どうしてこうなった? アイシャIF   作:たいらんと

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第百五十八章

 

 トレードショップへ行って、ダブっているスパイシーレモンを売却し、その後ビンゴがあるカジノへ向かう。その頃にはもう夕方5時を回っていた。

 

 目的のカジノへ繋がる長い廊下を進む道中、

 

「そういやメレオロンとシームは、何も口にしてないのか?」

「うん……」

「この子、なんか喉通んないらしくて」

 

 シームの落ち込みようがハンパじゃない。これは重症だな……

 

「せめて水分はしっかり取った方がいいぞ。

 ギャンブルにのめりこみすぎて健康害するヤツ、結構いるからな」

 

 ベルさんを半眼で見つつ、モタリケさんがもっともらしいことを言う。確かにシーム、顔色がよくないな。

 

「……ウラヌス、しばらくシームのそばに」

「ん、分かった」

 

 小声で伝えると、すぐ理解してくれたようだ。健康状態を見るのに、ウラヌスの目ほど信用できるものはないからね。……今の私じゃ、オーラを見ることすらできない。

 

「メレオロンも、水分と栄養はちゃんと摂れよ?」

「分かってるってば」

 

 話してるうちに廊下を抜けて、フロアへ。

 

 そこには、いわゆるゲームセンターにありそうなビンゴマシーンが何台も置いてあった。……いや、多分そうだろうっていうだけで、ホントにこれでビンゴするのか知らないけど。

 

 メレオロンがフロアを見回しながら、

 

「これがビンゴ?」

「そうだよ。

 いわゆるゲーセン仕様だな。リアルのカジノじゃこういうの使わないらしいけど」

「これって、あのビンゴでいいの?」

 

 尋ねながら、さりげに手を繋ぐシーム。柔らかく握り返すウラヌス。小首を傾げつつ、

 

「どういう意味で聞いてるかで、返答変わるんだけどな。ビンゴって種類あるし。

 ただ、一般的なビンゴかって意味なら、そのビンゴと同じだよ。

 出た数字が1列に並べばビンゴ」

「うん、それ!」

「だわな。

 それをゲーム機でやるだけだよ。

 ちっとクセあるから細かく説明するけど、まずはチップ確保な」

 

 キャッシャーへ行き、全員が5000チップを10枚ずつ持つことに。

 ところが、シームだけチップの受け取りを拒否する。

 

「いいよ、ボクこんなにいらない……」

「そう言わずに、持っててくれよ。1人だけ違うと管理が面倒だからさ。

 賭け方は好きにしていいけど、最低でも1ゲーム1000チップいるんだよ。

 だから、な?」

 

 ウラヌスに説得され、かなり渋々チップのカードを受け取るシーム。

 手を繋ぐのをやめたウラヌスは、ゲーム機の群れに手を向け、

 

「どのゲーム機でもいいけど、1台に全員座っとこ。

 今は他にプレイヤーは居ないけど、誰か来た時にバラけてたらちょっとアレだし」

 

 うんうん。危機管理面でもそうだし、せっかく6人集まってるんだ。みんなでワイワイやりたいもんね。フロア内はNPCしか居ないから、気兼ねなく遊べそうだ。

 

 

 

 最初は説明を兼ねて、ウラヌスが1人でビンゴを始めることに。

 

「まずビンゴルールのおさらいな。

 ビンゴが始まると、01から75までの数字がランダムで選ばれる。

 同じくランダムで数字が書かれた5かける5マスのシートに、同じ数字が選ばれる度にその場所へ穴を開けてく。

 何十球かボールが選ばれる間に、シートのどこか縦横斜め1列、穴開きで揃えたら勝ち。

 ……ってまぁ、まさかビンゴ分かんないヤツ居ないよね?」

 

 全員うなずく。そりゃねぇ。

 

「オケオケ。

 んで、このビンゴは数字の決め方がちょっと特殊。

 ビンゴマシーンの中央に01から75まで書いた穴があって、上からボールが回転しながら降ってくる。ボールが入った穴の数字が有効、選ばれた数字になる。

 球は1セットごとに、10球・6球・3球・3球・3球とまとめて降りてくる。その合計25球以内に何も揃わなかったら負けだな。基本的に」

「しつもーん」

「なに、シーム?」

「どうやったらアイテムもらえるの?」

「条件が2つある。まず最大額賭けること。詳しい説明は後でするけど。

 そのうえで、1シートの中で2列ビンゴさせること。これが条件」

 

