幼女極東戦記   作:信濃氷海

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宣言通りですねこれは間違いない。だってまだ30日の24時すぎくらいだし。セーーフ!!

そいじゃ本編どぞどぞ(献上)


第二十七話 作戦、完遂 〜そして講和へ〜

統一暦1926年12月15日 夜

皇都東京 山野邸

 

 

「いやぁ、めでたいめでたい。よーくやってくれたよ、まったく……………」

 

 山野四六は、感無量とばかりにゆっくりと、何度もそう言った。それを見て、将棋盤の対面にいた堀内が苦笑する。

 

「あれだけ戦争には反対したのに、か?」

 

「なーに言ってる堀内、確かに俺ぁ戦争なんざ断固反対だったがな、しかし最早始まってしまった以上、部下の大戦果を喜ぶのは当然のことだろ?」

 

 ………確かに、()()()()大戦果だった。恐らく、この数日はどんな主義主張を持つ者すらも、皆熱狂していたであろう。

 

「………しかし、あれだけの戦果一体何をどうすれば得れるんだ?」

 

 堀内が、開戦以降抱えていた疑問を問う。が、山野はゲラゲラと笑ってそれを否定した。

 

「はっはっは!そうかそうか知りたいかぁぁぁ?……………いよぉーし、そんなら教えてやろう。だが機密だから漏らすなよ?」

 

 山野が語る世紀の大軍事作戦、『東方作戦』。その全貌が、今明かされる———————

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそもこの作戦は、そのほぼ全てがたった()()により立案されたものであった。三人—————山野四六海軍大臣、石渡寛二予備役中将、そして海軍の秘蔵っ子出暮谷阿大佐(ターニャ)————は、さる6月のとある日に出会った。合州国の無理難題に悩み合う彼等は瞬く間に意気投合し、万が一の時に備え対合州国戦争の計画を練り始めた……………

 

 というカバーストーリー(嘘八百)は置いておくが…………しかし、この作戦が彼等三人を中心に作られた物である事は確かである。そして、その更に中心にいたのが

 

 ターニャであった。彼女は、何としても“負けない”ようにするための大前提として、“短期決戦”を要求。奇襲的に敵の主要拠点を狩り落とし、()()()()熱意のない合州国民らに「戦争はもう止めろ」と言わせさえすれば、そこで皇国は“勝利”を得る。

 

 故に編み出した奇天烈な作戦こそが、『東方作戦』。ではその中身は?

 

「東方作戦の中には、大きく分けて三つの作戦が内包されていて、それぞれ『ハワイ作戦』、『西岸作戦』、『比島作戦』と名付けられている訳だが…………」

 

 順に見ていこう。まず、『ハワイ作戦』———————

 

 これは、合州国のアジア進出の象徴たるハワイ諸島を襲撃・占領することで、合州国戦意を奪い去る為に立案された物である。原型は、山野が提案した物であったが、しかしこれにターニャがいくつかの修正を施した。

 

 結果的に実施されたのがこう。

 

①皇国保有の全正規空母(6隻)を基幹とする機動部隊を編成。それを、ハワイ諸島北側から接近させ、艦載機により空襲。

 

②同時にハワイ諸島周辺にばら撒かれた潜水艦10隻より陸戦隊の魔導師部隊が出撃、一部の港湾施設を破壊・強行占領し、橋頭堡を築く。

 

③空襲開始後の隙をついて、巡洋戦艦4隻を基幹とする高速部隊が真珠湾に突入。そこから陸戦隊5000名を揚陸し、オアフ島を占領。

 

④更に機動部隊も諸島へ接近し、陸戦隊3000名を揚陸。その上で艦載機により他の島への攻撃を行い、ハワイ諸島を完全制圧。

 

⑤マーシャル諸島より連合艦隊主力がハワイ諸島に到達。港湾の応急修理を施した上停泊

 

