私達がお風呂を上がった後、ウラヌス達も入浴を終え。汗を流しサッパリしたところで、この後どうするか話を始める。ゆったりソファーで全員くつろぎながら、ウラヌスとベルさんが主に話し合っていた。
「ドリアスでやることはひとまずなくなったし、もういつ動いてもいいんだけどな」
「記憶の兜は後日?
挑戦したいなら、その間わたし達遊んでるけど」
「いや……うん、後日にする。
誰も今日挑戦して取ってないか、事前確認をうっかり怠った。そもそも『名簿』が1枚しかないから、余裕を持って確認できなかったんだけどな」
「流石にスペルカードの補充はしないとダメね。
それはわたし達も付き合った方がいいんでしょ?」
「ああ、お願いしたい。
とりあえずアントキバへ行く前にマサドラだな」
「荷物取りに戻ったら、いったん解散ね。
お昼はどうする? うちで食べてく?」
「うーん……」
「遠慮なんてしなくていーわよ♪
わたしの手料理に、今ならモリーのコーヒーもついてくるわよ♪」
「オマケみたいに言うな」
「……みんな、どうする?」
ベルさんに向けていた顔を、私達に見せて尋ねるウラヌス。
「アタシとしては助かるのよね。
食事中、人目を気にしなくて済むから」
「ベルさんのお料理、また食べたい!」
「あらー♪ 嬉しいこと言ってくれちゃってー」
「そうですね。
モタリケさんのコーヒーも美味しいですし、またいただきたいです」
「おぉ。なら腕によりをかけて──」
「鼻の下伸ばしてんじゃねーよ」
「伸ばしてねぇ!」
「ウソこけ。
……ま、ありがたくご馳走になるよ」
「決まりね♪
そうすると、いつドリアスを出発するかだけど」
「んー。昼に時間合わせるんだったら……
マサドラでスペル買って、昼食を作る時間とかもあるだろうから……
いまは9時だな。なら10時半くらいに出ればいいか?」
「わたしはそれでいいわよ♪」
「みんなは?」
「構わないわ」
「オレもいい」
「ぼくも大丈夫」
みんなが了承する中、私は少し考える。ちょっと中途半端な時間なのが気になるかな。
「10時半出発でも構いませんが、それまでどうしてます?」
ウラヌスは首筋をかき、
「んー。部屋でゴロゴロしててもいいし、遊んできてもいいし」
「遊ぶのはいいですけど、あんまりバラけると……」
「あー、それは良くないかな。
何かあっても嫌だけど、集合時間に遅れるヤツが普通にいそうだし」
「え? なんでわたし見るの?」
「オマエが一番、夢中になって遅れそうだからだよ」
「心配性ねぇ。そんな迷惑かけないわよ♪」
「だといいんだけどな……」
「であれば、遊ぶのはこのカジノホテル内だけにしておきましょう。
探す手間もかかりませんし」
「ベル、それでいいか?」
「問題なーし♪
またポーカーやりに行くつもりだったし♪」
「懲りないな、オマエも……
まぁ好きにしてくれ。みんなもそれでいい?」
相談を終え、みんなが思い思いに動き出す。
気づけば部屋にポツンと残される、ウラヌスと私。
「アイシャは行かなくていいの?」
「あなたこそ」
「俺は……
修行に備えて、少しでもオーラを回復させないと。
アイシャこそ、休まなくても体力あり余ってるんじゃないの?」
「私はあんまりギャンブルしたくないんです」
「ふぅん。そっか」
「……
なにか飲みます?」
「うん、もらう。なんでもいいや」
「お酒でも?」
「お酒はダメー」
「ふふ。はいはい」
ソファーから立ち上がり、飲み物を取りに行く。この状況、完全にお膳立てされたな。なんか4人でコソコソ話してたし。
……まぁいいか。今のうちにウラヌスと話をつけよう。できれば修行前にしこりは取り除いておきたいしな。
