どうしてこうなった? アイシャIF   作:たいらんと

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外伝十五章

 

 1999年9月8日。

 

 ネテロが旅団の対処の為に各所へ連絡するものの、断られたり拒否されたりでこの日は誰も集まらず、収監した旅団達も変化なし。

 同日晩、ゼノ経由でヨークシンの十老頭から、ウラヌスを直接指名した依頼を伝えられ、何とかウラヌスを説き伏せてノヴとともに派遣する。

 

 

 

 

 

 1999年9月9日。

 

 やむなく旅団対応の為に十二支んへ連絡するネテロ。あまり色よい返答ではなかったが、何人かは手配することができた。

 収監された旅団達は、ネテロから簡単な取り調べを受けただけで特に動きはなく、ただ静かに時が過ぎる。

 

 

 

 

 

 1999年9月10日。

 

 一悶着どころか何悶着もあったものの、ひとまず旅団の処遇が正式に決定する。

 同日晩、ヨークシンの件を片付けたウラヌスとノヴから口頭でコトの顛末を聞いた後、いちおうゼノにも情報共有するネテロ。

 

『なるほどのぅ……

 なかなか面倒なことになっとったんじゃな』

「ウラヌスから、えらく文句を言われたぞ。

 お主経由で十老頭から連絡が来たのは、あやつの自業自得じゃと思うがな」

『ワシもトボケようかと思いはしたんじゃが、暗殺依頼をしくじった手前、十老頭相手に断りにくくてのぅ。

 じゃが、ヌシが文句を言われたのは、そもそも旅団の護送なんぞに首を突っ込んできたからじゃろうが。手下どもに任せておれば、ワシらも面倒なことにならずに済んだものを……

 相変わらずの面白がりめが』

「フン、今回は痛み分けじゃな」

『どこがじゃ!

 今回もワシの方が泣かされとるわ、クソジジイめ』

「……事後処理が面倒でのぅ」

『それこそ知ったことではないわ』

 

 

 

 

 

 1999年9月11日。

 

「──まったく、何を考えてるんだ会長は!」

「まったくだな……厄介なことになったものだ」

 

 牛柄の珍妙な衣装を着た男性と、いかにも鬼面の容貌を困惑に歪めた大男が、ハンター協会本部の廊下を不愉快そうに歩いていた。

 

 明らかに不審者めいた2人組だが、すれ違うプロハンターや事務員は挨拶したり、愛想笑いすら浮かべている。

 

 ミザイストムとボトバイ。

 ネテロから有事の際に運営を託される、ハンター協会の閣僚にして、その中でも上位に当たる名実ともに実力者である。

 

 捕縛した幻影旅団の処遇──という最高水準の懸念事項に対し、納得のいかない2人はネテロのところへ直談判に向かうところだった。

 

 

 

 ハンター協会本部ビル──数ある部屋の中でも特に防音性能が高い、ある一室で。

 

「──会長ッ!!」

「そう怒鳴らんでも聴こえとるわい……」

 

 うるさそうに耳をほじるネテロに対し、ミザイストムは腹立たしさを隠さず、手にした書類をバンッ! と机に叩きつける。

 

「これまでにも1人や2人なら特例が認められることもあったでしょうが、このクラスの念能力犯罪者を、一度に十数人もこんな処遇にするのは前代未聞です!

 今すぐ撤回していただきたい!」

 

 同席するビーンズがおろおろと、落ち着き払ったネテロと、いきり立つミザイストムを交互に見る。

 

「それは既に決定事項じゃ。覆すつもりはない」

「決定事項なのは見れば分かります!

 ですが、会長お1人で決定したことではないでしょう! この書類はどういった経緯で判が押されたのですかっ!?」

 

 その書類は、特定犯罪者に対する特別処遇について記載された書面だった。先ほど直接ビーンズから手渡されたが、概要は協会の法務部からミザイストム達も事前に聞き及んでいた。

 

「ワシがその処遇を決めて、パリスに手続きを任せたわい。

 何やら面白がるようなツラで引き受けて、あっさり法務に捻じ込みおったわ」

「なぜ副会長のような者に手続きをさせたのですかッ!?」

「副会長じゃからかのぅ」

「そんなことを聞いているのではありません!

