どうしてこうなった? アイシャIF   作:たいらんと

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第百六十一章

 

「──確かに。じゃあな」

 

 受け取ったカードを満足げに眺めた後、プーハットさんは背を向けた。

 

 ポーカーのバーカウンターから、プーハットさんが立ち去っていく。私とウラヌスは、くたびれたスーツの背中をしばらく見送る。

 

 フロアから消え、気配が充分遠ざかった後、バインダーに収まったレインボーダイヤを2人で眺める。

 

 私達は目を合わせ、軽く微笑みあった。

 

「はぁー……。ブック。

 お疲れ、アイシャ」

「いえ、あなたこそお疲れ様です。

 それより、この後どうします?」

 

 ウラヌスがアゴに手を当て、考え出す。バタバタしてたから、予定立てる暇なかったんだよな。

 

 私達以外の4人には事情を説明し、トレードが終わるまでルーレットのフロアで待ってもらっていた。スロットをやる必要もなくなったし、引き続きルーレットに挑戦した方がいいんだろうけど。

 

「まぁ一度合流しようか。

 みんなルーレットに飽きてたら、もう終わりでいいと思うし」

「でも、メレオロンが反対しそうな気も」

「かもね。そん時は交代交代かな」

 

 

 

 私達もポーカーフロアを出て、ルーレットフロアへ。……ん? やけに賑やかだな。

 

「くーろ、くーろ、くーろ……あぁーっ!」

 

 掛け声と手拍子、そして悲鳴。ダメだったんですね、分かります。

 

「騒々しーな、あいつら」

「賑やかですよね」

 

 苦笑しあいながら、まだワイワイ言ってるテーブルへ近づく。ていうか、騒いでるのはベルさんだけか。

 

「あんまり騒ぐなよ、目立つだろ?」

「あ、ちょっと聞いてよー!

 ダブルアップ7回、7回まで行ったのにさー!」

「だから俺もそこまではいけたっつーの。

 そっからだよ」

 

 テーブルを見ると、チップを大量に回収される前で項垂れてるメレオロン。あーらら。

 

「トレードは終わった?」

「こっちは無事な」

「ならスロットをやる必要はなくなったから、ますますコレを何とかしなきゃね♪」

 

 そうハリきるベルさんへ、物言いたげな目を向けるメレオロン。

 

「なに? どうしたの?」

「……アタシ、もういい。誰か代わって」

 

 あはは、メレオロンも折れちゃったか。私もルーレットはイヤなんだよね。

 ウラヌスは腕を組み、

 

「それなんだけどさ。

 無理せず、降りるのも手かと思ってる」

「……アイテム諦めるの?

 ここまで来て」

「つっても、メレオロンもやりたくないんだろ?

 完全に持久戦だからな。飽きて気力損ねるくらいなら、他のことに労力注いだ方がマシだよ」

「けどさぁ……」

「ランクS絡みなんだから、そんな一気呵成(いっき か せい)に取れやしないさ。

 ルーレットに勝っても、次はチャンタの密林を探し回らないといけないからな。それが終わってようやくグルセルでカードゲットだよ。面倒なイベントだし、(おり)を見て進めればいいさ」

「……」

 

 メレオロンが口を噤む。モタリケさんは軽くうんうん頷き、

 

「よくある光景だよな」

「そうよねぇ。

 ルーレットのところでプレイヤーが渋滞するのは、風物詩だったもんね♪

 それもみんなうんざりした顔してるの」

 

 そりゃそうだろう。だってこれ、リスキーダイスで1回大吉出しただけじゃ取れないんだもん。やけにキツくないか?

 

「これで取れるアイテムって、ランクは何ですか?」

「えっと、Cかな」

「……難しすぎません?」

 

 そう尋ねると、ウラヌスは言葉を選ぶ素振りを見せ、

 

「……スロットほどツマんないわけじゃないけど、理不尽ではあるよね。

 いちおう救済策として、複製したランクSカードを『妥協』でランクCにする手もあるけど……それは最終手段かな」

「そうしようにも、余分なランクSがないですもんね」

「今はね」

 

 まさか、独占してる浮遊石でそれをするわけにもいかないしな。

 

「無理やりルーレットで取った方が、やっぱりいいんじゃないの?」

「どっか強行突破しないと、現状打破はできないな。

 ただ、無理してする必要あるか? って話だよ」

「休養を兼ねてここに来たわけですし、攻略で疲れるようじゃ本末転倒ですよ」

 

 何が困るって、ウラヌスに疲労を残されると明日の修行に差し障りが出る。……バトルイベントならまだしも、ギャンブルなんて修行の代わりにもならないよ。

 

 私達が悩んでいると、ベルさんが気楽に手をパタパタ振り、

 

「今日は早めに休んで、また明日でいいんじゃない?

