オータニア近くの林までウラヌスに運んでもらい、そこへ着地する私達。
「ありがとうございます」
「ううん。寒くなかった?」
「……いえ、そんなことなかったですよ」
逆に暖かったとは言いづらい。でもウラヌスの温もりは何とも言えない心地なんだよな。
「どうする? どっちが買いに行く?」
ウラヌスに問われ、ハタと気がつく。
私はスポーツブラと短パン。ウラヌスはダボダボのシャツ1枚。……どっちもどっちだ。むむむ、と私が悩んでいると、
「……アイシャ。
これ返すから、適当に着るもの買ってきて」
言って、シャツを脱いで裸になるウラヌス。恥ずかしそうにシャツを渡そうとしてくる。
「……」
「い、いやアイシャ。見てないで早く受け取ってよ……」
おっと、いけない。慌ててシャツを返してもらうと、ウラヌスはぷいっと後ろを向いた。……オシリがぷりちーっすわ。
ウラヌスの温もりと匂いが染みたシャツを、私が着直していると、
「……ねぇアイシャ。
俺とネテロが大火傷したこと、みんなには黙っててもらってもいい?」
「……いちおう聞きますけど、どうしてですか?」
「うん……
自分達の為にそんなことしたって聞いたら、あの姉弟は傷つくかなって」
「……
それが建前で、ホントはそのことでこっぴどく叱られるのがイヤなんでしょ?」
「……バレた?」
「まったく、情けないですね……
まぁあなたがどうしてもと言うなら、私の胸の
「うん、そうだね」
「大天使の息吹を2枚使いましたから、引き換え券が残り1枚なので、それも『擬態』で増やしておかないと。ただ『擬態』の枚数が減るのはどうしようもないですから、うまく誤魔化しましょう」
「……バレないといいなぁ」
「ただし」
「ん?」
「二度とあんな危ない真似はしない、と約束してください」
「……アイシャ」
「でなければ、3人にも包み隠さず話します。
私はあなたのしたこと、一切許してませんよ?」
「……ごめん」
「謝ってもダメです」
パチン! とオシリを引っぱたく。
「あいたーッ!? ちょっと、アイシャッ!?」
「なんですか、それぐらい!
あなたがさっき味わった火傷の痛みに比べれば、大したことないでしょうが!」
「そ……
そりゃ、そうだけど、さ……」
「もう一度だけ言います。
二度とあんな危険なことはしない、と約束しなさい」
「……」
「出来ないなら、大火傷したことを3人には話さない約束もナシです。
シームを泣かせて、お姉さんにたくさん叱られなさい」
ウラヌスは振り向き、泣きそうな顔を見せてくる。やがて、きゅっと拳を作り、
「……
分かったよ。約束する」
「誓いますか?」
「ちか……いや、アイシャ。
まさか念の誓約させる気じゃないよね?」
「そこまでしないと約束できないなら、そうしてもいいですが」
「やだよ……
でも、約束を破る気なんてないよ? 次またこういうことやったら、それこそみんなにバラすでしょ?」
「悪くないですね。その時はペナルティとして、今回の件と合わせて3人に話しましょう。
それでどうですか?」
「……それが公平かな。分かった」
「約束ですよ?」
「あんな危ないことはもうしない。約束する」
「……では私も、3人には火傷の件を秘密にしておきます」
「ホントのこと言うと、あんなの頼まれたってもう勘弁だけどね。
まさか死にかけるなんて思ってなかったもん」
「全くですよ……
2人とも炎に呑まれた時は、私アタマが真っ白になりましたからね」
「……ごめん。
その光景想像したら、怒って当然だと思った」
「そう思うなら、その格好で服を買ってきたらどうです?」
「えっ!?」
「服を燃やしたバカにゃんこに相応しいバツですよね。
オシリ丸出しで行ってらっしゃい」
「ま、まってアイシャ!
それは勘弁して!」
「どうしましょうかねぇ?
