そういえば、ヴィーシャって何歳なんですかね?少なくともターニャよりは年上だろうけど……
17〜8ぐらい?それでも相当若い士官だなァ……
あと、駐在武官って中〜大佐ぐらいが大体らしいですね。少佐……うーんまぁセーフ(適当)
それではどうぞ!
統一暦1925年10月13日
秋津洲皇国 皇都東京 帝国大使館
国会議事堂の真横にあるそこは、周囲の荘厳さに負けぬほど壮麗な建物であった。
「ようこそデグレチャフ少佐。貴殿の着任を大変喜ばしく思います。いやはや、
一見すると嫌味か何かのように聞こえるそれ。だが、彼の顔は至って真剣である。
「…………幸運?何故ですか?」
「おやおや、貴方とて分かっているでしょう。よろしい、ではお伝えしましょう。実は武官はもう一人着任する予定だったのです」
………もう一人?そして、予定
「まぁ要するに海軍側の武官ですな。彼は………えー、貴方より数日早く帝国本土を発っていました。が、現在まで到着していません。皇国の艦艇との合流地点にも現れなかったそうです」
つまり、それは
「……やはり、撃沈されましたか」
「ふふふ、分かっているではありませんか。そうです。そうなのですよ!もはやここへの道は一方通行。一度はあっても二度はない!!」
つまり、帰れない。少なくとも、この戦争が終わるまで。さらに
「ですので、武官はもう貴方だけです。以後は海軍の方も代理で業務お願いします」
「えっ」
思わず声が出る。が、「なにか?」と言わんばかりの相手の表情に、なんとか取り繕う。うーん、なんかややこしいことになってきたな………まぁ、平和だしに………もとい秋津洲皇国だしいいか!
「了解いたしました。浅学ではありますが、誠心誠意努力させていただきます」
「よろしく頼みますよ。………ええ、本当に」
そう言って、彼————プルッツェン帝国駐皇国大使クルト・フォン・オットーは静かに笑った。彼の背後から、赤く血のような夕日が、彼を照らしていた…………
※
同年同日
秋津洲皇国陸軍省
「あ、貴女が………………?ほ、本当に??こんな幼女が???」
開口一番失礼な輩である。だが、ターニャは紳士……もとい淑女(これも嫌だな……)なので気にしない。にこやかに、友好的に挨拶する。
「はじめまして、小官はプルッツェン帝国大使館附陸軍武官、ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐であります。以後どうぞよろしくお願い致します」
途端に周りがざわつく。帝国では少しずつ少なくなっていったその対応に、ターニャはむしろ新鮮さすら覚えた。
「こ、こちらこそお初にお目にかかる。私は陸軍省次官の山脇だ。今後何か不明な点があれば、いつでも我々にご相談頂きたい。あー……そうだ!今夜陸軍省で歓迎の晩餐会を開くので、是非ご参加頂きたく………今は居ないが陸軍大臣の方も夜には参加できるようなので……………」
次官な男がややしどろもどろになりながらも挨拶を返してきた。しかし、たかが一武官の就任ごときで晩餐会、か…………
今更ながらも帝国の末期具合が分かる。何度目かの、“脱出してよかった”という安堵感に浸る。
「………つ、つかぬことをお聞きしたいが、
と、次官の傍にいた男が、震える手でターニャの軍服を指さした。ああ、とターニャはそれに答える。
「銀翼突撃章です」
「な!なんと…………では貴女が……」
再度ざわめき出す。いちいちわざとらしいその反応に、流石にターニャもイラついてきた。
「では、小官はこれにて失礼させていただきます。晩餐会は、何時からでしょうか?」
「!あ、ああ。午後6時に帝国大使館の方に自動車を回そう。それに乗って来ていただきたい。無論副官の方も是非御一緒に」
それを聞き、ターニャはさっさとそこを出て行く。未だに冷めやまぬざわめきを残しながら。
「…………とんでもないのが来たな」
「だが帝国は何を考えているんだ?あんな餓鬼を武官として寄越すなんて」
「馬鹿野郎ッ!あれは銀翼持ちのエースオブエースだぞ!見た目なぞ問題じゃない。きっととんでもない化け物だ」
