俺が元チャンピオンであるのは間違っていない。   作:傲慢です

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10話

シンジのヤミカラスに勝ったタツベイだがハチマンはタツベイの様子を見ていた。

 

ハチマン「(“ゴッドバード”だけでかなりのダメージだ。ここは休ませた方がいいか)」

 

ハチマン「戻れ、タツベイ」

 

ハチマンは交代がベストと判断し、タツベイをボールに戻す。そして、ボールを構える。

 

シンジ「ヒコザル、バトルスタンバイ!」

 

ハチマン「いけ、ヒコザル!」

 

ヒコザル「ヒコーッ!」

 

ヒコザル「ヒィコ!」

 

シンジ「む?」

 

ハチマン「ほう?」

 

2人のボールから現れたのは同じポケモン、ヒコザルだった。

その事実にハチマンとシンジは僅かに驚く。

 

ハチマン(まさかの被りか)

 

違いはハチマンのヒコザルは伏せ目がちで落ち着いているのに対し、シンジのヒコザルは元気いっぱいという感じで明るいことだ。

 

ヒコザル「ヒコヒコ!」

 

ヒコザル「ヒィコ……」

 

シンジのヒコザルは目の前に同族が現れたことに全身で喜びを表してはしゃぎ、ハチマンのヒコザルは目の前の同族のテンションの高さに困った様子だ。

 

シンジ「はしゃぐな!!」

 

ヒコザル「ヒ……」

 

シンジの苛立ち混じりの一喝にヒコザルはビクリと動きを止めて萎縮した。するとシンジはハチマンに顔を向ける。

 

シンジ「あなたもヒコザルを持っていたのか」

 

ハチマン「ああ、少々訳ありなヒコザルなんだ」

 

シンジ「そうですか、ならば見せてもらう。ヒコザル、“ひのこ”!」

 

ヒコザル「ヒコー!」

 

先程の萎縮した様子とは打って変わってヒコザルは元気に動き、口から“ひのこ”を発射した。

 

ヒコザル「こっちも“ひのこ”だヒコザル!」

 

ヒコザル「ヒィコー!」

 

ハチマンのヒコザルも負けじと“ひのこ”を発射する。威力は互角で“ひのこ”同士でぶつかると爆発を起こす。

 

ハチマン「“かえんぐるま”!」

 

ハチマンは間髪入れずに“かえんぐるま”を指示し、ハチマンのヒコザルは全身を火炎で覆い、回転して相手に突撃する。

 

シンジ「“あなをほる”!」

 

シンジのヒコザルは素早く地面を掘りそこに隠れた。目標を失った“かえんぐるま”はそのまま解ける。

 

ハチマン「(ほう、“あなをほる”を覚えていたのか……これは予想外だな)」

 

ハチマンが自分のヒコザルを見ると、彼は慌てることなく静かにその場に立っていた。しかも、地面をジッと見つめていた。

 

ハチマン「(冷静に周りを見るのが大事だとあいつもわかっているのか……いけるな)」

 

ヒコザル「ヒコー!」

 

ハチマン「今だかわせ!」

 

ヒコザル「ヒィコ!」

 

シンジのヒコザルが地面から飛び出して“あなをほる”攻撃をしかける。しかし、ハチマンは飛び出してくるシンジのヒコザルに合わせて指示を出し、ハチマンのヒコザルはそれに応えて動くことができた。

 

シンジ「なに!?」

 

シンジはハチマンのヒコザルの動きに驚く。

 

“あなをほる”は思わぬ攻撃だがハチマンはすぐに平静を取り戻し、ヒコザルも慌てることなく冷静にフィールドを観察していた。だから両者とも呼吸を合わせることができたのだ。

 

ハチマン「ヒコザル“ひのこ”!」

 

攻撃が外れ驚くシンジのヒコザルをハチマンは逃さず指示を出す。

“ひのこ”攻撃にシンジのヒコザルは少ないダメージながらも僅かに後退する。

 

シンジ「怯むな“かえんぐるま”!」

 

