どうしてこうなった? アイシャIF   作:たいらんと

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第五十二章

 

 男湯にて。

 

「シームー。

 ホントくすぐってぇから、やめてほしいんだけどー」

 

 身体を洗うウラヌスの背後から、遠慮なくアチコチ摘まんでは揉むシーム。

 

「ぷにぷにー。ちょーぷにぷにー」

「おい、ほんとヤメテよ」

 

 言われて手を放したと思ったら、今度は桜色の艶を撫で出すシーム。

 

「すべすべー。

 ほんと、すっごい綺麗だよねぇ。いいなぁー。お姫様みたーい♥」

 

 ぷるぷる震えだすウラヌス。

 

「髪はその、うん、なんだ……

 恥ずかしいからかんべんしてぇぇぇ……」

 

 

 

 ──女湯はあまりにもアレなので割愛──

 

 

 

 

 

 僅かに残った気力を振り絞り、ふらふらと公衆浴場から部屋に戻ってくると、ぐったりしたウラヌスが布団の上でノビていた。そばで、きゃっきゃとつついてるシーム。

 

 ぉぅ……悲劇は繰り返される。

 

 私もパタリと布団の上でノビた。ちから……ちからが、はいら、ないなぃ……

 

 かむばっく、ぼす属性……オマエがこんなに恋しいと思ったことはない……

 

 後からノシノシ部屋にやってきた、小奇麗な浴衣を着るメレオロンが、伏す私の近くにドスンと腰を降ろす。

 

「うむ。

 シーム、そちらの首尾は?」

「バッチリ♪ おねーちゃんは?」

「ぬかりはない」

 

 言って、げらげら笑い出す2人。

 

 てめえら……まっこと、どげんかせんといかんね……

 

 

 

 旅館、時雨紅葉(しぐれもみじ)

 

 周囲を紅葉に囲まれた、上品な宿。旅館の中にもあちこち紅葉のデザインをあしらった装飾があり、実際の紅葉も飾られるなどしている。

 私も色々なところに泊まってきたけど、特に文句のない場所だ。きっと、ここで食べるゴハンも美味しいだろう。朝食付きらしいし、明日が楽しみだ。

 

 けど……

 

 けど、公衆浴場だった……

 

 ああぁーッ、1人風呂ッ! 1人風呂に入りたいよぉッ!! 別にどこだっていいけどね、この変態カメレオンのいないトコならうわぁぁぁぁんッッ!!

 

 お風呂でサッパリしないでグッタリするなんて、ワケが分からないよ……

 

「なんかテレビあるね」

 

 シームの声に反応し、突っ伏していた顔をちらりと向ける。

 

 うん、あるね。でもお風呂入る前、試しに点けてみたら何にも映らなかったんだよな。そりゃゲームの中って建前だし、普通のテレビ番組を流してたらおかしいんだろうけど。

 

 んー……でもそれなら、何でテレビなんてあるんだ?

 

「それは……

 従業員に聞けば、映画とかのビデオが借りられて、そのテレビで見れる」

 

 ウラヌスがボソボソ言う。そういえばビデオテープを入れられるところがあるな。

 

「へぇ。いいじゃない。

 アタシ、なんか借りてくるわ」

 

 早速とばかりに腰をあげる気配。ん、アテでもあるのか?

 

「おいメレオロン」

「え、なに?」

 

「……へんなの借りてきたら、ぶっ殺すぞ」

 

 おおぅ。ウラヌス、めっちゃキレかけてる。そっか……あるんだ。多分ソッチ系のが。

 

「え、あはは。

 そんなわけないじゃない、やだなー」

 

 どすんと座る気配。おい……じゃあなんで借りに行くのヤメんの。

 ナイス……。ファインプレイですよ、ウラヌス。たとえ一瞬でも、そんなの見たい気分じゃない。

 

 

 

 もふもふの布団の感触に身を委ねてるうち、ようやく気分が落ち着いてくる。

 

 しっかし、ダメだ……慣れないことされると、動揺を抑えるのに時間がかかりすぎる。

 

 女の子だもんな……。昔みたく植物の精神を持ち得ないのは仕方ないんだけど。アレはアレで、我ながら枯れすぎてた気もしなくはないが。

 

 部屋の中をぼんやりと眺め、最早インテリアでしかない古臭いテレビを見る。

 

 ……ん?

