どうしてこうなった? アイシャIF   作:たいらんと

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第六十八章

 

 ウラヌスからメニューを取り上げ、3人で注文し終えた後、ウラヌスにメニューを返す。

 恨みがましい赤面を見せながら、メニューをめくるウラヌス。

 

「俺もコーヒーおかわり……」

「かしこまりました。少々お待ちを」

「他に何も頼まないんですか?」

「……食欲ねぇし」

 

 ぶすっと頬を膨らませるウラヌス。うむ、こういうところが小動物チックでたまらない。……この人、どうして男なんだろね? 私も似たようなもんだけど……。天は実に残酷である。

 

「ま、モタリケのバカ話はこれで終わりさ。

 ちなみに、俺をナンパしたのが嫁さんにバレて、しかも俺が男だって知ったら、アイツ完全にパニクったあげくスッ転んで気絶したんだよ。

 気絶したモタリケを、俺と嫁さんが大笑いしながら介抱してやって、それ以来ちょっと付き合いがある」

「ぶっ、アッハハハ」

 

 なんかそれは、聞いてるだけで光景がありありと浮かぶな。

 

「はぁー。

 ……結婚式あげたのは、俺のナンパからしばらくしてだな。

 なんかキッチリ確保しとかないと、アイツまた逃げそうだって言って。

 招待状なんて押し付けやがったから、まぁ……

 からかってやろうと思って顔出したのさ」

「で、見せ付けられちゃったわけねー。

 ウラヌスちゃん、かわーいそ♪」

「メレオロン、テメェェッ!!」

「ぶはっ」

 

 また笑いが込み上げてくる。申し訳ないけど、人の失敗談はおかしくて仕方ない。特にウラヌスの場合、本人は至って真面目なつもりだからね。

 ウラヌスはヘナヘナと力なく頭を(こうべ )垂れ、

 

「まったくもー……勘弁してくれよぉ」

「はいはい、と。

 あー、そういえばさ。アイツのバインダー調べたら、もしかしていたんじゃない?」

 

 メレオロンが突然そんなことを言う。……いたって、誰のことだろ? ウラヌスも首を傾げてる。

 

「ほら、アンタ入る前に言ってたじゃない。

 確かアーカとかいうプレイヤーを探してくれって」

 

 あ。

 

「……いっけね。完全に忘れてた。

 そっか、あいつゲームに入って長いらしいから、接触してた可能性は充分あるな。

 しまったな、絶好の機会だったのに確認しそびれたよ……」

 

 えーと、アーカって……

 何で探してたんだっけ。聞き覚えはあるんだけど、えっと。

 

 ……ああ! ウラヌスのグリードアイランドで入ってたプレイヤーか。『離脱』使って秘密の地下室に行かれるとマズイんだったな。

 

「その前に、俺達のバインダーに名前登録されてるか確認だな。

 『交信』が入ってるから、名前はすぐ見れる」

 

『ブック』

 

 4人ともバインダーを出し、最後のページを開く。アーカ、アーカ……

 ……いないな。接触プレイヤーは全部で23人。アントキバの大会に出たり、マサドラへ何度も行ってる割に少ない気がする。こんなもんなのかな。

 

「いないです」

「いないわね」

「いないよ」

「……いないな。プレイヤーの多そうなところは避けてるからな。

 モタリケのは……まぁいいや」

「いいんですか?」

「別に、急いでアーカと接触したいわけじゃないからね。

 都合がいい時に『交信』できるようにはしておきたいけど」

「ふーん。

 ならアイツのバインダー、確認だけでもしておいた方がいいんじゃないの?」

「……しばらくモタリケのツラは見たくない。

 登録されてる保証はないし、また金せびられそうだし」

「あっそ。まぁいいけど」

 

 ウラヌスがそう言うなら仕方ないね。アーカとの接触は、今後の課題ということで。

 

 

 

 追加注文したコーヒーや料理が並び、私達はそれに口を付け始める。山盛りのサラダを注文したので、なかば押し付けるように3人にも皿で取り分ける。

 

「えええ、アイシャぼくこんな……」

「シームは、気持ち野菜を避ける傾向がありますからね。

 意識して摂るようにしてください」

「ちぇー」

「アイシャ、俺食欲ないってば。朝飯もいちおう食ってんだし」

「ウラヌスはもう少し意識して、量を食べてください。

 消費と補給が釣り合ってるように見えません」

「それはアイシャもじゃないか……」

「……ごほん!

