どうしてこうなった? アイシャIF   作:たいらんと

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マサドラ編2 2000/9/19
第八十二章


 

 私達がいつもの林で修行に勤しむ中、もきゅもきゅおむすびを食べるウラヌス。彼だけまだお昼を食べてなかったので、ようやく腹ごしらえしている。

 重しを付けて運動しながら、何となくチラチラと視線がそちらへ向く。お茶をくぴくぴ飲むウラヌスを眺めてると、

 

「……なんでみんな、こっちチラチラ見るの?」

 

 ウラヌスが食事の手を止めて、怪訝そうに尋ねてくる。

 

「いえいえ、何でもありません。どうぞこちらのことは、お気になさらず」

「そうそう、気にせずゴハン食べて」

「アンタは何も気にしなくていいのよ」

 

 言って3人とも目を逸らす。当人が小首を傾げてる姿が目の端に映るけど、触れないでおく。

 

 ……ほらアレだよ。小動物がエサ食べてたら眺めたくなるあの感覚。可愛らしい様子でもぐもぐしてたら、そりゃ見ちゃうよ。絶対怒られるから言わないけど。

 

 まあ、それはともかく。

 イナゴ退治の後でも、メレオロンは動けてるな。潜在オーラ量は本物なだけに、純粋な持久力はかなりのものだ。自己申告通り、肉体の強度は人間とほぼ変わりないようだけど、潜在オーラ量はそれを補って余りあるほど。念を必死で鍛えたキメラアントなんて、彼女ぐらいだろうしな……

 やはりNGLという死地を潜り抜け、社会の狭間で生き延びてきただけのことはあるんだろう。なんせ捕まってるシームを、単独で奪還なんて離れ業をやってのけたほどだし。

 真っ当に身体を鍛えさえすれば、そのオーラ量は真価を発揮するはずだ。将来が楽しみでもあり、少し怖くもある。

 

 ……問題はシームだな。

 さっきのイナゴ退治でオーラを使い切り、更に回復しては消費しつくすのを繰り返したせいで、完全に体力が底を尽きかけてる。当たり前だけど。

 なので、実質『絶』の状態で60キロのベストを着て動こうとして、動けていない。まぁ無理か……身体の動かし方が分かっていれば、絶対に動けないわけじゃないはずだけど。

 『纏』をしている間はいつも通り動けるけど、しばらくしてまた止まる。これはこれで修行になってるけど、なんだかなぁ。

 メレオロンと違い、イナゴの攻撃でややボロついたままのツナギが、また寒々しい。

 

「……シーム。ちゃんと休憩してください」

「で、でもボク、今日ちゃんと修行できてない……」

 

 やっぱりそれを気にしてたか。サボっていると見なされて、サクラを呼んでもらえなくなるのを恐れてるんだろう。今日はウラヌスも疲れてるし、尚更かな。

 

「シーム。

 しっかり休憩するのも修行のうちだぞ。

 ダラダラやったって、成果なんか出るわけないんだから」

 

 ウラヌスに言われ、ようやくシームが腰を下ろす。うん……ちょっと焦ってるのかもな。メレオロンは目に見えて力を付けてきてるし、置いてけぼりにされるのが怖いのかも。

 

 

 

 修行時間が長く取れないので、私が強めの運動で基礎身体能力を鍛えている中。

 運動中のシームが、ふらりと倒れかかった。

 

「──ッ!」

 

 座り込んでいた体勢から機敏に動き、滑り込むようにシームを抱えるウラヌス。

 

「おぉっと、ぎりぎりセーフ……大丈夫か?」

「……え? あれ?

 ウラヌス、どうしたの?」

「倒れそうになるまで無茶すんなよ……

 シーム、とにかくまず座れ」

「う、うん」

 

 ぺたんと座り込むシーム。状況すら理解できていないらしく、頭もふらふらしている。

 どすどすと土を踏み鳴らしながら近づいたメレオロンが、シームの顔を覗き込む。

 

「シーム、あんた大丈夫? どっか具合悪いの?