 

 あのテレビ、もしかしてイケんじゃね?

 

 よっと身体を起こし、もそもそとテレビへと近づく。……まだ元通りには動けないな。私は毒でも食らったのか。ていうか、もし神経毒なんて私に使ってたら、あのカメレオン舌引っこ抜いてやる。

 着慣れた運動着なのが、まだ救いだな……。旅館の浴衣はメレオロンとシームが着てる。ウラヌスはいつものワンピースだ。今は見るに堪えない死体のような有様だけど……

 

 っと、テレビと。接続するトコ……うん、あるな。これはイケるぞ。

 

「このテレビ、ゲーム機を繋げられますよ」

 

 へっ!? という顔をする姉弟。

 

「……いや。繋げられるのはいいけど、肝心のゲーム機は?」

 

 メレオロンが不思議そうに問う。うん、持ってきてるの知らないはずだよね。

 

「あのさぁ……」

 

 ウラヌスが、ほとんど閉じたままの目を向けて、地獄の底から呻くようにつぶやく。

 

「アイシャがゲーム機持ってきてたのは、知ってるけど。

 ……ゲームの中に入ってまで、ゲームするの?」

 

 ここが現実だと知ってるだろうウラヌスが、そう言ってくる。……まぁ言いたいことは分かりますよ。でもね、

 

「こんな人生より厳しいゲームを、ゲームだと思いたくありません」

 

「それは分かるけどさぁ……」

 

「ゲーム機、持ってこれちゃうんだ……」

 

「……アイシャ、アンタまさかアレ全部持って来たの? アンタも大概ねぇー……」

 

 姉弟からも口々に言われる。でもメレオロン、あなたに大概とか言われたくないよ。

 

「それも検証しておいた方がいいと思いまして。

 うまくいってよかったです」

 

 ウラヌスが何事か考え、

 

「……確かに貴重な情報だね。ゲーム機……と言うよりジョイステを持ってこれるのが。俺も弾かれるもんだと思い込んでたし」

 

 言いながら、起き上がってくる。やっぱり彼は、頭が回ると活発になるんだな。

 

「実際にゲーム機が動くかどうかは、俺も関心あるかな。

 繋げられる?」

「ええ、やってみましょうか」

 

 自分のリュックのところへ行き、ごそごそする。……んー、けっこう下に沈んでるな。出しづらいよ、みんな見てるし……変なモノを引っ張り出さないようにしないと。

 

 よっと、出た出た。後はケーブルとかを……

 

 コンセントにプラグを差し、ゲーム機のケーブルをテレビに繋ぎ、スイッチON。

 

 ────暗転していたテレビ画面に、ゲーム機メーカーのロゴが表示された。

 

「おぉー。イケたわねぇ」

 

 メレオロンの台詞に、私も頷く。ゲームの中でゲーム、か。どんだけゲーム好きなんだって感じだよね。

 

 そしてテレビに流れる『ド○ポン』のデモムービー。

 

 そうだった……このソフトを入れたままだった。

 

「え……

 マジで? このゲームやんの?」

 

 メレオロンが顔を強張らせている。軽くトラウマってるな。

 

「いえいえ、たまたまこのゲームが入ってただけですよ。

 どうせやるなら他のに──」

「いいじゃん、やろうよ」

 

 シームが気軽に言ってくる。え、シームまじか? これが原因でメレオロンに叩かれたこと忘れたの?