 明日になってもやる気が出ないなら、終了でいいと思うけど」

「……そうすると、ドリアスで泊まり確定だな」

「そのつもりじゃなかったの?」

「うーん……

 まぁいいけどな。ここまで順調だったし、あんまケチくさいこと言うもんじゃないか」

「ウラヌス、ふとっぱらー♪

 こんなほっそい身体して」

「一言多い。

 で、みんなはどう? 今日はドリアスで泊まって、明日また挑戦でいい?」

 

 ……。まぁ私は反対する理由がないかな。

 

「オレはもちろんいいよ。どうせベルがこう言ってるしな」

「モリーったらぁ♪」

「うっせーよバカップル。……3人は?」

「ぼくはおねーちゃんに任せる」

「はーいはい……アタシはそれで構わないわよ」

「私も問題ないです」

「じゃあ決定。

 今日はドリアスで宿泊。どこ泊まろっかな?」

「どうせならさー」

 

 ベルさんが、天井を指差す。ん?

 

 痛そうな顔でウラヌスが片目をつぶり、

 

「……ここか?

 6人一泊二日だと結構むしられるハズだけどな」

「いいじゃない、ちょっとくらい贅沢したって」

「ちょっとどころじゃねーよ。

 今日休憩した時だって、一人部屋一時間で2500だったんだぞ?」

「あー、ウラヌス。その……」

「ん?

 なに、アイシャ」

「私、ここから夜景を見下ろしてみたいなぁ……って」

 

 呆けた顔をした後、天を仰ぐウラヌス。あはははは、すんごい嘆いてる。

 

「ほら、彼女もこう言ってるじゃない♪」

「1億ジェニーの夜景、リクエストされてるぞ。甲斐性見せろ」

 

 煽る夫婦。やがて、だらんと身体を脱力させ、

 

「……

 分かった。泊まるよ、泊まりゃいいんだろ。あーもう……」

 

 ハッハッハ。やったね。いくらするんだろうなー。

 

「どうせなら最上階に泊まりましょうよ♪」

「いや待て、そういうトコって絶対ロイヤルスイートとかヤバイやつだろ。

 シャレになんねーよ」

「でも、そこから見下ろす夜景はいいと思うわよ」

「んなもん、気分の問題だろ……」

 

 頭を掻きながら、キャッシャーに向かって歩き出すウラヌス。メレオロンとシームが、慌ててテーブルに置いたままだったチップを回収する。

 

 ま、充分収穫はあったし、今日はこれでよしとしよう。

 

 

 

 ここって たかいおへやは わんふろあ かしきりでしか とまれないらしくて

 

 いっぱく おとまりするのに にじゅうごまんもかかりました まる

 

 

 

「わぁー。綺麗だね」

「ホントねぇ……」

「ドリアスの夜景、壮観ですねぇ。ここに泊まれてよかったですよ」

「……」

 

 高級感あふれる室内の大きなガラス窓から見下ろせる煌びやかな夜景に、目をキラキラさせるシーム、感慨深げなメレオロン。

 

 ……約1名ソファーに突っ伏してるけど、目を合わせないことにする。しーらない。

 

「ぅぅぅーー……

 博打より、贅沢してる出費の方がデカイんだけどぉ……」

 

 低い唸り声に混じってなんか聞こえてきたけど聞こえない。

 ……夜景を眺める為に部屋の明かりを消してるから、よけい悲惨なオブジェに見えるな。

 

「ウラヌスも一緒に見ようよ。綺麗だよ?」

 

 シームが無邪気に呼びかける。倒れ伏していた生物がもそもそ動く気配。緩慢な歩みでこちらへ来て、

 

「だいたい夜景なら、飛行船からも見てただろ……?