 それとも疲れてるだけ?」

「んー……よく分かんない……」

「ちょっと俺が診るよ。どっか傷めたり怪我したわけじゃないみたいだし、そこまで心配しなくていいと思うけど。

 とりあえず、水とタオル取ってきて」

「あ、うん。待ってて」

 

 メレオロンがリュックへとひとっ走りして荷物を漁り、ウラヌスはシームの身体を支えながらベストを丁寧に脱がせてる。

 ……私、出遅れてやることがない。ゴン達が気絶するのを見すぎて、感覚が麻痺してる気がする。メレオロンが弟のことを心配するのは当然としても、ウラヌスが自然に見せる優しさが心に痛い。うぅ……

 

 

 

 ウラヌスが診たところ、頭を揺らし続けたことによる酔いに近い状態、という話だった。シーム、体幹が弱いからフラフラすることが多いんだよな。それが理由か。

 なので、いまシームは無理をせず横になっている。

 

 ……その、ウラヌスの膝枕で。

 

 なんだか無性にむず痒く、全身から力が抜けそうだ。ハタから見てると完全にアレだな……

 

「シーム。まだ目は回るか?」

「まだちょっと……

 でも、ごくらくー……」

「あ? 極楽?」

「まくらがぷにぷにー。ちょーぷにぷにー……」

「お、おい、あたまゴロゴロさせるなよ」

「ごめんねー。あはは」

「いいから、ちょっと目ぇつぶってな。

 安静にしてりゃ治るんだから」

「ぷーにーぷーにー♥」

「まったく……」

 

 べったり安らかそうにしてるシーム。その髪を、困ったような微笑みを浮かべて優しく撫でるウラヌス。

 ぅぐぐ……なんだこの口の中に砂糖がたまりそうな空気は。

 まさか私、ゴンにあんな感じで膝枕されてたのか? アレは……アレは……

 どすどす地を鳴らし、メレオロンが私の方へ来る。

 

「なんです?」

「ちょっとアレ、むかつくと思わない?

 私達が一生懸命修行してる横で、ああやってイチャイチャしてさ!」

「イチャイチャ……」

「完璧にその空気じゃないの。シームも憎たらしいけど、ウラヌスも甘やかしちゃってさ。

 まー、見せつけてくれるわよね」

 

 ぐ、ぐぬー。メレオロンの目にも、やはりそう映るか……

 ウラヌスはそんなつもりないかもだけど、シームはその、恋人に甘えてる感じがするんだよな。よく分かんないけど……

 

「よし、アイシャ。

 アタシ達もイチャイチャしましょう」

 

 ちょっと何言ってるか分かんない変態のセリフをしばらく吟味し、

 

「……

 今から全力で組手ということですね? よろしい受けて立ちましょう」

 

 メレオロンは にげだした! (ダカダカダカッ)

 

 たく、逃げ足だけは速いな。どこのメタルだ。……ん? なんだっけメタルって。

 しかし、今日は全く組手ができそうにないな。仕方ないけどさ。

 

 

 

 修行場の林に、夕陽が差し込む。

 ああー……疲れた。組手もせずに、ひたすら身体鍛えてただけだしな。たまにはいいんだけども。昨日用意してもらった200キロのダンベルが、今日も役にたったよ。

 キメラアントとの戦いでは、身体能力の差でずいぶん苦しめられたからな……本格的に鍛えだして数年ぐらいだし、無理もないんだけど。どれだけ鍛えても足りる気がしない。

 

「アイシャ、もう終わりだよね?」

「ええ。皆さんお疲れ様でした」

 

 ウラヌスの問いかけに答える。

 メレオロンが、ドシャッと音を立て腰を落とした。シームはちょうど休憩してたから、それなりに元気そうだ。……まぁオーラが底をついてるから、ほとんど休んでたんだけど。

 

「メレオロン、結構体力付いてきたんじゃないですか?」

「はぁ、はぁ、はぁぁー……

 そりゃ、まぁね……

 こんだけ追い込まれたら、イヤでもオーラで、身体強化すんのも必死になるし……

 体力だって付くわよ……」

「今の重さには慣れてきましたか?」

「うーん……少しはね……」

「それは何よりです。

 であれば、そろそろ負荷を増やした方がよさそうですね」

「えッ!?」

「でないと非効率ですよ? あれだけ動けるということは、逆に負荷が足りてないということですから。

 短期間で強くなりたいなら、どんどん負荷を増やしていくのが一番です。

 純粋に身体が強くなれば、無呼吸で出来ることも増えますし」

 

 メレオロンの【神の不在証明】で最も肝心要なのは、無呼吸でどれだけ動けるか、だ。息を止められる時間も大事だけど……能力発動中の運動量が増えれば増えるほど、出来ることも変わってくるだろう。逃げられる距離が伸びるだけでも違う。

 

「ちょ、ちょっとずつにしない?

 この100キロでも充分ハードだし……」

「……別に何キロにしろとまでは言いませんが、あまり刻むのも考え物ですよ?

