統一歴1926年三月。協商連合とフランソワ共和国を破り、植民地に居た残存勢力でさえ打ち倒した常勝の帝国に対し恐怖したルーシー社会主義連邦は、列車砲による攻撃を開始。
しかし、帝国領に向けて放たれた列車砲部隊は、事前に潜伏していた帝国の最強魔導部隊である二〇三大隊の奇襲攻撃により壊滅、挙句に首都モスコーにまで侵入を許し、主要施設を破壊され、帝国の国旗を立てられると言う歴史的屈辱を受ける。
これに激怒した人民委員会議会は大規模な兵力を投入し、帝国に猛侵攻を仕掛けるも、自国に屈辱を与えた二〇三大隊の決死の防衛戦闘により撃退される。
この時、二〇三魔導大隊の大隊長、ターニャ・デグレチャフ中佐は、自身をこの世界に幼き少女として転生させた神たる存在であり正体、存在Xからの第二の刺客、メアリー・スーと相見える。
彼女が討った第一の刺客であるアンソン・スーは彼女の父であり、その父の仇討ちの為、魔導志願兵として前線に現れたメアリーは存在Xより与えられた力を使い、ターニャと激闘を繰り広げ、双方満身創痍ながらも戦い続けたが、決着がつかぬまま、二人の戦いは終わる。
戦いの後、治療と再編を兼ね、念願の後方で優雅な勤務についていたターニャであったが、自身が出した戦闘団結成論文を勘違いした参謀本部により、実地確認と戦闘団指揮官として再び前線へと送り戻された。
前線である東部戦線に戦闘団指揮官として戻されたターニャは、配下に加えられた部隊に足を引っ張られ、かなり疲弊していた。
快進撃は続いていたが、連邦の国土は広く、徐々に進行は停滞の一歩を辿り、寒冷も極まってやがて完全に停止した。無論、ターニャの戦闘団「サラマンダー」は絶えず前線に投入され、配下に加えられた各大隊は中隊規模にまで落ち込み、健在なのは基幹である二〇三大隊のみであった。
そんな疲弊しきったサラマンダー戦闘団の本部に、伝令兵が新しい命令を伝えに来る。
「伝令! サラマンダー戦闘団長殿に作戦本部から指令です!」
「また何処かの部隊の救援要請か…?」
伝令が本部前で報告すれば、直ぐに出撃できるように備えて魔導士用の戦闘服を着たまま仮眠していたターニャは、作戦本部の命令書を受け取って読む。
命令書に書かれていた内容は、いつもの救援要請では無く、彼女に取っては予想を上回る物であった。間違って届けたのではないかと、伝令に問い詰める。
「なっ、なんだこの命令書は!? 貴様、間違えていないか?」
「い、いえ! そんなはずは…! 私は案内に従い、ここへ届けただけですので…」
「ふむ、確かに二〇三大隊宛てだ…これは、受理せねばならんな…!」
直ぐに読み直し、命令書の宛ては自分の隊になっている。
命令書の内容は、新設された魔導大隊の訓練であった。訓練は後方で行う物、即ち後方勤務である。
ターニャにとっては願っても無い物であったが、ここで一つ疑問が浮かぶ。自分を陥れようとする物の策略ではないかと。
「(あの参謀本部からの命令では無いな。何所の馬の骨が私を陥れようとしているか知らんが、最近は激戦続きだったからな。ここは敢えて受けてやろう。それから見付け出してお礼をたっぷりとしないとな…!)」
自分等は参謀本部の所属であり、この命令書はそこを通さずに出された物だ。
明らかに何者かの陰謀であるのは間違いないが、疲れ切っているターニャは敢えて罠に掛かることにした。
無論、十分に回復すれば、自分の陥れようとする者に”礼”をするつもりである。前世の人事課を務めるエリートサラリーマンの経験が、この世界にも生かされているのだ。
「命令は受理した。参謀本部には、文句は
「はっ、はぁ…了解しました。では、自分はこれにて失礼します!」
「さて、一時でも優雅で甘美な生活を楽しめさせていただくとしますか。カイザー殿」
命令を受理したターニャは、早速この戦線から二〇三大隊と共に離れ、後方勤務へと着いた。
後方勤務の場、帝国本土へと来たターニャと二〇三大隊を待ち受けていたのは、勲章授与の式典であった。
自分等を扱き使うあの参謀本部の面々が何所にもおらず、案の定、あの命令書は参謀本部を通さずに出された物だ。居るとすれば、陸軍総司令官やその側近たち、魔導兵を統括する幕僚たちくらいだ。何故か海軍や新設された空軍の将官らも出席している。ついでにターニャが一番恐れている魔導技術のアーデルハルト・フォン・シューゲル博士も出席していた。
