機動戦士ガンダムSEED 連合vsZ.E.O.N. DX   作:ダルマ

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第三話 暁の蜂起と血のバレンタイン

 大小さまざまな変化が起こり、C.E.という時代が大きくうねりを上げ始めた頃。

 地球圏を取り巻く環境は、更に激しさを増していった。

 

 C.E.六八年。

 度重なるZ.E.O.N.の自治権確立と貿易自主権確立の声に対し、軍備拡張で抑え込みを図るプラント理事国。

 両者の対立は、依然として危ういながらも平行線を保っていた。

 だがこの年。

 

 一個の隕石がZ.E.O.N.コロニーの食糧生産区画に衝突、食糧及び少なくない人命が失われるという事件が発生する。

 この事件に対し、Z.E.O.N.側はプラント理事国の監視ステーションの職務怠慢、又、隕石の存在を把握していた筈のプラント理事国駐留部隊がコロニー側に対して一切の警告も行っていない旨を追求。

 これが災害ではなく人災であると、プラント理事国側を強く非難する。

 

 これに対して、プラント理事国側は、この事件は様々な不幸が重なり合った不慮の出来事であるとの一点張りで。

 Z.E.O.N.側の主張に応える素振りは全くなかった。

 このプラント理事国側の態度に対し、Z.E.O.N.の市民はそれまでの感情も相まって、反プラント理事国感情はまさに最高潮に達し、大規模なデモ等が発生する事となる。

 

 こうして、Z.E.O.N.とプラント理事国との関係が一触即発の様相を呈してきた中。

 その翌年のC.E.六九年。

 事故により食糧生産能力が低下したZ.E.O.N.は、遂に、規制によって生産が行えなかったプラントの一部を穀物生産の為に改装し、プラントでの食糧生産を開始した。

 

 このZ.E.O.N.側の行動に対し、プラント理事国側は実力行使を伴う排除も辞さないと、半ば恫喝の如く勧告を行い。

 遂に、プラント理事国側は、威嚇行動に出る。

 

 

 

 この時、誰もがプラント理事国側の勝利を疑いはしなかった。

 軍備の拡大を行い、Z.E.O.N.の国防隊が国軍へとその規模と能力を昇格させたとは言え、圧倒的な国力差があるプラント理事国側を前にしては、Z.E.O.N.は屈するであろう。

 誰もがその様な結果になると信じていなかった。

 

CIC(戦闘指揮所)より艦橋、レーダーに感。オレンジ、ブラボーより複数の小型反応を確認。IFF(敵味方識別装置)反応なし」

 

「艦橋よりCIC(戦闘指揮所)、こちら艦長。解析を急ぎ結果を報告せよ」

 

 現場で事に当たっていたプラント理事国側の将兵にとっても、世間の認識とそう相違なかった。

 誰もが、自分達の勝利を信じてやまなかった。

 

CIC(戦闘指揮所)より艦橋、解析完了しましたが……。該当するデータなし、Z.E.O.N.の新兵器と思われます」

 

「ふん、成程、新兵器か。だが、所詮我々のMAや戦闘機に敵うべくもない品物だろう。……接近するアンノウンをそれぞれバンディット・ワン、バンディット・ツー、バンディット・スリーと命名、射程圏内に捉え次第、迎撃を開始!」

 

 だが、事態が進むにつれ、当初の楽観的な勝利に暗雲が立ち込め始める。

 

「何をしている! 何故さっさと墜とせん!!」

 

「そ、それが、軌道予測が難しく……」

 

「えぇい! 言い訳はいい、さっさと墜とせ! ……直掩の戦闘機隊は何をしている!」

 

「それが、バンディット・ツー及びバンディット・スリーとの戦闘で、既に半数近くが反応消失しており」

 

「な、……なん、だと」

 

「バンディット・ワン! インディゴ、デルタより急速接近!」

 

「っ! 対空機銃で弾幕を張れ! 近づけるな!!」

 

 しかし刹那、艦橋内を強い衝撃が襲い、続けて、泣き叫ぶかの如く艦橋要員からの報告が舞い込む。

 

「艦尾第三砲塔大破! 右舷第一メインノズルに被弾!」

 

「えぇい! たかが新兵器一機に何たるザマだ! 早く迎撃しろ!」

 

 艦長の怒号に艦橋要員も必死に応えようとするも、更なる衝撃と共に新たな報告が舞い込む。

 

「艦上部の連装対空機銃大破、同じく第一砲塔も大破、艦の戦闘能力低下します!」

 

「ば、馬鹿な。たかが、たかが新兵器一機に本艦がこうも……」

 

 刹那、艦長は艦橋に設けられたスクリーン。

 そこに映し出された外部映像に、宇宙空間を駆け巡る、見慣れない兵器、らしきものの存在に気が付く。

 

「何だあれは、……人?」

 