 ウラヌスも負担になるでしょうから」

「細かくできないこともないけど、後々を考えると重し1つ5キロ刻みかなぁ。

 とりあえずベストの重量、65にしとく?」

「あーそのー……

 明日、明日適当なタイミングで。今日はアンタも疲れてるでしょ?」

「つっても、そこそこ休んだから別に今でも──」

「いーからイーカラ! 明日明日」

 

 あわよくば、増やさずに済まそうとしてるな。絶対覚えとこ。

 

 

 

 後片付けを終え、今日は稼いだということもあり、心置きなく料亭『秋の空』へ。

 

「皆さん、きちんと食べてしっかり回復してくださいね。

 特にウラヌスは」

「アンタはきちんと食べすぎでしょう……」

「何言ってるんですか。

 ちゃんと運動量に合わせて食べてますよ」

「そうね。食事量に合わせた立派な胸ね」

「ちょっ……もう!」

「あー、そういう話はさておき。

 俺、結構遅い時間にお昼食べたし、そんなにいっぱい食べられないんだけど……」

「でも食事はしっかり摂らないと、ますます食べづらくなりますよ?」

 

 食事量を減らすと、少量でも満腹感を覚えるようになるからな。元々少食のウラヌスがそうなると、必要な食事量が摂れなくなってしまいかねない。

 

「……そうだね。でもなぁ」

 

 メニューを困った顔で眺めるウラヌス。金額を気にしてもいるんだろうけど、なかなか選びにくいようだ。

 

「……。

 アイシャさ。ここで食べる時、ちょっと遠慮してる?」

「遠慮ですか?

 うーん……まぁ少しは」

 

 ウラヌスの質問にそう答えると、メレオロンが大きく首を傾げ、

 

「少し?

 あんたの少しって、どれぐらい少し?」

「うるさいですよメレオロン。

 ……えっと、ホントは2人前くらい頼みたい物でも、1人前だけとか」

「よく分かったわ」

「うっさいメレオロン。

 ……ウラヌス、それがどうかしました?」

「いや……

 それならアイシャがたくさん食べたい物を2人前注文して、俺が取り分けて食べれば、量を調整しやすいかなって」

「ほぅ、なるほど。

 私は全然構いませんけど、私が食べたい物しか食べられないですよ? それだと」

「別にいいよ。

 ここの料理、大体美味いもん」

 

 ウラヌスがいいって言うなら、私はソンしないし、そうするか。何にしよっかなー……お造り2人前とかアリなんだろうか。うんアリと言うことにしとこう。松茸ゴハンも外せないな。後は……

 

 

 

 お代はしめて25500ジェニーなり。ふふふ、夕食費が日に日に増えてくな。

 

「──たいへん申し訳ありませんでしたー!」

 

 支払いを終えたウラヌスに、腰を折って謝る。つまりアレだ。ウラヌスが普段頼んでるものより、私が選んで2人前注文した分の方が上ってことだ。なんてこった……

 

「……別にいいよ。食事を我慢するのも精神衛生に良くないし」

 

 お、おもい……ウラヌスが言うとすごく重いよ……

 だってだって、お昼が軽かったから、お腹すいてたんだもん……

 

「げぇーぷ。

 ほんっと、昼てきとーだったから余計に美味かったわ。あんた達もごちそーさま」

 

 ん? メレオロン、今のごちそーさまってどういう意味?

 私とウラヌスが首を傾げてると、シームがニコニコしながら、

 

「2人とも、なんだかんだで楽しそうに食べてたよね」

 

 う、うん。お料理取り分けて食べるの、楽しかったよ。なんか私達を見る2人の視線が気になったけど。

 ウラヌスと目を合わせると、なぜか恥ずかしそうに目を逸らされた。むぅ……

 

 

 

 腹ごなしに秋の町を楽しく散策した後、いつものように『再来』でマサドラへ。

 真っ先にマサドラのトレードショップで、フリーポケットにあぶれていた真珠蝗2枚を売却、貯金して所持金を38万ジェニーに。

 そして、スペルカードショップへ。

 近くまで来たところで、ウラヌスが足を止めて眉をひそめる。

 

「んー。ちょいと先客がいるな……時間かかるかも」

 

 おや、珍しい。……まぁ前回はホントうっとうしいぐらい並んでたけどね……

 私もプレイヤーの気配は察知している。確かにスペルカードショップの中に1人、店の前にも1人いるな。

 悩んでる様子のウラヌスに、メレオロンは少しフードを深く被りながら、

 

「どうするの? 後ろに並んで待つ?