飲み物の瓶と氷を入れたグラスを持って、ウラヌスのところへ。
テーブルに容器を置き、ウラヌスの隣へ座る。
「ん? まさか、またお酌するつもり?」
「イヤですか?」
「そういうわけじゃなくて、えーと……
俺もう、機嫌直ってるよ?」
「うそばっかり。お風呂に入る前、機嫌悪かったじゃないですか」
「アレは……
ベルとメレオロンがからかうから、邪険にしただけだよ。
少なくとも、アイシャに対しては怒ってないってば」
「ホントに?」
「ぅ……」
顔を近づけ尋ねると、困ったような表情をするウラヌス。
「もしかして……
あなたが何を怒ってるか、私が理解してないことに腹を立ててます?」
「……」
「図星っぽいですね。
……その、なんとなく分かってはいるつもりなんですけど、それであんなに怒るかな、っていうのが正直なところで。確証がないんですよね……
申し訳ないですけど、教えてもらえませんか?」
「…………。
……全部だよ」
「へ?」
「昨日のお風呂に関すること、諸々全部。
あれがこれが、ってわけじゃないよ。……細かくは言わないよ、恥ずかしいから」
「あ、はい……
色々とすいませんでした……」
「謝らなくていいよ。
怒ってた理由を教えただけで、今はホントに怒ってないから」
言って、私にグラスを持たせるウラヌス。そのグラスに飲み物を注いでくれる。
「……ありがとうございます」
「ほら、こういうことされると畏まっちゃうでしょ?
だからしなくていいよ」
「はーい」
くすくす苦笑しあう。……これならもう心配ないか。気にかけすぎも良くないしな。
2人で雑談したり、景色を見下ろしたり、部屋に備え付けの本を読んだり、姉弟の修行プランを相談してるうちに、4人が揃って戻ってくる気配。
「ああ、もうそんな時間か」
「話し込んじゃいましたね」
足音や話し声が聞こえ、こちらの部屋に近づいてくる。
「ただいまぁー♪
どう? たっぷりイチャイチャした?」
「してねーよ。ずっと駄弁ってただけだっつの」
「えー。
照れてウソ吐かなくてもー♪」
「ウソじゃないですってば。ホントにお喋りしてただけですよ。
みんな、もう出発します?」
「充分遊んだし、荷物まとめてマサドラでいいんじゃない?
のんびりしすぎると、お昼がズレこむだろうし」
メレオロンの言葉に私も頷く。そうそう、お昼がズレると修行時間も減るからね。いい心がけだよ。と思ってたら、メレオロンが私を見てブルッと震えた。……なにその反応?
手持ちのお金やアイテムカードを整理し、名残惜しく景色を眺めた後、ホテルの部屋を発つ。そのままカジノを出て、街なかの人目につきにくい場所まで移動。一度マサドラを経由するから気にしすぎだと思うけど、あのカジノからこの人数で飛べば目立つもんな。念には念だ。
やや離れた場所から中央カジノを見やる。さらば賭博都市。闘技場やあのホテルの部屋にはまたお世話になりたいけど、ギャンブルはもういいや……
「──『同行/アカンパニー』オン。マサドラ」
賭博都市の街並みから、北の空へと飛翔した。
マサドラへ到着後、まっすぐトレードショップ──へ行かず、少し離れた路地裏に入るウラヌス。使い忘れていたらしく、そこで『解析』4枚と『名簿』1枚を消化していく。
何を『名簿』で調べるか、ウラヌスは少し悩んだ後、
「──『名簿/リスト』オン。1035」
現在 1035「堅牢」を
所有しているプレイヤーは
1人
所有枚数は
1枚
「んー。状況変わらずだなー……」
「ちょっと前にも調べたんでしょ? そりゃそうよ」
ウラヌスの言葉に、ベルさんがやや呆れ気味に返す。
「いやー。にしたって、出なさすぎだと思うんだけどな。
だって全プレイヤー合わせて1枚だぞ?