すかさず飛ぶシンジの指示にヒコザルは対応し、“かえんぐるま”を発動した。

 

ハチマン「受け止めろ!」

 

猛回転する火炎をハチマンのヒコザルは受け止めた。

徐々に体が後退するがヒコザルはまだまだ力を込める。

真正面から受け止めるのはダメージの薄いタイプの攻撃だからこそでいる荒技とも言えるだろう。

 

次第にシンジのヒコザルの“かえんぐるま”の勢いが無くなっていく。

 

ハチマン「(失速したか!)ヒコザル“かえんぐるま”!」

 

お返しとばかりにハチマンのヒコザルは“かえんぐるま”を発動させる。纏う炎はシンジのヒコザルの炎よりも大きく、激しく回転して飲み込んでしまった。

 

ヒコザル「ヒィコ!!」

 

ヒコザル「ヒコー!!?」

 

炎が止むと、ハチマンのヒコザルは立ち、シンジのヒコザルは目を回していた。シンジのヒコザル、戦闘不能。

 

ハチマン「ご苦労様ヒコザル、ゆっくり休め」

 

ヒコザル「ヒィコ……」

 

ハチマンのヒコザルを戻した

 

シンジ「……戻れヒコザル」

 

眉をひそめたシンジはヒコザルのボールを見る。

 

シンジ「……まあ、こんなものか」

 

ぼそりと呟くとハチマンに向き直った。

 

シンジ「あなたのヒコザルはいつから育ててるんだ?」

 

ハチマン「俺か? 昨日からだ」

 

ハチマンの返答にほんの少し目を見開くシンジ。

 

シンジ「……そうか」

 

少し残念そうで少し悔しそうな顔でシンジはボールを取り出す、ハチマンもボールを取り出す。

 

 

 

シンジ「次だ。エレキッド、バトルスタンバイ!」

 

ハチマン「行け、リオル!」

 

人型の黄色の体にところどころ黒い線が入り、頭の天辺にはコンセントのような角が生えた小型の電気タイプのポケモン、エレキッドが現れる。

 

エレキッド「ビビッ!」

 

リオル「リオ!」

 

シンジ「色違いのリオルか」

 

シンジは色違いのリオルを見て少し驚いていた。

 

シンジ「エレキッド、“かみなりパンチ”!」

 

ハチマン「リオル、“でんこうせっか”!」

 

エレキッド「ビビッ!!」

 

リオル「リオオ!!」

 

同時に放った技同士が激突する。

 

エレキッド「“かわらわり”!」

 

リオル「“はっけい”!」

 

エレキッド「ビビッ!」

 

リオル「リオ!」

 

瞬時に指示を出すシンジとハチマン。それに応えるエレキッドとリオルは渾身の一撃を放ちぶつかる。技の勢いに押されてエレキッドとリオルは後退する。

 

シンジ「エレキッド、“かみなり”!」

 

ハチマン「リオル、“でんこうせっか”で避けろ!」

 

「っ!」

 

リオルはエレキッドから放たれる強大な“かみなり”を高速で動き躱し続ける。

想像以上のリオルのスピードにシンジは驚き悔しげな顔をする。

 

リオル「リオ!」

 

エレキッド「ビッ!?」

 

“かみなり”を避け切ったリオルはエレキッドに“でんこうせっか”を決める。吹き飛ぶエレキッド。しかし、シンジもエレキッドも怯まない。

 

シンジ「“かみなりパンチ”!」

 

ハチマン「“カウンター”!」

 

エレキッドの“かみなりパンチ”に対して上手くタイミングを合わせることに成功し“カウンター”が決まった。

 

エレキッド「ビビッ!?」

 

シンジ「なに!?」

 

シンジは思わぬ反撃に目を見開く。

 

シンジ「まだだ、“かわらわり”!」

 

エレキッド「ビビッ!!」

 

リオル「リオ!?」

 

リオルは反応が遅れて“かわらわり”をまともに受ける。だがすぐに態勢を立て直した。

 

ハチマン「“はっけい”!」

 

シンジ「“かわらわり”!」

 

リオル「リオリオッ!!」

 

