荷物を降ろした私達は、低い長方形テーブルを囲み、ウラヌスが用意したクッションの上でくつろいでいた。
そばには、木製棚を台にした古い型のモニターがあるけど、画面には何も映っていない。
ウラヌスは壁時計にチラリと目をやり、
「ちょうど午後8時だな……
そろそろメシにするか。
この後の準備状況次第だけど、0時を回った時点でグリードアイランドへ入ろうと思う。
強行軍になるけど、アイシャの回復に問題なければ、アントキバの月例大会がある明日午後1時に間に合わせる予定だよ」
私は少し考えた後、
「……私の気絶が6時間で回復すれば、という前提ですね」
ウラヌスはうなずき、
「誓約で時間を定めてるわけでもないみたいだし、多少は前後するだろうけどね。
俺の予想を言わせてもらえば、多分気絶はもっと早く回復してると思う」
さらっと飛び出した予想に、私は「ほ?」と反応する。
「アイシャ。
キミがボス属性で気絶したのって、グリードアイランドへ入った1回きりかい?」
「……その通りですね」
「じゃあ検証はしてないね。そうそうできるとも思えないし。
誓約で定めてるのは『即座に気絶する』だろ?
気絶からの回復に時間がかかる、なんて内容じゃない。
本来気絶っていうのは、短時間で回復する意識の喪失のことを指す」
……確かに。言われてみれば、それもそうだな。
「だからキミが目覚めるのに6時間もかかった理由は、おそらくオーラ枯渇による極度の疲労だ。気絶をきっかけにして、睡眠という形で身体が強制的に休養を摂らせてるんだと思う。生命力がある程度回復するまでね」
「……」
「キミの普段の睡眠時間は、6時間?」
「……それぐらいか、ちょっと短いぐらいです」
「うん。
じゃあ7~8割がた、また6時間になると思う」
……それだけの情報で、そこまで判断しちゃいますか。
正しいかどうか分からないけど、一理あるな。特にオーラ枯渇からの回復は、私自身もほとんど経験がない。怖くて試せないからね。
でも、それだったら……
「ウラヌスさん、でしたら気絶した私を──」
「起こさないからね」
さくっと差し込まれた。口を噤んだ私をまっすぐに見据えながら、
「検証って意味では有効かもしれないけど、俺はその6時間は必要なものだと思ってる。
必要かもしれない睡眠を中断するなんて、後に響きそうなことをするもんじゃない」
「……はい」
うぐぅ。正論すぎて言い返せない……
「あと、ウラヌスさんって言わないで」
「……すいません」
きっちりしてらっしゃる。。
「分かったから、早くごーはーんー」
「ごーはーんー♪」
メレオロンとシームが訴えてくる。
「……おまえら、今から作るんだからそこそこ待たないとダメなんだぞ。
どう見たって手伝う気ねぇし。ったく……」
そう言って、ウラヌスが立ち上がる。
「あ、料理するなら私も手伝いますよ」
私も腰を上げる。
「……うん。2人でやった方が早いからね。お願いする。
その前に、ちょっと水回りの説明するから、みんな来て」
キッチンの方へ歩いていくウラヌスに、私達はついていく。
ウラヌスは、キッチンの蛇口前で足を止め、
「この蛇口からは、普通に飲める水が出る。
別にうまくもまずくもないけど」
「水道と繋がってるわけじゃないんですよね?」
私が尋ねると、ウラヌスは首肯する。
「雨水を貯めて、濾過と蒸留をして、ついでに貯水タンクで防腐滅菌してる。神字でね。
長いこと使ってないから、貯水タンクは満タンだし、いくら使ってくれても大丈夫」
「使った水はどこ行くの?」
メレオロンが尋ねると、ウラヌスは下を指差し、
「濾過して、地下水脈に流してる。
元々雨水が水脈へ流れ込むルートから、この地下室へ引き込んでる形なんだよ」
そう説明した後、ウラヌスはキッチン脇の扉へと歩き、
「あんまり使うことはないだろうけど、他の水用事は大体ここで出来る。
ついてきて」
扉を押し開いて、中へと入っていくウラヌス。
四角く区切られたやや狭い室内に、洗濯乾燥機が設置されていた。他には扉が2つ。
「見ての通り、汚れ物はそこで洗濯と乾燥ができる。まぁ1時間で終わるかな。
真ん中のドアは脱衣所と風呂場、右はトイレ」
それで説明は終わりらしく、ウラヌスはすぐ出て行く。
んー。今さらだけど、電気どうしてるんだろ。それも神字?