 つい、この間のことじゃないか」

 

 この間、か。もうずいぶん経ってる気もするけどね。色々あったからだと思うけど。

 

「アレもよかったけど、これはこれでスゴくない?」

「そう言えばそうね。こっちの方が綺麗な気もするけど」

「あ、分かりました。

 きっと飛行船と高さが違うからですよ。だから目に届く光の強さが違うんです」

「あー、そっかも」

 

 シームは感心したけど、ウラヌスは口をヘの字にする。

 

「うん……そうかもね。

 そもそも俺の飛行船のちっちゃい窓じゃ、大していい夜景でもなかったかもな」

「またそんなこと言って。

 いい加減、機嫌直してくださいよ。

 せっかくいいお部屋取ったのに、もったいないじゃないですか」

「俺が悪いの?

 納得いかないなぁ……」

 

 トボトボ戻っていき、ソファーにぽすんと座るウラヌス。ふへぇー、と嘆息が聞こえる。

 

「ほら、アイシャ。

 あの落ち込んでるカワイ子ちゃんにお酌してあげて。

 なんなら、全身を使ったマッサージをしてあげてもいいのよ?」

「でもウラヌスは全身マ……んん?

 なに言ってるんですか、あなたは?」

「ぶへっ!?」

 

 ウラヌスがあっちで吹き出してる。全身マッサージしてあげろって意味かと思ったら、突然なに言い出すんだ、コイツは。

 

「メレオロンてめぇ、そっから夜景にダイブさせんぞコラぁッ!」

 

 変態に殺気を放つウラヌス。めちゃめちゃ怒らせたじゃないか、なにやってんだ。

 

「ほらほら、ご機嫌とらないと」

「まったくもー……」

 

 事態を悪化させといて、なんなんだ。ぶつくさ言いながら、ウラヌスのところへ行く。

 

 ソファーに座ったまま、そばに来た私を見上げるウラヌス。なんか顔赤いな。怒ってるからか?

 

「なにか飲みます?」

「えっと……うん」

 

 妙に大人しい。怒ってないのか? 暗いからよく分かんないけど。

 

 部屋に備え付けの冷蔵庫まで行って、適当に飲み物の瓶を取り出す。──この階にある消耗品はいくら使ってもタダらしい。気前良い……とは言えないな。そもそも高すぎるし。1フロア貸切だけとかムチャクチャだよ。

 

 グラスに氷を入れて、瓶の栓を軽く開けてから閉め、ウラヌスのところへ戻る。

 

「どうぞ」

「うん。……氷だけ?」

 

 氷の入ったグラスを手渡してから、瓶の栓を開ける。ウラヌスの隣に座り、

 

「あ、そういうこと……」

 

 私が注いであげるジェスチャーをしたので、グラスを差し出すウラヌス。そのグラスに飲み物をなみなみと注ぐ。

 

 ウラヌスがグラスの液体の匂いを嗅ぎ、

 

「……これ、お酒じゃないよね?」

「ジュースですよ。グレープフルーツの。

 お酒なんて飲ませるわけないじゃないですか」

「いや、こういうお酌って普通お酒でするからさ……

 それっぽいグラスだし、グレープフルーツのカクテルとかあるから」

「飲んだことあるんですか?」

「……昔、間違って。その時はエラい目に遭ったよ」

 

 グラスを両手に抱えて、軽く口をつけるウラヌス。また可愛らしい飲み方して。

 

「ん……ん?

 なんでじっと見てるの? ていうか、アイシャは飲まないの?」

「あー、その。

 私はお酌に徹しようかなって」

「別にあのバカの言うこと、真に受けなくたって」

「そういうわけじゃないですけど……

 私のお願いを聞いてもらったわけですし、せめてこれぐらいは」

 

 と言ったところで、姉弟が夜景ではなくこちらを見ていることに気が付く。

 

「なんですか、2人とも?」

「えっ? えーと」

 

 うろたえるシーム。ウラヌスは怪訝な顔で、

 

