機動戦士ガンダムSEED 連合vsZ.E.O.N. DX   作:ダルマ

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第二話 ねんがんのマッケンジー姓をてにいれたぞ

 Z.E.O.N.の一部となったプラント。

 この事態に反感を覚え、Z.E.O.N.に対する圧力を強化を率先して行ったのが、プラントへの出資の際に残りの二国を抜いて多額の出資を行っていた、大西洋連邦と東アジア共和国の二カ国である。

 四カ国中最低額を出資しているA.O.C.U.や、平均的な額にとどまっているA.E.C.に比べ、上記の二カ国は、互いの意地とプライド、更には互いに主導権を得ようと牽制しあった結果。

 大西洋連邦と東アジア共和国の二カ国は多額の出資を行い、それを回収すべくプラントへの依存度も、残りの二カ国以上に深いものとなっており。

 

 故に、出資とその恩恵を根本から破壊する今回の裏切り行為には、心底怒り心頭であった。

 

 そんな二カ国を中心として、Z.E.O.N.設立宣言以降、プラント理事国四カ国の宇宙軍部隊を中心とした合同軍のL5宙域駐留開始等、同国に対する有形無形の圧力がかけられていた最中のC.E.六二年。

 この日、コロニーやプラント、更には地球上の各国、それはもはや地球圏全体に緊張をもたらす衝撃的なニュースが流れた。

 それは、議会での演説の最中、ジオン・ズム・ダイクンが急死を遂げるという、衝撃的なものであった。

 

 この風雲急を告げる事態にいち早く行動したのは、ジオン・ズム・ダイクンの側近であったデギン・ソド・ザビとその一族、通称ザビ家。

 ザビ家が有する人脈を巧みに使用し、このダイクンの死をプラント理事国側による暗殺である、かのように流布し、Z.E.O.N.とプラント理事国との対立を更に掻き立てると共に。

 自らがダイクン本人より後継人として指名されていた為、二代目のZ.E.O.N.最高評議会議長の座に座る事となったデギン・ソド・ザビは。

 優秀な子供たちや支持者たちを用いて、ザビ家がZ.E.O.N.の全権を掌握すべく、同時に行動を開始した。

 

 だが、その翌年のC.E.六三年。

 プラントのエネルギー生産部門が、近年活動を活発化させていた、反プラント・反コーディネイター、更には同じナチュラルながら両者と協力姿勢を見せるZ.E.O.N.のコロニー市民達すらも裏切者と敵視する、そんな思想主義集団。

 "ブルーコスモス"と総称される一派と思しき者達によるテロにより破壊される出来事が発生し。

 その際、視察に訪れていたザビ家の次男であるサスロ・ザビがテロに巻き込まれ死亡、三男のドズル・ザビも負傷した他。

 これにより生じたエネルギー危機の抗議の声に対し、プラント理事国は駐留戦力による威嚇を行うという顛末を迎え。

 

 このテロによる事の顛末により、Z.E.O.N.独立の機運は更に高まり。

 同時に、身内の犠牲を糧にZ.E.O.N.の世論を味方につけ、名実共にZ.E.O.N.全権の掌握をザビ家は。

 政治体制を共和制から、ザビ家への権力集中を容易とする公王制へと移行。

 最高評議会は存続するものの、その実態はザビ家の傀儡であり、半ば形骸化する事となる。

 加えて、来るべき真の独立を勝ち得るべく、軍備の拡大を進めると共に、圧倒的国力を有するプラント理事国を打倒する為の革新的な兵器の研究開発、そして実用化を、極秘に進めている事になる。

 

 

 

 一方、プラント理事国側も、Z.E.O.N.への圧力の一環として、四カ国を代表する企業による合同の新兵器開発プロジェクトを立ち上げ。

 選出された四社合同による、新機軸実証機となる宇宙戦闘用MA(モビルアーマー)の開発が行われ。

 

 程なく、大々的な公開セレモニーの場で、多くの一般大衆にお披露目される事となる。

 

「ご覧ください。こちらが、最新鋭MAであります、"メビウス"です!」

 

 司会進行役を務める広報担当の軍人の合図と共に幕が降ろされ。

 刹那、幕が降ろされ姿を表したのは、鮮やかなオレンジ色に塗装された一機のMA。

 

 戦闘機を彷彿とさせる機首下部に設けられた、対装甲リニアガン。

 そして、本体の上下左右四方に設けられた、ブースター兼用の四基のユニット。

 有線誘導による本体からの遠隔操作により、敵の意表を突く位置からの攻撃、所謂オールレンジ攻撃を可能とする特殊兵装、ガンバレル。

 

(どう見てもメビウス・ゼロ、だよな……)

 

 セレモニーの場に関係者という事で参加していた、今や中将の階級にまで昇進した高磯は、舞台上に姿を見せたメビウスと呼ばれた最新鋭MAを見て、心の中でそう呟いた。

 今やおぼろげとなった記憶の中で見た事のあるその姿は、紛れもなく原作においてメビウス・ゼロと呼ばれていた機体そのもの。

 

 しかし、この世界では現在、本来メビウスと呼ばれるべき機体がまだ開発されていない為か、メビウスという名でメビウス・ゼロは呼ばれていた。

 

(ま、とはいえ、原作同様にガンバレルを使用するには突出した空間認識能力が必要不可欠なのは変わりない。……新たな主力には、足り得んな)

 

 メビウス(メビウス・ゼロ)最大の特徴ともいうべきオールレンジ攻撃だが、それを最大限引き出すには突出した空間認識能力が必要不可欠。

 しかし、先天的故に人材確保が非常に困難な為、高磯の読み通り、主力として数を揃える事はプラント理事国各国ともに困難であった。

 

