幼女極東戦記   作:信濃氷海

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良いペースですな………昔を思い出す……………

それでは本編でーす!


第二十六話 先制パンチに酔いながら

統一暦1926年12月8日 

東太平洋 伊第二十六潜水艦

 

 

「乾杯!乾杯!!乾杯!!!」

 

「おい、ビール足りんぞもっと持ってこい!!」

 

「そこでしこたま貫通術式をぶち込んでから、近づいた。分隊全員で爆裂術式を投げ込みながら見ていたら、突然ドバァァァァァァンッと金門橋が吹き飛んだ!!ああ〜〜たまらねえぜ!!」

 

「この短時間でここまで破壊蹂躙できる攻撃力。まったく、魔導師は最高だぜ!!」

 

 …………艦内は、控えめに言ってどんちゃん騒ぎであった。艦の乗組員と、攻撃隊の魔導師たちが一緒になり、しこたま酒を浴び、たらふく飯を喰らう。艦に帰投してから数時間以上経つが、その熱気は収まるどころかさらにヒートアップしてきていた。

 

「………ふぅ、まったく、軍人なぞどこの国も変わらんな」

 

 ポツリと、寝台に座りターニャは呟く。彼女は宴が始まってすぐにそこを辞し、自室———ありがたいことに(ヴィーシャと二人ではあるが)個室を貰い受けていた!———に戻っていた。

 

 上官がいては気を抜かないだろう……………というのもまぁあるが、そもそもターニャは酒を飲まないのでまるで居る意味がない。そのため料理長に淹れて貰ったコーヒーを、自前の水筒に詰め、一人自室でちびちびと飲む。やれやれ、しかしながら、それにしても………………

 

「………………そもそも、どうして私がここに…………………………?」

 

 渋面でそう絞り出し、ターニャは追憶する。()()が狂ってしまった、あの日の事を…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

統一暦1926年11月6日

皇都東京 海軍省

 

 

「何故————何故私が!!」

 

 幼女は叫んだ。その声は悲痛に溢れ、その場にいた者は皆直視できずに顔を背けた。

 

 だが………………

 

「みじめになるのもわかる。だが軍人だろ?現実を受け止めろ!」

 

 容赦なく、山野は告げる———————

 

 

 

 

「何度も言うが、貴官は本日付で『帝国義勇兵』隊長として秋津洲皇国軍の指揮下に入る。これは、決定事項だ」

 

「何故?!?!」

 

 あり得ない…………そんなバカな事があって良いものか……………ッ!!だが、すぐにハッとして反駁した。

 

「拒否します!小官は帝国軍人であり、それ以外からのいかなる命令も受ける義務は有りま————「他ならぬその帝国が、そう言ってきているのだ」———な、何故………………」

 

 遮るように言われたその言葉に、今度こそターニャは絶句した。な、なんでやねん…………前と言ってること違うやんけ…………………

 

「あー、本来ならばこれはオットー大使から告げられるべきなのだが…………困った事に彼は貴様の顔を見る事すら拒否してきて………というか、例の会議以降公の場に出るのを断固拒絶していてな。その為、異例ではあるが俺が伝えているんだが……………おい、大丈夫か」

 

 全く大丈夫ではありません!とターニャは思わず答えそうになったが、辛うじて堪える。しかし、何故私が皇国軍に加わらねばならんのだ!!

 

 確かに、“戦争が起きる事”は容認した。が、それは“ターニャが戦争に赴く”という事を全く意味しない!皇国が負けないよう裏でこそこそ工作したり、いざ負けそうになったら一人で山奥なりに“疎開”してやり過ごそうとしていたのに……………

 

 ど、どうしてこうなった……………………

 

「………………そもそも!!」

 

「うわっ!なんだいきなりどうした!!」

 

 急な大声で、山野が驚いているが知った事ではない。それより…………

 

「それは!参謀本部からの命令ですか!?もし、そうで無いのならば小官に従う義務は———「あー、帝国最高統帥会議名で出されてる」————………………ああ、そうですか……………」

 

 参謀本部すらも通り越しての最上層部からの命令!!これで、ターニャは完全に退路を絶たれた……………

 

「と、言う訳で………忌々しいながらも戦争が決定しちまったんでな、貴様にも色々やって貰うぞ。せっかく使えるライン戦線の大エースを遊ばせておく余裕なんざ、貧乏皇国には無いからな」

 

「………………ええ、しかし、一つだけお願いが」

 

 よろしい、ならば

 

「?なんだ、今度は」

 

「はい…………作戦について、この際()()申し上げておきたい事がありまして……………………」

 

 

 

 

 —————————即座に、終わらせてやるわ!!ターニャは、そう心の中で吠えた。今度こそ、勝ち戦のまま短期決戦を!!

