どうしてこうなった? アイシャIF   作:たいらんと

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ドリアス編2 2000/10/1
第百八十一章


 

 忍具を取り上げるついでに、姉貴自身が持ってた鎖で、身体をぐるぐる巻きにしてフン縛ってやる。とりあえずこれで、目が覚めても身動きできないだろう。

 

 ……なんだな。この絵面、なんかアレだな。まぁいいや。体裁構ってる場合じゃないし。恥ずかしいのは姉貴だしな、うん。つか危うく俺がこの状態になるトコだったのか……

 

「ブック」

 

 バインダーを出し、『交信』を使用する。

 

『ウラヌスッ! 無事ですかっ!?』

 

「ん、んー……

 無事、とは言えないけど。いちおうケリはつけたよ」

 

『ホントッ!?』

『ちょっとシーム、落ち着きなさいってば』

『……声の具合からして、かなり負傷していませんか?』

 

 バレるか。平常にはほど遠いし、さっきまで窒息寸前だったからな。

 

「その話は後で。

 戻るって約束だったけど、フン縛った敵を連れてかなきゃいけないから、そこから移動してほしい。宿はチェックアウトせずに、荷物も持ってこなくていいよ」

 

『……どこがいいですか?』

 

「うーん……

 ドリアスにでも飛んで、近くの森に入って適当な場所まで移動してくれる?

 とにかく誰にも見られたくないんだ」

 

『……分かりました。すぐ移動しますから少し待っていてください。

 着いたら、こちらから『交信』します』

 

「うん、お願い」

 

 通話が切れる。はぁー……ホントは3人と会わせたくないんだけどな。俺の素性が色々バレそうだし。

 でもこの状況で話さなかったら、かえって迷惑かけそうだもんな。やだなぁ……

 

 

 

 数分後、アイシャから『交信』が来たので、姉貴の忍具を抱えて『同行』でアイシャに向かって飛ぶ。

 

 到着した先は、見事に森の中。──心配そうな顔で俺を待っていたらしい3人が、俺の様子を見て表情をゆがめた。

 

「ボロボロじゃないですか……」

「うぅー……」

「はぁぁぁ……

 ぜんっぜん、無事じゃないわね」

「……ごめん」

 

 としか返せない。つか、ほとんど自爆でダメージ受けてんだよな……仕方なかったとはいえ。皮膚も服も、あっちこっち血まみれだ。

 

「なんですか、それ? ……そのヒトの持ち物ですか?」

「あー、えっと、うん。

 これはコイツが持ってた武器。さっきまで戦ってたのもコイツだよ」

 

 忍具をその辺に置く。ホントはもうちょっと離しておいた方がいいんだろうけど、目を切るのも怖いから、姉貴より俺の方が取りやすい場所に置いておく。

 

 アイシャが俺に向かって歩く。そばへ来る前に、追い抜いたシームが俺に抱きついた。

 

「ウラヌスっ! ウラヌスぅ……!

 しんぱい、したんだよッ!? すっごぃ……しんぱぃ……」

 

 俺に力いっぱい(すが)りついて泣きじゃくるシームに、

 

「ごめんな……」

 

 俺は、そうとしか返せなかった。そりゃ心配するよな……怖い思いさせちゃったよ。

 

「シーム……

 気持ちは分かりますが、早く治療しないといけませんから」

「そうよ、シーム。

 後にしてあげなさいな。多分痛がってるわよ」

「あっ!?

 ……ウラヌス、だいじょうぶ?」

「まぁ……うん。

 大丈夫ではないかな。ごめん、ちょっと腰下ろさせて」

 

 シームから解放され、俺は土の上にしゃがみこむ。……いてて。早く傷口塞がないとな。出血で体力がじわじわ落ちてきてる。

 

「ウラヌス、そのヒトは誰なんですか?