再びテーブルのところまで戻ってきて、
「じゃ、メシ作るか。
メレオロンとシームは適当に暇潰しててくれ」
「なんかゲームないの、ゲーム」
メレオロンの発言に、露骨に変な顔するウラヌス。
「……お前、これからゲーム入んのに、まだあらかじめゲームすんのかよ」
言われてみると、たいへん妙な感じではあります。
「ジョイステーションでよければありますよ」
そう言った私を、ウラヌスはやっぱり変な顔で見る。
「それって……」
「私のですよ。
ウラヌスのジョイステはグリードアイランドをプレイ中だから、他のゲームは遊べないでしょうし」
「いや、なんで持ち歩いてるの?」
習慣のようなものです。とは言えず、そっぽ向いておいた。
いやまぁ、なんでグリードアイランドへ行く荷物にジョイステが入ってるかっていうと……うん、習慣です。いやはは。
とりあえずリュックをごそごそ漁り、奥に沈んでたジョイステを引っ張り出す。えーと、ソフトソフト……
ウラヌスも自分のリュックを漁って、食料類を出している。んー、ソフトを入れた袋、袋……お、あった。
無理に袋を引っ張り出すと、ブラやら何やらが引っかかって一緒に飛び出しかけたのをシャシャっと素早く外し、リュックに押し込めなおす。
袋からゲームソフトの束を抜いて、ジョイステのそばに置く。一緒に入れてた付属品やコード類も出す。
「それで好きに遊んでてください。繋ぎ方、分かりますか?」
「あ、ボク分かります」
シームが私のジョイステとコード類を手にして、モニターとの接続を始める。
「ウラヌス、これって繋げられるモニターですよね?」
食料類を出し終えたウラヌスが、私を見返しながら、
「同じくらい古い型のだから、大丈夫だと思う。
グリードアイランドもそれに繋ぐつもりだし」
メレオロンがソフトをずらっと並べ、
「んー。格ゲーばっかし……しかも、ちょー古い。
……○カポン? これって何ゲー?」
友情破壊ゲーです。
「やめた方がいいです」
「え?
でもアタシ、この手だとちょっと格ゲーきついし」
「やめておいた方がいいです。
……というか、それ始めると普通に何時間もかかっちゃいますし」
「あー、それじゃダメねぇ。
またの機会に」
……なんだろう。とても嫌なフラグが立った気がする。なんでだ。
2人並んでキッチンに立ち、ウラヌスの料理を手伝いながら、思っていたことを尋ねてみる。
「ウラヌス。
……あの2人、NGL出身ではないかもしれません」
水音や包丁がまな板を叩く音に紛れて小声で言ってみると、彼はちゃんと聞き取り、
「ああ、やっぱキミも気にしてたか。
NGLで生まれ育った人の生活習慣ではないだろうね」
──NGLは建前上とは言え、機械文明を捨てた人達が集まって自治する団体の国だ。
写真とかゲームとか、NGLで生活していたらまず触れないはずのモノに、あの2人は馴染んでいる。一般的な文明水準の生活をしていたとしか思えない。
「その……
巨大キメラアント事件は、NGLの中で終息しましたから……
転生にしろ何にしろ、犠牲者がその外の人とは思えなくて。
……野菜、洗い終わりましたよ」
「ありがと。包丁もう一本あるから、芋の皮むきお願いできる?
……あんまり深く考える必要はないよ」
「はい。
え? そうですか?」
私はキッチンの下から果物ナイフを取り出しつつ、尋ね返す。
「NGLにいるのは、ずっとそこに住んでる人達ばかりじゃないから」
「あー……
そっか、後から移住したってことですね」
「多分ね。
むしろ、機械文明に疲れてNGLへ移住する人達も多いだろうし。
あの2人がどうだったか知らないけど。
……芋の皮むき終わったら、生米を軽く洗ってくれる?