 その為、後にメビウス(メビウス・ゼロ)開発に携わったA.E.C.のアクタイオン・インダストリー社が、メビウス(メビウス・ゼロ)を基に独自の改修を手掛け、新・メビウス、原作におけるメビウスを開発する事となる。

 なお、このメビウスの開発により、旧メビウス(メビウス・ゼロ)は改めてメビウス・ゼロと命名される事となった。

 

 また、C.E.六七年には、A.O.C.U.を代表する企業、ムラクモ・クローム社が開発した多目的戦闘機、A.O.C.U.軍採用名"(はやぶさ)"が、"セイバーフィッシュ"と言う名で、同社開発の小型戦闘機トリアーエズや、大西洋連邦のP・M・P社が開発したスピアヘッド等を置き換える形で他の三国等にも普及していった。

 

 

 

 

 こうして双方が、互いに圧力をかけ合い世界がきな臭い様相を呈し始めた中。

 ラスティ少年の身近でも、風雲急を告げる事態が発生していた。

 

「どうして! 結婚前に約束したじゃない!?」

 

「仕方ないだろ! 好きなんだからさぁ!!」

 

 リビングから漏れ聞こえる両親の言い争う声。

 自室のドアを少し開け、隙間から耳を立ててその声に耳を傾けるラスティ少年。

 

 ラスティ少年の身近で起こった風雲急を告げる事態、それは、両親の離婚危機であった。

 

「家族の為に、そんな女は捨ててくれるって約束してくれたじゃない!?」

 

「あの時はそう言ったけど、だけど、やっぱり私には無理なんだ! 諦めきれないんだ! なぁ頼む、理解してくれ!」

 

「何が理解してよ! 私達家族の気持ちはどうでもいい訳!? そんな自分勝手、通じると思ってるの!!? そんなに好きなら、とっととあの女と一緒に出て行って!」

 

「な、ならせても、少しだけ、少しだけでも置いて……」

 

「嫌よ!! 一個だってあの女のものなんて、私は目にしたくないの!!」

 

 声を荒らげる両親の様子に、耳を傾けていたラスティ少年の心中は、不安の渦に巻き込まれていた。

 そう、何故なら、このままではラスティ・マクスウェルから、原作通りのラスティ・マッケンジーとなってしまうからだ。

 

 元々ラスティ・マッケンジーというキャラクターには、両親が離婚し、後に引き取られた母親の姓であるマッケンジーを名乗る、という設定が存在している。

 

 その為、このまま両親が和解せずに離婚するという事になれば、この世界のラスティ少年も、原作と同じ運命をたどる可能性が高くなる、そう、彼は理解していた。

 

(あぁ、このままじゃ名実ともにラスティ・マッケンジーになっちまうよ、不味いなぁ……。と言っても、この問題、俺が口出しした所でなぁ)

 

 原作の設定では、離婚の理由としてナチュラルに対する考えの相違が挙げられていたが。

 この世界では、プラントはナチュラルと手を取り合って誕生したZ.E.O.N.の一員という事で、コーディネイターのナチュラルに対する確執は原作程はなく、その為ラスティ少年には両親が離婚しないのでは、との油断があった。

 

 だが、コーディネイターであろうとナチュラルであろうと、男女の間柄が拗れる原因は、幾らでも存在していたのだ。

 

(にしても、まさか親父がなぁ……)

 

 この世界でのマクスウェル家離婚危機の原因、それを思い出し、ラスティ少年は感傷に浸らずにはいられなかった。

 

「なぁ頼む! "カノかっち"のグッズ、いや、グッズが駄目ならせめて"ポップ★ソーダ"のコンサートに行かせて……」

 

「だから!! アイドルファンは卒業するって約束したじゃない!!」

 

「私にとってポップ★ソーダは生き甲斐なんだ!! カノかっちはマイラブリーエンジェルなんだよ! 天使なんだよ!! 応援したっていいじゃないかぁ!!」

 

(おやじぇ……)

 

 マクスウェル家離婚危機の原因、それは、ラスティ少年の父親であるジェレミー・マクスウェルの趣味であった。

 どうやら、結婚前からアイドルの魅力に惹かれていたジェレミーは、結婚を機にアイドル趣味を卒業する誓いを立てていた様だ。

 所が、最近、何らかの拍子でアイドル熱が再燃したのか、再びアイドル趣味を再開したジェレミー。

 

 だが、誓いを破り、裏切られたと感じたラスティ少年の母親は、ジェレミーに再度アイドル趣味を諦める様に言うも。

 ジェレミーの再燃したアイドル熱は以前にも増して強く、両者は折り合いを付けられないでいた。

 

(まぁ、親父の気持ちも分からなくはないけどさ……。一回卒業するって約束したんなら、一言言ってから再開した方がよかっだろうに)

 

 ジャンルは違えど、趣味に没頭する父親の気持ちも分からなくはないラスティ少年ではあったが。

 せめて、家族の理解を得てからでもよかったのではと思うのであった。

 

「ならいいわ! もう離婚よ! そんなに私達家族よりもアイドルが好きなら、いっその事、そのアイドルと再婚すればいいのよ!!」

 

(あぁ……、もう駄目だぁ……)

 

 こうして、原作の設定とは多少異なるものの。

 この後、ラスティ少年の両親は正式に離婚、そして、母親に引き取られることになったラスティ少年は、マクスウェルの姓を捨て母親の姓を名乗る事になり。

 ここに、名実ともに、この世界でラスティ・マッケンジーが誕生したのであった。

 

 それは時に、ラスティ・マッケンジー十歳の時であった。




残念ながら三択はありません。


ご愛読いただき、本当にありがとうございます。
そして、次回もご愛読のほどよろしくお願いいたします。
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