あ、私はもう服を貸しませんよ?」
「そんなぁ……」
「フフ。冗談ですよ。
ひとっ走りして買ってきますから、待っててくださいね」
「うん、お願いするよ……」
「キュマニャンの衣装でいいですか?」
「いいわけないよッ!?」
アハハハ。いや、売ってたら考えちゃうけどね。今のウラヌスに合うサイズがあれば、だけど。
ダッシュでオータニアまで戻り、そのままの勢いでデパートへ服を買いに行く。シャツ1枚だから、私も誰かに見られたらちょっと恥ずかしいしな。
さいわい誰にも会うことなく、2人分の服と靴を見繕って、ウラヌスの元へ帰還した。
いそいそと着替え終え、ようやく一息吐くウラヌス。
「はぁー……
……この服ってさ。女の子用?」
「それはもう。男の子用がよかったですか?」
「そういうわけじゃないけど……」
ピンク地に花柄の上下で、当然下はスカートだ。てか下着も買ってきたんだけど……
「……やっぱり穿いてませんね」
「穿かない、って言ってるじゃん」
下着をスカートのポケットに押し込んでるウラヌス。はぁぁぁ……いいけどね。今さらだし。
「でも、靴はちょっと合わないかな……」
「私も正確なサイズまでは把握してませんでしたからね。
申し訳ないですけど、後で調達し直してください」
以前のウラヌスなら見当もついたんだけどね。先に聞いておけばよかったよ。
「さて、ネテロを呼ぶか。
あそこで全裸待機させとくのも面白いけど」
「いえ、全裸ではないですよ? 私が服貸してますから」
「あ、そっか。
んじゃアイシャの上着1枚羽織って、気が済むまで山で正拳突きさせとこっか」
「……ネテロに辛辣ですよね、ウラヌスって」
「あんなエロスケベ変態クソジジイに、敬意なんて払いたくねーもん」
「まぁ私は構いませんけど、後で恨みごと山ほど言われても知りませんよ?」
「うへ。マジ勘弁」
ネテロを『交信』で連絡して呼び寄せて、買ってきた服を渡す。ぶつくさ言いながらも若者風に着こなすネテロ。スニーカー履いてる姿とかなかなか新鮮だな。私も面白半分で買ったんだけどさ。運動着の上着を返してもらい、ようやく全員まともな服装になる。
火傷の件についてはネテロにも口止めをお願いし、3人でいつもの料亭へ。
料亭のお座敷に腰を据えたウラヌスが、ユリさんへ『交信』を使うと、
『桜ッ!! どうなったのっ!?』
『ウラヌス、大丈夫っ!?』
『アイシャー。アンタも大丈夫ー?』
三者三様にバインダーから心配する声。……何か私に対して適当じゃないか? 泣くぞ。
「決闘は終わったよ。特に怪我もしてない。
ネテロもここにいる。
伝えたいことがあるから、こっちへ『同行』で飛んできてくれ」
『……分かった。すぐ行くわ』
ウラヌスがバインダーを閉じる。
「桜とは誰のことじゃ?」
「……予想はつくだろ」
「お主の本名の方か?」
「そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」
ネテロの問いに、はぐらかして応えるウラヌス。と、すぐ3人が間近に現れた。即座にウラヌスへ飛びかかるユリさん。
「うわっ!? ちょっ」
「桜、大丈夫?」
「うん……平気だって。
言っただろ、怪我なんかしてないって」
「そんなこと言って……。服が変わってるじゃないの。
ウソ吐いてるでしょ?」
「吐いてないって。
ほら、怪我してないか確かめてみろよ」
ユリさんが丹念に、ウラヌスの小さな身体を診断する。口の中まで確認し、
「確かにどこも怪我してないわね。
はぁー、もー心配させないでよぉー……」
「だから言ったろ?
