さらに!今回はついにあの人々が登場しますぞ!!
それでは!どうぞ!!
統一暦1926年4月25日
プルッツェン帝国 帝都ベルン 陸軍参謀本部
「……………まさか、こんな事になるとは」
参謀らでざわめく会議室。そこで、参謀将校エーリッヒ・フォン・レルゲン大佐はそう呟いた。
「…………………それでは緊急の案件だ。速やかに決定するとしよう………………レルゲン大佐が提出してくれた、これだ」
そう言って、議長席に座るクルト・フォン・ルーデルドルフ中将が一枚の紙を机に置いた。
それは、極めて奇妙な代物だった。電報では、ある。だが、その差出人・内容共に不可解極まる。
「…………“秋津洲皇国は、対連邦戦の陽動のためフランソワ共和国領ヴィエットへ侵攻する。その規模は最低でも数個師団規模であり、皇国軍は奇襲占領を成功させた後世界の注目を集め、その隙に連邦を攻撃する考えである”…………さて、さて、さて」
読み上げたルーデルドルフも、動揺を隠せない。そりゃあそうだろう。レルゲンも、自分宛に送られてきたこの電報を見た時、一瞬何がなんだか分からなくなったのだ。
「差出人は……… 出暮谷阿?皇国海軍の少佐だと??レルゲン大佐、君はこの人物を知っているのか?」
「いえ…………小官にもまるで心当たりは………そもそも私に皇国の、しかも海軍軍人の知り合いはおりませんが」
レルゲンの言葉に、場は一層混乱する。ならば、これはなんだ?
「……………悪戯か?」
「いや、それにしては内容が異様すぎる。何よりこんな偽情報を流しても…………」
「とするとこれは真実を?しかし、それこそ何のために?」
喧々轟々と議論を展開する参謀ら。それをしばし聞いていたルーデルドルフは、視線を変え自らの旧友に向けた。
「………ゼートゥーア、貴様はどう考える?」
……………すると、先程から口に手を当て黙り込んでいたハンス・フォン・ゼートゥーア中将はゆっくりと、口を開いた。
「………………この文書そのものが、“陽動”ではあるまい。何の役にも立たんからな」
「………確かに、な。これは平文で回ってきたのだろう?ならばこの出暮少佐なる人物の狙いは内容の拡散…………だが、拡散してどうなる?」
そう、両中将の推測通り、これの内容を世界に知らしめたところで、皇国にとっては何の利益にもならない。
対連邦戦の陽動!この文書を見て安心する連邦人などいないし、共和国人や連合王国人、合州国人とてこのような野蛮極まる物を見せられれば、皇国への警戒を一層強めるだけだろう。
……………故に、彼らは視点を変える。これは、そもそも
「…………皇国と言えば、覚えているか?ルーデルドルフ」
「無論だゼートゥーア。皇国での、観戦武官………………もしや!」
「ああ……………恐らく、な」
約20年前、極東で勃発した『ルーシー・秋津洲戦争』。まだ連邦が“帝国”出会った時代に起きたそれは、範囲・期間・規模いずれも後の“大戦”に比べれば極めて小さいものであったが、その内容は
“大戦の原点”とも呼べるものであった。
果てなき塹壕戦、そして、帝国で生まれ皇国で育てられた、魔導師の効果的運用——————だが、それと並び両中将は、ある事を鮮明に覚えていた。
「………どこの国も、程度の差はあれ陸・海軍の仲は良くない。しかしあの国は、秋津洲皇国は、その中でも飛び抜けている。異常だ、同じ国にもかかわらずあれほどの対立は………………」
そして、それを考えゼートゥーアは言う。この文書は、すなわち
「この内容が真実とすれば、それを立案・実行するのは十中八九陸軍。しかし、海軍はそれを快く思わないのだろう。現に、皇国陸軍と海軍の思想の違いは有名だ」
帝国を範として作られた陸軍と、連合王国を範として創設された海軍。前者は“積極的国防”を掲げ、後者は“
ゼートゥーアの推察は、確かにかなりの説得力を持っていた。で、ならば帝国はどうすべきか……………
「無論、そんなものは決まっている。————我々は、
…………連合王国や、合州国が聞けばとても信じないだろうが、しかしこれが、開戦3年目を迎えようとしている帝国軍にとって、偽りならざる本音であった。
故に、彼らは味方を欲しない。自らの能力への過信ではなく、さらなる泥沼化を望まないから……………
「対連邦戦は、既に最悪の膠着状態…………しかも、ラインの時と異なり
既に一度見ている戦術を馬鹿正直に食らう馬鹿はいない上、東部戦線はあまりに広い。片翼の長さだけでライン戦線を遥かに超えるだろう。そのため、参謀本部の願いはただ一つ、外交的解決。どこかの中立国による停戦仲介である。
………今までは、帝国はそれをイルドア王国に比定していた。が、この3年で分かった、彼らは、
……………そこで、浮上したのが秋津洲皇国。戦場から遠く離れ、現状連邦以外とは領土問題がない唯一の列強。彼らに、まずは連合王国との停戦を頼み、その後連合王国なり合州国なりに対連邦講和を頼む………それこそが、帝国参謀本部が目論む今次大戦の着地点である。
「デグレチャフ少佐の件で、かなり“
………………かくして、彼らの方針は決する。この文書が真実かそうでないかは重要ではない。ただ、そう言う事をしないよう、あまり連合王国や合州国を刺激させないよう、釘を刺すのだ。
「…………まぁ、あくまでこれは
ゼートゥーアの一声で、参謀らは散開していく。その波の中で、レルゲンはふと思い出す。彼女は確か皇国の駐在武官になっていたのだったな、と。
(………………そういえば、先程デグレチャフ少佐の話が出たが……………………………まッ、まさか!!)