 知り合いなんですよね?」

 

 鎖でぐるぐる巻きにしたソレを見て、どこかしら不審げなアイシャ。……まぁ白状するしかないか。

 

「──姉貴」

「へ?」

「……おれの、あねき。

 血の繋がった、実の姉」

 

 噛み締めるようにゆっくり告げると、放心したような顔をする3人。

 

『────えええぇぇぇぇぇぇぇッッ!?』

 

 めっちゃ大声で驚かれた。そ、そんな驚くことか? 知り合いだって言ってたんだし、里からの追っ手なら充分可能性としてありえるじゃないか。

 

「えぇぇ、お姉さんなんですか?

 でもその……

 髪の色が全然違うじゃないですか。……それにこのヒト、忍者みたいなカッコしてますけど?」

 

 うぅ……。そっか、それで俺とイメージが結びつかなかったのか。やだなぁ、コレって込み入った事情を話さないままじゃ済まないパターンじゃないか。

 

「……ぅ……けほっけほっ!」

 

 間近で大声を出したせいか、姉貴が呻く。目を覚ましたか……嫌なタイミングで。

 

「……ぁ……あれ?

 なにこれっ? 私、縛られてるの?」

「縛ったよ。

 たりめーじゃねぇか。起きた途端、暴れるのが目に見えてんのに」

「え?

 さ、桜?

 いや、えっ!? こ、この人達はどちら様……?」

 

 ……俺に仲間がいるって、気づいてなかったのか? それともしらばっくれてるのか、混乱してるのか。いや、そんなことより。

 

「……。ウラヌス。

 1つ聞いていいですか?」

 

「……なに?」

 

 

 

「──……あなたの、本当の名前って」

 

 

 

 やっぱり、そう来るわな。あーあ、バーレた。もうやだぁ……

 

 俺は髪の毛をぐしゃぐしゃに掻き混ぜながら、

 

 

 

「……本当の名前とか、そんなんじゃないよ。

 

 俺の、昔の名前は……桜。

 

 ハンターライセンスを取った時の名前は、ウラヌス。……桜はもう、捨てた名前だよ」

 

 

 

「えぇッ!?

 どういうこと、ウラヌス!?」

 

 シームが混乱して尋ね直す。いや、どう説明すりゃいいんだ。あーもう。

 

「桜って猫じゃないのッ!?」

「……ネコ?

 ネコってなんのこと、桜?」

 

 姉貴がクチを挟んで、より事態をややこしくする。あああ、もう待て。だらだらと説明させるな!

 

「ちょっと待って!

 後で説明するから、口々に聞かないで! 先に怪我を治させて!」

 

 とりあえず姉貴とシームを沈黙させる。メレオロンも聞きたそうにしてたけど、やはりワケが分からないようで困惑顔をしてる。

 

 この中では一番冷静そうなアイシャが考える素振りを見せ、

 

「それはもちろん、そうしてください。

 私達にできることはありますか?」

「うぅん、悪いけど少し待ってて。

 姉貴。すぐ治療してやるから、ちょっと待ってろ」

「……わかった。

 できれば、ほどいてほしいんだけど……」

「だーめーだ。

 大丈夫って保証がない以上、それはそのまま」

「うっそぉー!?

 いや、困るってばぁ。何もしないからほどいてぇ」

「うるせ」

 

 ほっといて神字での治療を始める。……いずれ解かなきゃいけないのは分かってるけど、説得し終える前にンなことできねーよ。ダブルも警戒しなきゃいけねーし。

 

 

 

 

 

 ……うん。内心、めっちゃ動揺してる。

 

 ウラヌス=チェリーって名前が偽名──というか本名じゃない可能性はあると思ってた。明らかにジャポン人の名前じゃないしな。

 

 でもサクラかぁ……確かに男性名として、無いとは言えないけど。あのサクラの存在があるからなぁ。昔の名前を念獣に付けるのって、どういう心境だっだんだろ。

 

 まぁそっちも驚いたけど。ここに来た時ウラヌスが持ってた道具とか、お姉さんの衣服とか。まるっきり忍者じゃないか。

 

 生まれ故郷がジャポンの里、とは聞いてたけど。

 まさか、忍びの里の生まれだったとは……

 

 ということは、ウラヌスの技って忍者のソレなのか? なんか違うような気もするけど、納得できないというほどでもないか……

 

「ウラヌスって忍者だったの?