 

「今度はアイシャもやろうよ。

 楽しそうじゃん、4人でワイワイ」

「え……

 俺もまたやんの?」

「ちょっとシーム。アタシを含めないでよ。

 アンタ達で遊びなさいよ」

 

 ……ゲーム始める前から友情壊れそうな気配なんですがコレは。

 

 

 

 結局なし崩しに、4人でドカ○ンをスタートさせる私達。

 

 キャラ選択の時点で、メレオロンほぼ負け濃厚だけど……。シームは迷わず魔力特化。ウラヌスはバランスのいいキャラを選んだ。私は、適当でいっか。無難に終わらせることだけを考えよう。嫌な予感しかしないけど。

 

 

 

 ──友情破壊中──

 

 

 

 とりあえず、メレオロンがガチ泣きして部屋から出てったことで、お開きとなった。

 

 ……ウラヌス鬼やな。デビオロン撃破しちゃったよ。メレオロンへったくそだったし、不可能ではなかったけど。ウラヌス、キャラ選択の時点からこれを狙ってたな。私もこそこそ選択ミス誘う工作したけど。……うん、その、お風呂での恨みを晴らしたかったんだ。悪く思うな。

 

「おねーちゃん心配だし、ぼくも隣に行くね」

 

 腰を上げるシーム。うんうん、いい子だ。……その姉が泣いた原因の半分は、あなたのフィールド魔法だけどな。手加減しろよ。あとウラヌス、容赦なくデビオロンの最強武器奪うな。リアル悪魔(デビル)か。

 

「ウラヌス、お金1枚もらっていい?」

「うん?

 ああ、いいよ。ブック。

 好きに使っていいけど、無駄遣いはすんなよ」

「ブック。分かってるって。

 ……ん、ありがと。じゃあ2人とも、今夜もごゆっくり♪」

 

 足早に出て行くシーム。

 

 沈痛な表情をするウラヌス。……正直、いま自分がどんな顔してるか分かんないな。

 

 

 

 しばらく黙り込んだ後、私はいそいそとゲーム機を片付けにかかる。○カポンのBGM垂れ流しな状況は、何と言うか嫌な思い出しかない。

 

 ゲーム機をしまい終わったところで、ウラヌスが小首を傾げ、

 

「アイシャも、お金持っとく?」

「え? うーん……

 お申し出は有り難いんですけど、使いすぎそうなんで、ウラヌスが管理してください」

「うん? いいけど……

 それが分かってるなら、お金持った上で自重してほしいんだけどな」

 

 ……だって。こういう旅館は、あちこち消費欲わいてくる誘惑多いんだもん。うっかりお土産コーナーで買い物しそうになっちゃったもん。部屋備え付けの冷蔵庫もお金かかるやつだし……

 

「そういえばここって、後払いに出来ないんですか?

 その、宿泊代以外を」

「ん、無理。やっぱり不便だよね。でもワザとだと思う」

「わざと? 不便にしてるってことですか?」

「うん。店みたいに釣り預かってくれないし、細かい金カードが貯まってフリーポケット圧迫してくるから、管理が面倒になって金使いすぎるパターン」

「なるほど……そういうワナなんですね」

「罠だな。小銭みたいな端金の(はしたがね )管理イヤがる人間にはメッチャ効く。

 釣り預かってくれないトコは、基本そんな感じ」

 

 あー……まともに攻略してるプレイヤーの大半がそれに当てはまるかも。庶民的な金銭感覚の持ち主が、このゲームをやること自体あんまり無さそうだし。

 

 

 

 マメに『贋作』と『複製』を使って、指定ポケットカードの枠を埋めていくウラヌス。……ホントよくやるよ。

 何となく、さっきゲーム機の電源プラグを挿したコンセントを見る。他にも挿さってて、その先に携帯電話が2つ重ねて置いてある。

 

 おや? なにかあるな……

 

 そちらへ行き、携帯電話のそばにあるカードのようなものを手に取る。

 

 あ。ハンターライセンスだ。

 んん? ライセンスだと思うんだけど……デザインが違うぞ。

 

 自分のライセンスを運動着のポケットから出して見比べる。うん……認定ナンバーあるもんな。私のが138924809287。で、コッチが113454771284。

 

「ブック」

 

 声に目をやると、バインダーを消したウラヌスがこっち見てる。

 

「あー……

 これって、ウラヌスのライセンスですか?」

「……そうだよ」

「なんかデザインが違うみたいですけど。

 あ、私287期なんですけど、ウラヌスって更に3年前なんですね」

「うん。……アイシャのは去年か。

 そりゃライセンスのデザインが、ずっと同じってことはないと思うよ」

「それはそうでしょうねぇ……

 284期の頃から変わったんですかね」

 

 でもライセンスって、そんなころころデザイン変わるもんなんだろうか?