 メレオロンが怪訝そうな顔をし、

 

「あのさ。

 1列だけでも25球じゃキツいと思うけど、2列なんて揃うの?」

「救済措置はあるけど、真っ向勝負じゃかなりの幸運が必要だろうな。

 少なくとも普通のビンゴだと、まず揃わないと思う」

 

 だよねぇ。1列揃うのだって、大抵は30球ぐらいからだろうし。

 

 ウラヌスはゲーム機のモニターを指し、

 

「で、実際遊ぶ時なんだけど。

 本当に最低単価だと、実は100チップから遊べる。でもそれじゃアイテムは取れない。

 100チップを1ベットとして、1シートにできるマックスベットが10。

 つまり1000チップで、アイテムの獲得条件が1つ満たせる。

 マックスベットにはもう1つボーナスがあって、通常だと良くあるビンゴシートと同じように最初から真ん中にフリーの穴が開いてるんだけど、マックスベットだと斜めの列のどこかにもう1つフリーが出来る。単純にその分だけ当たりやすくなるんだ。

 1ゲームで、4シートまでいっぺんに賭けられる。だから4000チップずつ使えば、毎ゲーム4シート同時に勝負できる。そうやってアイテムゲットまでの時間を短縮する。

 1ゲーム5分くらいだし、6人がかりならそんな時間かからないんじゃないかな」

「……いっぺんに4000も賭けるの?」

 

 予想通り、シームが不安げな顔を見せる。ウラヌスは柔らかく微笑み返し、

 

「1000単位であればいくらでもいいよ。慣れてないと、4シート同時は気が散るしな。

 ただ、1000刻みにはした方がいいと思う。

 って言うのも、たとえば1100とか中途半端な賭け方すると、1シート目に1000、2シート目に100賭けたことになるんだ。均等に賭けたりとかできないんだよ。

 それで100賭けたシートだけ当たったりすると、けっこう気分悪いからさ」

 

 あー。それはなんか分かる。

 

「だから少額賭けて楽しみたいなら、1000だけ賭けることを勧める」

「……ん、わかった」

「それじゃま、実際やってみせるよ」

 

 ウラヌスが、モニター横の投入口から5000チップを1枚入れた。

 

 すると小気味いいサウンドが流れ、それまで暗かったモニターが明るく点灯する。

 

「最初は10ベットからいくよ。このボタン1回で10ベットできる。

 大丈夫だと思うけど、加減して賭けるなら操作ミス注意な。連続で押したりとか」

 

 モニターには、いわゆるビンゴシートが1枚表示されてる。真ん中と左上隅がフリーだ。あとは23マスに適当な数字が振ってある。

 

「賭け終わったら、後は締切を待つだけ。

 ちなみに1台のゲーム機で、全部のサテライトが結果を共有してる。ゲーム機の中央で出た数字はみんな同じってこったな。これはビンゴなら当たり前だけど。

 ちなみに1列揃わなくても後1つで揃うリーチが早かった場合も、ちょっとだけ配当がもらえる。やってたらその時の倍率がモニターに出るから、何となく分かるだろうけど。

 ……ん、時間だな」

 

 ビンゴマシーンの中央で、景気のいいアナウンスとともに音と光が流れる。やがて中央付近からボールが複数ぐるぐると回転しつつ落ちてきた。

 うーん……ルーレットみたいな感じで、ちょっと嫌だな。気にしすぎだろうけど。

 ボールが10個、次々に穴へ収まった。

 

 

 んー。出てはいるけど、散ってる感じがするな。これで5分の2終了だし。

 モニターに表示されていた払い出し倍率がグンと下がり、2セット目のボールが投下。

 ボールが6個、さっきより早く穴へ収まる。

 

 

 いまいちだな……あと9球か。

 3セット目のボールがぐるぐると降りてきて──

 オールはずれ。ウラヌスがちょっと気分悪そうにしてる。まぁ3球だもんね。

 4セット目。お、49来た。けど……

 

 

 残り3球でこれは、まぁ無理だよね。

 ウラヌスが肩をすくめる中、5セット目のボールは無情に外れていった。

 

「しゅーりょー。

 リーチすら来やしない」

「ねぇウラヌス、ほんとに大丈夫?」

 