 あの、ニンニンってやるやつ?」

 

 ウラヌスが治療の神字を施す中、シームが耐えられずに質問する。私だって確認したいけど、

 

「シーム。

 質問は後にしてあげてください」

「うん……」

「……そうしてくれると助かる。

 でも、これだけは言っとく。俺は忍者なんかじゃない。ニンニンとか言わない」

 

 ふぅん。まぁ忍者のカッコしてないし、忍術とか言って何かしてきたわけでもないしな。しいて言えば、針を具現化して投げたりとか水面を歩いたりとか、あの辺りか。んー……歩法や身のこなしも、なかなか独特の──

 

「アンタ、まだそんなこと言ってるの?」

 

 縛られたままのお姉さんがクチを開く。煙たそうにするウラヌス。

 

「いいから黙っててくれ。気が散る」

「散々子供の頃、忍者ごっこしてたじゃない。

 アレが忍者の訓練だったって気づかなかったの?」

「……んなつもりなかったし、関係ねーよ。

 俺が里のバカどもに何を習ったってんだ。俺が見て、技を盗んでやっただけだ。ロクに使えねーゴミみたいな忍術なんざ、誰が使うか」

 

 教わったんじゃなくて、見て技を盗んだ、か。それ、子供がするレベルじゃないよね。ごっこどころか、ガチ忍者なんですがソレは。

 

「本格的な忍びの訓練になったら、どっか逃げてたじゃない」

「……移動や諜報に使うような技なら、まだ盗み甲斐もあるけどな。

 明らかな暗殺術なんざ、絶対覚えねーよ」

「ウソばっかり。やろうと思えばできるクセに」

「いいから黙ってろ」

 

 険悪に話を切るウラヌス。……できるんだろうな、きっと。

 

 

 

 自分とお姉さんの治療を終えたウラヌスが、ようやくとばかりに長い息を吐いた。立ち上がり、ぱんぱんと土を払う。

 

「姉貴。分かってるとは思うけど、完全に治るには時間かかるからな?

 早く治したきゃしばらく無理すんなよ」

「うん……

 ところで、ほどいてくれる気はない?」

「ない」

 

 冷たく突き放すウラヌス。まぁこの状況で戦闘が再開したらシャレにならないしな……まだ私にかかった『周』は切れてないけど、戦いたい気分でもない。早く事情を聞きたい。

 

「アンタ、誤解してない?

 私、別にアンタのこと──」

「なんだよ?

 俺をとっ捕まえて、里に無理やり連れ帰る気だったんだろ? 誤解じゃねーだろ」

「違う!

 無理やり連れ帰るつもりなんてなかった!」

「じゃあ、どうするつもりだったんだ?

 里の連中に、俺を捕縛して連行しろって命令を受けてたのは間違いないだろ?」

「……うん」

「どこを誤解してるってんだ。

 一緒に帰るかどうか、散々聞いてただろうが」

「……無理やりじゃない、って言ってるの。

 説得しようとしてたでしょ?」

「アレが? 説得?

 おもいっきり攻撃してきたじゃねーか。今回だけじゃなく、前もその前も」

「それは桜が、私の言うことちっとも聞かないから!」

「ああ?

 大人しく里に帰れって、そればっかじゃねーか。帰るわけねーだろ」

「アンタがそんなこと言って逃げるから、説得しようとして……」

「ふぅん?

 今の姉貴みたく、拘束して逃げられないようにしてから、説得する気だったってか?」

「そ、そうよ……

 納得させられなかったら、無理やり連れ帰ったって結局里から逃げちゃうじゃない」

 

 ウラヌスは「ハァー……」と嘆息し、

 

「にしたって、気が短すぎんだろ……

 昔から言ってるだろ? 口と手が一緒に出るクセ直せって。

 暴力で言うこと聞かせようとしすぎなんだよ」

「だって……

 そんなこと言うけど、私アンタに勝ててないし。

 ……今度こそ勝てると思ったのに」

「姉貴さ。

 腕試ししたかったのは分かるけど、それとこれとは話が別だろ?