ゴハン焚くと時間かかるから、ピラフ作る」
「うーん。そうかもですね……
ちょっと2人に聞くのは抵抗ありますけど。
ピラフって、お米洗ってよかったですっけ?」
「あーちょっと味落ちるけど、やっぱり衛生面で気になるしさ。
だからホントにサッと洗って、水切るだけ。ガシャガシャやんなくていい。
……時機が来れば、聞いてみたらいいさ。どうせしばらくは一緒だからね」
「ええ、そうですね。
……芋むき終わったんで、お米洗いますね。他、何かあります?」
「んー。サラダ作るくらいかな。
レタスとキュウリ切って、トマト切って、ツナ缶開けて……
後、リンゴを一口サイズ」
「はーい。ドレッシングあります?」
「マヨネーズしか買ってないかな。
……しまったな。キミが手伝ってくれるんなら、もうちょっと手の込んだ料理の食材を買えばよかったよ」
「ふふ」
自炊が長かったけど、こうやって誰かと話しながら料理するのって、やっぱり楽しいな。
ジョイステを接続したモニターが、対戦前のローディング画面を表示している。
古いハードにありがちな長い読み込み待ちの間、キッチンに立つ2人の後ろ姿を見る。
2人とも、お揃いに見える白いワンピースに身を包み、白ゴムでまとめて腰まで伸びる長い黒髪と、背中を覆う桜色の髪を揺らしながら、料理していた。
ウラヌスも遠目には女の子にしか見えない。身長も高くなく、細身で髪の毛もきちんと手入れされている。所作も男性らしい粗野な感じは受けず、むしろ弱々しい。
アイシャは、文句なしに女性的だ。身体つきは言うまでもなく、髪の手入れも毛先まで行き届いている。所作はやや力強い印象だが、それはそれで魅力的に映る。時折り見せる幼い仕種は、年齢相応なのだろう。
前世の自分を思い浮かべる。自分は2人のような、ああいう女性だったんだろうか……
『ROUND1 FIGHT!!』
『フンッ!』
「おおおっ!? シームあんたいきなりなにすんの!」
「おねーちゃん余所見してっからだよーん」
「開幕スクリューとか初戦で成功させんなッ!!」
「はい、ケーオー」
「ぐっへぇ……この手で慣れるヒマも与えねぇし」
『ROUND2 FIGHT!!』
『フンッ!』
「おおおっ!? シームてめぇ!」
「アッハハハ!
……おねーちゃん、そんなに2人のこと気になる?」
「ちっ! くんなくんな!
……そりゃそうよ。アタシはいくら整形したって人間に戻れないし、ああも理想的なの見せられちゃうとね」
「と、と、と、と、あっミス」
「しゃあ! ぅわ誤爆!」
「はい、ケーオー」
「ぐっふぇ……2P側のコマンド入力ェェ」
『PLAYER1 WIN』
対戦終了後のローディング画面が映る。
「ぐぅぅ……キャラ変えよ。
……でも2人とも、なんか重たい事情ありそうだしさ。
あんまり甘えるわけにはいかないかな……」
「おねーちゃん、今のぼくらじゃ……」
「……そうね。どうしようもない。次は野生児っと。
アタシ達、強くなるわよ。2人に頼らなくても済むくらいには」
「うん、がんばろうね。
……じゃあボク、これ」
「シーム、オマエなに軍人とってんの?」
「へ?
だってそんな露骨なメタキャラ使われたら、変えるに決まってんじゃん」
「ていうかアタシが決めた後に、メタってんのアンタでしょーが。
きったねぇ流石シームきったねぇ」
シームが笑いながら、目をこすった。
「……面白いね。
やっぱりおねーちゃんだ」
「……うん。覚えててくれたんだ。なんか今思い出したの。
昔、おんなじことやってたなって。
ほんっと懐かしい……」
対戦前の長いローディング画面が、にじんで映る。
「あっははは! かくかくポリひでー!
しかも処理オチしてるし!!」
シームが1人で格ゲーしてるのを、メレオロンがケタケタ笑って見ている。
「はーい。お待たせ。
ゴハンできましたよー」
なんか自分のゲームをバカにされると色々思うトコがある。……あるけど、バカゲーはバカにされてなんぼだしな……と自分に言い聞かせつつ、ピラフを2つテーブルに置く。
「ういー。
なんかキャッキャ騒いでるけど、何やってんだ?
あ。うぉ、初代とかなっつぅ!