「つーか、夜景見ないなら明かり点けろよ。

 俺、暗いの好きじゃないんだよ」

「えー? せっかくムーディーな雰囲気だったのにぃ。

 どっちか、闇に乗じて押し倒さないの?」

「そっから夜景に向かってブッ飛ばすぞッ!!」

 

 メレオロンがぶちぶち言いながら、照明のスイッチがあるところへ向かう。

 

 パチパチッと音がして、部屋が明るくなった。天井のシャンデリアが煌々と輝きだす。

 

「ったく、乙女ちっくな飲み方して。

 せっかく美少女(はべ)らせてるんだから、肩に手を回してグラス傾けるぐらいしなさいな」

「アイシャ、あいつ肩外してほしいんだって」

「いいですね。

 両肩の関節外して、浴槽に沈めましょうか」

「まってアイシャ。

 アンタがそれ淡々と言うと、シャレになんないから」

 

 真顔でビビッてるメレオロン。……冗談に決まってるじゃないか。

 

 お、2人が上がってきたな。

 

「お待たせー♪

 あー、気持ちよかったぁ♪」

 

 つやつや顔のベルさん、うんざり顔のモタリケさん。2人ともゆったりとしたガウンを羽織り、見るからに風呂上がりな雰囲気だ。

 

「お風呂はどうでした?」

「もうねー、最高よぉ♪

 ジェットバスなんて入ったのいつぶりかしら?」

「オレ、あんなもん入ったことねぇよ……」

 

 この夫婦、普通に2人で入ってるんだよな。別にいいけど……。モタリケさんがすごい嫌がってるのを、ベルさんが無理やり連れてって。

 

 そんな2人をウラヌスは渋い顔で見ながら、

 

「ジェットバスなぁ。

 温泉の方が俺的には好きだけど」

「そりゃわたしだってそうよ?

 でも、高級感が味わえるじゃない♪」

「高級感っつーか、高級そのものだよ。どんだけかかったと思ってんだ……」

「いいからお前らも入ってこいよ」

 

 モタリケさんに言われて、私達は顔を見合わせる。……その言い方だと、一緒に入ると思われてる気がするんだけど。変態がニヤニヤ顔でこっちへ来て、

 

「さー、次は誰が入る? 誰と誰?

 シームはアタシと入るのよね?」

「おねーちゃんさぁ……」

『……』

 

 呆れるシームの声を流しつつ、ちょっと真剣に考える。順番はどうでもいい。問題は、誰と誰が……

 

 

 

 ①メレオロンとシーム → 私とウラヌス 結論→ねーよ。

 

 ②メレオロンとウラヌス → 私とシーム 結論→どうしてこうなった?

 

 ③メレオロンと私 → ウラヌスとシーム 結論→変態と一緒だけど、いつものこと。

 

 

 

「くっ……③で」

「へ?

 なにが3なの? 3人?」

「あ。いえいえっ、違います!

 ……男性2人と女性2人で別れて入ればいいじゃないですか、いつも通り」

「へぇー。

 アイシャ、アタシと入りたいんだ? 珍しい」

 

 ちげぇよ。一番マシなだけだよ。

 

「いや、つか1人で入りゃいいじゃねーか。

 なんで2人1組で入るの前提なんだ」

「全然広かったから、2人でも余裕たっぷりよ?」

「だってさ。

 遠慮せず、あんた達だけで入ったら? アタシはシームと入るから♪」

「待てや。

 だからなんで混浴確定やねん」

「別にいいじゃない、何度も一緒に入ってるんだし。

 さっきまであんなに機嫌悪かったんだから、洗いっこでもして仲直りしなさいな。

 ボディソープで全身ヌルヌルにして、身体こすりつけ合うとか」

「キャアアーーッ♪」

 

 ぅわあ。どっからそういう発想を……変態にもほどがあるだろ。

 

「……

 おい、メレオロン。

 俺はアイシャに対して、そこまで怒っちゃいないからな?

 オマエに対して、キレちゃいるが」

 

 おっと、私に対しても怒ってはいるんですね。すいません……

 

「えぇー、なによ?

 じゃあ仲直りする? アタシと全身ヌルヌルにして、身体こすり──」

「キャアアアーーッ♪」

「しねぇぇぇぇぇよッッ!! ドあほッッ!!