 真面目に答えてください!」

「冗談じゃよ、そう怒るな。

 最初はビーンズに任せるつもりだったんじゃが、これでは通らんと突っぱねられての」

 

 水を向けられたビーンズは迷惑そうに、

 

「当たり前じゃないですか……

 私でもこんな無茶通せませんよ」

「フン。……で、パリスなら事務方をどうとでもやりこめるじゃろうと思うての。

 断られたらワシが直接法務に掛け合うつもりじゃったが、手間が省けたわい」

 

 何と返せばいいか分からずに震えるミザイストムの肩を叩き、ボトバイが難しい表情で、

 

「ヨークシンで幻影旅団を護送する際、マフィアの妨害があったと聞き及んでいます。

 極秘だったはずの護送情報を事前にリークしたのは副会長ではないか、と噂されておるのですが……」

「そんなことは知っとるし、間違いなくそうじゃろうな。

 どうせ、いつもの嫌がらせじゃろ」

 

 ボトバイは信じられないといった表情で、

 

「それを承知の上で、事後処理を副会長に任せたのですか……」

「反応と出方を見たかった、というのもあるがな。

 アヤツからすれば、それを通した方が後々ワシを困らせられると踏んだんじゃろうな」

 

 机を叩くミザイストム。

 

「それです、会長ッ!!

 もし旅団が脱獄したり、収監中に暴れて職員が犠牲になれば、この特例を決めた会長の責任は重大と見なされるでしょう……副会長の思惑通りに!

 それなのに、なぜ旅団の念を完全に封じないのですかッ!?

 捕らえた犯罪者に、なぜそんな自由をお認めになるのですッ!!

 念を封じるのは、凶悪な念能力犯罪者を捕らえた際の大前提でしょうッ!?」

「全てのケースではないがの。それにアヤツラも厳しく制限は受けておる。

 そもそも仮にならともかく、完全に念を封じるのはそう容易いことではない」

「分かっています、そんなことは……!

 手配が間に合わないこともありますし、長期的に封じ続けるのが難しい実情も理解しています。

 ですが、A級賞金首に対して優先的にそういった処置をしない理由はありません!」

「……」

 

 沈黙するネテロに、尚もミザイストムは言い募る。

 

「何より! 推定死罪の旅団に、なぜ『死ぬ自由』を与えるのですかッ!?

 いえ、念能力者や死刑囚に限らず、重罪人に対して断じて有り得ない処置ですッ!!」

 

 ボトバイも同調するように頷き、

 

「そうでしょうな……

 私も様々な国や地域の事件を見聞きしてきましたが、およそまともな法治国家では例のないことかと」

「まぁその辺は成り行きじゃのぅ……

 ワシが定めた掟でもないしな」

「会長ッ!!」

「そう興奮するでない。

 ……お主らの前に、ギンタのやつもやんわり同じような苦言を呈していきおったわ」

「ギンタも来ていたのですか……

 旅団が密猟を働いたという話は寡聞(か ぶん)にして存じませぬが、一体どのような用件で?」

 

 不思議そうにボトバイが尋ねると、ネテロは鬚をさすりながら、

 

「アヤツはたまたま近くに来とっての。

 チードルを呼んで旅団の負傷を診させたんじゃが、その際の護衛役を志願しおってな」

「彼女まで来たのですか。

 あの幻影旅団に関することとは言え、ずいぶんと大仰で(おおぎょう )すな」

「十二支んに声をかけたからの。

 まぁチードルのやつは、ワシにありったけの罵詈雑言を浴びせていきおったが……

 それに比べりゃ、言うことのスジが通っとる分、ミザイの方がまだマシじゃな」

「……オレもボトバイが隣に居なければ、罵詈雑言とまではいかずとも、会長のお考えについてじっくり話し合いたいところですが」

「忙しいから、そいつはまた別の機会にせい。

 チードルもまだまだワシに言いたいことはあったようじゃが、旅団の診察が終わった後、呆れた顔でどっか行きおったわ。他にも頼みたいことがあったんじゃがな……

 ギンタは、言い足りんチードルの代わりに文句を付け加えた、というトコかの」

 

