FAIRYTAIL~大地を統べる騎士~   作:時時雨 あいか

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べべんべんべべん。


No.3 その男はにやりと笑う

 空の色は黒、現在は夜である。真夜中。

 こんな真夜中には羽毛がこめられたふかふかのお布団でぐっすりといきたい。

 まぁそんなことなど別にいい。

 

 今はそうゆっくりできる状況でもないわけだ。

 さてあれから《海賊船を乗っ取ろうぜ☆》の元、見事エルザが船に乗り込み単独撃破。無残にもその海賊たちは敗れ俺達に指揮を委ねざる負えない状況になっていたわけだ。

 

 それから約数時間に渡り、陽気に飛ぶカモメと晴天の空を見上げ、海の旅を主に空気の気まずさに全然楽しめずにいたが俺達もようやく馬鹿共がいるであろうガルナ島へ船をつけようとしていたのだ。

 

「すまん、先に行く」

 

 その一言でエルザは船から少々距離のある砂浜へと豪快なジャンプ。シュタッという見事な効果音付きで彼女はそのまま砂浜を海岸沿いにかけていき、遂には見えなくなってしまった。

 その時の俺?もちろんあまりの突然な行動により「え?」と先ほど同じように停止していた。学習能力なくね?って思うか。もうそういう問題じゃないよあの異常行動。いや急ぎたいのはわかるけどいろいろとやり残してることあるでしょうが。何全部おれに押し付けるってかそのための「すまん」ってやつか。

 

 当の俺はもう半ばやけくその苦笑いだ。

 

「マジかよ…」

 

 相棒は未だ見張り台でおねんねだ。つまりこの場を収めるのは俺しかいないのであって。

 

「はぁ…わかったよわかりましたよやればいいんでしょ…」

 

 一つ溜息つくと体を改め甲板にいるこの船の船長へと声を掛ける。

 当の本人は、先ほどまで脅しをかけていた張本人がいなくなったことで安堵し、掛かっていた圧力にようやく解放されたためか地にへたり込んでいる。腰が抜けるとはまさにこのこと。

 

「なぁすまんが今大丈夫か?」

「うあ、ア?!なんださっきの怪物女の連れかよ…、なんだよ!」

 

 怪物ねぇ。

 

「まぁそういきがんなって。俺ももうすぐあいつを追いかけるんだだ。だけどその前にどうだここで交渉ってのは?」

「なにが言いんだてめぇは…」

「なぁに簡単な話だよ。帰りもよろしくって話だ」

「はぁ?」

 

 彼の顔はゆがんだ。グランの志願を疑問に思ったのだろう。帰りに対してではなくなぜ自分に帰りの便を志願するのか。断ってこの場でお前がいなくなったら逃げるにきまっているだろうと。なぜそんな当然な答えを聞いてくると。だが彼は知らないだろう。この男グラン=ガイアウスの性格が中々に黒いということを。

 

「お前さ…。今の現状わかる?このまま尻尾まいて逃げるのはたしかにいい手、最前の手だと思うぜ?だけどさ、俺達がお前ら次に見つけたときどうするかな?船員は負かされ、ましてや自分も負かされた。もちろん報酬ははらうさ。往復分な。仕事をしてくれたお礼とでも思ってくれればいい」

 

 このひげおやじの額から一つの汗が滴り落ちた。

 

「さぁ?どっちを選ぶ?まっ、今ここで逃げるってんなら、今度は俺が船ぶち壊すけどな」

 

 そのにやりと、不気味に笑う青年の顔を見て、恐怖に染められた男に選択肢など最初からなかった。

 

 

ΘΘΘΘΘ

 

 

 「エルザの奴どこいったんだよおい…」

 

 なんとか船長と交渉を取り付け、帰りの足も無事に事なきを得たが、海岸沿いを走ること数分。いつまでたっても先に走り出していったエルザが見つかりません。

 もしかして、と思いふと視界の横にある森のほうへと視線をゆっくりと向け、顔を引きつらせる。

 

「また森の中ですか…」

 

 いやまたこれ迷うんじゃって、立派なトラウマとかしているこの考えを一掃し、仕方なく俺は右手を地にまっすぐつけた。はたから見れば突然何をしているんだと疑問に思うかもしれないが、忘れてもらっては困る。