なんでアイシャこんなん持ってんの?」
同じようにピラフを2つ置きながら尋ねてくるウラヌス。
「えー、いやー、そのー。
……ネタ?」
「絶対面白半分じゃないと、こういうのって買わないしやらないよな」
ジト目で向けられる視線をさっと避ける。
「アイシャ、これ全然面白くないんだけど」
実際遊んでるシームからクレーム。知ってます。
「蹴る殴ーるだけの簡単なお仕事です」
事実を告げて、他の料理を取りに行く。
「いいからもうメシ食うぞ。ゲームやめれ」
そう言って、ウラヌスも私について料理を取りに行く。
サラダの盛り合わせを手に取り、ウラヌスはサラダの取り皿とフォークを数本手にして、再びテーブルへ。
「アイシャ。
このクソゲー、ジャンプとか意味ある?」
容赦なくクソゲー呼ばわりしながら、やめないシームはなんなんだと思いつつ、
「気分転換に。
その気になれば、立ちパンしゃがみパン立ちパンだけでもクリアできます」
「アッハハハハ!」
後ろでツボったらしいメレオロンが笑い転げてる。
「面白いのやりたかったら'96やればいいのに、なんでそんなネタゲーするんだか……」
ぶつぶつ言いながら、残りの料理を取りに行く。
「アレは、ああいう遊びなんだよ」
ウラヌスも笑いをこらえながら、一緒についてくる。
いや分かるんだけどね、それは。うん……解せぬ。
「うん、ピラフいけるじゃない!
どうせならカレーピラフとかエビピラフが良かったけど」
メレオロンがカチャカチャ美味しそうに食べつつ、贅沢言うのに対し、
「……
こういうの食べれるか聞こうと思って忘れてたんだけど、バカなこと聞くトコだったよ。
その分だと、人間の食べ物は全部いけるんだな」
「そうねー。
むしろ虫食えとか言われたら、お断りしまーす」
う。……ちょっとヤなこと思い出した。
私は軽くお水を口にして、自分のぶんのサラダを取り分ける。マヨネーズかけかけ。
ちゃんと料理したのはピラフとサラダぐらいで、後は出来合いを焼いたり炒めたりしただけ。手短に作った即席スープが一番時間かかった。
「ウラヌスって、自炊するんですね」
ぱりぱり。もぐもぐ。
「まぁ手軽に作れるやつはね。
煮込みとか時間かかるのは流石にやらない。
アイシャは?」
もくもく。しゃりしゃり。ツナとリンゴ合うなぁ。
「……んー。私もそうですねぇ。
作れなくはないですけど、時間がかかるのは好んでやらないです。
焼き料理、炒め料理は手早く出来ますし、お腹にも溜まりますから」
「分かる分かる、やっぱりそうだよねー。
煮炊きする料理は店で食うに限るよ」
うんうん頷きながらウラヌスも、自分の皿にサラダを取り分ける。
……と思ったら、シームの前に置いた。
「えー」
「何となく食べなさそうな感じだったからな。
ちゃんと野菜食え。マヨネーズいくら使ってもいいから」
言って、シームの何もない皿は自分の手元へ寄せるウラヌス。
サラダを再び取り分けるのを横目に、私は唐揚げを摘まんでピラフに乗せる。
「ここの電気とか火って、神字を使ってるんですか?」
尋ねてみる。ウラヌスは首を縦に振り、
「何年か前に神字の研究がてらね。
オーラを込めればチャージされるタイプだから、ちょっと面倒なんだけど」
「その……
神字で重しって作れますか? あると、修行が捗るんですけど」
「ああ、ウェイトトレーニング用ね。
むしろ重くするだけなら得意分野かな。軽くしろって言われると困るんだけど」
「軽くするって難しいんですか?」
重力操作できるミルキは、別にそんなこと言ってなかったような。
「……俺は得意じゃないかな。
むしろ浮かせろって言われた方が楽」
──? ──??
なんか今、さらっとスゴイこと言った気がするんだけど。
「ま、どっちにしてもすぐには無理だよ。
ゲーム内で時間あるときに用意するから、どれに引力の神字を書けばいいか指定して」
「はぁ……」
重力──ではなく引力、か。ミルキの重力操作とは違うのかもしれないな。ウラヌスとミルキを引き合わせたら、面白い話が聞けそうな気がするぞ。
そんなことを考えながら、唐揚げとピラフを一緒に頬張る。もぐもぐもぐ……んまー。
「そういえば、ここってアンタが全部作ったの?