エレキッド「ビッビビビッ!!」

 

目の前の敵を見据えた2体は技を振るった。“はっけい”と“かわらわり”がぶつかる。

 

シンジ「エレキッド、左に回れ!」

 

シンジは一瞬の拮抗の間に指示を出した。エレキッドとリオルの両者は右腕でそれぞれの技を使用している。エレキッドは右腕を支点にするようにリオルの左側、すなわち背後に回る。

 

ハチマン「ほう、そう来るか」

 

シンジ「“かみなりパンチ”!!」

 

エレキッドは左腕に電気を溜める。

 

エレキッド「ビィッ!!」

 

リオル「リオ!」

 

リオルの背中に“かみなりパンチ”が炸裂する。リオルは吹き飛ばされ倒れる。ダメージは大きく、このまま倒れ伏してしまうと思われたが、まだリオルは立ち上がる。

 

ハチマン「(全く、お前は負けず嫌いだな)まだ行けるかリオル?」

 

リオル「リオ!」

 

ハチマン「リオル“はっけい”!」

 

リオル「リオッ!」

 

大きなダメージを受けながらもまだまだ立ち上がるリオルは右腕に全力を込めてエレキッドに向かう。

 

シンジ「“まもる”!」

 

リオルの全力の“はっけい”は全てを弾く“まもる”をシンジは指示したがそれはハチマンの予想通りだった。

 

ハチマン「リオル“フェイント”!」

 

シンジ「“フェイント”だと!?」

 

リオル「リオッ!」

 

リオルの“フェイント”がエレキッドの“まもる”を破りエレキッドは驚きシンジも“フェイント”が使えたことに驚いていた。

 

ハチマン「“はっけい”!」

 

リオル「リオ!!」

 

エレキッド「ビ!?」

 

まもりを崩れたエレキッドにすかさずリオルは“はっけい”を放つ。避けきれないエレキッドはそのまま直撃する。ダメージに倒れるエレキッド。このまま決まると思われたが、エレキッドは立ち上がりリオルを鋭く睨みつける。リオルも負けじと睨み返す。

 

エレキッド「ビビ……」

 

リオル「リオ……」

 

シンジ「“かわらわり”!」

 

ハチマン「“でんこうせっか”!」

 

リオルの“でんこうせっか”がエレキッドに決まる、しかし、エレキッドは持ち直すとリオルの体に”かわらわり”を振り下ろす。

体に打ち込まれる一撃にリオルは倒れそうになるが歯をくいしばって踏ん張る。疲労を無視するようにリオルとエレキッドは立ち、相手を睨む。

 

シンジ「“かみなりパンチ”!」

 

ハチマン「“はっけい”!」

 

技をぶつけ合い、ダメージを受け苦悶の表情を浮かべながらも決して倒れないリオルとエレキッド。倒れては立ち上がりを繰り返し相手を攻撃する。その鬼気迫る顔で戦う姿は、まるで『こいつにだけは負けたくない!』と叫んでいるようだった。

 

シンジ「エレキッド、“かみなり”!」

 

ハチマン「リオル、“きしかいせい”!」

 

エレキッド「ビビビ、ビビビッ!!!」

 

リオル「リオオオ、リオォ!!!」

 

強大な雷がエレキッドの体から発射され、リオルは全身にエネルギーを纏うとそのまま突進した。

 

極限まで高まったエネルギー同士のぶつかり合いで爆発が起こる。

リオルとエレキッドはその衝撃で吹き飛ぶ。

 

しかし、2体はフラフラになりながら持ち直す。

 

「“かわらわり”!」

 

「“はっけい”!」

 

エレキッドの“かわらわり”の方が速かった。しかし、リオルはその動きを捉えて躱した。“かわらわり”は空振りとなった。その隙を“はっけい”が貫いた。

 

リオル「リオ!!」

 

エレキッド「ビィ!?」

 

エレキッドはフラフラになり息を荒げながらまだ立っていた。しかし、その体は地面に倒れこんだ。エレキッド、戦闘不能。

 

よって、勝者ハチマン。

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