 俺だって、魔導士だ。

 

「”範囲索敵《サーチャー》”」

 

 閉じていた目をこれでもかと開いた瞬間、俺を中心に円状に緑のラインが広がってゆく。物から物へと伝わっていくように地を這い緑のラインは俺の周りから姿を消した。

 

 地に魔力を流し、魔力あるものへ反応し距離と、正確な形を読み取る魔法。この世界の物質にはほとんど魔力が関わっているため、人であろうが木々であろうが、一度この魔法に触れるとその外見、位置がまるわかりっていう代物だ。その情報が”マップ”とよばれる立体地図となっておれの頭に反映される。俺の仕事をこなすための商売道具と言ったところだ。

 言い方によれば、とても簡単だし便利だとは思うが。

 この魔法、形とあるがその容姿は色まではまったくといっていいほどわからず、形だけしかもある一定の距離に比例しとてつもない魔力を要するということだ。

 この魔法を使う俺でさえ、一日に半径1㎞が限界であり、それ以上の距離、または回数を行うと必要となる魔力総量が限界を超え、”魔力枯渇”と呼ばれる状態になりぶっ倒れるという代物だ。扱い事体も難しく幼少期に慣れるまでに毎日ぶっ倒れたものだ。

 だが自分で語るのもなんだが性能はいいほうだ。形から得られる情報でサイズなどの数値も得られる。そのためギルドに入りたての頃、悪ふざけで自分のスリーサイズがわかる?と聞いてきたミラに大真面目に数値を答えた挙句、グーパンを腹に一発と機嫌を相当そこねるというダブルパンチをもらったわけだが…。

 

 え?今のサイズ?もちろんわかりますとも。何から何までわかりますよぐふふ。

 

 おっとそういう場合ではないな。

 まぁなので今回は、この後戦闘も控えている可能性もなきにあらず。

 力の半分の500mに止めている。一回で見つからないとなるとこの深い森を歩く羽目になるのだが…。

 というところでどうやらラインが行き届いたらしくマップが届いた。

 

「おっしやっと見つけたぞ!」

 

 見つけたのはここから先の大体460mほど先の海岸。エルザの近くに三つの反応、一つは二足で立つ猫らしき形を描いているので間違いなくナツのパートナーを組む今回の馬鹿どもの中の一匹青猫の”ハッピー”だろう。

 

「ということは合流したんだな…。ナツとグレイが見えないが…まぁい、ん?」

 

 まぁいいと呟こうとした俺はこの頭に思い浮かばれるマップを再度みて言葉を詰めた。

 

「…」

 

ーーザザッ

 

 下を俯いたまま、俺は何も発さずその場を後にし、エルザ達がいるであろう方向へと駆けた。

 

ΘΘΘΘΘ

 

 

 この男達は森の影を利用し、隠密に行動を行っていた。動作から読み取れる動きはしななやか。手際がいいという言葉が適切であろう。自分達がいあおうなしに入った組織の”頭”に命令が下されたからだ。

 

 『村を消して来い。邪魔をする奴らは皆敵だ』と。

 

 その命令の上で彼らは幹部である”シェリー”と呼ばれるゴスロリと呼ばれる服を纏った女を頭にし、行動に移った。

 

『アンジェリカを使って上空から毒ゼリーを巻きますので、被害が及ばないそこらへんの森にでも潜んでてほしいですわ。あぁこれも零帝様に愛してもらうため』

 

 ”頭”の命令は絶対だ。

 その後半はまったく理解できていない男達だったが、つまり危ないし、邪魔だからどいてろ、ということだけは理解した。

 なんだよ、俺達を襲って、下僕として取り入れた意味あったのかよと悪態を吐きたいと思わず、溜息を吐きたくなるが、状況は一変した。

 

 作戦は失敗に終わったのだ。

 いやどちらかというと村は溶け、無くなった。これで村自体は消え、成功とは言ったものの肝心の敵である村人と組織の”頭”と相対していた魔導士ギルドの連中は消えなかった。

 

 幹部たちが其々相手取り、結果として彼らは現在の”頭”である”シェリー”を追いかけたのである。当の本人は作戦で先ほどしようした巨大ねずみ”アンジェリカ”とともに空から墜落した。

 