なら、めちゃくちゃスゴイじゃない」
メレオロンがそう言った後、スープをかき込む。
なんとなく微妙な顔をするウラヌス。
「まぁ、そうなんだけどさ……
思い出したくもないぐらい、手間と金かかったからなぁ……」
「前にプレイしてた時は、ここ使ってないんですよね?」
私が尋ねると、ウラヌスはこれも微妙な表情のまま、
「前回はバッテラのとこから入ったからね。
……あの古城も大概警備がザルで、大丈夫かと思ったけどな。
最新の防犯システムっつっても、念能力者に通じるか微妙なレベルだったし」
「……」
リィーナがゲームを全部手放したのは、その辺が理由かな。プレイヤーが全て出払えば、ジョイステからグリードアイランドのソフトを取り出せるけど、そうでなければいつ誰が出てくるか分からないジョイステをずっと確保し続けなきゃいけない。それは厄介すぎるだろう。
「アイシャは前、どこから入ったの?
やっぱり、バッテラと契約して古城から?」
ウラヌスの質問に、私は少し考える。普通はそう思うよね。
「んー。
ゴン達はそうですね。……私は、買ってもらいました」
「……。
それって……
グリードアイランドを、って解釈で合ってる?」
「……えぇ、まぁ」
「……。いくらで?」
「その……
買ってもらったんで、私も知らなくて」
ほんと、いくらだったんだろ……。
結局リィーナにゲームは返したし、別に気にしなくても……いいんだろうか……。あの子のことだから、やっぱり嫌な予感がするなぁ。
「あ。でもクリア後に返してるんで、手元にはもうないですよ?」
「…………
ああ、なるほど。そういうことか」
なにやら納得したらしい。なんだか分かんないけど。
私はスープをスプーンで一掬いし、口に含む。
んー……もうちょっとお塩足した方が好みかな。
「キミは入った直後に気絶しちゃうから、バッテラに雇われてゲーム入るのはハイリスクだもんな」
「……ええ、そうです」
バッテラさんの選考会の後、みんなゲームへほぼ同時に入ったらしい。まさに懸念通りだったと言える。そういう意味では、今回も幸運なのだろう。
春巻きを一撮みし、パリパリもぐもぐする。んまい。んー、揚げ物ってピラフに合うー。
シームは食べにくそうに、キュウリをフォークでつつきつつ、
「でもウラヌスもゲーム買ったんでしょ。
結構お金持ちじゃん」
「買ったから、いま貧乏なんだけどなー。
金稼ぐ暇、もうねぇし」
愚痴るように返すウラヌス。
「……さっきも聞きましたけど、神字ハンターって儲かるんですか?」
尋ねてみると、ウラヌスは斜め上をぼんやり見上げる。
「なんつうか、色々あってねぇ……
神字自体は元々扱えたんだけど、それだけじゃ足りないから、神字を刻んだ遺跡を調査して、文献かき集めて、研究して。これが結構金かかるんだわ……
天空闘技場で荒稼ぎした金を元手に、何とかなったけど。
神字関連は念能力者相手にしか基本売れないのが、難点と言えば難点なんだよね。高く売れるけど、買ってくれる相手を見つけるのがホントに面倒くさい」
そうだろうなぁ。私が多少修めた神字も、道場でいくらか使った程度で、日常ではまず使わない。積極的に使おうにも、一般人の目に触れるところでは使えないからな。念能力自体にも言えることだけどね。
それにしても、天空闘技場のシステムってホント欠陥だらけだな。散々お世話になっておいて、こう言うのもなんだけど……
グリードアイランドでクリアの懸賞金目当てだった人達って、なんで天空闘技場を利用しないんだろ。あそこの方がよっぽど手軽に大金が稼げるのに。……ま、どうでもいいか。
「ウラヌスも、天空闘技場でお金稼いだんですね」
「……ああ、やっぱりキミもか。
アレ、金稼ぐ為にわざと負けたりしてると、ファイトマネーが10億に近づいた頃合いで警告してくるみたいだね」
「あっはっは……」
ちゃんと検証されてまーす。
今回、色々ゲームが出てきましたが、いずれも元ゲームがあります。細部違うところは魔改造ということでw
ちなみに、アイシャが天空闘技場(無印・第九話)でやってた格ゲーは○OF'96と予想。