 あー、いいから食べてください。残しても構いませんから」

「うん……」

 

 渋々な2人に対して、メレオロンは喜んで食べてる。ホント、野菜が好きみたいだな。ただ彼女は彼女で、偏食のキライがあるけど。

 熱々エッグトーストをはぐはぐし、淹れたてコーヒーの薫りを楽しむ。シャキシャキのレタスをぱりぱりし──

 

「トーストは分かるけど、サラダとコーヒーって合う?」

 

 コーヒーカップを手に取りかけたところで、ウラヌスが尋ねてくる。んー?

 

「合わないですか?

 いかにも朝食メニューって気はしますけど」

「うーん、まあね。

 でも野菜の甘みとかドレッシングの酸味がさ……水ならいいんだけど」

「あー」

 

 とはいえ、ここも水はタダじゃないしな。

 

 

 

 食事を終え、のんびりと雑談する私達。メレオロンの近くで浮いていた袋が、ポトンとリュックの上に落ちた。浮こうとしてるけど、小さく揺れるだけだ。

 

「……まだ時間かかりますよね?」

 

 確認する。神字で重くした袋の重量を下回っただけで、完全に浮力は消えてないはず。

 

「うん、あと30分ってとこかな。

 完全に消えるまで待つつもり。……うっかり外で浮き上がったりしたら、取り戻すのがメンドイし」

 

 『浮遊石』って、太陽の光で浮いちゃうからね。昼間に袋から飛び出したら、そのまま空まで浮かび上がってしまうかもしれない。

 

「そう考えると、ゲイン待ち対策に複数確保するのも考え物ですね」

「確かにね。

 5個も取ったら、数百キロ分の浮力になるしな。事故ったら笑えないことになる。

 ……正直こんな冗談アイテム、どうやったら使いこなせるんだか分かりゃしないよ」

 

 あははー、確かに。太陽の光で浮くとか使いにくすぎるよね。

 

 話題が途絶え、私達はしばらく沈黙する。

 

「ブック」

 

 ウラヌスがバインダーを出す。めくり、ポケットからペンとメモを取り出す。

 カードを手に取り、

 

「──『解析/アナリシス』オン。234」

 

 うん、いつものウラヌスだな。マイウェイで何より。

 それを眺めつつ、ふとモタリケさんのことを思い浮かべる。

 あの人がどうやってゲームへ入ってきたか気にはなってたんだけど、やっぱり普通じゃなかったんだな。大抵はバッテラさんに雇われて入るだろうからね。

 ……ウラヌスも、前回はバッテラさんと契約して入ってるんだよな、確か。

 ツェズゲラさんの審査を受けて合格したんだろうか。

 

「ウラヌス、ちょっといいですか?」

「あ、少し待って。いま書き切るから……

 ん。なに?」

「ウラヌスって、バッテラさんのところから前は入ったんですよね?」

「あーうん、そうだよ。

 バッテラと契約して、古城のゲーム機から入った」

「その時って、審査は受けました?

 ゴン達はツェズゲラさんの審査に合格して入ったんですけど」

「……そういうのは受けてない。

 ほら、俺シングルだからそれだけで……」

 

 あ、そりゃそうか。ウラヌスもツェズゲラさんと同じシングルだったな。神字ハンターっていうことも踏まえれば、あっさり契約できるに決まってるか。

 ウラヌスはくるくるっとペンを回し、

 

「はぁー……

 ツェズゲラか。……アイツか、ハメ組がクリアするもんだと思ってたんだけどな」

「……

 ウラヌスって、ツェズゲラさんと話したことあります?」

「あるけど……ゲームの中でね。

 俺のこと、シングルハンターって向こうも知ってたし。

 なんか、俺達と組まないかとか聞いてきたけど」

 

 ほう。ウラヌス、勧誘されてたのか。……レオリオさんも誘われたって言ってたな。

 

「どうして組まなかったんです?