 そちらのほうにも魔導士なるものが一緒に墜落していたのは確認でき、そちらに助太刀に加わったほうがよいだろうという判断もあった。もう一つ、その魔導士が女で美人だったという理由もつけてよいだろう。

 

 しかし急ぎ足で到着しれみれば、予想をはるかに上回っていた。いや予想が外れたというべきか。

 その金髪の女魔導士が思ったより強かったのだ。彼らが到着した時に見た光景が、伸されて気絶しているであろう巨大ねずみ”アンジェリカ”と自分たちがいやとでも体で味わったあの彼女シェリーが創り出す岩の巨人相手に引かず、むしろ勝って見せた瞬間だったのだ。

 真実はアンジェリカは墜落の際に気絶し、術者が倒されたため、岩人形も崩壊へと辿ったというのが本当なのだが、彼らは魔導士ではなくただの盗賊であるからして、そんなことはわからない。

 

 だがここでアンジェリカは気絶から回復し、見事にあの女魔導士に襲い掛かった。勝機だと思ったのも束の間、どこからともなく表れたのか自分たちが初めて視界にいれる女騎士の剣の一刀により沈められたのだ。あいつの仲間であり新手が現れた。事体が目まぐるしく変わっていく中この男達はいまだに森の影に潜んでいる。

 

 だが”頭”がやられたのには間違いないのだ。

 どうすると仲間のうちで顔を見合わすが彼らに逃避という言葉はない。あの女魔導士は先ほどアンジェリカの予想外の飛び込みに魔法は使わず、無防備を晒していた。

 今ならシェリーとの戦闘で疲労を抱えているあの魔導士を倒すことができるのではないか、あの女騎士をこちらの数でおさえることができるのではないか。この組織の”頭”はそれなりの功績を残すか、この活動を終えるかどちらかには解放してくれると約束をしてくれた。

 盗賊である彼らが口約束をされただけでは、破るのは定義だが今は断れる立場ではない。アジトを襲われた後、その約束の元彼らは組織の傘下という名の”下僕”へと成り下がった。

 

 そんな彼らには絶好のチャンスだ。

 

「はぁはぁ」

 

 次第に息が早くなる。押しやるぞ、解放されるんだ。こんな奴隷に近いことはもうこりごりだ、盗賊なんて稼業をやっていたばかりに。今度こそ盗賊から足を洗いまた自由を手に入れるんだと。

 

 互いに息を再度整え、生唾を飲み込み飛び出した。

 

「で、お前らなにしようとしてんの?」

 

 不意に後ろから聞き覚えのない自分たち盗賊には似つかない爽やかな声が響いた。

 驚愕に満ち、体の反射とばかりに飛び出そうとしていた盗賊が勢いよく振り返り、視線を一転に集中させた。そこにいたのは薄いクリーム色のセーターを纏い、ひときわ目立つ水色の髪を隠したこげ茶色のバンダナを巻いた青年だった。

 

「だ、誰だ!」

「ふむ、身なりからして村人ではないし、…賊ってとこか?」

 

 問いに答えない青年に彼らは敵意を向けた。姿を見て思ったが彼はこの組織の人間ではなく、敵だと。顔をひねった際に、デコに前髪で隠れる紋章がちらりとみえた。あの女魔導士が手の甲にしている紋章と同じだ。確定こいつは敵だ今すぐ排除しなくては。

 すぐさま視線を盗賊全体に配らせ、元リーダーであったこの男は曲刀を引き抜いた。

 

「敵意むき出しかい…」

 

 じりじり詰め寄る盗賊たちにこの青年は臆することなく、溜息を吐いた。

 

 そして、右腕を前に突き出した青年から盗賊達は聞いた。

 

「砂武装《サンドウェポン》・ブレード」

 

 彼の魔法名。その起動となるワード。

 その突き出したその右腕から造作もなく引き出されるのは身丈ほどの砂色に染まる大剣《ブレード》。

 戦慄が走り、自分達の前でその身丈ほどある重量感ある大剣を片手でおもちゃでも扱うように持ち上げ肩にかける。

 

「まっ、お前ら程度なら”大剣《ブレード》”だけで十分か」

 

 青年はにやりと不敵に笑った。




戦闘シーンうまくかけるように精進します…w
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