 説得なら説得、勝負なら勝負って分けろよな。……まぁもういいけど」

「お願いだから一緒に帰ってよ……」

「……。

 で、里の牢屋に死ぬまで閉じ込められろってか?」

「させないってば、そんなこと!」

「ウソ吐くなよ。

 抜け忍は普通始末するもんだろうが。あの里だってそうだろ。

 俺は忍者だったつもりはカケラもないけど、捕縛して連行しろって命令を下した時点で、実質同じ扱いじゃないか。

 ……抹殺命令を出さないのは、俺が正式な忍者じゃないから、建前上はそうしてるだけだろうしな」

「それは……

 アンタが里で得た知識を、あっちこっちバラまくからよ……

 自分から大人しく里に帰って、一生懸命謝罪すれば──」

「ほぉん。

 あのジジババどもに土下座すりゃ、監禁されるところを軟禁に負けてくれるってか?」

「……そういうふうに話はつけてあるのよ。

 だから──」

「バカが。あんなクソどもの言うことを信用すんなよ。

 絶対に覆すぞ、そんな口約束。俺が逃げ出さないよう、閉じ込めるに決まってんだろ。

 俺達家族があの村でどういう立場なのか、いい加減理解しろや」

 

 ……えぇっと。

 

 なんか聞いてるこっちが困るくらい、メチャメチャ内情喋ってるな2人とも。ウラヌス、ちらちら私達に目をやってるから、ホントは聞かれたくないんだろうし。

 

「じゃあ私はどうすればいいのよ……」

「……俺に聞かれてもな。

 逆に聞くけど、姉貴はどうしたいんだよ?」

「……。

 昔に戻りたい」

「そんな願望聞いてません。……真面目に答えろ」

「……昔みたいに、一緒に暮らしたい」

「誰と?」

「……家族みんなと」

 

 今度こそウラヌスは、「ふぅぅぅー……」と深く深く嘆息する。

 

「なぁ姉貴。

 俺もそこまでお人好しじゃないぞ?

 その家族が、俺にいったい何をした?」

 

 縛られて横たわったままのお姉さんが、ビクッとする。ウラヌスの怒気にあてられて、明らかに怯えだした。

 

「桜……」

「その名前で、呼ぶな。

 年々弱っていって、いずれは死に到る念を3人がかりで俺にかけておいて。

 一緒に暮らしたい?

 どのクチがそんなことほざくんだ。

 ……俺にはもう、家族はいない。お前らは他人だ」

「さくら……」

「……本当はな。

 里にも、お前らにも、俺は復讐したいんだ。

 俺をこんな目に遭わせた連中を叩き潰したい。じゃないとこの憤りは消えそうも無い。

 ぜったいに、ゆるす気はない」

 

 ウラヌスが放つ静かな憎悪に、お姉さんは嘆くように目を閉じる。

 

「じゃあ……

 そんなに私のことが憎いなら、殺せばいいじゃない……」

「……いや、そういうワケにはいかないな。

 仮に姉貴を殺したら、死後強まる念で俺にかかってる呪いが重くなる可能性がある。

 里の連中が、姉貴に追わせる理由もそれじゃないかと俺は疑ってる。

 俺が姉貴を殺せば自滅するし、それを気にして俺が姉貴を殺さないよう手加減すりゃ、俺を捕まえられる確率も自然と上がる。悪くないわな?」

「……」

「俺が言いたいのは、だ。

 もう里のヤツラは誰1人信用できないし、あんなトコで誰とも暮らしたくないってことだよ。

 姉貴のことも、信用できない」

「……。そう」

 

 諦めたように、目を閉じたままつぶやくお姉さん。ウラヌスが私の顔を見る。ようやく表情を緩め、肩をすくめてみせた。

 

「……ま。姉貴にだけグチグチ言っても、しゃあねーけどな。

 言われなくたって、いずれ帰るさ」

「えッ!?

