幼女極東戦記   作:信濃氷海

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宣言通り…………!

いいペースだ。やるじゃん俺!え?内容?

………………^_^

それでは!本編どうぞ!!


第五話 れきしのべんきょう

統一暦1925年10月20日 午後

皇都東京 陸軍省

 

 

「そ、それでは打ち合わせを始める。えー、よろしいね、デグレチャフ少佐」

 

 会議室についてもまだざわついていたが、数分経ってようやく落ち着いてきた。それを見計らい、次官の声で打ち合わせが始まる。

 

「ええ、小官は大丈夫です」

 

「それは何より………それで本日協議したいのは、聞いておられると思いますが来月5日に催される、『皇紀二千六百年記念観兵式』について、だ」

 

 そこで、山脇は傍らの参謀に目配せする。

 

「それでは私の方から、各国外交官の方への御願いしたいことについて説明させていただきます。……デグレチャフ少佐、そもそも皇紀、についてはご存知ですか?」

 

「ええ、初代皇王陛下が即位した年を元年とした、皇国の伝統的紀年法、ですね?」

 

 すらすらと、皇国人ですらここ数年前まですっかり忘れていた様なことを、外国人のターニャが言ったことに驚いたのだろうか。再び臨席者がざわつく。が、それを山脇が制し、説明の参謀に続きを促した。

 

「……その通りです。皇王陛下の統治の永劫性の象徴として、この皇紀は我ら秋津洲国民にとって極めて重要な意味を持ちます!」

 

 と、言いつつ、実際には今の政治形態になってから、皇国は高々半世紀程度の歴史しかない。そして、それ以前では皇紀など、全く無名の代物だった。そもそも、“初代皇王の〜”という文言ですら著しく信憑性に欠ける。

 

 にもかかわらず、何故皇国はこれ程までにこの皇紀とやらを重視しているのか?その答えは、歴史にある。

 

 約70年ほど前、皇国は武士、と呼ばれる貴族階級の支配する封建国家だった。が、欧州で勃発した産業革命等の影響を受け、次第に近代化。だがその動きの遅さに痺れを切らした革新派の青年武士らの手により、国家は一度解体された。

 

 その跡地から、近代的かつ先進的な新国家として再出発したのが、現在の秋津洲皇国。彼らは“国家”と“国民”という言葉を使い、今まで事実上の地方分権状態だったこの国を、強力な中央集権国家にしようとしたのである。

 

 だが、そんなことをいきなり言っても誰もついていかない。そこで、かつての青年武士にして、皇国の新たな運営者らは妙案を思いついた。これまで事実上無視され続けてきた、伝統の“皇王家”を象徴としたのだ。

 

 この“皇王家”は、かつて…………数百年前までは実際にこの秋津洲の主人であった。が、武士の台頭により権力を失い、誰からも忘れられながも、しかししぶとく生きながらえてきていた。その奇妙なしぶとさは、神性を付与し、国民統合の旗印とするには十分だった。

 

 その為に、彼らはあらゆることをやった。憲法を作り、そこに皇王は神と記した。眉唾の伝承を無理矢理“史実”とした。

 

 そして、皇王の名の下に、列強に追い付くべく国民たちを働かせ、勉強させた。その代わり、“皇王以外は全て平等である”という理屈で身分制を消し、努力さえすれば誰でも栄達が可能であるようにした。さらに、国民に“国家が豊かになれば、皆幸せになる”と説いた。人々は必死に頑張ったが、その精神的主柱はその理屈と、皇王の神聖さだったのだ。

 

 その結果、皇国は僅か半世紀で欧州の列強に引けを取らぬ大国となった。まだまだ国力は未熟だが、それでもどうにか軍事力だけは、一端のものを持つ様になった。それを証明するのが、20年前に起きたルーシー“帝国”との戦争であった訳だが。

 

 …………お分かりいただけただろうか。皇王の神聖さは、もはやこの国にはなくてはならないものであり、効果を崇め奉るのは、その神聖さの摩耗を少しでも減らすための涙ぐましい努力なのである。確かに、それは古くからの列強である帝国や、連合王国には滑稽に見えるだろうが、それでも彼らは真剣そのものなのだ。

 

 それが、ターニャにはよく分かっていた。………まぁほとんど前世知識な訳だが。

 

「当日は皇王陛下御自ら御観覧頂く予定ですので、外交官の方、くれぐれも御無礼の無い様お願い致したい」

 

「無論です。帝国大使館員一同その事は重々承知しております」

 

 それを聞き、参謀はホッとしたように一息付く。と、そこに割り込むように次官の声。

 

「あと、念のため申しておくが、当日は連合王国の外交官も参列する。仲良くしろなどとは言わんが、なるべく何事も無いよう穏当な対応をお願いしたい」

 

 そうは言うが、しかしなんだ?次官は我々が見つけ次第連合王国人を殴り殺すキチガイとでも思っているのか?ターニャにとっては要らぬ願いであったが、しかしそれを窺わせぬように答える。

 

「勿論ですよ。ここは中立国ですからね。そんな事は常識ですよ」

 

「そ、そうか……常識、か………」

 

 なのに何故か釈然としない顔。何故?まぁ考えていても仕方あるまい。ターニャは席を立つ。

 