「確かに聞いたことがある。ライン戦線を荒らし周り、ついに共和国をぶちのめしてしまったエース、“ラインの悪魔”の噂を……」
「まさかあれが!?そ、それが本当ならアレは…………」
「「「「「幼女の皮を被った怪物……………」」」」」
※
同年同日 夜
秋津洲皇国陸軍省 第一官食堂
迎えの車に乗り、ターニャは再び陸軍省に戻って来た。今度はもう一人連れて来ている。
「ば、晩餐会ですか………?私行ったことないですよー」
ヴィーシャだ。だが彼女は、どういうわけか既に及び腰である。見かねたターニャが叱咤激励する。
「しっかりしたまえ少尉。最低限のテーブルマナーは促成将校課程で叩き込まれた筈だろう。第一皇国の伝統食が出るならまだしも、ただのコース料理になにをそんな恐れる必要がある?それに久方ぶりのまともな食事だ。むしろそこを喜びたまえよ」
が、どうにも違ったらしい。
「りょ、料理はまだしもそんなお偉方と食事なんて初めてですよ!第一私はまだ少尉なんですよ!?」
「軍艦なら士官は毎日大佐や幕僚とフルコースだ。それに比べればたった一度の会食どうってことないだろう」
「ありますよー!」
おかしな話だ、と、むくれるヴィーシャを宥めながらターニャは思った。地獄の戦場にはすっかり慣れ、顔色一つ変えず戦い続ける猛者が、何故か晩餐会を極度に恐れている…………彼女にとっては、既に戦場こそが日常となっているのである。
まったく、ウォーモンガーには困ったものだ。もっとも、あと一ヶ月もすればすっかり平和ボケし始めるだろうが。
「お待たせいたしました。それでは少佐殿、少尉殿、ご案内いたします」
給仕の士卒に案内され、二人は会場へと入って行く。そこで、またしてもヴィーシャが怯むが、なんとか取り繕ってターニャの後を追った。
「えー、それでは、遥か帝国より着任された新任武官、ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐並びにその副官ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ少尉を歓迎して、乾杯!」
次官の音頭で、乾杯。が、共に未成年のターニャとヴィーシャの杯は葡萄ジュース。
葡萄ジュース。
「馬鹿にしているのか、それともクソ真面目なのか………」
ターニャが小さくボヤく。すると横のヴィーシャは苦笑いして答えた。
「まぁ仕方ないですよ。それに美味しいですよ」
すっかり慣れたようで何より。ターニャは呆れ半分にそう思った。
晩餐会は恙無く進行した。途中遅れて来た陸相が大汗をかきつつターニャに挨拶するという一幕もあったが………
「どうです?滑稽でしょう?」
押し寄せる挨拶の波がようやく途切れ、座席で一息ついていたターニャに、不意に一人の将校が声をかけて来た。
「………貴官は」
「おっと、まだご挨拶していませんでしたか。私は陸軍大尉上坊弘道です。いやはや、こんな茶番で申し訳ありませんな」
酔っているのか、彼は若干ふらついている。だが、その眼光は鋭いままだ。
「……………茶番、ですか」
「そうですよ!こんな盛大に宴会開けば、連合王国から苦情が来るのは間違い無いでしょう!いや、苦情で済めばいい。だがもし!もし万が一戦争になったら?!上層部の思惑は分かっている、帝国と手ェ組んで世界征服したいんだそうだろ!!こんな恐ろしい化け物寄越してよ!なーにが白銀だ、噂じゃ共和国の主力に突っ込んで数十万皆殺しにしたって言うじゃねぇか!!何が目的だ!誰も彼もテメェら帝国みてぇに侵略がやりたいわけじゃねぇんだぞこの悪魔—————「おい取り押さえろ!こいつを食堂から叩き出せ!!」離せッ俺は正気だ馬鹿野郎!帰れ、帰れ!俺たちは戦争なんか望んでねぇぞ!!!!」
阿鼻叫喚。大混乱の狂乱劇は、彼が摘み出されたことによりなんとか落ち着いた。そして、慌てて山脇次官が近づき、取り繕う。
「いやいや、狂人が大変失礼した。彼は近頃精神衰弱気味で、何かにつけ陰謀論を唱える危険人物でしてね。今日も来させるべきではなかったのですが、功績を多少挙げておりまして………」