 ボトバイは腕を組んで、さもありなんといった様子で頷き、

 

「当然でしょうな。モラリストな彼女にとって、会長の案は到底承服しかねたのでしょう。

 チードルは法律学者でもありますから、途中で言葉を呑むのも一苦労だったかと」

「それこそワシが決めたことじゃなければ、何としても撤回させたじゃろうしな……

 チードルのやつ、それを理由に旅団の診療を一度拒絶したしの。説得するのに苦労したわい……」

 

 ミザイストムは息を吐いた。十二支んのうち4人もの苦言を(は )ねつけるネテロに対し、もう説得の言葉が見つからなかった。

 

「では……

 どうあっても撤回するつもりはない、と?」

 

 それでも念を押すように確認するミザイストムに、ネテロは瞑目し、

 

「…………。

 なんと言われようとも、この決定を覆す気はない。

 これは、誰一人叶わなかった幻影旅団の捕縛を成し遂げた者に対する報奨のようなものじゃ。

 ワシに文句を言うのは自由じゃが、それ以上の介入は認めん」

「……分かりました。

 会長がそこまで仰るのなら、オレからはもう何も言いません」

「私も同じです。これ以上は時間の無駄でしょうからな」

 

 ミザイストムとボトバイが渋々承諾したことに安堵したビーンズは、

 

「会長。説明の方は……」

「うむ。

 もうついでじゃから、この場で進めてもええじゃろ。

 お主らに引き受けるつもりがまだあれば、じゃが」

「私は元よりお受けするつもりです」

「……オレも引き受けます。

 どういう結果になろうとも、この件は見届けたいですから」

「では……

 これからお2人には、幻影旅団の略式裁判を進めるに当たって、これまでに確認された旅団の過去の犯罪歴を──」

 

 ビーンズの説明を聞き流しながら、ネテロは今後も面倒であろう旅団の扱いについて、考えを巡らせていた。

 

 

 

 ──ウラヌスは報告を終えたらさっさと行方を晦ませよったし、アイシャもクラピカも連絡が取れん。パリスが手を出さんよう警戒せねばならんし、政府から旅団に関する問い合わせも後を絶たん。どうにも手が足りんのぅ……

 

 

 

「……会長? お2人への説明は終わりましたが」

「あ、うむ。

 では手始めに、今からワシが幻影旅団各々の取り調べを行うから、2人には立ち会ってもらおうかの」

「わざわざ会長が?

 我々だけでも取り調べはできるかと思いますが……」

「ミザイはむしろ、1人で取り調べがしたいんじゃろ?」

「……」

「気持ちは分かるが、念の為じゃよ。

 あやつらの掟は思ったより厄介でのぅ……。あやつら自身もなかなかの曲者(くせもの)じゃが。

 なに、ワシは最初だけで後は任せるから、その時は好きにせい」

「……分かりました」

 

 

 

 

 

 ────基本的に、念能力を主体とした犯罪者は取り扱いが難しい。

 

 念能力を使えるから危険というだけなら、捕縛後に念を封じれば済む話だ。それだけであれば、さほど問題ではない。

 

 問題は、念という世間一般で非公式な異能を用いた悪事を、犯罪と見なせるかどうかだ。

 

 当然だが念能力自体は単に個人の技能でしかなく、能力を行使することに対し、国家の法が(公に(おおやけ ))適用もされなければ、制限が課せるわけでもない。

 

 その為、実際に犯罪と見なされるかは念うんぬんとは関係なく、その個人が殺人や窃盗その他諸々の『常識的な法』を犯したかどうかだけを問われる。

 

 だが犯罪を立証するには、通常は物的証拠が不可欠。しかし念能力は、物的証拠を残すことなく容易に法の網をすり抜ける。

 

 そういった念能力による犯罪を見極める際の主な業務委託先が、多くの国家から信任を受けたハンター協会であり、そこに所属する熟練プロハンター達である。プロハンターが明らかに超法規的な権限を認められているのは、その辺りにも理由がある。

 

 数多の国や地域を跳梁した幻影旅団による犯罪も例外ではない。むしろ各国の調整役として協会がうってつけと言える。念が関与した国際犯罪者を死刑とするか終身刑とするか超長期刑とするか──量刑判断に極めて難しい匙加減(さじか げん)が求められるからだ。