 …………この作戦は概ね成功した。合州国側は太平洋艦隊の全ての戦艦を撃沈か、鹵獲されるかで喪失し、又空母も太平洋方面に配備していた2隻の正規空母の内一隻を損傷の上鹵獲されるなど、凄まじい損害を受けた。それだけではない。皇国は鉄壁不落と呼ばれたオアフ要塞を撃破し、ハワイ諸島全土を制圧してしまったのだ。

 

 だが、皇国も無損害とはいかなかった。機動部隊は、全艦載機の内25%近くを喪失。高速部隊も、制圧の遅れた要塞の16インチ砲により巡洋戦艦1隻を喪失し、2隻に小さくない損傷を受けた。又陸戦隊は、上陸した8000名のうち実に4000近くを失うという大損害を出してしまった。

 

 まぁしかし、損害の多さはそもそも分かっていたことであるし、それを差し引いてもハワイ諸島を占領したというメリットは巨大なものであった。合州国側に残るたった一隻の正規空母エンタープライズは、哀れな事にミッドウェー島に取り残され、身動きが取れなくなっていた。それを加味すると、最早合州国が太平洋で動かせる艦隊は完全消滅したと言っていいだろう。

 

 次、『西岸作戦』————————

 

 これは、ハワイ攻略だけでは足りぬとまたもターニャが主張し、魔導師という切り札で合州国に情け容赦の無い二発目を打ち込むべく計画された。順に見ていこう。

 

①潜水艦5隻に、陸戦隊魔導師を分乗させ合州国西海岸沖合へ侵入。そこから発艦し、5つに大別された目標地点を奇襲。

 

②その地点は、北から順にシアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、パナマ運河である。基本的に軍事施設のみを攻撃対象とするが、インフラや象徴物への攻撃も許可。

 

③攻撃後潜水艦へ帰投の上、皇国へ帰還。

 

 これは、()()()()()()()()を収めた。全ての地点で攻撃は成功し、西海岸の大部分の海軍基地は殲滅された。対し皇国側の損害はたった一隻を失ったのみ。

 

 さらに、合州国最重要拠点たるパナマ運河を破壊できたのは大きい。これにより大西洋からの艦船の移動が困難となり、西海岸の主要造船所が消えた今、太平洋側の艦隊再建は一層困難となった。

 

 ………そして何の因果か、ターニャ本人もこれに参加している。山野の「潜水艦からの出撃・攻撃を体験したのは貴様だけだからな!」という鶴の一言でその羽目になったのだった…………………

 

 そして、最後の『比島作戦』は———————

 

 これは、ほぼ陸軍のみによる作戦であった。海軍側は殆どの主要艦艇をハワイ攻略へと回しており、上陸支援として出せたのは小型空母2隻とその他小型艦艇がいくつかのみ。その分台湾にいる基地航空隊は豊富に貸与されたが…………

 

 ターニャは説く。敵の航空隊さえ何とかすれば、占領は容易であると。

 

①台湾から海軍の航空攻撃部隊が発進。フィリピン北部の主要空軍基地を奇襲爆撃し、それらを殲滅。

 

②その後、台湾より出撃した陸軍の5個師団が上陸。

 

③徐々に南下し合州国軍を排除、占領。

 

 この作戦のみ、未だ戦闘中である。もっとも、それはそもそも作戦段階でもそうであり、むしろその行程はかなり早まっていた。既に北部への主力部隊上陸は成功し、南部への快進撃が始まっている。そこへケチケチせずに追加の応援部隊として一挙10個師団を投入し、更なる早期作戦完了を目指す。

 

 

 

「……………という訳だ。比島の方はまだしばらくかかるだろうが、しかし今のところ損害も極めて軽微と聞くしな、まぁ、このまま油断しなければ大丈夫だろう」

 

 壮大な計画の詳細を聞いた堀内。しかし、それは機密ではないのかと訝しる。

 

「なぁ、それは俺が聞いても大丈夫なのか?機密だろそれ」

 

 が、山野はおかしそうに笑うのみだった。

 

「がはは、お前も予備役とは言え海軍軍人じゃないか!それにやる前ならともかく、今はもうほぼ終わってんだぞ?第一どこにこんなオヤジ二人の談笑盗み聞く奴がいるんだ?」

 