 それとさっきからベルうるせぇッ!!」

 

 耳から何から真っ赤っかのウラヌスがブチキレまくってる。どうすんだ、これ。

 

 やけに冷静で疲れた顔のモタリケさんが、

 

「いちいち興奮するな、相手の思う壺だぞ。

 さっさと入れば済むことじゃないか」

「ぐぐぐ……!

 じゃあ俺は1人で入るッ!!」

「でも、それだと全員バラバラに入るのか?

 全員が風呂上がるの、だいぶ遅くなりそうだけど」

「……

 メレオロンとシームが先に入って、アイシャが入って、俺が最後でいいだろ」

 

 んー……それでもいいけど、私はのんびり入りたいんだよな。遅くなるのは、まぁアレだけどさ。

 

 メレオロンがつまらなさそうに、

 

「無理せず、一緒に入ればいいのに」

「無理やり一緒に入れようとすんじゃねぇッ!!」

「でもさ」

 

 ベルさんが不思議そうに首を傾げ、

 

「あなた達、何度も一緒に入ったのよね?

 ずいぶん嫌がってるみたいけど、そのワリには」

「……そ、それは」

「アイシャはどうなの?

 この子とそこまで一緒に入りたくない?」

「……。

 私は別に、どっちでも……」

「ちょっとアイシャ!?」

 

 めっちゃ驚いた顔をするウラヌス。……いや、ホントにどっちでもいいよ。今更っちゃ今更だしな。1人でのんびり広いお風呂ってのもなんだろうし。

 

「ほらー。

 あなた、女の子にこんなこと言わせといて、恥ずかしくないの?」

「なにがだよッ!?」

「唐変木ねぇ、あなたってホント……

 仕方ないなぁ」

 

 うん? なんか話の流れがすごい妙なことになってないか?

 

 ベルさんは羽織るガウンをいじりながら、ウラヌスとの距離を詰め、

 

「いいから、一緒に入りなさい。時間がもったいないでしょ?

 どうしても一緒に入らないなら……

 あなたが1人で入ってる時に、わたしが突撃するわよ?」

 

「……は?」

 

「わたしがもう一度、あなたがいる時にお風呂入るって言ってんの。

 あなたが1人で入ったら、絶対にそうする」

「はぁぁぁぁっ!?

 オマエなに言ってんだッ!?」

 

 うゎー。ベルさん、ムチャクチャ言ってるよ……。モタリケさん、顔に手を当ててるよ。

 

「あなたのこと、お風呂でやりたい放題するからね? その覚悟があるならどーぞ♪

 イヤなら、アイシャと一緒に入りなさい」

「ふッ、ざけんなっ!

 じゃあ俺もう風呂入んねぇよッ!!」

「ふぅぅぅん……アラ、そぉ?

 そんなことしたらー……

 あなたが寝付いた頃に、添い寝して、あ・げ・る♪

 寝てるあなたに、アーンナこととか、コーンナことしちゃうから♪」

 

 ソファーからズルズルズル……と崩れ落ちるウラヌス。……うん、これもうダメだよ。諦めた方がいいと思う。

 

「……もたりけぇ……

 おまえ、よめさんとめろょ……」

 

 蚊の鳴くような声に、モタリケさんは無慈悲に首を横に振る。

 

「こうやってベルがゴネだしたら、オレは諦めるようにしてる。

 抵抗しても長引くだけだから」

 

 ですよねー。何がなんでもってタイプだもんな……

 

 にこやかな顔でベルさんはパンッと手を鳴らし、

 

「いいから入りなさいって。

 1回一緒に入るだけじゃない。初めてってわけでもないし、気にしすぎよ♪」

「……おまえは、でりかしーがなさすぎる……」

 

 ぐったりと溶けたウラヌスが、言葉だけ弱々しく返す。あーあ。

 

 メレオロンが私を指差し、ウラヌスを指す。……私から言うの? 焚きつけられると、乗り気になれないんだけどな。

 

「……ウラヌス。

 ベルさん諦めてくれそうにないですし、一緒に入りましょう。

 別に何もしませんから。ね?」

「……。

 …………わかった」

 

 お風呂入る前から、すっかり茹で上がっちゃったな。このにゃんこ。

 

 

 

 

 

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