「…………………いえ、別に大丈夫ですよ。しかし彼も酷い思い違いですな。——————帝国は、一度たりとも自分から戦争を仕掛けてなどいないと言うのに。むしろ悪魔と呼ぶべきは、なんの関係もないというのに攻撃して来た連合王国や、共和国の方でしょう?」
特になんの感慨も抱かずに、ただ事実を告げるようにターニャはそう言った。それは、彼女が本心からそう考えている、と言うことをはっきりと指し示していた。
「………え、ええ。そうですな。それではそろそろこの辺りで解散ということに……」
そして、その一部始終を静かに眺めていた男が、一人。
「…………ほう、アレが。そうかそうか………これで、ようやく始められるぞ」
そう言って、男は不気味に口角を上げた。実に、実に嬉しそうに—————
※
同年同日 同時刻
秋津洲皇国 皇都東京 帝国大使館
「ほう………そうですか。一人神経衰弱に……」
薄暗い大使公務室で、彼は受話器を耳に当てていた。
「彼女はなんと?………ほうほうほう、そうかそうですか。それは重畳」
彼にとって素晴らしい内容らしい。その表情は実に嬉しそうなものだった。
「いやいや、計画がうまくいきそうで何よりですよ。ええ、ではまた」
受話器を開く。そこへ、扉をノックする音が響いた。
「入りたまえ………どうした?来客か?」
「はい、中佐殿より、もう間も無く到着すると」
「そうか!よしよし実に良いぞ。今宵は実に、喜ばしい夜だ」
彼は嗤う。薄暗い部屋で、しかし満面の笑みを浮かべ。
「では、私はこれで———「君、
くるりと、振り向き嗤ったまま彼は尋ねる。それに、少々気圧されつつも秘書官の青年は懸命に考え、答える。
「……………資源?それとも………じ、人材とか、でしょうか」
「違うな。そんな物はなくても良い。後でいい。今は、必要ない」
だが、彼はそれを一刀両断する。そして、自ら答えを言う。
「味方だ。ライヒには味方が必要なのだ!確かに、ライヒは強い。強大だ。しかし!それでは勝てん。ならばどうする?味方を作るか?しかし誰が?—————我々よ」
窓の近くに歩み寄り、そこに浮かぶ満月に手を伸ばした。まるで、それを掴み取ろうとするかの如く。
「ライヒは欲している。側面からの援護射撃を。自らを理解する同盟者を!しかし、我々だけではそれは無理だ。我々はたった数十人。しかも、殆どが文民だ。だが!」
秘書官は、自らの体が震えつつあるのを感じた。何故ならそれは
「そ、それは……しかしですが、それはたとえライヒのためであっても、反逆行為ですよ!?」
「そうだ。だから?だからなんだと言うんだね?皇帝陛下の、ライヒの御為なのだ。それに……望んでいるのは何も我々だけではない。
そこへ、扉が開き、もう一人の
「おや、ずいぶん早い御到着でしたな。………辻本中佐殿」
「ああ……思わず、気が昂ってしまった。ようやくだ。ようやくピースが揃った。後は……………」
「「動かすだけだ。この時代を、この世界を!!」」
今回も変更点は特になし!殆ど捏造!
あとすいません。原作では言及されていない帝国の名前、勝手に作ってしまいました。なんでもはできないけど許してください土下座
なんか不穏になってきましたね。あと、一応原作組以外の登場人物は全て史実の人々のもじりかパロディです。人柄も極力似せていこうと………でも知らない所は捏造です許して。
次話は………今日はさすがに無理です、明日の……昼までには……なんとか……………なるといいな…………
《追記》
致命的ミスに気づき無事死亡。連合王国の対帝国宣戦布告って、1925年11月1日だった…………開戦してないじゃんまだ………………
仕方がないので、本S Sでは6月末、つまり共和国降伏と同時に参戦した、ということに、します…………要らぬところでの改変申し訳ない土下座
チャーブル首相、お許しください!
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その他の時間
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何時でもいい