる内閣総理大臣、前田実篤がそう宣言し
会議が、始まった。
「——————今回の件は!実に残念なものでありましたしかし!!これはあくまで条約の範囲内での治安維持行動である!!」
まず口火を切ったのは、陸軍側出席者辻本中佐。開始早々謝罪はおろか言い訳すらもせず、むしろ正しいのはこちらだと言わんばかりに周囲を睥睨した。
そのあんまりな態度に、オブザーバーとして招待されていた。アルビオン連合王国大使ロバート・クレスリー卿は、顔をしかめ苦言を呈した。
「……………それはあまりに野蛮に過ぎると言わざるをえない。友好国の領土を何の断りもなく侵犯し、あまつさえ占領すらしてしまった挙句それを正当化するとは…………」
さらに、それにフィラデルフィア合州国大使ジョージ・グルースもそれに追随。
「これは明らかに国際社会への愚劣な挑戦行為だ。もし、貴国が当件に関し謝罪及び賠償を行い、速やかなる撤兵を行わない場合、我が合州国はあらゆる制裁を検討実施するだろう」
…………が、辻本はあろうことかそれを鼻で笑い、挑発的に言う。
「ハッ!そもそも本件は我が国とフランソワ共和国との間の問題である!貴国らは特別な厚意によって臨席を許されているのだ!無関係な部外者は黙っていてもらいたい!!」
「…………おい、勝手な事ばかり喚くな。それを言うなら事件の当事者たる陸軍にだって発言権はないだろうが」
暴走する辻本に、ついに痺れを切らした山野海軍次官が釘を刺す。それに対し辻本は………
「発言権がない!?何を訳のわからないことを!!我々は皇王陛下の御信任を得ているのですぞ!!それに対し根拠の無い誹謗中傷をする事は、すなわち皇王陛下に対する不敬となりますぞ!!」
バンッッッッッ!!思わず山野は机を叩き立ち上がる。そして目の前の不埒者を凄まじい怒りと共に怒鳴りつけた。
「黙れ下衆!!貴様は自らの見識ではなく、皇王陛下の御名をもってそのような愚策を押し通すつもりかッッ!!そもそも何故中佐の分際の貴様が、各省次官以上の者しか入れない筈の重要会議に顔を並べているのだ!!あまつさえそこでなんの益にもならぬ戯言を垂れ流し続けるとは増長も極まる!!即刻出て行けッッッッ!!!!」
今にも腰の軍刀で斬りかからんばかりの山野の形相に、さしもの辻本も怯んで黙り込む。そもそも彼とて、今回の件はあまりに想定外の事すぎた。それをなんとか軌道修正すべく、こうして田口中将らの尻拭いをする羽目になっていたのだ。にもかかわらず全ての元凶と思われ罵倒されるこの状況…………辻本にとってはあまりに屈辱的であった。
そこに、静かに助け舟を出す陸軍参謀次長、石渡寛二中将。
「………彼の臨席を許したのは私だ。確か一人か二人のオブザーバーを招聘できると聞いていたのでな」
「ほう………そこまで庇い立てするか、この不埒者を!ならばお聞きしよう、参謀本部は、この件に関しそこの男と同じ意見なのか?!」
鋭く、怒りに燃えた瞳が石渡を見つめる。それをしばらく眺めた後、石渡は薄く笑い話しだした。
「………………確かに、彼の主張は
そこで彼は一旦言葉を切り、会議室を見渡してニヤリと笑う。
「この件が、当事者同士の話し合いによってのみ解決される………という点については完全に同意見だ」
どよめく出席者。クレスリーは首をすくめ、グルースは彼を睨み、
「じょ、冗談じゃない!さっきグルース氏が言った通りだ!我が国は賠償と謝罪、即時撤兵以外は認めないぞ!!」
それまで屈辱と怒りで震えていたフランソワ共和国大使、シャルル・アンリはついに声を上げた。………が、それは石渡の思う壺であった。
「ハハハ!何か言いましたかなアンリ閣下…………いえ、アンリ
…………………どよめきが、止まる。彼は、一体何を言っているのか——————
「何故ならば、そもそもフランソワ共和国という国家は、
……………………アンリ大使は何も言わない。いや、何も言えない。何を言ったらいいのか、分からない。
そして、それに追い討ちをかけるように、