心配性だな、姉貴も」
「ウラヌス、ホントに大丈夫だったの?」
「ああ、シームも心配しすぎだって。
服は破けちまったから、着替えただけだよ」
まったく、いい顔して。あんな酷い有様を見せつけられた、私の身にもなってほしいよ。
同じく服を着替えたネテロと、特に変わりない私を交互に見る3人。
「アイシャはそのままね」
「私は、出来るだけ怪我しないようにする作戦でしたから。
オーラが減ったぐらいですね」
「そっちの……ネテロさんは着替えてるけど」
「ワシも怪我こそしとらんが、服は破けてしもうての。
なかなかの戦いじゃったわい」
ネテロも口裏を合わせてくれてる。事情は察してるみたいだな。
「それで、結果はどうだったの?」
メレオロンがいよいよそれを尋ねる。私とウラヌスは、ネテロの方を見やる。
「ワシから伝えよう。
此度の決闘──そやつらの勝ちじゃ。
お主ら2人の身柄は、アイシャとウラヌスに預けておくものとする」
「……つまり?」
「案ずるな。……今まで通りと言うことじゃよ」
メレオロンとシームが顔を見合わせ──大きな歓喜の声を上げた。
「おねーちゃあーんっ!! おねーちゃんっ……!」
「うんっ……うんっ……!」
「ウラヌスッ! ありがとっ、ありがとッ!」
「アイシャも……本当に助かったわ」
「いいですよ、そんなの」
「気にすんなって。いつも通りに戻っただけさ」
「よかったわね、あなた達……」
ユリさんもちょっと涙ぐんでる。喜んでくれて何よりだよ。……今更ウラヌスが大火傷して死にかけたなんて、話せないな。
「すまんかったの、お主ら。
特にシームとやら。お主の言葉を信じてやれのうて済まなんだ。
許してくれい」
「ううん……大丈夫です」
「ワシの方で調査はしておこうと思う。
……とは言え、ヘタを打ってお主らに危害が及んでもいかんからな。そう大したことは出来んが」
「それでも有り難いさ。
ハンター協会にそんな連中がホントにいるなら、なんとかしないとな」
「そうじゃな。穏便に事が運べば良いのじゃが」
ネテロが調査に乗り出してくれるか。これで少しは溜飲が下がったよ。はぁー……
「で、ネテロ。これからどうするんだ?」
「ワシか?
そうじゃのう……こちらに長く留まるつもりはないな。そのうち現実に戻るわい」
「そっか。気をつけてな」
「お主らこそな。
ハンターがキメラアントを追っていることに変わりはない。
2人の素性がバレんよう、気をつけることじゃ」
「分かってるって。今まで通りさ」
「アタシ達こそ、これからどうするの?」
「あー……」
「私はゲーム攻略に戻るわ」
「ああ、ユリ姉はそれで。
2人の護衛、サンキューな」
「ユリさん、本当に助かりました」
「ユリさん、ありがとうございました!」
「感謝するわ」
「……どういたしまして」
2人とも不安がってただろうからな……。ユリさんも心配で堪らなかっただろう。後でキチンと、お礼と謝罪をしよう。
「で、アタシ達は?」
「どうしましょうかね……」
「──休む」
ん? ぽつりとそう言ったウラヌスは全員を見回し、
「今日はもう、攻略も修行もしない! 休む!
つか、遊ぶ! パーッとやる!」
あー。……うん。それもいいな。ウラヌスもスゴイ大変だったから、労いたいところだ。
「あらら。いいなぁ」
「悪い、ユリ姉」
「いいわよ。私は一緒に動くとマズイし。
みんなで楽しんできて」
ホント申し訳ないな……現実に戻ったら、本格的にお礼をしたいな。もちろんウラヌスにもね。もしもホルモンクッキーの改良に成功したら、どんなお礼をすればいいだろう?