他には皇族の人間と貴族が幾人か居る。自分等二〇三大隊を無理に東部戦線に引き抜いたことに抗議する参謀本部の面々は、締め出されたか、或いは抗議の意を表して出席しなかったようだ。
大隊の面々は陸軍病院に運ばれた負傷者を除き、皆が礼服に身を包んで整列し、陸軍元帥から勲章を授与される。
あの戦いや東部戦線での活躍分の勲章が授与された。一人辺り三つほどで、誰もが柏葉・剣付騎士鉄十字章と言う高位の勲章だ。欠席している負傷兵も含めてである。これで二〇三大隊は祖国の英雄として名が知られ、敵国から恐れられる存在となった。
もっとも、あれほどの激戦で無数の敵を撃退したので、当然の結果なのだが。
特にターニャが授与されたのは、とても豪華と言うか、並の英雄でも受賞されたことが無い勲章だ。
その名は黄金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章。
現実の世界でこの勲章を授与されたのは、ギネス級の兵器を破壊した記録を持つドイツ空軍のパイロットのみだ。先の騎士鉄十字章と同様にこの戦乱の絶えない統一歴の世界にも存在し、ターニャはフランソワの野戦軍本部を奇襲して壊滅させた件も含め、ルーシー連邦で首都を一大隊のみで大混乱に陥れ、更に帝国の国旗を立てたので、どうしてよいか分からない人事部からこの勲章を授与された。何故この世界にもこの勲章が存在するかは、先に述べた通り今までの勲章に似合わない戦果を連続で叩き出した結果、急きょ制定された物だろう。
誰がデザインしたか分からない勲章であるが、ターニャは前線から一刻も離れる為に受賞する。
「(凄い勲章だな。これで私も英雄と言う事か。否が応でも後方勤務に着かねばならんな)」
最高位の勲章を授与されたターニャは、念願の後方勤務を勝ち取れたと内心で喜ぶ。
黄金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章が授与された英雄がもし戦死などすれば、軍全体何所とか国家の士気に関わる。軍の上層部は、何としても英雄を後方に引き留めることだろう。
それが分かっているターニャは、辛い最前線から離れられることを喜び、陸軍元帥からこの勲章を礼服の胸ポケットに付けて貰った。
「(ゼートゥーアならびルーデンドルフ閣下、すみませんな。ですが、これも軍人としての務めなので)」
自分の主である参謀本部の面々に、内心で心にも無い謝罪をしつつ、陸軍元帥から出された手を握って握手を交わした。
授賞式後、二〇三大隊の面々は陸軍が用意した酒場で祝い酒をしていた。
「黄金柏葉ぁ、剣ぃ、だいや…ええい、長過ぎる! なんだか分からねいが、受賞した戦闘団長殿を祝して!」
『乾杯!!』
知らぬ間に制定された勲章に対し、部隊の面々が勲章の正式名称も分からず、とにかくそれを受賞したターニャの事を祝って祝杯を挙げた。
隊員の面々、ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ、通称ヴィーシャ以外が酒を飲んで思う存分に酔う中、ターニャはカウンターの席で一人、最高級の豆を使った珈琲を嗜んでいた。机には授与された勲章を置き、自分の前世の世界にあった同じ勲章の事を思い出す。
「(ふむ、似ているな。見たのは軍事航空関連の書籍だが)」
前世でその勲章の事を思い出し、指で弄くり回す中、隣の席に大柄な金髪碧眼の男が腰を下ろす。
「失礼、
「おっ、これは大佐殿!」
自分の隣の席に座った仕立て上げられた軍服に身を包んだ軍人の階級章を見て、直ぐに自分より階級の高い大佐だと判断し、席を立って直利不動状態を取って敬礼を行う。隊員達も同様に、近くにグラスや酒瓶を置いて服装を正し、上司と同じく直立不動状態を取って敬礼する。
遥かに小柄な少女が敬礼を交わしたことに、金髪碧眼の大佐は軽く会釈して落ち着くように告げる。
「ハハハ、落ち着けよ。ここは祝いの席だ。これは私の奢りでもある。英雄たちよ、存分に楽しんでくれたまえ」
「聞いたか、戦友諸君! 大佐殿の奢りだ! 存分に楽しめ!!」
大佐が席を立って自分が大隊全員の酒代を奢ると言えば、部下たちは大喜びでグラスに酒を注ぎ、酒瓶を開けて酒盛りを再開する。
席に戻った大佐は、同じく席に戻って再び珈琲を嗜んでいるターニャに向け、勲章の付け心地はどうかを問う。