 それとも一度ヨソに行って、いなくなった頃合いを見てまた来る?」

「んー。

 今日はみんな、早く宿で休みたいだろ? なら待ってるのが一番かな。後から来た他のプレイヤーが並ぶかもしれないし」

 

 うん、その通りだね。間が悪いと、いつまで経っても店に入れないかもしれないもんな。

 ウラヌスは、私とメレオロンが頷くのを見た後、シームにも目をやり、

 

「シーム、分かってるとは思うけど……」

「うん、だいじょうぶ」

 

 フードを目深に被るシーム。……こればっかりは仕方ないな。シームはまだいいけど、メレオロンは一目で人間じゃないのが分かっちゃうから。

 並ぶ以上、至近距離まで近づかないといけない。安全面を考えれば私達から離れるのもよくない。ここはプレイヤーがたくさん訪れるマサドラだからね。

 

 店前で並ぶ1人のすぐそばまで行き、私達は立ち止まる。

 前にいる男性はこちらをちらりと見やり、すぐ店の方へ目を向ける。

 ……こっちを探ってる気配がバレバレだけどね。あまり関心のない素振りも、全部ウソくさい。私達に興味ありありだ。

 再びこちらに目を向ける男性。着ているスーツのくたびれた感じがなんとも。

 

「あんた達も買い物かい?」

「ああ」

 

 答えの分かり切った質問に、ウラヌスが端的に返す。『ん?』と怪訝そうな男性。……多分、ウラヌスの見た目に似合わないぶっきらぼうな態度に戸惑ったんだろうな。

 なんというか、彼って男性らしくも女性らしくも振る舞わないんだよね。だから初見でどう接していいか分からない。私も最初、性格が掴めなくて苦労したもん。

 ……まぁ見た目は可愛らしいんだけどね。自分でどう思ってるか、イマイチ分かんないけど。

 

 男性が値踏みするように私達をじろじろ見る。メレオロンとシームには胡散くさそうな目を向けただけで、あまり関心がないようだ。ツナギで全身を覆ってるし、『絶』の状態だから探りようもないんだろう。

 ウラヌスがちょっと嫌そうな表情を覗かせ、

 

「あんまりジロジロ見んなよ……

 なにか用事でもあるのか?」

「おっと、すまねぇ。

 いや、ここで待つのも久しぶりでな。今は大して待たされねぇから気楽なもんだ」

「……」

「ねーちゃん達、出戻り組かい?」

 

 出戻り組……意味は予想つくけど。

 

「なに? その出戻り組って」

 

 おそらく分からないフリをして、ウラヌスが尋ねる。意味を取り違えててもイヤだし、情報はあればあるほどいいしな。

 男性はやや不機嫌そうに、

 

「なんとなく分かるだろ?

 一度ゲームから出て、戻ってきた連中かってことさ。

 ゲームが再開したから、また来たってやつが結構増えてきてるんでな」

「それは分かったけど、俺達がそうとは限らないだろ?」

「おいおい、とぼけなさんな。

 オレはあんた達をゲーム停止中に一度も見かけなかったし、このタイミングでそんなに落ち着き払った初心者プレイヤーがここにいるもんかよ」

 

 うーん……流石に初心者のフリをするのはねぇ。そこまでする気になれない。にしても、なかなかの洞察力だな。不用意に情報を洩らさないよう、こちらも注意してたのに。

 ウラヌスは肩をすくめ、

 

「その通りだよ。運悪く、クリア前にゲームから出ててな。

 しばらく入れなくなって、困ってたんだよ。この間、ようやく入れたんだ」

 

 ウラヌスが事情を説明したけど、それは彼のみの事情だ。全員がそうなんだと思わせる為に虚実を混ぜたのだろう。

 

「やっぱりな。

 オレはプーハットって言うんだ。あんた達は?」

 

 私はウラヌスに視線を向ける。軽くアゴを引くウラヌス。……多分バインダーに私達の名前が一気に登録されたはずだし、誤魔化すのは難しいか。

 

「私はアイシャと言います」

「俺はウラヌス。……後ろの2人は、シーム、メレオロンだ」

「おう、よろしくな。

 ところであんたら、どうやってゲームに入って来たんだ?