「では、ワシャそろそろ行くとしよう。
達者でな」
そそくさと席を立つネテロ。立ち去り際、ちらりと私の方を見て、
「……あれから調子はどうじゃ?」
「えっと……相変わらずです」
「そうか。楽しみにしとるから、健康には充分気をつけてな」
「あなたこそ」
うーん……まだ様子を見るしかないしな。まぁ今はこのままの方が、ありがたいけど。
ちなみにずっとNPCに注文を聞かれたりしてるのだが、みんな完全に無視してた。
料亭で軽く朝食を摂りつつ、どこへ遊びに行くか相談する私達。遊びに行くと言っても、私が移動スペルを使えないから、あちこち行くことはできない。ここから遠すぎてもアレだし。
なので、オータニアからそれなりに近いキャナリア、そして私の希望でグルセルへ行くことになった。ふふ、楽しみだな。
朝食を終えてユリさんと別れた後。ウラヌスはサイズの合う靴を調達し、メレオロンとシームは旅館へ荷物の確保、そして私はウラヌスにキャナリアへと空輸してもらう。
キャナリアの潮風を受けながら、私とウラヌスはひととき会話する。
「それにしても、バレずに済んでよかったですね」
「俺達だけで、大天使と『擬態』を預かってたからね。
ネテロがもしイタズラでバラしたらどうしようかと、ヒヤヒヤしたよ」
「まあ、あの空気では流石に言いだせなかったでしょうけどね」
「確かに。
でも、ネテロが調査するって言ってくれたのは予想外だったな……」
「私からお願いしようかと思ってましたけどね」
「うーん……
ネテロのこと、ずいぶん信用してるんだね?」
「……まあ」
おっと、勘ぐられてるな。ヘタなこと言うもんじゃないか。
「ま、ともあれ……
ネテロがヘマしなけりゃ、後の心配ごとはアイシャの仲間が来るくらいかな?」
「あー……
よくないですよ、そういうこと言うの。フラグが立っちゃいますから」
「いやいや。
アイシャこそ、なに言ってんの? ノリは分かるけどさ」
お互い笑い合う。でも実際、後の不安はそれぐらいかな。メレオロンとシームの整形、ホルモンクッキーの問題とかもあるけど、そこまで差し迫ってはいないからね。
「そういえばゴン、大丈夫かな?」
「……それを言われると、確かに心配ですね」
「絶対疑われてるだろうからね」
私より早くゴンの心配をしてくれるのか……。気の回る子だよ、ホント。
「ああ見えて精神的にも強いですから、大丈夫だとは思いますが」
「とは言え、不安は不安かな。
酷い目に遭ってなけりゃいいけど」
「それは、まぁ……
もし私の仲間が妨害に来たら、私の手で返り討ちにしますから」
「そいつぁ災難だ。
きっと命懸けになるね、返り討ちにされかねない方は」
「……別に殺しませんからね?」
「アイシャにそのつもりがなくても、仲間の方は必死なんじゃないかなぁ……」
そこまでは知らないよ。……ちゃんと手加減するつもりだし。
キャナリアの街並みを、憂いを帯びた表情で眺めるウラヌス。
「……ゴンのこと、そんなに心配ですか?」
「うん、まぁね……
俺のこと、友達って言ってくれたからさ。……心配もするよ」
うん……。ゴンがそう言ってくれなかったら、私達もこんなに仲良くなれなかったかもしれないしな。感謝でいっぱいだよ。
「ゴンには今回の件が片付いたら、私からお礼をするつもりです」
「いいね。俺もぜひゴンにはお礼をしたいよ。
ゴンって、何か困ってることとかあったりしない?」
「あー……
ないこともないですが」
「なに?」
「父親探しですね。例の、ジン=フリークスの」
「あー、そっか! 言ってたね。
……それは大変そうだな」
「ゴンは自力で探そうとしてますし、手助けは無用かもしれませんよ?」
「かもしれないけど、俺は協力してあげたいかな。
……でもさ。俺こんなんになっちゃってるけど、まだゴンは友達って言ってくれるかな……?」
本気で不安そうにするウラヌス。私は苦笑し、ポンと背中を叩いてあげる。
「そんなの、ゴンは気にしませんよ」
「……そっか。だといいなぁ」
