この第三十九話を投稿した段階では、拮抗しているもののやや『同じ時間』派が優勢でした。アンケート自体はもうちょい続けようと思いますが、取り敢えず今後数話は毎日同じ時間(19時)に投稿しようと思います。………時間についてもアンケート取ろうかな?
それでは前置き長くなりましたがここから本編です!!どうぞ!!
……あ、ちなみに今後話の中で出てくる時間は全て皇国本土時間ですので、どうぞご承知おきください。
統一暦1927年6月4日 15時20分(皇国本土時間)
ハワイ諸島 オアフ島 真珠湾
この時点で、真珠湾に駐留していたのは戦艦2、空母4、重巡10、軽巡4、駆逐32、その他支援艦艇10隻以上であった。この他にも1万余りの海軍陸戦隊と陸軍の一個師団2万弱がオアフ島を中心に駐屯。更に攻略時に粗方破壊した真珠湾の要塞設備も順調に復旧されており、本国から輸送してきた砲塔四十五口径四十糎加農も追加で配備されるなど、今や皇国にとって極めて堅固な最重要拠点となっていた。
そこへ、ある知らせがもたらされたのは6月4日、その夕方のことであった。
「『敵空母見ゆ、『ヨークタウン型』空母3隻』?!…………もう来たのか」
驚愕と苦々しさの入り混じった表情で、第一航空艦隊司令長官
それに、驚きはしたものの既に準備は済んでいた。五航戦が皇国を発ったという連絡を受けて以降、少なくとも空母4隻、重巡2隻、駆逐艦8隻はすぐに動かせるよう即応体制を整えていたのだ。
「一航艦全て出すぞ。…………敵の場所は」
素早く旗艦の空母赤城に移る南斗提督。……………………だが、そこで返ってきた言葉が
「はっ!…………真珠湾より
————————敵、味方双方の歯車を、狂わせることとなる。
※
統一暦1927年6月5日 午前
第一航空艦隊 旗艦『赤城』
前日の16時過ぎに真珠湾を出撃した一航艦は、ほぼ最大速度である28ノット以上で敵がいるであろう海域に向かった。夜間の偵察及び攻撃も検討されたが、爆撃機や偵察機はともかく単座の戦闘機で長大距離を夜間飛行するのはほぼ不可能であったため、日の出直前の出撃となった。
そして、日付が変わり夜明けが近づくと、まず01時30分ごろに偵察機が発艦。この時蒼龍に配備されていた新型の二式艦上偵察機も索敵に投入され、予想海域へ向かう。この後すぐに攻撃隊の発艦準備が整えられ、偵察機からの連絡が入り次第直ちに発艦開始すべしと下令された。
………………が
「遅い!偵察機は何をやっとる!!」
赤城艦橋で怒鳴り散らす一航艦の幕僚。その近くで、ガラス越しに飛行甲板をじっと見つめていた南斗提督も無表情の中に軽い苛立ちが表れつつあった。
時刻は既に04時を過ぎており、既にその付近に敵がいるという事前情報がある以上とっくの昔に敵艦隊を発見できていてもおかしくなかったが、未だ未発見。幕僚らの困惑は、いつの間にか甲板で待機していた搭乗員達にも伝播しつつあり、高まっていた士気はどこか虚しく空回りし始めていた。
「もしや潜水艦の報告が間違っていたのでは………」
「いや、ミッドウェー島を監視中の艦からの連絡ではエンタープライズは既に出航しているという。報告のあった海域ならばこれらが合流していても矛盾はない」
…………実は、出撃前に来た潜水艦の電文では、単に『空母3隻』としか書かれていなかったのだが、サラトガ撃沈が周知されていた為に通信員がごく自然に『ヨークタウン型空母3隻』と変換していた。合州国にヨークタウン級空母は3隻しかおらず、追加で建造されたという情報もなかった為、最終的にこの知らせを受け取った一航艦司令部はこれを『ヨークタウン、ホーネット、エンタープライズ』と更に変換。
結果として、幕僚らは『ヨークタウン及びホーネットが、この海域でエンタープライズと合流。そこを潜水艦が発見した』というふうに解釈し、それに基づいて索敵を行なっていた。
「だとしたら、何故エンタープライズの出港そのものを確認できなかったのか!無能な潜水艦どもめ!!」
八つ当たりするかのように幕僚は喚く。が、この文句は余りに酷なものであった。そもそもハワイ諸島攻略後、ミッドウェー島監視の任務は航空機と潜水艦が共同で行うことになっていた筈だったのだ。
………しかし、オアフ島とミッドウェー島の距離2400キロがこの想定をあっさり粉砕してしまった。