 さっきより不安そうなシーム。こんなの見ちゃうとね。

 

「適当にやってりゃアタリもハズレもするよ。

 あんまり気構えずにやるのが一番かな。

 そんなに心配なら、とりあえず俺の隣で眺めてるだけでもいいさ」

 

 悩むシーム。私も少し考え、

 

「ちょっと、飲み物取ってきますね」

「うん。タダで配ってるからシームの分もお願いするよ」

「アタシも行くわ。持ちきれないでしょ?」

 

 言って、メレオロンと2人で場を離れる。

 

「……ちょっとシーム、重症すぎない?」

「すっかり怯えちゃってますよね」

「そう言うアンタはどうなの?

 さっきルーレットでこっぴどくやられてたけど」

「ぅ。

 ……ま、まぁ多少は後を引いてますけどね。でもシームほどじゃないですよ」

「たかがビンゴで、あのビビリようだもんねぇ。

 大勝ちして、ギャンブルにハマられても困るけどさ。アレはアレで困るわー」

「そんなに心配しなくても、時間が解決すると思いますよ?

 とにかく、今はウラヌスに任せておきましょう」

「世話になりっぱなしねぇ。

 あいつ、くたびれなきゃいいんだけど」

 

 それは確かに心配だな。……けどスク水の恨みがあるし、フォローする気になれないよ。フン。

 

 

 

 私とメレオロンで2つずつ飲み物のグラスを確保し、ゲーム機へ戻る。

 メレオロンはウラヌスにグラスを渡し、さっさと端の席へ座ってしまった。

 そうすると自然、私がシームに飲み物を渡して、その隣の席へ座ることに。負け犬同士、傷を舐めあえってこと? ぐぬぬ……

 いやまぁウラヌスをフォローしろってことだろうけどね。そっちはそっちで腹立たしい。……シームの健康管理を頼んだのは私だけどもさ。うぅん……

 ちなみに夫婦は、さっさと自分達の分の飲み物を確保し、ビンゴに興じてる。向かいの席から一喜一憂する声が聴こえてくる。

 当然とっくに2ゲーム目は始まってるので、私とメレオロンは次回のゲーム待ちだ。

 チップを2枚放り込んでおき、グラスを傾けながら隣の会話にも耳を傾ける。

 

「……やっぱりウラヌスって、ゲーム上手だよね」

「おいおい、ビンゴなんて誰がやっても同じだよ。

 さっきも見てたろ? 俺がしょっぱい負け方したの」

「ううん、そういうのじゃなくて。

 ほら、勝つ為にはどうすればいいか、すぐ分かっちゃうじゃん」

「買いかぶりすぎかなぁ。

 あらかじめ知ってるから何とかなるだけで、準備なしじゃ無理だよ」

「……でも、ギャンブルなんてお金使うし。

 ぼくだったら、どうしたらいいか分かんないもん」

「普通のゲームに比べりゃ、まぁ勝ちにくいだろうな。

 けどシーム。俺だって初めから上手くいってるわけじゃないぞ。

 痛い目に遭うなんてしょっちゅうだよ」

「……ほんとに?」

「失敗して痛くてしんどいから、次はなんとかして成功させようとするんだよ。

 痛いのを嫌がってたら、何にもできるようにならないからね」

「……。

 どうしたら、ウラヌスみたいにできるようになるの?」

 

 尋ねられた彼は、困ったように微笑んでシームの髪をくしゃりと撫でる。

 

「俺みたいにできる必要なんて全然ないよ。

 シームはシームの、できることがあるからな。それは今でもそうだろ?」

「でも……

 ウラヌス、なんでもできるじゃん」

「……うぅん。俺はちょっとずつ、色んなことができるだけ。

 なにか1つ得意なヤツには勝てないよ。

 シームはシームのやりたいことができるように、得意なことで勝てるようになればいい。

 シームは俺みたいに、中途半端なヤツになっちゃダメだぞ」

「ウラヌス……」

 

 ……うぅ、すっごい重たい話だな。全然クチ挟めないんだけど。

 っと。今のゲームが終わったな。

 

「ほら、また負けだったろ? これが普通だよ。

 勝ったり負けたりするのが当たり前って分かってたら、こんなのどうってことないさ」

 