メレオロンとシームを呼び寄せて、お昼までキャナリアを観光。美味しいシーフードを堪能した後、グルセルへ。のんびり食べ歩きを楽しむ。
もちろん食べるばかりでも何なので、イベントにも色々挑戦。
お菓子の家を模したレストランで、シェフと菓子料理対決。ウラヌス主導でフルーツとクリームたっぷりのふわふわケーキを2人がかりで焼き上げ、見事勝利。
『132:お菓子の家』
ランクC カード化限度枚数36
住むことも出来る 全てがお菓子で出来た家
食べても食べても 翌日には元通りになる
よくばって食べすぎると 家が崩れてしまうこともあるので注意が必要
なんて、夢のあるおかしなアイテムをゲットして、みんなで笑い合う。ホント、楽しいなぁ……もうしばらくこのままで居たいよ。誰にも邪魔されたくない。
──夜。
なんとなく寝付けず、布団の中でごろんと寝返りを打ち、俺は物思いにふける。
今日は朝だけはキツかったけど、めいっぱい遊んだなぁ……
いや、早朝の決闘も存分に大暴れできて最高だったか。本当に久しぶりに全力を出せて、ネテロにも勝つことができた。2人がかりだったけど、結果だけ見れば文句なしだ。
ホルモンクッキーの研究もいくらか進んだし、順風満帆だな。楽しくて仕方ないよ。
でも……いつか終わりが来る、か。やだな……
本当に嫌だ……だって俺、こんなに楽しかったことないもん……。この1ヵ月、楽しいことが多すぎた。ずっと苦しかったからな……もう前の暮らしになんか戻りたくないよ。
どうせなら、いっそこのまま──
……ん? なんか堅いのが口の中に……あ、ホルモンクッキーか?
研究で散らかしてたのが、どっかから紛れたか。ちゃんと掃除したつもりだったのに、しまったな……
ぁ……れ? なん……ぃし……きが──……
──10月20日。
朝、ふと胸騒ぎがして目を覚ます。何かがオーラに触れた気がした。
別に、身体に異常はない。部屋にも……ない。
まだ眠っているウラヌスの方を見る。
うーん……気のせいか。特に何も……ん?
ウラヌスの気配が違う。いや、同じか?
不安が過ぎり、近くに寄ってみる。
「……ウラヌス」
「うにゅ?」
やけに可愛らしい声が返ってくる。……ちょっと声が高い? 気のせいか?
「ウラヌス、起きてください」
「えぇー……
やだぁー……
あっと、ごっふんー……」
むぅ。ならば、布団の中に手を入れて、こちょこちょこちょ──
「あひゃっ!? ふひひひ!
ちょっちょっちょ、たんまたんま!」
おや? いつもと反応が少し違う。なんだか身体のやわさも一段違うぞ?
がばっ! とウラヌスは起き上がり、
「もぅ!
あと5分って言ってるのに、アイシャのいじわる!」
「……すいません。
ところで、身体に異常ないですか?」
「んにゃ?」
自分の身体を確認するウラヌス。微妙にハダけた、子供サイズの浴衣がまたアレだな。
「うにゃ。にゃにコレ?」
おん? なんか様子が変だな。
「──え? えっ!? なんで!?」
ウラヌスが自分の身体をぺちぺち触り、何か確かめてる。いや、こっちが聞きたいよ。なんなんだ。
「あれっ!? アイシャッ、なんでぇ!?」
「えっと……なにがですか?」
「なんで私、こうなってるの!?」
──は?
「どういう意味です……?」
「え? だって……
いつもと違うよ! ほら!」
な、なにがだ? なに言ってんだろ。
「──ああぁーッ!? もしかして!」
「何か分かったんですか、ウラヌス?」
きょとんと私の顔を見返してくるウラヌス。んん?
そして、ニマーと笑いかけてきた。なんとも気味が悪いな……
ウラヌスは人差し指をぴこぴこ振りつつ、
「ちっちっちー。違うよ、アイシャー」
「なにが……違うんですか?」
私はすっかりパニックになりかけていた。いったい何が起きてるんだ?
「わたしはぁー。
ウラヌスじゃないよ? にゃん!」
──えっ? ウラヌスじゃない? にゃん?
「────わたし『桜』っ! 今後ともよろしくぅ!」
はぁ……??
「────はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッッッ!?」