感想ももらっちゃったし、執筆ペースも上々だし、このまま頑張るぞー^_^
統一暦1925年8月26日
大西洋上
“鉄の棺桶”は、間も無くインド洋に辿り着こうとしていた。希望峰まであと僅かであり、そこを越えれば…………
「ようやく、峠を越える、な……………」
地獄のような缶詰生活!薄い酸素!日に日に不味くなる食事!
何が酷いって、これがあと二ヶ月近くも続くことだ。最前線だってそこまでの悪条件が続いたりなどしなかった。
駄目押しとばかりに、連日のように襲ってくる連合王国の対潜部隊。そのうちいくつかは、なんとか急速潜航でごまかせたものの……………
「満身創痍、だな。いやはや全く酷いものだ」
幾度爆雷攻撃による浸水があったか!そのせいで今や床はヤバい色と臭いの汚水が薄く広がる有様である。が、先ほども言ったように、インド洋に入りさえすれば多少はマシになる、筈である。
「いくらなんでも、主戦場から遠く離れた場所の哨戒は少ないだろう。連合王国だってそこまでの余裕はないはずだ」
………と、艦長は言っていた。本当かどうかは知らない。誰にも分からない。行ってみなければ………
「ら、ラインの塹壕を思い出しますね…………い、いやでも心なしかもっと酷い気が………」
ターニャ同様に、すっかり参っているヴィーシャが呻く。洗濯はおろか(湿度100%!乾くわけがない)入浴すらも不可能な環境がここまで続けば、いくら百戦錬磨の帝国軍人ですらこうも弱るものなのだ。
「やれやれ、体験してみてわかるが、Uボートの乗組員とは凄まじい人種だな。これを何度も繰り返すとは…………」
と、先ほどから潜航状態だった艦が、少しずつ傾き始める。どうやら浮上するらしい。
「………この時代の潜水艦は、“潜航出来る船”じゃなかったのか。どう考えても潜りっぱなしだぞ」
一人そうごちるターニャ。しかしこれで、少しはマシな空気が吸える。
「——————ふぅーーー!酸素は美味いなヴィーシャ!」
「全くです少佐!」
数分後、穏やかな海上に浮かぶU69の上で、二人は少しの休息を取っていた。その周りでは、乗組員が総出で見張りをしている。そこへ、艦長がハッチから出てきた。
「おや、デグレチャフ少佐、それにセレブリャコーフ少尉。如何ですかな?我が艦の優雅なクルーズは」
出会い頭でいきなりジャブを打ってきやがった………
「ハハハ、それはもう実に満喫していますよ艦長。まったく、ダキアを思い出すなぁ少尉!」
「え、ええ少佐!実にいい旅ですね!」
ダキア。わずか数十分で殲滅され、後に“実弾演習”とまで言われたほどのヌルい戦線。いや、そもそも“線”すら出来ていなかったか?
「「ハハハハハハハハハハハハハハハ………………」」
ターニャと艦長、二人の嫌な笑い声が洋上にこだまする。やがて、双方肩を竦め、苦笑い
「やれやれ、変な事はするもんじゃありませんな」
「全くです。いやはや、この環境で戦果を挙げ続けるUボート部隊は本当に凄いですな」
心からの賛辞。だが、艦長にとっては特になんの感慨もないらしい。
「凄い、ですか………私としてはとっととこんな仕事辞めて早く商船に戻りたいですよ」
「おや、もともとは軍人ではなく?」
「ええ、随分前に軍を辞めたはずが、戦争で召集されこんな目にあっていますよ………もう、開戦のときの乗組員はほとんど残っていませんから」
そりゃあそうだろう。ターニャも、日に日にUボートの総数が減っていくのは知っていたし、前世の知識もあり潜水艦勤務が地獄であると言うのも知ってはいた。実際はさらに酷いドン底だったが………
「…………そう言えば、皇国に着いてからはどうされるので?……まさかまたこの道を帰るので?」
それだったら、私なら亡命してやるな、とターニャは半ば本気で思ったが………
「いえ、そもそも我が艦の役目はインド洋までですので」
「………?」
「ハハハ、まぁ無事に着けば分かりますよ」
※
同年9月10日
インド洋上
酷い霧だった。浮上しても、あたり一面真っ白で、視界など無いに等しい。
「…………何故ここに浮上を?しかも停止したまま」
見つかれば最後、爆雷の餌食になるのは想像に難く無い。いや、それどころか機銃で蜂の巣だろう。潜水艦の装甲は、それほどまでに薄いのだ。
「まぁ、見ていればわかりますよ。…………ホラ、来た」
横にいる艦長は、薄く笑いつつタバコを吸っていた。はぐらかすようなその言動に、ターニャが文句を言おうとした
その時
ボォーーーーーー
低い唸り声が、響き渡った。霧笛だ。しかし、この艦では無い。
「頼むからぶつけるなよ………こっちは木っ端微塵だぞ………」
艦長が、なにやらとんでもないことを言っている。ぶつける?なにが?しかも、木っ端微塵??