 

 いずれにしろ念能力を用いた犯罪を立証するのは困難である。たとえ捜査するのが同じ念能力者であってもだ。状況証拠のみで片付くようなケースなら問題ないが、そうでない場合は取り調べによる被疑者の『自白』が極めて重要視される。

 

 

 

 

 

 幻影旅団の対処をネテロから引き継いだボトバイとミザイストムだったが、それ以降の対応は煩雑(はんざつ)を極めた。

 

 まず幻影旅団の犯行と思われる事件が多すぎるのが問題だった。

 犯行が多いなら死刑にしてしまえばいいとも思えるが、それは量刑を決める一点のみの話だ。実際にはどれが旅団による犯行で、どれが旅団と無関係か分ける必要がある。──でなければ、旅団の犯行ではなかった場合、真犯人が野放しになるからだ。

 

 そして、幻影旅団を(かた)る犯行は実に多い。蜘蛛の刺青(いれずみ)を見せて幻影旅団を名乗り、罪を犯せばいいからだ。無論、少し詳しい者が調べれば旅団ではないことくらいすぐに分かるのだが、世界中でそういった真似をする者が後を絶たなければ、区分するだけでも途方もない労力がかかる。

 

 幻影旅団の犯行と分かっているモノは、そのままでもいい。たとえばヨークシンの騒乱などがそうだ。そして、旅団の犯行ではないとこれまでに分かっているモノも多数ある。それらも改めて調べる必要はない。……実は旅団の犯行だったモノもあるかもしれないが、ひとまずそれは事件として解決済みだからだ。

 

 要は旅団の犯行かどうか分からない案件に絞っても、相当数にのぼることが問題だった。

 

 旅団達に、ある強盗殺人事件について取り調べをすると、

 

 ウボォーギンは「そんなこまけーこと覚えてねーよ」と返し。

 マチは「あった気もするけど、どうだったっけ……」と返し。

 シズクは「んー……さっぱり。行ってない気がする」と返し。

 コルトピは「呼ばれてないから知らない」と返し。

 フィンクスは「んなことあったっけな?」と返し。

 フェイタンは「いちいち記憶してないね」と返し。

 ボノレノフは「オレは団長を守っていたから、他のヤツじゃないのか?」と返し。

 フランクリンは「行った覚えはあるんだが、そこで何したっけなぁ……」と返し。

 ノブナガは「確か斬ってるはずだな。何を斬ったかまでは不確かだが」と返した。

 

 とまぁ一事が万事、この調子である。掟に縛られていようと、本人達が覚えていないのでは自白させようがない。そもそも今まで旅団に所属した全員が捕縛されたわけではないので、旅団の犯行ではあっても、捕縛されたメンバーは関与していない可能性もある。

 

 とは言え、パクノダ、シャルナーク、クロロは比較的記憶していたので、調書の内容はほとんど彼らの供述で占められた。

 

 彼らを縛る掟には『大人しく法の下に裁かれろ』というものがある為、取り調べに対し概ね従順ではあった。少なくとも虚偽を口にするつもりがないのは大きい。

 

 ただミザイストムは、その従順さに不満も感じていた。──事情聴取や情報提供要請に対して素直に応じている以上、ある程度減刑も考慮しなければならないからだ。監獄でも逆らう様子はなく、大半のメンバーは模範囚と呼べる態度だった。

 それが彼らを縛る掟によるものであるにしろ、無視はできなかった。むしろ掟ではなく直接念を封じていたら、彼らは即座に『死』を選んでいたのではないかとミザイストムは推測していた。

 

 そもそも幻影旅団は慈善事業も少なからず行っている。そして殺害した対象には、闇に所属する者達も数多くいた。何よりミザイストムは幻影旅団を裁判で『弁護』する立場になる為、これらの要素を切り捨てるわけにはいかなかった。

 

 

 

 

 

 ──余談になるが、旅団は自分達を捕縛した経緯を問われても、黙秘を貫いた。

 