 あの人、クリアの最有力候補だったと思いますけど」

「俺もそう思ってた。

 烏合の衆に比べりゃ、よっぽど計画的で実利とってたしな」

 

 ……烏合の衆って、ハメ組のことか。うーん。

 アレはゲンスルーさんの計画の為に組織されたものだし、クリアに関する重要な情報は意図的に隠されてたみたいだからな。仕方ないだろう。

 それでもカード争奪戦でギリギリまで競り合ってきたんだし、そんなバカにできたものでもないと思うけど。……漁夫の利しましたけどね、ええ。

 

「俺はアイツのこと信用できない。……キライだしな。

 クリアには前向きでも、ゲームを楽しもうなんて気概は感じなかったし。

 マネーハンターなんて名乗ってるぐらいだ。俺の神字の能力なんて教えようもんなら、どこで情報を売られるか分かりゃしないよ。金で賠償されて済む問題じゃないし」

 

 ……うん、正解だと思う。現にレオリオさんは、治癒能力のことをバラされたからな。バッテラさんに教えただけならいいけど、どこからその情報が洩れるか分かったもんじゃない。

 

「俺の場合、アイテムの研究がメインだから、金目当てのアイツと組んでもメリットよりデメリットの方が大きいんだよ。

 せっかくクリアできても、交渉で揉めて『ホルモンクッキー』を取りそびれた可能性もある」

「……それなんですけど。

 ウラヌスがクリアを目指したのって、持ち帰って研究したかったからですよね?」

「うん。せっかくクリアしても、性転換できるのが200日じゃ全然足りないもん。前の時点でも、研究して期間延長するのは必須だと思ってたからね。

 それにくわえて『魔女の若返り薬』も研究したかったし」

「その件ですけど……

 バッテラさんと契約してたなら、クリア報酬は自由にできなかったんじゃないですか?

 なんかウラヌスの目的と噛みあわないなと思って」

 

 そう尋ねると、ウラヌスは悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 

「アイシャは、バッテラの契約内容って詳しく知ってる?」

「……

 いえ。詳しくは知りません」

 

 契約の中身については、要約したモノを聞いていた。主にレオリオさんからだけど。

 

 ①ゲームプレイにおける損害及び死亡について、バッテラ氏は一切の責任を負わない

 ②ゲーム内から持ち帰った物は、全てバッテラ氏に所有権がある

 ③ゲームクリアしない限り、一切の報酬を与えない

 ④ゲームクリアした者には、500億ジェニーの報酬を与える

 ⑤以上の内容で問題ない者に対し、グリードアイランドをプレイする権利を与える

 

 いちおう私の認識を伝えると、ウラヌスは笑みを浮かべたまま頷く。

 

「その通りだね。

 で、その契約。どうやって履行を監視すればいいと思う?」

「え?」

「2つ目のやつだよ。

 持ち帰った物の所有権うんぬんとか書いてあったけど、前提としてゲーム内から帰ってくるプレイヤーの監視なんて、どうやってする?」

「……」

 

 そういえばそうか。プレイヤーの良心に任せるなら必要ないけど……。バッテラさんはゲーム内容についてそこまで詳しくなかったはずだ。

 ゲームクリアする時は、クリア報酬のカード3枚を選択して港から出るって話だしな。『離脱』でバッテラさんの古城に戻ってくるなら、誤魔化すのは難しかったかもしれないけど。ゲームから現実の港へ戻ってきた時は……

 

「ゲームクリアしたことさえ証明できれば、契約の4つ目で言ってる報酬は貰えちゃうんだよね。クリア報酬と懸賞金をトレードだなんて明記されてないんだから。

 そもそもバッテラと直接契約しなかったプレイヤーがクリアを証明した場合、どうするつもりだったんだろうね?」

 

 むー。言われてみれば……

 

 私達はリィーナが懸賞主になったのを知ってたから、そんなこと気にする必要なかったけど……バッテラさんはどうするつもりだったんだろう?