当初この監視任務に投入される予定であった二式大艇は、資材不足等により生産状況が芳しくなく、更にただでさえ限界ギリギリである真珠湾への輸送力の問題のため必要量が届かず断念。代用として陸攻が選ばれたが、これも先のマレー沖海戦に集中投入するため来るはずだった大部分の機体が南方へ引き抜かれてしまい、結局僅かな九六陸攻と一式のみしか使えなくなってしまった。
しかも、貴重な爆撃機をこのような超長距離偵察に投入するのは危険であるとして司令部が介入。せめてオアフ島とミッドウェー島の間のどこかの小島に飛行場でも作れれば良かったのだが、真珠湾の復旧に全力を注いでいた為それも叶わない。
最終的に、航空機による偵察は完全に無かったことになり、その分潜水艦の負担が倍増する。これにより、ただでさえ開戦時に山野が約束した『休息を十分に取れる、数十隻によるローテーション体制』が虚しく崩壊しており、無情に酷使され続けていた皇国潜水艦では疲労によるミスが多発する羽目になっていたのだ。
この状況が、幕僚が文句をつけた“ミッドウェー島からのエンタープライズ出港見落とし”だけでなく、更に致命的なミスを生んでいた事が明らかになるのは、全てが終わった後の事だった—————
ともかく、次に状況が動いたのはそれから約20分後、04時28分ごろのことであった。
「!利根艦載機より通信!———『敵艦隊らしきもの見ゆ、方位北、距離250キロ』です!!」
「何?!…………長官!」
「うむ————全機発艦始め、目標北方向の敵艦隊!」
この時、参謀長の草津少将の脳裏を『“らしきもの”ではあまりに不確かだ、せめて艦種を確認してからの方が………』という思考が掠めたが、結局何も言わなかった。らしきものだろうがなんだろうが、その海域にいるものはほぼ確実に空母だ——という先入観は依然幕僚らの考えを支配しており、又思いつきで行動すべきでないという考えも、草津がこの懸念を口にするのを躊躇わせたのだった。
南斗提督の命令を受け、その時を待ち望んでいた攻撃隊は即座に発艦。ほぼ最高速度でその海域に急行した彼らは、05時10分過ぎに指定座標に到達した。……………………だが
「—————?!おい何の冗談だ、アレはただの輸送船じゃないか!!」
そこに居たのは、空母とは似ても似つかぬ輸送船———合州国軍給油艦『ネオショー』と、その護衛らしき駆逐艦シムスの2隻だけだった。
混乱状態の攻撃隊は、ひとまずこの2隻を素通りし周囲を探る。が、数十キロの範囲を探しても空母はどこにも居ない。…………草津参謀長の悪い予感が的中した形であったが、しかしそれを今更言ってもどうにもならない。興奮が失望に変わると、怒りの矛先は哀れなネオショー、シムス両艦へ向けられた。
彼らは懸命に、非常に勇敢に抵抗したと言って良いだろう。しかし、高々給油艦と駆逐艦を相手にするには余りに過剰な攻撃が叩き込まれ、05時20分ごろに両艦は海の藻屑となった。
攻撃隊はその後、失望感に打ちひしがれながらも帰投。そして空母がいなかった旨を母艦に打電した………………………しかし、その時母艦では
「し、真珠湾より緊急電!!————『真珠湾空襲さる、真珠湾空襲さる』との事です!!」
「!!五航戦の瑞鶴より緊急電です!『敵空母と接敵、至急救援を乞う、至急救援を乞う』、場所ミッドウェー島の西200キロ!!」
…………突如示された二つの選択肢。どちらを取り、どちらを捨てるべきなのか———————?
一航艦の、悪夢が始まる。
ネオショー&シムス「酷い八つ当たりだ抗議する」
さて、意気揚々と出撃した一航艦ですが、早くも混乱しつつあります。史実のミッドウェー海戦でも索敵でヘマしまくってますし、これはもう宿命でしょう。
さて、次話では場所が少々移動し、今まさに攻撃を受けつつある真珠湾の状況について見てみようと思います。一体どう言うカラクリなのか?!待て次回!!
↓例の如く艦隊編成です。今回は一航艦。参考にどうぞ〜
《第一航空艦隊》
空母 赤城、加賀、飛龍、蒼龍
重巡 利根、筑摩
駆逐 曙、潮、漣、朧、菊月、三日月、望月、卯月
……やはり皇国(日本)の艦艇は調べるのが(連合王国より)遥かに楽だ…………
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