 ………………そう言われれば、確かにそうだ。故に納得した堀内はそれもそうだな、と言って別のことを尋ねた。

 

「それで、じゃあじきに講和か?しかし合州国は素直に応じるのかね……?」

 

 何しろ呑気に寝ている所を“劣等人種”に蹴り飛ばされたのだ。怒りでむしろ戦意が上がりはしないか、と心配する堀内。だが

 

「いやぁ、あそこまで念入りに、しかも何度も蹴飛ばしてやりゃいくら何でも嫌気が差すだろ。実際に、イルドア経由での講和の提案は概ね順調だ。このままいけば年明ける前には決着がつくだろう」

 

「そうか…………すると帝国は気の毒だな。ようやく出来た味方がすぐに消えちまうなんて」

 

 ポツリと呟くと、途端に山野は吹き出した。まったく、堀内は“政治”が分かっていないなぁ。

 

奴ら(帝国)俺たち(皇国)も、欲しいのは“味方ができた”という一言のみなのさ。その後その味方が消えちまおうと、悲惨なくらい利益がなくとも関係ない」

 

 第一、俺たちゃ既に連邦と不可侵条約結んじまったからなぁと、山野は呆れるように言う。しかももっと笑えるのが、本来であればそこで抗議すべき立場にあるオットー大使が、既に職務不履行状態に陥っていて何もできないと言う所。

 

 しかも、戦争中だから解任して別の人間を送り込むこともできない。その為同盟と言っても、実際には双方勝手に“○○が味方になった!”と喚いているだけになってしまったのには最早笑いさえも起こらない。

 

「なんでもあの大使、今じゃ大使室に引きこもって、お気に入りのドイツ人の新聞記者と二人でおしゃべりするだけらしいからな。いやはや、デグレチャフといいあの大使といい、帝国ってのはかっ飛んだ奴しかいないのかね……………」

 

 うんざりするように山野がこぼす。だが、そうかデグレチャフか…………

 

「ま、しかしアレ(デグレチャフ)を得られたというただ一点で、お釣りが山ほど来るほど同盟は大成功だったな。無論帝国はその分大損だろうが………」

 

「そんなやべーのか、ヴィーシャの上官は」

 

「いやもうスゲーぞ。そもそも今回の作戦の概要考えたのあいつだぞ?いやはやヤベェって…………………どんな士官教育したらあんなのが出来るんだ?」

 

 そもそもヴィーシャ自体も色々えげつないしな、と二人は言ってガハハと笑う。実に下品に、実に嬉しそうに……………

 

 

 

 

 

 

 二人を、冬の満月が照らしていた。全てが成就した今、彼らの心には、最早何の曇りもない———————

 

 これで、平和になると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが

 

 

 

 

 

 

「あ、貴方は……貴方様は…………ッ!?」

 

『さぁ、征くのです。貴女には、主の加護が付いているのですから————』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()が、狂い出す。その先は、果たして——————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作戦概要編。もっと詳しい(参加艦艇とか編成とか敵戦力とか)が知りたい方いたら教えてください。いれば付録的に一話分使って書くんで。

要らねぇよ!って言われても書くかもしれんが………………

山野さんすっかりご機嫌。まぁ、講和交渉も上手くいっているようですしこれはもう勝ったなガハハ風呂入ってくる。

……………え?最後??いやぁここ最近信心不足でさぁ、よく見えないんだよねー(すっとぼけ)

で、次回はついに第四章完結…………あれこれ前話でも言ったな。まぁいいや次回こそ!!ついに第四章完結です!!この戦争は果たしてどうなるのか!!早期解決??あるいは———————??

で、次話はだね………その設定をやるかやらぬかで変わるから………一応明日は何かしらは投稿するんで、おねげぇしますだ。


《追記》
ハワイ作戦のところの、『レキシントン』という部分を『エンタープライズ』に変更させていただきました。ちょっと今後の展開で矛盾する可能性があったので…………
ご承知くださいませ

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