 

「そう考えると、契約内容に穴がありますね……」

「だよね。

 ……でも俺個人の見解を言わせてもらえば、多分バッテラもそんなことは分かってたと思うんだよ。

 バカ正直に、契約書の書面にゲームクリアの報酬と引き換えに500億を渡す、なんて明記できなかったのも分かるし。契約する前の人間に情報を渡したくなかっただろうから。

 おそらくクリアしたプレイヤーと、クリア報酬の交渉を改めてするつもりだったんだと思う。

 懸賞金目当てのプレイヤーも、勝手に報酬を選んでゲームクリアしたとは認められないなんてゴネられたらイヤだろうから、十中八九クリア直前でバッテラのところへ確認しに行ったと思うし」

「えぇ……それはそうだと思いますが」

 

 バッテラさんの事情を知っている私としては、ちょっと曖昧に答えざるを得ない。

 

「そうするとだ。

 クリア報酬1つは渡すとしても、残り2つは自由にできた可能性がある。

 俺の場合なら、仮にクリアしても報酬を望む形にできないなら、ゲームクリアしないと突っぱねることだって出来た。

 クリアしなきゃいけない義務はないからね」

 

 ……確かに。500億を望まないなら、ただ単にプレイさせてもらうことも可能なんだよな。クリアしたことを証明しなければいいんだから。

 そうなれば、バッテラさんは改めて交渉しないといけないわけだ。交渉のテーブルには絶対着いただろうしな。望みを叶える為に、おそらくは全財産を使ってでも。

 

「おそらくだけど、若返り薬は老齢のバッテラも欲しがってただろうしさ。

 100粒もあるんだから、全部と言わず、ある程度分けてくれってのは交渉できたと思う。

 つまり、俺がホルモンクッキーと若返り薬の一部を報酬として貰い受けて、その代わりバッテラが望んでたであろうアイテム1つと若返り薬の一部を渡して、めでたく交渉成立っていう腹積もりだったんだ。

 ……ま。クリアできなかったんだから、ただの皮算用だけどね」

「んー、なるほど……」

 

 芸のない相槌だけど、私にはあまりついていけない話題だ。そういうのは、リィーナに任せっきりだったんだよな……

 ただ、もしウラヌスがクリアしてたら、その目論見通りにいったかもしれないな。……バッテラさんが欲しかったのは、大天使の息吹と若返り薬だったからね。

 

 私があまり気のない反応をしているせいか、ウラヌスはちょっと不機嫌な顔で、

 

「大体、バッテラだって酷いもんだろ?

 クリア者が出たら、グリードアイランドの入ったゲーム機、全部手放して。

 そんなことしたら、ゲーム外へ『離脱』で出た時に、どこへ飛び出すやら分かったもんじゃない。ヘタすりゃ死ぬじゃん?」

「……」

 

 それはアレだな。リィーナの責任でもあるんだけど……。ただ、ゲーム機をずっと確保してられないのも分かるしな。

 元々が命を賭して入ったはずのゲームだ。クリアを逃してゲーム外へ出た結果、危険な場所へ出たとして……それは自己責任かもしれない。

 

「……ただ、それは」

 

 ウラヌスは制止するように、私へ手の平を向ける。

 

「もちろん分かってるよ。

 バッテラがクリア後も、延々とプレイヤーの身の安全を保障する義務はない。

 つまり契約がグダグダなのはお互い様なのさ。……バッテラが交渉でやりこめられたとして、それは言い訳できないよ。同情もできないし。

 多分バッテラも、クリア報酬さえ手に入れば、後はどうでもよかったんだろう」

 

 きっとそうだろうな……

 今ごろ彼は、恋人と幸せな時を過ごしているのだろう。10年以上グリードアイランドに関することで戦い続け、財産を投げ打ったバッテラさんに相応しい見返りだとは思う。

 