まだ序盤も序盤だから、誰も本格的にスペルを引きまくってないのは分かるけど……」
言われてみれば……改めて少し考えてみる。
「でも、魔法屋って今は誰も並んでないでしょ?
クリア前はいっつも行列できてたけど、今いる全プレイヤー合わせたって大して買ってなさそうじゃない。
ヘタしたら、あなた達が一番買ってるんじゃないの?」
「うーん……かもしれんけど」
「だとしても妙ですね……
出にくいのは分かるんですけど、いま1枚しか存在しないんですよね?
クリア前にはカード化限度枚数まで出尽くしてたと思うんですけど」
「んー?
前はハメ組が独占してて、クリア逃した時に全部溶かした、とか?」
「かもしれませんが……
でも、ハメ組が独占してたとは限らないわけで。
それなのに今1枚だけっていうのは……」
「うーん?
うぅん……まぁプーハット辺りに聞いてもいいかもね。
つっても仲間割れに参戦しなかったらしいし、アイツは知らないかもしれないけど」
そんな感じでゴタゴタしつつも、トレードショップへ。
メレオロンが、銀貨をウラヌスへ差し出す。
「いいのか、売って?」
「アタシは別にこだわりないし。
それに、うっかりシームのと混ざっちゃったらアレだもん」
「おねーちゃん……」
ドリアス記念銀貨を1枚売って、貯金。予算を手元に残して、スペルカードショップへ。
36パック購入し、所持するスペルカードは計220枚。
『盗視/スティール』7枚
『透視/フルラスコピー』3枚
『防壁/ディフェンシブウォール』10枚
『磁力/マグネティックフォース』3枚
『掏摸/ピックポケット』2枚
『窃盗/シーフ』2枚
『再来/リターン』28枚
『擬態/トランスフォーム』5枚
『複製/クローン』2枚
『左遷/レルゲイト』5枚
『初心/デパーチャー』3枚
『離脱/リーブ』3枚
『漂流/ドリフト』5枚
『衝突/コリジョン』6枚
『徴収/レヴィ』2枚
『城門/キャッスルゲート』24枚
『贋作/フェイク』2枚
『強奪/ロブ』4枚
『堕落/コラプション』4枚
『妥協/コンプロマイズ』4枚
『看破/ペネトレイト』1枚
『暗幕/ブラックアウトカーテン』4枚
『聖水/ホーリーウォーター』3枚
『追跡/トレース』1枚
『投石/ストーンスロー』3枚
『凶弾/ショット』2枚
『道標/ガイドポスト』3枚
『解析/アナリシス』6枚
『宝籤/ロトリー』15枚
『密着/アドヒージョン』2枚
『神眼/ゴッドアイ』1枚
『再生/リサイクル』6枚
『名簿/リスト』8枚
『同行/アカンパニー』17枚
『交信/コンタクト』24枚
「うーん……
高ランクの出がイマイチだけど、『擬態』が出てるし別にいっか……」
「というか、『堅牢』が出たとしても、『擬態』が枚数ないとバタバタしますからね」
「うん、それは俺もキツイかな。
後は『妥協』が集まってきたけど、使うアテないのがなぁ」
「悩んじゃうわよね、使おうと思うと♪」
「んー。そうだな、悩むって方が正確か。
上手くやれば、好きなランクBまで取れるしな。だから、もったいないっていうか」
はぁ、と息を吐いた後、カードの一束を見るウラヌス。
「にしても『宝籤』15枚、毎度のことだけど面倒だなぁ。
店の中でスペル使えねーから、カード整理が終わらないんだよな……」
「いいじゃない、楽しみがあって♪」
「前向きなこったな。
ガチャからガチャ券出すのはヤメロっての……」
よく分からないことをぼやくウラヌス。まぁ何となくは分かるけど。
「あ、そうだ。『宝籤』でわたしが欲しいの引けたら、もらってもいい?」
「好きにしろよ。俺達のいらないヤツならタダでやる」
うん。自宅があるなら、そこそこ意味あるかもな。私達はアイテムを置いておく場所がないから、ほとんど要らない物だし。
喜んでるベルさんを、モタリケさんが訝しげに眺め、
「あんまり要らないモノをポンポン家に置かないでくれよ?