「………………………………まさか」
不意に、深い霧の中から、巨大なナニかが姿を見せた。輪郭がぼやけ、シルエットのようではあるが………あれは……………
「「せ、戦艦?!」」
ターニャとヴィーシャの声がハモる。それを聞き、それを見て艦長が薄く笑った。
「成る程………流石は世界第3位の海軍大国だ」
しかも、その姿を、ターニャは知っていた。今世では無い。前世で、確か……………
やがて、U69の側にゆっくりと停泊した戦艦から、一隻の
「さーて、ここで乗り換えです。次は、あちらに」
ここで、何故艦長がターニャ達に荷物を全て持って来させていたのかが分かった。しかし良かった……まさか
「あ!少佐見てください!あの旗!」
ヴィーシャの声に促され、戦艦と内火艇にかかげられた旗を見る。やれやれ、日章旗か……同じじゃないか適当だな存在X……………
はためく日章旗とともに、やがて内火艇がU69に接舷する。
「ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐殿と、ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ少尉殿ですね!本船までご案内致します!ささ、どうぞ中へ!」
やけにハキハキした皇国軍人に誘導され、内火艇へと乗り込むターニャ達。そこへ、レマーン艦長が声を掛けた。
「では、行ってらっしゃい。またいずれ会いましょう」
クマの消えない疲れ切った顔で、しかしニヤリと笑い彼はそう言った。
「ええ、またいずれ」
「ありがとうございました!」
ターニャとヴィーシャ、それぞれが言葉を返し、ここで
U69より、下船完了。
「ふぅ………長かったな」
「ええ……長かったですね」
内火艇で、溜息とともに呟く。それを、同情のこもった目で案内の士官が見ていた。
「………いやはや、お疲れ様でした。潜水艦はひどいでしょう。ですが水上艦はいいですよ!」
「………そりゃあ、そうだろう。だが……………アレが、帝国さ」
「?はい?」
なんでもないさ、とターニャははぐらかす。それにしても、流石に酷い状態だ。
戦艦についたら、まずは風呂だな………うん?しかし入れるのか……………?
そして、ついに舞台は極東へと移っていく
※
同年同日
インド洋上
「いやぁ、ようこそ我が『伊勢』へ!皇国は貴殿らを歓迎致しますぞ!」
戦艦に降り立ったターニャ達は、そこで艦長らの幕僚より歓迎の言葉をかけられていた。が
「……………念のため申しておきますと、小官はれっきとした帝国軍人であります。あくまで念のため、でありますが」
「いっ!?いやいやそんなこと百も承知だとも!さぁさぁそれより歓迎の食事を用意………いやそれよりアレだな。本艦には良質な風呂も完備されておりますので、そちらに是非どうぞ!」
遠回しに不潔だと言われるが、憮然とするのみで特になんの反応もしない。まったく、感情のコントロールも出来んとは!
西洋人として転生してみて分かったが、成る程確かに東洋人の薄ら笑いはシャクに触る。やれやれ、思ったほど楽なわけではないか………
まぁ、平和であるだけマシか。
………………その後は、毎食のフルコース、演習の見学、士官との懇談等々で時間を潰す日々だ。
「いやいや、素晴らしい!最高の生活だ!」
望みの生活を手にしたターニャは毎日浮かれ状態。しかもあらゆることをそつなくこなし、さらに皇国語も流暢に扱うため次第に畏敬の目を向けられつつあった。一方ヴィーシャは……………
「あ、それロンです」
「ファッ?!」
「あ、役満です」
「(死)」
特にホームシックにもなることなく、皇国の士官相手に賭博で無双。一気に成金になっていた…………
そして、ブレスト出航から約三ヶ月後、ついに、幼女は秋津洲皇国へと降り立ったのである………
今回は変更点は特にありませんって言うか、ほぼ全部オリジナルストーリーですね
ターニャ氏は勘違いしていますが、旧軍の場合軍艦に掲揚するのは日章旗ではなく旭日旗ですね。まぁそこは別の世界だということで……
ちなみに、ターニャが言及している映画『Uボート』ですが、Amazonプライムビデオで視聴可能です!3時間半とかいう超絶長い映画ですが、しかし名作であることに変わりはないので皆さんも是非!!
↑ダイマ過ぎてアウトとか注意されたら消します念為
それはそうと、極東戦記とか言っておいて着いたの今話の最後!うーん構成ががががが
定期投稿の時間調査(投稿してほしい時間に投票してね)
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00時00分(夜中)
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12時00分(昼)
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19時00分
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その他の時間
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何時でもいい