 ……そう。そこだけを見れば、美談で済む話だ。

 

 けど、命懸けで挑んでいるプレイヤーからすれば、たまったものじゃないかもな。私がゲーム外に関することまで自己責任だなんて言うのは、少しズレてるかもしれない。……確かにバッテラさんは身勝手だ。事情を話していない以上、恨みを買ったとしても不思議じゃない。恋人に危害を加えられていたわけだから、以前何かあったのかもしれないしな。

 

 ウラヌスは私の目をじっと見つめ、

 

「……アイシャは知ってるんだね。

 なぜバッテラがあそこまでゲームクリアに拘ったか」

「……。ええ……」

「だよね……

 ま、それはいいや。

 守秘義務もあるだろうし、クリアできなかった俺に知る権利はない」

 

 ウラヌスがそう言うと、メレオロンとシームが不満そうにしてる。多分聞きたかったんだろうな。でもなぁ……話していいか微妙なんだよね。

 ウラヌスもツマらなそうな表情で、

 

「せめて、財産を引き取ったロックベルト会長と面会できてればなぁ。

 詳しい話聞きたかったのに、結局会えず仕舞いだよ。……まあ、リィーナさんずいぶん忙しいみたいだし、仕方ないけど」

 

 ぅ……

 

 あなた、リィーナとも顔見知りなのか。そりゃリィーナ自身も相当顔は広いはずだけど、会長としてのリィーナに面会を申し入れられる人間なんて、そんなにいるもんだろうか。

 そういえば風間流の師範うんぬんとか言ってたし、それなりに交流ありそうだったな。あれだけ私の柔に対抗できたのもそのせいか?

 ……ウラヌスって、思ったより顔広いんだろうか。

 

「その、ロックベルト会長とはお知り合いで?」

「うん? リィーナさんのことだよね。

 そうだけど。……俺がハンター試験受けた時、試験官やってたし。

 アイシャは知ってるだろうから言うけど、風間流の道場って念能力者しか入れない場所あるだろ? あの神字、今は俺が描いてるもん。

 リィーナさん、金払いが良くて助かってるよ」

 

 お、おぅふ。予想外に懐まで入り込まれてた。

 私も、まだウラヌスのこと見くびってたな……

 この人の神字、思いのほか色んな人に買われてるのかもしれない。滅茶苦茶便利だしな。

 

「なんかスゴイ人と知り合いみたいじゃん。

 ウラヌスって、神字を扱わせたら世界一とか? ちょー有名人?」

 

 シームの無邪気な問いかけに、苦笑いするウラヌス。

 

「どうかなー。

 神字を描くだけなら、念能力者にとってそこまで難しくはないからね。技量を隠してるヤツがいるかもしれない。グリードアイランドの製作者にも手練れはいるだろうしさ。

 ただ神字ハンターとして、ハンター協会の中で一番有名になった時期はある。……今はそこまでだけどね」

 

 なるほど。一躍有名になって、その頃に色んな繋がりを持ったのか。なら、ハンターになって2年にも満たない私が、表立った活動を控えるようになった彼を知らなくて当然か。

 

 色々思い耽っていると、ウラヌスが私の方に窺うような目を向けてくる。

 

「アイシャってさ。

 もしかしてリィーナさんとも知り合い? 同じ流派とかじゃなくて、個人レベルで」

「……え? なんでそう思うんです?」

 

 言ってて、もっと上手い返し方はなかったのかと思う。でも何か確信めいてるんだよな、聞き方が……

 

「そりゃ風間流をあれだけ使いこなせて、その年齢って考えると──」

「……考えると?」

「もしかして──……」

 

 や、やけに引っ張るな。ドキドキするからやめてほしい。

 

「────リィーナさんの秘蔵の弟子かなー、とか思ってみたり?」

 

 ……。……そ、そうきたかぁー。

 

「あ、あっはっは。

 まっさかー。そんなこと有り得ませんよ」

 

 おしいっ。実は逆でした! ──なんて言えるかぁッ!

 

 

 

 

 

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