 それはまさしく一つ目をした緑色の鋼鉄の巨人。

 刹那、緑色の鋼鉄の巨人が構えたバズーカの発射口が、スクリーン越しに艦橋へと向けられ。

 次の瞬間には、艦長及び艦橋要員、更には艦の乗員達の意識は、巨大な光球の中へと飲み込まれるのであった。

 

 

 この様に、この威嚇行為の顛末は、人々の、特に地球に住まう者達の予想を上回る結果を迎える。

 それは、プラント理事国側の駐留部隊を、数で劣るZ.E.O.N.が排除したからである。

 地球の人々が予期していなかったZ.E.O.N.の勝利。

 

 後に、L5宙域事変、或いはZ.E.O.N.側で呼ばれた"暁の蜂起"とも言うべき一連の事件。

 この事件において、Z.E.O.N.側の勝利の要因となったのが、プラント理事国側の有するMAや戦闘機等の既存の兵器とは一線を画する革新的な兵器の存在。

 全高一八メートルの、人間の如く四肢を有する巨大人型兵器、その名を、モビルスーツ、通称MS。

 

 今回の事件において実戦投入されたMS、Zeon Autonomous of Knight Undaunted(ジオンの自治を守護する不屈の騎士)、の意味が込められたその名は、ザクI。

 プラント理事国側のMAや戦闘機隊よりも数は少なかったものの、その性能差で終始MAや戦闘機隊を圧倒し、Z.E.O.N.の勝利に大いに貢献した。

 このMSの有効性をまざまざと見せつけられた事件の結末に、プラント理事国側の一部では、独自のMS開発が行われていく事となる。

 

 また、同事件では、Z.E.O.N.コロニー出身者などで構成された国軍軍人の他。

 プラント出身の、所謂コーディネイターのみで構成されたZ.E.O.N.正規部隊の一つ、Zeon Affiliation Function Tissue(ジオンと共に働く組織)、通称Z.A.F.T(ザフト)の存在も注目された。

 同組織は構成人員がコーディネイターのみという特殊性故、その階級制度も他の軍隊とは異なっており、最下級の階級は"少尉"となっており、将校のみで編成された軍、ともいうべき異質さを有している。

 しかしながら、コーディネイターの軍隊であるZ.A.F.Tは、同事件において国軍軍人のエース達に引けを取らぬ目覚ましい活躍を見せたため。

 後に、ザクIでは生かしきれないコーディネイターの能力を遺憾なく発揮できる、Z.A.F.T専用のMS開発・配備が進んでいく事となる。

 

 

 

 

 暁の蜂起以降、更に不穏な空気が地球圏に漂い始める中。

 C.E.六九年の年末までに、プラント理事国を含めた地球各国とZ.E.O.N.との間で、外交解決を図る話し合いの場が設けられるものの平行線が続き。

 業を煮やしたZ.E.O.N.側は、翌年C.E.七十年一月一日までに明確な回答が得られない場合、地球への資源輸出を停止すると通行。

 これにより、緊張はさらに高まりを見せる。

 

 そして、年が変わった運命のC.E.七十年一月一日。

 地球からの回答を得る為に理事会へと向かっていたZ.E.O.N.の派遣団がテロに合い、一名が死亡。

 このテロについてブルーコスモスからの犯行声明が出されたものの、Z.E.O.N.側は背後にプラント理事国の存在があったとして、報復措置として地球への資源輸出を決行。

 

 これにより、プラント理事国、特にプラントへの依存が高かった大西洋連邦と東アジア共和国の二カ国は困窮する事となり。

 二カ国を中心として、地球各国に反Z.E.O.N.感情が高まる事となる。

 

 こうした事態を受けて、翌月、国連事務総長の呼びかけによりプラント理事国とZ.E.O.N.との話し合いの場が月面にて設けられる。

 所が、シャトルの故障により到着が遅れたZ.E.O.N.側を除き、既に会場に集まっていたプラント理事国各国の代表者や仲介役である国連首脳部が、会場への爆破テロにより死亡するという痛ましい事件が発生。

 後に、この事件は"コペルニクスの悲劇"と呼ばれるようになる。

 

 コペルニクスの悲劇から二日後、プラント理事国の代表である大西洋連邦は、同事件をZ.E.O.N.による報復テロと断定し、独立の為の宣戦布告であるとの見方もあると発表。

 同時に、コペルニクスの悲劇により機能不全に陥った国連に代わる新たなる国際調停機関として、"地球連合"の発足を宣言。

 これは後に、アラスカ宣言と呼ばれる。

 そして、列強を含む地球各国に参加を促した。

 

 東アジア共和国は積極的に参加及び宣言の支持を表明。

 対してA.O.C.U.とA.E.C.は、参加はするものの積極的とは言えず、また一部見解に対しても、調査不足を理由に否定的な態度であった。

 