 

「……多分、デザイン変更とかじゃないよ」

「えっ?」

 

 なんだろ。なんかウラヌス、不機嫌だけど。

 

「星の申請が通ると、デザイン違いのライセンスが発行されて、元々のライセンスと交換する。

 再発行しないとか言ってるけど、それは紛失とか盗難にあった場合の話で、実はする。星取った場合だけ、ライセンス更新って形で」

「ということは……」

 

 分かりやすく嘆息するウラヌス。

 

「俺はシングルだよ。

 取ったのは随分前だけど、面倒ごとが増えて煩わしくなった」

「ああー……

 面倒っていう話はチラッと聞いた覚えもありますが」

 

 クラピカが時々困ってるみたいなんだよな……ブラックリストハンターのシングルってことで、協力要請がちょいちょい来て、いちいち断ってるみたいだった。まだ修行中の身って理由で。実際風間流道場に入り浸ってるから、本当のことだしな。……緋の眼を取り戻す為か、時々いなくなるけど。

 

 あ。ならクラピカのライセンスも交換されてるのか。私達に気兼ねして見せないようにしてるのかな? あんまりライセンスなんて見せ合ったりしないけど。

 

「星なんて正直名誉だけさ。

 だいたい、キミだって申請すれば通るだろ?」

 

 ……。これはヤブヘビだったか。

 

「いえいえ、私なんてまだまだですよ」

「どんな謙遜だよ。

 ……つか、気になってたから聞くけど、幻影旅団を捕まえたルーキーのクラピカって、キミの仲間だろ?

 どう考えても、キミが戦って捕縛したとしか思えないんだけど」

 

 ま、まずい。なんか色々バレそうだ。

 

「そんなことないですよ。

 ……確かにクラピカという人は知ってますけど、単に同期というだけで」

「へぇー。ほぉーん」

 

 あ……あかん。なんかコレ、事前に調べられてる感じだぞ。

 

「知ってる、アイシャ?

 クラピカって人の情報、結構ハンターサイトに上がってるんだぜ? ハンターの情報網、甘くみちゃダメだよ。

 ……でさ。天空闘技場で誰かさんと一緒にいるの、けっこー目撃されてるんだよなぁ。あそこって目立つよねー。俺もかなり面倒しょい込んだクチでさぁ」

 

「は、ははー。そうですねぇ」

 

 ……しまった。確かに、2分間攻撃を避け続けるとかメチャクチャ目立つことしてたな。クラピカも同じことしたから、仲間ってバレるに決まってるじゃないか。しかもカストロさんと試合した時にアナウンスまでされたしな。

 

 クラピカは会長総選挙でも得票あったし、ある程度調べられてても不思議じゃない、か。

 

「で、俺の予想だとクラピカの念の師匠、キミじゃないのか? 他人に稽古つけるの好きみたいだし。時期的に、天空闘技場で修行でもしてたのかなって。

 その上、クラピカと一緒に幻影旅団を捕縛したんだったら、申請すればダブル取れたんじゃないの?」

 

「そ、その……

 私はクラピカの師匠とかじゃなくて、友達でして……

 捕縛したのも、クラピカの力があってこそですよ?」

 

「……ふむ。念の掟の能力はそうだろうね。

 で? 旅団の連中、ぐっちゃぐちゃに叩きのめされてるヤツが何人かいたけど、それは誰がやったの?」

 

「…………」

 

「……ごまかせるわけないだろ。

 昨日会った、シャルナークだっけ?