 バッテラは、とっくにゲームを手放したんだろ?」

「そんなの、別にどうとでもなるさ。

 バッテラがゲームを手放したって、代わりに他のヤツが手に入れるだけだよ。

 あれだけ高額なら、投機目的で買うヤツなんてごまんといる」

 

 ウラヌスも上手くボカしてるな。その言い方なら、自分が所有するゲームから入ってるのか、他人の所有するゲームから入らせてもらってるのか、分かんないもんな。

 ──ん? 店の中からプレイヤーが出てくる気配がする。

 

「ふーむ。そりゃそうだな……

 おっと、次はオレの番か。

 ま、よろしくな。ねーちゃん達」

 

 プーハットさんは、入れ替わりに店の中へ入っていった。店から出てきたプレイヤーは、私達に少し目を向けただけで、すぐに去っていく。

 

「……よろしくなんて言われてもな」

 

 ウラヌスは眉をひそめて、腕を組む。

 

「……で。

 あのしゃくれアゴのおっちゃん、強いの?」

「そんなふうに見えるか?」

 

 疑わしげなウラヌスの質問返しに、首を横に振るメレオロン。だよね……全く戦えないわけじゃなさそうだけど、念能力者としてどれほどのものやら。

 

「ウラヌスはあの人のこと、知ってるんですか?」

「ううん、初見。

 向こうも俺やアイシャのこと知らなかったし」

「ゲームプレイして長いなら、私達とどこかで会ってそうなものですけどね」

 

 ……いや、私はそうでもないか。できるだけ他プレイヤーとは遭遇しないようにしてたしな。マサドラのスペルカードショップ前の行列にいたかもしれないけど、流石にそれは覚えてない。

 

 

 

 しばらくしてプーハットさんが店から出てくる。

 

「待たせたな」

「いや、大して待ってないよ。

 それじゃ、みんな行こ」

 

 ぞろぞろ入っていく私達。

 ……店内に入った後も視線を感じたけど、少ししてプーハットさんの気配が離れていく。

 なんだろうな……まぁいいや。とにかくスペルスペルと。

 

 

 

 『盗視/スティール』3枚

 『透視/フルラスコピー』5枚

 『防壁/ディフェンシブウォール』10枚

 『反射/リフレクション』2枚

 『掏摸/ピックポケット』4枚

 『窃盗/シーフ』1枚

 『交換/トレード』2枚

 『再来/リターン』15枚

 『擬態/トランスフォーム』4枚

 『複製/クローン』3枚

 『左遷/レルゲイト』4枚

 『離脱/リーブ』1枚

 『念視/サイトビジョン』4枚

 『漂流/ドリフト』3枚

 『衝突/コリジョン』4枚

 『徴収/レヴィ』1枚

 『城門/キャッスルゲート』13枚

 『贋作/フェイク』2枚

 『強奪/ロブ』1枚

 『堕落/コラプション』3枚

 『妥協/コンプロマイズ』2枚

 『看破/ペネトレイト』3枚

 『暗幕/ブラックアウトカーテン』8枚

 『聖水/ホーリーウォーター』3枚

 『追跡/トレース』2枚

 『投石/ストーンスロー』2枚

 『凶弾/ショット』1枚

 『道標/ガイドポスト』11枚

 『解析/アナリシス』9枚

 『宝籤/ロトリー』13枚

 『密着/アドヒージョン』1枚

 『浄化/ピュリファイ』1枚

 『神眼/ゴッドアイ』1枚

 『再生/リサイクル』2枚

 『名簿/リスト』5枚

 『同行/アカンパニー』15枚

 『交信/コンタクト』10枚

 

 

 

 38パック購入して、手持ちスペル60枚と合わせ、スペルカード合計174枚。

 『窃盗』が再入手できてるな。『聖水』と『擬態』も1枚ずつ引けてる。他に目ぼしいスペルはないか……

 

「……溜まってきた『聖水』が、地味に使いどころないな」

 

 ウラヌスが、テーブルに広げたスペルを見てつぶやく。

 

「とりあえず使っとけばいいんじゃないの?」

 

 メレオロンがカードのテキストを覗き込みながら言う。

 

「でも、この10回攻撃スペル防ぐ効果って、扱いにくいんだよな……

 仲間内の『追跡』や『密着』まで、バインダー出してなくても勝手に防ぐし」

「別に構わないんじゃないの?

 そろそろ全員、お互いにかけ終わるんでしょ?」

「あと『密着』4回分で終わるな。

 ただ、『追跡』や『密着』の対象になったプレイヤーがゲーム外へ出ると効果が消えるから……おまけに『聖水』の防ぐ効果はゲーム外へ出ても消えないし。

 『聖水』を一度かけると、10回攻撃スペル防ぐまで消せないからなぁ。やろうと思えば、使い道のほとんどない『投石』や『掏摸』で解除できるけど……

 『聖水』は『妥協』のエサにもできないし……。『堕落』を自分で使えば、変身はさせられっけどなー。うーん」

 

 なんか深みにハマってるな、ウラヌス。聞いてるだけでよく分かんなくなってきた。

 

「めんどくさいなら、売っちゃえば?」

 

 メレオロンは適当に言いすぎだ。

 

 

 

 

 

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