 

 

 

 ついでに、腐れ存在Xに死を!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

統一暦1926年11月1日

プルッツェン帝国 参謀本部 会議室

 

 

「ですので、もはやこうなった以上我々も動くべきと考えます!」

 

 静まり返った会議室。その中心で、一人熱弁を振るう()()()。彼の言う内容は、しかし半年前であれば一蹴されていたであろうものであった。

 

 即ち

 

 

「………………皇国との同盟と、合州国への宣戦布告、か。だが、それは………」

 

 参謀の一人が、困惑したように呟く。それに続くように、ポツポツと反論的意見が出る。

 

「………これ以上敵を増やしてどうするんだ」

 

「しかも、味方も増える、と言っても遠すぎて何の役にも立たんぞ」

 

「これで完全な二正面になれば…………」

 

 ……………が、半年前と違い、それらの声は参謀らの中でかなり少数となっていた。それを目敏く察した新外務大臣、フリードリヒ・フォン・リーベンロップはここぞとばかりに述べ立てた。

 

「ハッ!貴方がたは軍人であるにも関わらず、気付いておられないのか?既に合州国は参戦しているではありませんか!!していないと言うのであれば何故!彼らは連邦で戦争行動をしているのですか!?義勇兵などと偽っていても、アレらが正真正銘の合州国軍であることはもはや自明の理!さぁ、決めなさい!!馬鹿正直に彼らの背信を見過ごし、背後から蹴飛ばされるのを待つか、それともこちらから“予防”するか!!」

 

 会議室に響く声。それは、参謀らを誘う悪魔のささやかであった。そして、半年間の情勢の変化は、彼らの“理性”を少しずつ、少しずつ奪っていた……

 

 そして、

 

「…………………いいだろう。味方は、多い方が良いしな」

 

 ————————一人の将軍により、傷だらけの均衡が

 

  

 

 崩れた。

 

 

 

 

 

「?!血迷ったかルーデルドルフ!!そんな事をすれば、ライヒは———」

 

「黙れゼートゥーア!!貴様は何も分かっていない、ここで皇国を味方にできれば、連邦は確実に滅ぼせる!!そうなれば、後は死に体の連合王国のみだ。それに、合州国風情が加わったところで、ライヒは倒せん!!」

 

 ……………毒だ、これは。ゼートゥーアは咄嗟にそう思った。()()()()()()が、彼らを蝕んでいる……………

 

 だが、違うのだ。あの勝利は、仮初にしか過ぎないと言うのに…………!

 

 が、多勢に無勢。ゼートゥーアの反論むなしく、参謀本部はついに誘惑の手をとった。

 

 とって、しまった。

 

「では、既に皇帝陛下及び各省庁の賛同も得ております故、これより皇国との同盟締結並びに対合州国宣戦布告についても、万事行っておきますので、ご安心して皆様は……………ライヒに勝利を、もたらして下さいまし」

 

 そう言って、“悪魔”は去っていった。これで勝ったと、一安心するルーデルドルフ以下参謀らを、静かに見つめゼートゥーアはそこを去る。

 

「…………やらねば、ならぬか。—————嗚呼、友よ」

 

 …………そこへ、追いかけてくる人影が。

 

「閣下!ルーデルドルフ閣下よりこれを」

 

「……ああ、レルゲン大佐、御苦労。………デグレチャフ少佐を?帝国義勇兵に、か……………良いのではないかね?好きにしたまえ」

 

 その、あまりに投げやりな返答に、思わずレルゲンは尋ねた。

 

「…………閣下は、反対なのですか?」

 

 すると、彼はしばし無言になった後、ポツリと一言のみ、告げた。

 

「……………………………………雪が、な」

 

「はっ?ゆ、雪、ですか…………………?」

 

 だが、それ以上は何も言わず、ゼートゥーアは歩き去る。そして、再び一人呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「……………私は、やらねばならぬ。—————最良の、“ライヒの店仕舞い”を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

統一暦1926年12月8日 深夜

太平洋 伊第二十六潜水艦

 

 

 暗い波濤を掻き分け、潜水艦は進む。未だ艦内では、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎの真っ最中。その音をBGM代わりに、ターニャは未だ考えている。

 

 場所も変わり、服装も帝国陸軍服から、皇国海軍の第三種軍装に変われども、彼女の本質は参謀将校だった。

 

(……………これで、初撃は成功した。西海岸の主要海軍基地はあらかた屠り、都市の象徴を破壊する事で心理的ダメージも与えた)

 

 唯一気掛かりなのが宣戦布告だが……………あれほど口を酸っぱくして説いて回ったのだ。今の所は、大丈夫だったと信じるほかあるまい。

 

 ……………と、すると後は

 

「…………外交交渉だ。ヤンキーどもめ、まさかこれで戦意が上がるなんて事は、あるまいな………………」

 

 こういう時、前世の知識は不要に感じるな…………………

 

 まぁ、どうなってもラインの地獄に比べればマシだろうよ。今はそう考えるしかないし、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、しかし少なくとも、今この瞬間は

 

 

 

 

 世界はターニャ達の、掌の上だった。

 

 

 

 

 

 

 




宴だあ〜〜〜〜〜〜!!(ル○ィ並感)

先制アッパーカットで見事巨人はノックダウン状態!!さぁしかし、小人にとってはここからが本番!!でも本当に大丈夫なんだろうか?!

ターニャの、第三種軍装姿は多分神。ヴィーシャ??だめしげきがつよすぎる

次回は、もしかしたら第四章終わりかも。内容?皇都の山野あたり??

で、それの投稿時間は…………今日の25時までには…………多分………

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