 ウラヌスがチップを追加投入する。少しシームが悩む素振りを見せた後、チップを入れ、ゲーム画面を睨みだした。

 シーム越しにウラヌスが私へ苦笑してみせたので、私も自然に苦笑が零れた。やれやれ、苦労が絶えないな。

 シームの画面を見ると1シート分だけ賭けてたので、私も慣らしとして1シート賭けてみる。まずは、普通にビンゴを楽しむとするか。

 

 

 

 3ゲーム目。

 とりあえず私とシームは1列リーチしたものの、そのまま終了。ウラヌスや夫婦はもう4シートでやってるようだ。シームは、自分とウラヌスどっちの画面を見るか迷ってた。夫婦はさっきにも増してやんやと騒いでる。どうもモタリケさんがビンゴを揃えたらしい。

 

「アイシャ、アタシ達も負けてらんないわよ」

「……そうですね」

 

 釣られて私も、次は4シートでいってみる。シームはきょろきょろと悩んでみせた後、4シートでいく決心をしたようだ。ここからが本番だな。

 

 賭けが締め切られ、4ゲーム目が開始。まずは1セット目の10球。

 ボールが次々収まっていく中、私の両隣が突然騒ぎ出した。

 

「キタキタキタァ!」

「え、もうリーチなんだけどっ!?」

 

 ……。姉弟がめっちゃ盛り上がってる。ははー。うらましいな、ちきしょう。

 ちなみに1セット目でリーチすると、最後までビンゴしなくても賭け金の1.2倍が返ってくる。つまりそのシートは勝ち確定ということだ。……フンだ。私も3つ並びのシートが1つあるもんね。

 

 2セット目。

 

「やったぁーっっ!!」

 

 ……シーム、早くもビンゴ。おぉぅ……こっちまだリーチも来てないぞ。

 ていうかシームがビンゴしたシート、めっちゃ当たりだな。

 

 

 もしかして2列ビンゴいけるんじゃないか? 自分のより、こっち見てようかな。

 

 3セット目。……あ、55入ったぞ!

 

 

「ねぇねぇウラヌス、これって!?」

「ん。もし44が来たらアイテムゲットだよ」

「えっ!?

 そっち、もしかして2列来そうなのっ!?」

「ああ。44に入ったらクリアだな」

「うわぁ。いいなぁ♪」

「ほら、シーム。

 モニターのBINGO倍率んとこが、JACKPOTになってるだろ?

 これが来たら、チップの代わりにアイテムカードが払い出される」

 

 言われて、シームがめっちゃソワソワしだす。

 

「アイシャ、あんたのも1つリーチじゃない?」

「ええ、まぁ……」

 

 正直どうでもいいです。どうせ2列揃わないしさ。……私のは15でビンゴか。いちおう見とくけどね。

 

 4セット目。ボールが入ったのは──19。69。01。

 

 

「ぅー……!」

 

 じれったそうにシーム。だろうなぁ。クリアできるかどうかの瀬戸際だし。

 

 5セット目。やけにボールはゆっくりと回り……

 

 05。04。71。

 

 

 がっくりするシーム。まあ、確率的にはこうなりやすいもんな。残念だけど仕方──

 

 

 

『ボォーナスゲィム、スタァートォォォッ!!』

 

 

 

 なんかゲーム機が叫んだ。はっ!? なになに?

 

「あ、ゴメン! 言うの忘れてた!

 1列ビンゴで1つ以上リーチの時だけ、ラストチャンスで5球追加されるよ!」

 

 ちょっとッ!? そういうのは忘れないでほしいよ、すっごい大事な情報じゃないか。

 シームが目を見開いて、落下してくる5つのボールを凝視している。

 ……私の画面はもう決着がついてる。シームのところだけボーナスゲームになるのか、なるほどね。2列ビンゴ用の救済チャンスなんだろう。

 

 ボーナスゲーム、最後の5球は──

 

 37、09、40……15……43。

 

「ぁぅー……」

 

 シームが今度こそ、がっくりと肩を落とす。……きついだろうなぁ。つうか15、今さらくんな。完全嫌がらせじゃないか、案の定ビンゴ扱いになってないし。

 

「──あぁ、もうっ! 次つぎ!