不意に、電撃の如き直感で、彼の脳裏にある仮説が浮かぶ。
(………………出暮少佐………………出暮、谷阿少佐………………デグレチャフ・ターニャ?!?!)
慌てて外に出て、タバコを咥える。………多少冷静になった頭で、もう一度考えみる。なるほど、確かにそれだと概ねしっくりくる…………
(……………参謀らは戦争不拡大の原則についてすぐに一致した………彼女も参謀将校だ、同じ考えに至ってもおかしくない…………だが何故、こんな手を使って?)
………………彼がその理由を知り、いよいよこの仮説の真実味を信じるようになるのは
5日後の、事であった。
※
統一暦1926年4月26日
プルッツェン帝国 帝都ベルン 外務省
「………………私は反対致します。それは、それは我が国にとってあまりに悪手ですぞ!」
……………彼は、孤独な戦いをしていた。周囲の者は全て“敵”。いまや、
「…………コンラートさん、私は別に、貴方の賛同を得ようとしているのでは無いんですよ。これは、決定事項だ」
冷たく彼、コンラート参事官を睥睨しそう言い放つ青年、フリードリヒ・フォン・リーベンロップ。ただの平官僚にすぎない彼は、しかし今やこの外務省全てを握る権力者となっていた。
「我が帝国は、友軍を欲している!それは皇帝陛下の思し召しでもあります!ゆえに、今こそ好機!皇国に連邦の背後を蹴飛ばさせるのです!」
「…………その為に、合州国と戦争になっても良いと?」
コンラートの懸念に、しかしリーベンロップはそれを鼻で笑った。
「何を今更。既に敵のようなものでしょう。たとえ交戦しても、常勝無敗たる帝国軍には不可能などありません!!」
……………かくして、彼らの方針は決する。彼らは勝利のみを求める。外交的勝利ではなく、武力による圧倒的勝利を!!故に彼らは欲するのだ。一つでも多くの、
なんと言う皮肉だろう。軍は平和を望み、外務省が戦争を望むとは…………
4日後。二つの声明が、世界を流れる。それがもたらすのは、果たして——————
※
統一暦1926年4月30日 午後
秋津洲皇国 皇都東京 国会議事堂内会議室
二つの相反する知らせ。なるほど一つは予想していたものだ。だが、もう片方は……………
押し黙る。思考する。最適解を導き出す……………
「………………まぁ、外務省の方でしょうな。信ずるべきなのは」
不意に、オットーが言った。そして、強引に先程の頼みを再度言う。
「さて、デグレチャフ少佐。引き受けてくれますな?この件を解決する担当者を!」
その強引さに、海軍側は動揺する。が、オットーは既に勝利を確信し、早々に帰り支度すら始めている…………ターニャに聞いたのも、どうやらあくまで形式的なものに過ぎないらしい。
……………そして、ターニャの口が
開いた
「お断りさせて頂きます」
「……………………………な、に」
幼女の決断。それが、果たしてどのような結果を生むのか。
次回、会議決着。そして、
事件が、起こる
原作キャラ勢揃いの巻〜
コンラートとは誰ぞ?原作キャラ?な方、是非幼女戦記原作小説をお読みくだされ!劇場版後の展開も知れて良い事尽くめですぞ!!(ダイマ)
まぁ簡単に言えば外務省の官僚様です。あ、リーベンロップ氏は原作キャラじゃないですよ。オリキャラです故 念為
最後の最後で幼女決断!果たしてどうなるのか?!
待て次回!!
次話は………今日中に、できたら………………その方向で前向きに検討いたします的な………………
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