彼が、動いた。
「…………………はっはっは、ウィットに富んだ良いジョークですね、石渡閣下」
プルッツェン帝国大使クルト・フォン・オットーその人である。彼は、にこやかに石渡に語りかけ、大仰に語りだす。
「帝国としても、やはり当事者同士の話し合いこそが最も良いと考えます。……………まぁしかし、誠に残念ながら現状では
「いやいや、構いませんよ閣下。それでは代理で閣下が担当者になられてはいかがですかな?」
「いえ………私は流石にこれ以上の兼任は……………申し訳ありませんね」
悪夢を、見ているようだった。そうか、なるほどこれはそういう筋書きか。ターニャは武官として臨席しつつ、この光景をつまらなそうに眺めていた。皇国、帝国両国から完全にコケにされ、しかもどうすることもできないアンリ大使は、今や哀れなほど顔を青ざめ、ただ小刻みに震えるだけの人形と化していた。
他の大使………クレスリーやグルースも、この
すっかり場を支配し、下らぬ
「さてさて、それでは困ったものですな。…………おっと!いやいやいるではないですか!彼女ですよ!!」
石渡が気付き、オットーが成る程とそれに合わせる。
「………彼女、ですか。確かに適任ですね。……………デグレチャフ少佐!どうです?この件の解決を、貴方が担ってみては!」
まるで自分の娘が何か凄い賞でもとったかの如く、オットーは嬉しそうにターニャにそう尋ねてくる。その向こうでは、石渡や、辻本も満足げに彼女の方を見ていて………………
……………さぁ、どうするターニャ!?どうなるターニャ!!
と、その瞬間
「「—————し、失礼いたします!」」
二人の、男が会議室へと入ってきた。彼らはそのまま中へと進み、一人は陸軍大臣らの方、もう一方は海軍大臣の方へと足早に進んでいく。
「……………なに?そうか、分かった。…………山野」
「……………………むぅ」
海相安倍光正は驚いたようにそれを次官へと伝える。他方陸相東城英典は一言うなったのみであった。
……………山野が、それを聞く。刹那
ニヤリと笑い、そして
「…………えー、会議中ではありますが、ここで急報が入りましたためお知らせいたします。————先程、帝国陸軍参謀本部が緊急声明を発表致しました。以下、読み上げます………………
—————“帝国は、いかなる場合においても侵略戦争を断固容認しない。領土獲得の為の利己的な軍事行動に対しては、それがたとえどこであっても厳格な処罰が為されるべきである。又、当事国がそれに応じない場合、国際的な呼び掛けや制裁等も行なっていくべきである”—————
以上です、と山野は静かに腰を下ろした。だがその表情は、勝利を確信した揺るぎないものだった。
…………しかしそれに対して、泡を食ったように陸相東城も立ち上がり言う。
「待ちたまえ!それはあくまで
—————“帝国政府は、本案件を昨年8月締結の名古屋条約の範囲内のものであると認め、事態は秋津洲皇国及び旧フランソワ共和国、すなわち現フランソワ州総督府間の交渉によってのみ解決されるべきものであると考える。暫定的な総督府担当者は全て駐皇国大使館に一任する”—————
………………………会議はさらに、混迷を極めていく。
『黙れ下衆ゥッッ!!(cv若本)』
いいですよね……銀英伝…………すると辻本はラング、石渡はオーベルシュタイン…………??微妙にキャラ違うし、そもそも山野もロイエンタールではないな………………
飛び込んできた二つの急報 しかしその中身はまるで正反対のものであった
謀略吹きすさぶ会議室で、彼女はついに腹を括る
次回、幼女極東戦記 第十八話『ターニャ決断す』
世界の歴史が、また1ページ……………
あ、サブタイは予告なく変更になる可能性がありますご了承下さいませ
次話は、明日の………定刻とだけ言っておこうか………大体17時とか………かな?
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