幼女極東戦記   作:信濃氷海

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ちょっと短めですが、幕間なので許して下さいくださいなんでも以下略

それでは幕間、同志ロリヤについてですどうぞ!!


幕間 同志ロリヤのいとも数奇な青春録Ⅲ

統一暦1927年3月18日 午後

ルーシー連邦 首都モスコー 内部人民委員本部

 

 

 その日、ロリヤは久々に古巣の内部人民委員本部に戻ってきていた。対帝国の戦争計画立案のための会議やら、同志書記長殿のご機嫌伺いまで、連邦の事実上のナンバーツーたるロリヤは実に多忙の身であった。………が、それらになんとか一区切りをつけ、僅かではあるがゆったりとした通常業務へ戻れる時間ができた。

 

 久々の古巣!ロリヤはウキウキと執務室に入り、さて我が恋路についての計画を練るかと卓上に以前手に入れた“花”の写真を置く………だが、たった数分でその時間は無残にも無くなってしまった。渋い顔で入ってきた部下が、急な来客を伝えてきたのだ。

 

「面会申し入れ?………………一体誰だ」

 

「それが…………………………」

 

「何?…………………仕方あるまい、通せ」

 

 一挙に不機嫌になったロリヤだが、告げられた名前を聞いてしまえば無視するわけにもいかない。そうとなれば可及的速やかにこの不愉快極まりない時間を終わらせるべく、ロリヤはその面会者とやらを部屋に入れた。

 

「……………妙な来客だな、クズネーツェフ海軍人民委員。海軍の君が内部人民委員に一体何の用かね?」

 

「これはこれは同志ロリヤ。いや実はですな、少々同志にお願いしたいことがございまして…………」

 

 海軍の長たるクズネーツェフは、入ってくるなりそんなことを言い始めた。……お願い?ロリヤは怪訝な顔になるが、クズネーツェフは構わずしゃべり続けた。

 

「所で同志、小耳に挟んだのですがなんでも先のマレー沖海戦の後、皇国へ祝電をお送りになられたとか」

 

「良い耳だなクズネーツェフ君。無論送ったとも、互いに背中を預ける我が国と皇国は、今や実質的に同盟国と言っても過言ではないからな」

 

 それに、と軽蔑を隠さずロリヤは本音を言う。

 

「——————クズども(資本主義者ども)が潰し合うのは実に結構なことではないか!」

 

「まことに同感です。………それで同志、この海戦において決戦兵器となったものをご存知ですかな?」

 

「…………例の“レポート”にあった『18インチ砲搭載戦艦』か」

 

 連邦のナンバーツーに上り詰めただけあり、ロリヤの情報収集力は並ではない。数日前にばら撒かれたばかりの“フィリス・レポート”を既に彼は入手し閲覧していたのだ。間髪入れずに答えが返ってきた事で非常に恐縮しながらも、クズネーツェフは上目遣いにすり寄ってくる。

 

「さすが同志!…………それでですな、“お願い”というのは実はこれに関した事でありまして」

 

 曰く、極東の小国如きでもこのような大戦艦を保有しているというのに、かの国を国力、資源そしてイデオロギー等のあらゆる面で優越する我が国が一隻も保有していないのはいかがなものか、という事だった。そこまで聞き、ロリヤは早くも彼の願いとやらを見抜いていた。

 

「ああ分かった分かった。つまり君はその大戦艦とやらを建造するための資材やら人員やらを横流ししろと言いたいのだな。…………よろしいならば明日から君の職場はシルドベリアだ。好きなだけ木を数えてくるといい」

 

 侮蔑を嫌悪を隠そうともせずロリヤは即決した。この国の実情はどうあれ、国家のために日々社会秩序を守るロリヤ相手に買収を試みるなど到底許される事ではなかった。直ちに隣室に待機させていた職員に逮捕させようとしたが、何故かクズネーツェフは落ち着き払って言葉を続けた。その奇妙な姿になんらかの関心を覚えたのか、少々動きを緩めロリヤはクズネーツェフを見やる。