既にある物を捨てるなりなんなり……」
「分かってるわよ、モリーも心配性ね♪
古いのを新しいのに変えたりとか、そういうのだってば」
「だといいけど……
ホントにもらっていいのか?」
「オマエにすりゃ有難迷惑だろうけど、どうせ売っても300だしな。
有効活用できるなら結構なことだよ」
マサドラのスペルカードショップを出た後、トレードショップへの道すがら『宝籤』を使いまくるベルさん。
「──『宝籤/ロトリー』オン。
あ。いいじゃない、このカーペット!
ほらモリー、そろそろ敷き替えてみない?」
「カーペット? オレがやるの?」
「どうせ仕事辞めるんだし、ヒマでしょ?」
「あー、そうだけどさぁ。
少しはのんびりさせてくれよ」
「──『宝籤/ロトリー』オン。……うーん、いらないか。
──『宝籤/ロトリー』オン。……これも別にいいかな。
──『宝籤/ロトリー』オン。あっ、タマネギげっとー♪
これ、もらっていい?」
「タマネギ?
いいけど、カード売ってタマネギ買った方が安くないか?」
「1ダースセットだから、売ったらもったいないわ。
さっそくお昼に使っちゃう♪」
「ああ、そう。ご自由に……」
疲れた顔でベルさんの相手をするモタリケさんとウラヌス。あはは……特にウラヌスは許可した手前、文句を言いにくいよね。ご愁傷様。
・ドリアス最終リザルト
ウラヌス:トータル+7万2200J
内訳
ポーカー :+30万J(アイテム込み)
闘技場 :+8万J(アイテム込み)
ルーレット:-2500J
休憩代 :-2500J
ビンゴ :-2万1400J
飲食代 :-3万1400J
宿泊代 :-25万J
アイシャ:トータル+6万3500J
内訳
闘技場 :+8万J(アイテム込み)
ルーレット:+4万4400J
飲食代 :-400J
ビンゴ :-1万500J
ポーカー :-5万J
メレオロン:トータル+10万2060J
内訳
ブラックジャック:+11万J(アイテム込み)
闘技場 :+2万5010J(アイテム込み)
ルーレット :-1万6250J
ビンゴ :-1万3700J
ポーカー :-3000J
シーム:トータル-7万850J
内訳
ビンゴ :+4万3500J(アイテム込み)
闘技場 :+2万5000J(アイテム込み)
ポーカー :+5000J
ルーレット :-1万4350J
ブラックジャック:-13万J
ベル:トータル+4万8250J
内訳
ポーカー :+4万1000J
クラップス:+2万7500J(アイテム込み)
バカラ :+1万6000J(アイテム込み)
飲食代 :-3500J
ルーレット:-1万2550J
ビンゴ :-2万200J
モタリケ:トータル+23万9550J
内訳
ルーレット :+18万7450J(アイテム込み)
ポーカー :+4万5000J
ビデオポーカー:+2万9000J(アイテム込み)
飲食代 :-2800J
バカラ :-6000J
ビンゴ :-1万3100J
ポーカー合計収支 :+33万8000J(アイテム込み)
闘技場合計収支 :+21万10J(アイテム込み)
ルーレット合計収支 :+18万6200J(アイテム込み)
ビデオポーカー合計収支 :+2万9000J(アイテム込み)
クラップス合計収支 :+2万7500J(アイテム込み)
バカラ合計収支 :+1万J(アイテム込み)
ブラックジャック合計収支:-2万J(アイテム込み)
ビンゴ合計収支 :-3万5400J(アイテム込み)
雑費合計収支 :-29万600J
全合計収支:+45万4710J(アイテム込み)
所持金:100万J ⇒ 82万6600J ⇒ 57万8710J(ドリアスを出た時点)