「それでは、協議内容も終わったようですし、小官はこれにて失礼させていただきます」

 

「ああ、本日はどうもありがとう。また、なにかあったら会いましょうぞ」

 

 山脇次官と挨拶し、他の参謀らとも言葉を交わして、ターニャは陸軍省を出る。そこに待っていた大使館の自動車に乗り込み、ようやく、

 

「…………………お、終わった」

 

「いやぁ、お疲れ様でしたなぁ少佐。どうですこのあと一杯」

 

「………店に警察呼ばれるぞ!外交問題になるだろ!!」

 

「おっとそういやそうでしたなぁ」

 

 あはははと、素面のはずなのにどうも言動が軽すぎる運転手を睨みつける。が、まるで動じない。

 

「あらら、少佐可愛い顔が台無しですぜ。もっとリラックスリラックス!」

 

「できる訳ないだろう。こんな格好で……………」

 

 そして、二人を乗せた自動車は、夜道をひた走る。そこで、ふとターニャはいいことを考えた。そうだ、ヴィーシャも同じ目に合わせてやろう、と。

 

 飛んだとばっちりであったが、しかしターニャの精神安定剤としてはよく効いた。さぁ、どんな顔をするかな我が副官は……………

 

 

 

 

 

 

 

「…………ハクシュッ!!うーん、風邪ですかねー?」

 

「お、お嬢ちゃん、それ……………」

 

「?あ!やったーえーっと…………リンシャン、なんでしたっけ?」

 

「り、嶺上開花だ…………おまけにドラ6だぁ…………?やべえよなんだこいつ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

統一暦1925年11月5日

皇都東京 代々木練兵場

 

 

「おやおやおや……………帝国の武官が替わったとは聞いていましたが、まさかこんな可愛らしい令嬢(レディー)だったとは…………帝国も、大変ですなぁ」

 

「いえいえ、貴殿らこそ随分………煌びやかですなぁ。ドードーバードで貴軍の兵士を見たときは、大層落ち着いた格好でしたが」

 

「ほう!そうでしたか、我々も帝国人は皆屈強で恐ろしく強いと聞いておりましたが、いやいや、プロパガンダがお上手いようで」

 

「たしかに、私のような体格の者は少ないですなぁ。まぁ体格なぞ関係ありますまい。なにせ大柄の貴軍の方々は、皆なぜか私と出会うと体調を悪くされるらしいので」

 

「「………………あっはっはっは!!随分面白いジョークですね!」」

 

 ………正に、一触即発。ターニャの後ろに控えるヴィーシャは、気が気でなかった。と、相手のこれまた傍に立つ副官らしき男と目が合う。

 

(…………お互い大変ですね)

 

(ええ、まったく……………)

 

 ヴィーシャが敵国の兵士と謎の意気投合をしている横で、ターニャと連合王国の皇国附武官がにこやかに睨み合い、楽しげに罵り合う。

 

 うーん、これぞ文明人同士の礼節ある交誼。やはり戦争などクソだ。鉛玉で肉塊にし合うより、こちらの方がよほど有意義ではないか!

 

「お二方…………あれほど揉め事はやめてくれと………………………」

 

 そこへ、どこからか駆け付けてきた苦労人もとい、山脇次官が渋い顔で注意してくる。だが、揉め事?

 

「何をおっしゃいますか山脇次官。我々は文明的に、至極平和に語り合っているだけですよ」

 

「ええ、その通り。それを揉め事などと言われても……………」

 

「………………(本当に欧州人どもは………)そうですか。ええ、それならいいんですよ、ええ!」

 

 やけっぱちのように怒鳴り、肩を怒らせて去っていく山脇次官。それを何故かヴィーシャが同情するように見ていたが、はてさてどうしてだろう?

 

「おっと、もう間も無く始まるようですな。それでは私はこれにて。またいずれ、会えたら会いましょう令嬢(レディー)

 

 そう言って、アルビオン連合王国駐皇国陸軍武官ルイス・ウィンゲート大佐は去っていった。

 

「ふーむ、連合王国め。なかなかいい人材がいるじゃないか。まだまだ侮れんな」

 

 変に感心してるターニャ。ああ、やっぱり私の上官は(いろんな意味で)すごい人だなぁと、ヴィーシャは思いましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………あれが、か」

 

「大佐、どうされました?」

 

「さっきのガキさ。あんなナリだが、本国によると帝国最強のエースオブエース、“ラインの悪魔”だとよ」

 

「!?あ、あの少女が………?」

 

「ったく、ドレイクの野郎無茶言うぜ。これだから情報部ってのは気に食わねぇんだ。………………有事の際は()()を始末しろ?命がいくらあっても足りんわクソ馬鹿どもめ…………………」

 

 




話進めるとか言っておいて、説明の地の文だらけになってしまった!うーん……難しいなァ…………

それはそうと、実際に中立国で、交戦国同士の武官って出くわしたときどうするんですかね?いきなり殴り合い?それともターニャ達みたいに言葉の殴り合い?

まぁ多分“会わないようにする”だろうなぁ………

次話は、日付が変わる頃………多分…………………おそらくmaybe

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