 

「いえ、戦艦建造が真の目的ではございません。…………大戦後の後顧の憂いを断つべくある作戦を立案致しましたので、それを見ていただきたいのです」

 

 そう言って、一つの計画書を差し出す。大戦後、その言葉に興味を惹かれたロリヤは黙ってそれを受け取った。中を見た彼は、そこで一挙にその表情を驚きで埋め尽くす。

 

「…………なに?!こ、これは本当に可能なのか?」

 

「理論上は一年を通しいつでも可能です。また、現地での実験においても、かなり艦船の規模は小さいながらも夏季は完全な成功を収めております。冬季に関しましては………」

 

「いや、夏期だけでいい。その代わりこの技術をさらに完全無欠なものとせよ」

 

 —————それは、クズネーツェフの賭けが勝ったことを示していた。内心の動悸がようやく収まり、小さく安堵の息を吐いた。だがそれ以上の気は緩めずロリヤにページをめくるよう頼む。

 

「さて、先ほどお話しいたしました大戦艦はこの計画遂行の為の手段であります。……が、それを新造する必要はございません、既に建造中の4隻の新型戦艦、それの設計を少々変更すれば十分流用可能となります」

 

「建造中とは確かに聞いていたな。だが随分工期が遅れているようだが」

 

「左様です。ですのでお願いというのは、工期の遅れを最小限とする為、あらかじめ割り当てられた分の資材や人員のみで結構ですので確実に供給されますよう同志に御口添え頂きたいのですが……………」

 

 ………成る程、確かに対帝国戦争が始まって以降あらゆる資源や人材は根こそぎ前線へと送り込まれていた。そう指示したのロリヤ本人であったが、しかしこのような大計画があると分かれば話は別だ。それに……………

 

(この計画は、大戦を我が国の大勝利で、かつ最速に終わらせなければならないという私の主張の補強材料となる!…………素晴らしい事尽くめではないか)

 

 無論それは早く帝国を占領して恋を成就させたいという思いからであったが、ともかくもロリヤはこの計画を気に入った。彼は実に満足そうにクズネーツェフに笑いかける。

 

「それならば、話は別だクズネーツェフ君。すぐに工事が滞りなく再開されるよう手配しておこう」

 

「!そのお言葉を頂き感謝の念に堪えません。それではこの吉報を海軍へ伝えて参りますゆえ、お暇させていただきま——————」

 

「待て、一つ聞きたいことがある」

 

 足早に部屋を出て行こうとしたクズネーツェフを、しかしロリヤはすんでのところで引き留めた。途端に冷や汗を流し始めた彼を苦笑しつつ眺め、ロリヤは書き忘れていたことを尋ねた。

 

「そんなに怖がらずともいい。一つ気になったことがあってな………………その新戦艦の名は、どうするつもりだね?」

 

「はっ!それにつきましては、暫定ではありますが既に決定しております。………一番艦が『ソビエツカヤ・ルーシー』、二番艦が—————」

 

 だが、すらすらと読み上げられた名前を途中で遮り、ロリヤはスッと立ち上がると外を見つつニヤリと笑った。

 

「いや、それが二番艦だ。一番艦の名は………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  『クレムリン』、だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ソビエツキーソユーズ、クレムリンうっ、頭が…………

計画とは一体なんなのか?!ロリヤめ今度は一体何を企んでいるというんだ!!それについては以後少しずつ明るみになるでしょう……

次話は、予定では第六章に突入する予定です。ミッドウェー海戦と、それに至るまでの過程それを追って行きたいと思います。



…………ところで、感想欄でもちらほら拝見いたしましたがマレー沖海戦で………弾、当たりすぎですね。どうもwows脳で書いてたらしく、初弾命中当たり前、数発命中で即撃沈になってますが…………でも直すとなるとほぼ書き直しになるし…………という訳で今の所は火葬戦記特有のトンデモ設定程度にお考え下さい。もしかしたら大改稿を断行するかもしれませんが………

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