 ……まさか、復讐しに里へ帰るつもり? 本気なの?」

「まぁ……そうだな。

 あんな里、俺はなくなっちまえばいいと思ってるからな。

 何はともあれ、まずは俺の念を何とかしてからだけど」

 

 ようやく差し込む機を見つけ、私は軽く手を上げる。促してくるウラヌス。

 

「その……お姉さんに質問なんですが。

 ウラヌスにかかっている念は、あなたが外すことはできないんですか?」

 

 私に困惑の目を向けるお姉さん。やはりウラヌスは答えるように促す。

 

「……むり。

 確かに私も関わって、かけた念ではあるけど、3人でかけた念でもあるから……

 父と母も協力してくれない限りは」

「するわけないわな、あの2人が。

 里の決定に逆らってそんなことができるなら、そもそも念なんてかけてない」

「……」

 

 うん、多分そうだろうとは思ったよ。でも確認だけはしておきたかったしな。

 

 ウラヌスはお姉さんのそばにしゃがみこみ、

 

「……ユリ(ねえ)、さ。

 俺が姉貴のこと許すの、手伝う気はないか?」

 

「──え?

 えっ!? どういう意味……?」

 

 ウラヌスの言葉に、身を跳ねて驚くお姉さん。……やっぱりウラヌス、ホントは許してあげたかったんだな。

 

「なんで俺がここまで恨んでるかっつーと、要はこの念を姉貴にかけられたから、なワケだよ。

 だったら、この念を外しちまえばいい。

 そうすれば、俺が姉貴を恨む理由は消える。……手伝ってくれたらチャラにするさ」

「……で、でも。

 さっきも言ったけど、私1人じゃその念は外せないのよ? いったいどうやって……」

 

 ウラヌスがお姉さんへ言葉を返す代わりに、私へと視線を向ける。ふむ……

 

「言質を取らせてください。

 お姉さんは、ウラヌスの念を外してあげたいんですか?」

「……。

 私だって、念をかけたかったわけじゃないのよ。でも……色々あって。

 少なくとも当時は、選択の余地がなかった」

「姉貴。それは俺も分かってるさ。

 でも俺達が聞きたいのは、そういうことじゃない」

「……

 …………そうね。

 桜はもう充分すぎるほど苦しんだし、私は死んでほしいなんて思ってない。

 その念を外す為に協力できることがあるなら、協力する」

 

 瞑目するウラヌス。しばし沈黙した後、

 

「俺をもう連れ帰ろうとしない、襲わないって誓えるか?

 もちろん、俺達に危害を加えないって意味だ」

 

「ええ……

 あなたがいずれ里に帰る気なら、無理に捕まえたりなんかしない。

 危害なんて、元々加える気はないわ」

 

「俺は一緒に暮らす、なんて約束はしないぞ?

 それでもか?」

 

「……。

 本当は一緒に暮らしたいけど……桜が嫌がってるのに無理強いなんて出来ないわよ。

 

 ……あなたはもう、桜じゃないんでしょ?」

 

「……加藤桜なんて元々いない。

 俺はウラヌス=チェリー。俺と姉貴は家族じゃない。……他人なんだ」

 

「…………うん。アンタがそう言うなら、私もそれでいい。

 今まで、ごめんなさい……」

 

 私の後ろで、さっきからメレオロンとシームが寄り添って泣いていた。2人にとって、こんなに聞いていてツライ話はないかもしれない。

 

 ウラヌスもお姉さんも、仲違いしたいわけじゃない。

 

 けど、もう元に戻ることもない。……これはそのことを互いに認めて、ケジメをつけているのだろう。

 

 

 

 私は、自分がどれだけ幸福に恵まれたのか、改めてそのことを噛み締め……

 

 

 

 どうしてウラヌスがこんな不幸な目に遭うのか、理不尽だと思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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