 アイツに、関節がどうの言ってたじゃないか。俺、幻影旅団の護送の時に、アイツラの身体を診察しててさ。アイツの関節周り、確か痛んでたんだよな」

 

 ……あぁぁ、いらんこと言っちゃったぁ……

 

「……ホントに、私の力だけで捕縛したとかじゃなくて。

 結構ゴンとか仲間がいて、みんなで協力して捕縛したんです」

 

「へぇー。確かにゴンは手練れみたいだったね。やっぱりキミが鍛えたの?

 幻影旅団、ゴンより強そうな連中ごろごろいたんだけどねぇ。あれだけ強いアイシャが、ゴンと一緒に戦ったの? キメラアントの時みたいに、アイシャ1人で戦いそうじゃん」

 

 もうダメだぁ……おしまいだぁ……

 

 言えば言うほど墓穴を掘らされる。どこの名探偵だよ、そうです犯人は私です……

 

「いや、その……アイシャ。

 別に何があったか、白状しろって言ってるわけじゃないから。大体予想つくしさ。

 ネテロとキミが電話で話してたのも、なんか気になるけど」

 

 ぐはっ、アレまで聞かれたのか。ネテロ、人払いしといてよ……バレバレじゃないか。

 

 布団の上で、ゴロンと転がるウラヌス。

 

「いいよいいよ。別に内緒にしてくれたら。

 秘密くらい誰にでもあるさ」

 

「……。すいません」

 

 ライセンスを元の場所に戻す。……置いてあったライセンス、勝手に見なきゃよかった。でも、シングルか。神字ハンターとしてのシングルだろうから、おそらくトップクラスの神字の使い手なんだろうな。なら納得もいくよ。

 

「ほんとスゴイよねぇ。

 アレだけの手練れ揃いを、1人も殺さずに捕まえるなんて。

 俺には絶対無理だ。……尊敬するよ」

 

 ……。

 

 それは……偶然なんだよな。

 少なくとも1人か2人は、死んでいてもおかしくなかった。旅団はもちろん、仲間や、父さんも。何も余裕なんてなかった。あの結果を自分の手柄だなんて思いたくもない。

 

「……ま、気に病まなくてもいいよ」

 

「えっ?」

 

 気に病む? なんのことだろ。

 

「旅団の怪我はみんな治しといたから。

 最後まで確認はしてないけど、多分完治してると思うよ」

 

 えっと……

 

 あー、そういうことか。ウラヌスは、私が旅団に負わせた重傷を気に病んでると思ったのか。まぁ全く気にしてないとまでは言わないけど……

 

 ──ん?

 

「あの。……治しといたって?」

 

 びくんっ。と身体を揺らすウラヌス。

 

 ほっほぅ……治せる?

 あれだけの怪我を治せると。私、レオリオさんにかなり難しいって聞いたんだけどな。だから完治まではさせなくていいって前提でお願いしたんだけど。

 

 ぎぎっと音がしそうな風情で、首をこちらに向けるウラヌス。

 

「その……

 やっぱりマズかった? あんなヤツラ、完治させたりして……」

 

 ……なんだろ。さっきからウラヌス、妙な誤解してるな。ちゃんと事情話してないから、仕方ない気もするけど。

 

「いえ、そんなことは言いませんよ。放っておいても、治療は誰かがしたでしょうし。

 ……ではなくて。

 ウラヌス、あなた治療できるんですか?」

 

「へ? ──あ。

 あぁーッ、しまった! そっちかぁ……

 もうちょっと隠しとくつもりだったのに、やっちゃったぁ……」

 

 ……マジか。どんだけ凄腕なんだ、この人。

 

「できれば、お伺いしたいんですけど。

 どうやって治したか」

 

「……

 予想はついてるだろうけど、そういう神字だよ。……ただ即効で治ったりはしないんだ。致命傷だと治療が間に合わない可能性がある。

 せいぜい普通に治癒するのを早める程度だよ」

 

 は? いや、そんなバカな。

 

「いえいえいえ。早める程度とか嘘でしょう?