 このように、プラント理事国内で温度差があるものの、アラスカ宣言により発足された地球連合に対し、当然Z.E.O.N.側は反発。

 両者の関係は修復不可能なものとなり、もはや開戦は、秒読みとさえなっていた。

 

 

 因みに後年、アラスカ宣言に関する研究などでは、同宣言は大西洋連邦と東アジア共和国の二カ国首脳部が、国民からの失望や暁の蜂起等での責任追及を逃れる為のパフォーマンスとして行ったのでは、とのレポートも見られ。

 またコペルニクスの悲劇においても、Z.E.O.N.の関与が薄く、当時月を中心に活動していたテロ組織による偶発的なものではないかとのレポートも見られる。

 ただし、これらについては裏付けとなる証拠もなく、推測の域を出ない。

 

 

 

 

 そして、迎えたC.E.七十年二月十一日。

 地球連合はZ.E.O.N.に宣戦布告。

 

 当時、プラント理事国が保有する宇宙戦力を中心とした地球連合の戦力は、大西洋連邦と東アジア共和国の二カ国が四個艦隊、残り二カ国が三個艦隊、計十四個艦隊にも及ぶ大規模なもの。

 対して、Z.E.O.N.は五個艦隊程度で、単純比較、三対一で、地球連合がZ.E.O.N.を圧倒していた。

 この圧倒的戦力差を前に、Z.E.O.N.は投入可能な全戦力を投入し、迎撃に当たった。

 

 そして、C.E.七十年二月十四日。

 聖バレンタインデーを迎えたこの日、遂に、地球連合とZ.E.O.N.との間で開戦の火蓋が切って落とされた。

 

 地球連合は大西洋連邦と東アジア共和国の二カ国が有する二個艦隊ずつ、計四個艦隊を中心として、残り二カ国の艦隊を後方待機として投入。

 地球連合宇宙戦力の全戦力ではなかったものの、Z.E.O.N.に対しては、数だけ見れば圧倒的な戦力の投入に違いはなかった。

 だが、そんな圧倒的戦力を前に、Z.E.O.N.は戦闘を優位に進める事となる。

 その原動力となったのは、言わずもがなMSの存在だ。

 

 暁の蜂起で鮮烈なデビューを飾ったザクIの後継機であるザクIIや。

 この戦いにおいて初めてお披露目された、Z.A.F.T専用のMS、その名をジン。

 地球連合が有するMAメビウス、或いは戦闘機に対して高いキルレシオを誇ったこれらZ.E.O.N.のMSは、この戦いにおいても、暁の蜂起の際同等、圧倒的な存在感を見せつけた。

 

 これに対して、投入した四個艦隊が三割以上もの損害を被るという結果を受けた地球連合。

 大型艦艇などを多数デブリにされながらも、一矢報いる、或いはZ.E.O.N.への憎悪からか。

 東アジア共和国が極秘に持ち込んだとされる一発の核弾頭ミサイルが発射、発射された核ミサイルは、食糧生産の為に改装されたプラント、ユニウスセブンに命中。

 同プラントの住民、二四万四〇〇〇人あまりを死に至らしめた。

 

 

 この日の戦闘による核弾頭ミサイル使用は、血のバレンタインと呼ばれ、地球圏の人々の記憶に深く刻まれる事となる。

 一方、地球連合の大敗に終わったこの戦闘後、地球連合内部では、血のバレンタインを引き起こした東アジア共和国の行動に対して、A.O.C.U.とA.E.C.の二カ国が同国を激しく非難。

 しかし東アジア共和国側は、戦闘中の混乱や現場兵士の暴走を理由に首脳部の関与を否定。

 更には、核攻撃自体がZ.E.O.N.の偽装工作で、実際はZ.E.O.N.の自爆行為であるとして、A.O.C.U.とA.E.C.の二カ国の非難は言いがかりも甚だしいと表明。

 

 この内部崩壊にもつながりかねない事態慌てたのは、他でもない大西洋連邦であった。

 対Z.E.O.N.の為地球を一丸に戦う筈が、協力するどころか反目しあい、最悪、地球連合は内部崩壊し、再構築戦争が再来する事もあり得た。

 

 この為、最悪の事態を回避すべく、大西洋連邦は奔走。

 そのお陰で、何とか最悪の事態は回避する事に成功はしたが、その代償として大西洋連邦と東アジア共和国は譲歩を行わざるを得ず。

 この時の譲歩が、後に、Z.E.O.N.の最高評議会議長であるギレン・ザビが提唱した、地球連合非参加国には優先的に物資を提供するという積極的中立勧告の声明発表の際、同勧告を受領した南アメリカ合衆国に対する足枷となり。

 結果、原作のような大西洋連邦による南アメリカ侵攻は起こる事がなかった。




やっぱりZ.E.O.N.を代表するMSと言えばザクは外せません。

ご愛読いただき、本当にありがとうございます。
そして、次回もご愛読のほどよろしくお願いいたします。
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