 シームくん、次は負けないわよー!」

 

 ベルさんの声に、顔を上げるシーム。唇を噛んだ後、再び4シートで賭けだした。……まったく、たかがビンゴなのにずいぶん熱くなっちゃうな。

 

「ところでメレオロン、ハズレました?」

「……外れたわよ、うっさいわね」

 

 みんな4シート賭けだすと、流石に荒れまくるな。楽しいからいいけどね。

 

 

 

 5ゲーム目、私が2セット目でようやくビンゴ1列揃えて、息を吐く。他のみんなは、リーチこそあったものの揃うことなく終了。結構これ、出費激しいんじゃないか? ……長引くとマズイかも。

 

 

 

 6ゲーム目、なんと誰もリーチすらせず終了。おいおい、なんか本格的にイヤな空気になってきたぞ。手早く次の4シートを賭け終え、席を立ってウラヌスのところへ。

 

「これ、大丈夫ですか?」

「うーん……

 そろそろ返ってくるとは思うけどね。だいぶ飲まれてるし」

「……ということは」

「そ。このゲームもそういうタイプ」

 

 シームが私達の会話を不思議そうに聞いてる。話すと面倒なことになりそうだから説明しないけど……。私とウラヌスみたいに、ブラックジャックの件を蒸し返して、シームとメレオロンが喧嘩を始めかねない。

 このゲームも、アタリとハズレを交互に繰り返すタイプみたいだ。ということは私達がやり始める前に、このビンゴマシーンで誰か当てていったのかもしれないな。

 

 

 

 7ゲーム目が始まる。

 10球のボールが収まっていく中、

 

「リーチ来たぞ!」

「こっちもリーチ来たよっ!」

 

 モタリケさんとシームが1セット目からリーチ。いいないいな、私も結構数字は来てるんだけどな。

 

 2セット目。6球のボールが回り、

 

「っしゃあ! ビンゴォ!」

「私はリーチですね」

「俺もリーチ」

 

 またもモタリケさんがビンゴ。今回みんな来てるな。両隣を見ても、1シートいい感じのがある。ベルさんが静かだけど……。とにかく36、36くださいな。

 

 3セット目。ささやかな3球が回り回り、

 

「やった、ビンゴ!」

「……やぁっとアタシもリーチ」

 

 シームがパンッと手を叩いてハシャぐ。メレオロンが溜め息混じりにそう言う。

 来てる。来てるけど肝心の2列ビンゴに、まだ誰も届いてない。

 

 4セット目。ボールはやけにゆっくり回り続け、

 

「きたぁー……! ビンゴそろった……」

「リーチしたよっ!」

 

 姉弟が口々に戦況報告。メレオロンがビンゴで、シームがまた2列ビンゴのチャンスか。

 

「モタリケはリーチしたか?」

「……してない」

「じゃあ、またシーム頼みだな」

 

 夫婦が立ち上がる。向かいの席から、ゲーム機を回り込んでこちらへ。……この分だとベルさん、リーチすらしてないな。

 

「シーム君、なにが来たらビンゴ?」

「えっと……59」

 

 

「他にリーチしてる人は?」

「私が36で、1列ビンゴします」

「俺は2つリーチしてるけど、5セット目で1つでもビンゴしないとボーナスゲームまで行けないな。13と71」

 

 話してるうちに5セット目が始まる。盛り上がるゲーム機と裏腹に、沈黙のまま全員がボールの行方を見守る。

 

 12。45。……17。

 

『ボォーナスゲィム、スタァートォォォッ!!』

 

 私とウラヌスは消えてしまった。けど、シームがラストチャンス。身震いするシームの肩に、ウラヌスがそっと手を乗せる。

 

 

 59と71が来ればクリア。ボーナスゲームは5球だから、確率はそこまで低くない。

 

 派手な音と光の中、巡り落ちる5つのボール。

 

 

 

 ──03。18。06……71ッ!!

 

 

 

 最後のボールを待たずして、シームのモニターに『W-BINGO!!』の文字。

 

 とても心地のいいファンファーレが、フロア中に鳴り響いた。

 

 シームが泣きながら崩れるようにウラヌスへ抱きつき、ウラヌスがしっかりと支える。

 おおげさだなぁ……と思いながらも、私は知らず拍手していた。メレオロンと夫婦も、シームに拍手を送る。

 運の巡りではあるけど、実際お手柄なんだよね。このまま長引いてたら、どれだけソンしたか分かんないもん。

 おっと、シートのトコからカードが出てるな。1分経つとマズイし、私の方でいったん預かろう。

 

 

 