 だって、腕とか足も治したんですよね? 完治ってことは──」

「ぅ……

 そう、だよ。

 フェイタンの腕も、フィンクスの足も、ちゃんと復活してると思うけど……

 ただ再生に時間はかかるし、元通りって意味じゃないけど。あくまでも補っただけで」

 

 ……。再生て。レオリオさんの【掌仙術/ホイミ】でも、多分そこまでは治せないぞ。

 うわ、この人やばくないか? ただでさえ貴重な治癒能力まで、神字で出来ちゃうとか。それは万能すぎるだろう……。時間がかかるとは言え、『大天使の息吹』に近いレベルで治療出来るなんて……

 

「……やっぱり、治療が出来るのって他の人には秘密にしてたんですか?」

「まあ……ね。他人を治療できる能力者がどれだけ希少かは知ってたから。

 大勢にバレると色々やらされるのは分かりきってるし、そもそも俺は医者じゃないしな。……この目のこともあるから、治療役にうってつけなのは分かってるんだけど」

 

 ……だろうなぁ。でも、彼は自分のことで一杯一杯だし。そりゃやってらんないよね。

 

「大体、俺が治せるって分かったら絶対アテにするだろ?

 アイシャなら、それを利用して無茶な修行したりさせたりしそうだし」

 

 ぎっくぅ。……あっはっは、完全に見抜かれてる。

 

 顔を逸らす私を半眼で見つつ、ウラヌスはクチを尖らせる。

 

「その反応、やっぱり図星だったんでしょ?

 先に言っとくけど、オーラごそっと持ってかれるから、修行とかには使わないからね。

 あと、治してもらえるなんて思って無茶するのも却下!

 致命傷は治せないって、ちゃんと覚えといてよ」

「はぃ……」

 

 なんか叱られた。うぅぅ、これはヘタ打ったか。

 

 ……いや。ウラヌスの性格的に、そういう修行の仕方は結局許容されなかったかなぁ。キツイな。

 

 ウラヌス、幻影旅団を治療しちゃうくらい優しいんだもんなぁ……

 

 

 

 

 




 
 
 
 
 
・2000年9月16日(午後11時)時点で4人が所有するカード

 『1003:防壁/ディフェンシブウォール』8枚
 『1004:反射/リフレクション』    5枚
 『1009:再来/リターン』       16枚
 『1010:擬態/トランスフォーム』   1枚
 『1016:漂流/ドリフト』       3枚
 『1019:城門/キャッスルゲート』   5枚
 『1022:堕落/コラプション』     2枚
 『1023:妥協/コンプロマイズ』    1枚
 『1026:聖水/ホーリーウォーター』  2枚
 『1030:道標/ガイドポスト』     9枚
 『1031:解析/アナリシス』      10枚
 『1037:再生/リサイクル』      11枚
 『1038:名簿/リスト』        9枚
 『1039:同行/アカンパニー』     6枚
 『1040:交信/コンタクト』      6枚

 『176:狂気のガーネット』1枚
 『179:神樹コハク』   1枚
 『607:10000J』    15枚

 『1:一坪の密林』 1枚 ※複製贋作
 『2:一坪の海岸線』1枚 ※複製贋作
 『3:湧き水の壺』 1枚 ※複製贋作
 『4:美肌温泉』  1枚 ※複製贋作
 『5:神隠しの洞』 1枚 ※複製贋作
 『6:酒生みの泉』 1枚 ※贋作
 『7:身重の石』  1枚 ※贋作
 『8:不思議ヶ池』 1枚 ※贋作
 『9:豊作の樹』  1枚 ※贋作
 『10:黄金るるぶ』 1枚 ※贋作
 『52:真珠蝗』   1枚

 所有する有効指定ポケットカード種類数:1種



・所有するカード化解除アイテム

 『84:聖騎士の首飾り』2つ
 『100:島の地図』   2つ
 ※雑貨品は割愛



・店舗貯金額

 アントキバ飲食店 :1510J
 アントキバ交換店 :1089万3000J
 マサドラ交換店  :213万9300J
 エリル桜茶屋   :600J
 オータニア定食屋 :1700J
 オータニアSS  :1000J
 オータニア秋の空 :4800J
 オータニア時雨紅葉:2000J

 所持金と貯金合計額:1319万3910J




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