 これについては『大人しく法の下に裁かれろ』という掟があっても、決して話すことはなかった。確かに捕縛された経緯を正直に話す必要はない。そして掟で口にできないのであろうことも容易に想像がついた。

 

 ボトバイにしろミザイストムにしろ、それについてぜひ知りたかったのだが、分かったのはクラピカというプロハンターのルーキーが、旅団を捕縛した功績によってシングルの称号を得たということだけだった。何も分からないのと同じである。

 

 ネテロに尋ねても、具体的なことは何も答えずじまい。ネテロが直々に旅団を護送したことを含め、一連の逮捕劇については謎だらけというのがボトバイとミザイストムの共通認識だった。

 

 

 

 

 

 ────その後、紆余曲折を経て幻影旅団の刑罰が確定した。

 

 

 

 死刑は、クロロ・ウボォーギン・フェイタン・フィンクス・ノブナガの5名。

 

 クロロはプロハンターではあるものの、やはり幻影旅団を長年団長として率いた責任は重大と見なされ、諸々を加味しても相殺しきれないと判断された。……取り調べの際に、余計な皮肉や挑発を口にする悪癖もマイナスに働いた。

 

 旅団の戦闘部隊として長期的に殺傷し続けた、ウボォーギン・フェイタン・フィンクス・ノブナガは、証拠が明確かつ殺傷数も膨大である為、死刑。

 

 以上5名の死刑執行時期は未定。慣例に従うなら、相応の年月を経た後と予想される。

 

 

 

 超長期刑は、フランクリン・パクノダ・マチ・ボノレノフ・シズク・コルトピ・シャルナークの7名。

 

 フランクリンも、旅団の戦闘部隊として相当な人数を殺傷しているが、他の戦闘部隊の4名と比べて見境なく殺害していたわけではないフシがあり、捕縛された際は死に瀕するほどの損傷を負ったことが懲罰に値すると見なされ、死刑だけは免れた。ただし刑期は、到底恩赦でも打ち消し切れない1050年とされた。

 

 パクノダは戦闘部隊ではないが、長年旅団に所属して団長の補佐を務めた為、殺傷した人数こそ少ないものの、刑期760年とされた。

 

 マチは準戦闘要員と見なされ、長年旅団に所属して殺傷人数も少ないとは言えなかった。旅団とは別に、問題ない活動をしていた時期も相応にあることが確認された為、刑期595年。

 

 ボノレノフは準戦闘要員で、団長の護衛を務めることが多いと本人が供述。実際、殺傷した事例はそれほど確認されず、また旅団に所属していた時期も長期とは言えなかった為、刑期450年。

 

 シズクは証拠隠滅が主で、団長の護衛や逃走の幇助など直接的な犯罪に関わっていないことが多かった。文字通り証拠が残ることは少なく、立証が困難になったケースも珍しくなかった。旅団所属期間がそれなりであったことと、犯罪への関与は推測を多分に含むとした上で、刑期295年。

 

 コルトピは偽造や隠蔽が主な活動とされ、団長の護衛を務めることもあったが、旅団として動いていた期間はそれなりだった。あまり殺害に関わった形跡もなく、偽造した証拠自体もほぼ残っていないこともあり、刑期250年。

 

 シャルナークは準戦闘要員、長年旅団に所属して団長の補佐を務めていた。それだけで刑期は数百年に相当するが、プロハンターであったこと、またハンターとしての活動にも一定の功績が認められた為、刑期200年。

 

 

 

 本来ならA級賞金首の量刑がこの程度で済むはずもなく、全員死刑とされてもおかしくなかった。だが念能力による犯罪は立証しにくく、また彼らが念能力を秘匿せず積極的に使ってきたことが、皮肉にも減刑に繋がったと言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────幻影旅団捕縛から、1年ほど経ったある日のこと。

 

 

 

 いつもの刑務作業を終えて一息吐いていたシャルナークに、ある男が面会に訪れた。

 

 なぜか面会室ではなく、監獄施設内の応接室に通されたシャルナークは、そこで待っていた見知らぬ人物に対し、なぜか胸騒ぎを覚えた。

 

「アンタは……?」

 

「よぉ。……お前がシャルナークか。

 早速だが、退屈しのぎにちょっと外へ出たくはないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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