『296:ゴールデンピーチ』

 ランクD カード化限度枚数63

 幻の果実 最高品質の黄桃で

 一齧りすると 天にも昇る甘露な蜜が溢れ出す

 金色に輝く皮も美しく 美術品として飾られることもある

 

 

 

 

 




 
 
 
 
 
・ビンゴ各ゲームリザルト

 1ゲーム目
 ウラヌス :1シート⇒-1000J

 2ゲーム目
 ウラヌス :1シート⇒-1000J
 ベル   :1シート⇒-800J(2ndリーチ)
 モタリケ :1シート⇒-1000J

 3ゲーム目
 ウラヌス :4シート⇒-3900J(3rdリーチ)
 アイシャ :1シート⇒-1000J
 メレオロン:1シート⇒-1000J
 シーム  :1シート⇒-1000J
 ベル   :4シート⇒-3600J(2ndリーチ×2)
 モタリケ :4シート⇒-2300J(2ndリーチ・5thビンゴ)

 4ゲーム目
 ウラヌス :4シート⇒-4000J
 アイシャ :4シート⇒-3900J(3rdリーチ)
 メレオロン:4シート⇒-2800J(1stリーチ)
 シーム  :4シート⇒+2300J(1stリーチ・2ndビンゴ・3rdリーチ)
 ベル   :4シート⇒-4000J
 モタリケ :4シート⇒-4000J

 5ゲーム目
 ウラヌス :4シート⇒-3800J(2ndリーチ)
 アイシャ :4シート⇒+2200J(1stリーチ・2ndビンゴ)
 メレオロン:4シート⇒-4000J
 シーム  :4シート⇒-4000J
 ベル   :4シート⇒-3800J(2ndリーチ)
 モタリケ :4シート⇒-4000J

 6ゲーム目
 ウラヌス :4シート⇒-4000J
 アイシャ :4シート⇒-4000J
 メレオロン:4シート⇒-4000J
 シーム  :4シート⇒-4000J
 ベル   :4シート⇒-4000J
 モタリケ :4シート⇒-4000J

 7ゲーム目
 ウラヌス :4シート⇒-3700J(2ndリーチ・3rdリーチ)
 アイシャ :4シート⇒-3800J(2ndリーチ)
 メレオロン:4シート⇒-1900J(3rdリーチ・4thビンゴ)
 シーム  :4シート⇒+200J(+5万J)(1stリーチ・3rdビンゴ・6thビンゴ)
 ベル   :4シート⇒-4000J
 モタリケ :4シート⇒+2200J(1stリーチ・2ndビンゴ)



・ドリアスカジノリザルト

 ウラヌス:トータル+27万1600J
 内訳
 ポーカー :+30万J(アイテム込み)
 飲食代  :-400J
 休憩代  :-2500J
 ルーレット:-4100J
 ビンゴ  :-2万1400J

 アイシャ:トータル-1万6500J
 内訳
 ルーレット:+4万4400J
 飲食代  :-400J
 ビンゴ  :-1万500J
 ポーカー :-5万J

 メレオロン:トータル+9万6300J
 内訳
 ブラックジャック:+11万J(アイテム込み)
 ビンゴ     :-1万3700J

 シーム:トータル-8万6500J
 内訳
 ビンゴ     :+4万3500J(アイテム込み)
 ブラックジャック:-13万J

 ベル:トータル+2万200J
 内訳
 クラップス:+2万7500J(アイテム込み)
 バカラ  :+1万6000J(アイテム込み)
 飲食代  :-3100J
 ビンゴ  :-2万200J

 モタリケ:トータル+7500J
 内訳
 ビデオポーカー:+2万9000J(アイテム込み)
 飲食代    :-2400J
 バカラ    :-6000J
 ビンゴ    :-1万3100J

 ポーカー合計収支    :+25万J(アイテム込み)
 ルーレット合計収支   :+4万300J
 ビデオポーカー合計収支 :+2万9000J(アイテム込み)
 クラップス合計収支   :+2万7500J(アイテム込み)
 バカラ合計収支     :+1万J(アイテム込み)
 雑費合計収支      :-8800J
 ブラックジャック合計収支:-2万J(アイテム込み)
 ビンゴ合計収支     :-3万5400J(アイテム込み)

 全合計収支:+29万2600J(アイテム込み)



 所持金:100万J ⇒ 82万6600J




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