「私がデザインした勲章の付け心地はどうかね? 中佐」
「えぇ、シェーンハウゼン大佐。とても良い付け心地で。それと大佐殿がデザインを?」
「私はデザインを担当しただけさ。作ったのは、皇室御用達の職人だがな」
「まぁ、通りで豪勢なデザインだこと…」
大佐からの問いに答えたターニャは、直ぐにこの育ちの良い身長197㎝の大男が自分を罠に賭けた正体であると気付く。しかし、ここで仕掛けるのは得策では無い。相手は皇族であり、危害を加えようなら、国家反逆罪の罪で処刑されることは間違い無しだ。
この大佐の名はフリードリヒ・アドルフ・ラインハルト・フォン・シェーンハウゼン。皇族の一人で、
自分が安全で、なおかつ相手を陥れる証拠を引き出すべく、フリードリヒが胸に付けている幾つかの勲章を見て、なぜ自分がデザインした勲章を授与しないのかと問う。
「して、なぜ自分が身に着けないのですか? それ程の武勲を上げていれば、その勲章を付けるに値すると思いますが…」
「フッ、貴官は冗談が得意なようだな。自分がデザインした勲章を、わざわざ自分が授与するために付ける馬鹿が居るか? そんな事をすれば、後世の歴史家共から笑い話にされるに決まっている。私がこの勲章をデザインしたのは、付けるに値するほどの戦果を挙げて、正式に授与するつもりだ。申し訳ないが、その為に貴官ら二〇三大隊を父上に無理を言って下げさせてもらった。なに、火消しから解放されるのだ。後方勤務を楽しむが良い。貴官らが前線に復帰する頃には、コミュニスト共との戦争が終わっているがな」
「(こ、こいつ…! 馬鹿か? そんな言葉、漫画のキャラしか言わないような台詞だぞ。まさか実在していたとは…これが戦記物の小説か漫画なら、主人公の株が右肩上がりするな)」
自分が作った勲章を受け取らない理由と二〇三大隊を前線から下げた理由は、ターニャからしてみれば呆れる物であった。
軍人としては敬意を表するが、現実主義の自分から見れば、明らかに馬鹿げた理由である。確かに自分の作った勲章を自分で授与するなど、歴史に残れば笑い話になる。
だが、その勲章を取るために自分等を下げ、東部戦線の戦力を低下させたことには、とても賛同できる物では無い。
主力を本国に召還させると言う明らかに前線を崩壊させるような真似であるが、地獄のような最前線から下げてくれたので、ターニャは内心呆れながらも、解放してくれた感謝の礼を込めてフリードリヒの称え、更には煽て始める。
「素晴らしい! まさしく貴殿は帝国軍人の鑑! 自分で作った勲章を、それに見合う武勲を立てず、自分に授与するなど愚の骨頂! 後世の歴史家に笑いものにされて同然の行為! 値する戦果を挙げ、正式に黄金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章を授与すれば、貴方は偉人として歴史に名を刻むことでしょう!」
「お、おぉ…ふん! 当然であるッ! 俺はカイザーの息子! そして世界最強の帝国軍人の一人! そのような愚行、誉れ高き帝国軍人がするはずが無いッ! では、これにて失礼する!」
幼げな少女から想像できぬ煽て言葉に、やや動揺したフリードリヒであったが、ターニャの言葉に皇族として、帝国軍人としての変に高いプライドが彼に自信を持たせ、意気揚々と店を後にした。
そんなフリードリヒを、ターニャはやや単純な男と評する。
「…やや単純だな」
「何か?」
「いや、なんでも無い」
ヴィーシャに問われたターニャは、何でもないと答えて大好きな珈琲を再び嗜み始めた。
翌日。現在、戦争中のルーシー連邦との最前線へと向かう列車がある駅の近くにあるホテルにて、参謀本部の青年将校エーリッヒ・フォン・レルゲンが一室に訪れた。
理由はこのホテルに泊まっているフリードリヒとの面会である。彼が泊まる部屋の前に来たレルゲンは、ドアを三回ほどノックして皇族に対する挨拶の言葉を述べる。
「皇太子殿下、おはようございます」
『おい、今の俺は軍人だ。畏まらんで良い。呼び方は士官学校時代で構わん』
「すみません、先輩。では、失礼します」
自分が皇族であるために畏まるレルゲンに対し、フリードリヒは士官学校と同じように接しろと言えば、彼はドアを開けて一室に入った。レルゲンとフリードリヒの関係は、先輩と後輩の仲である。フリードリヒはレルゲンの士官学校時代の先輩なのだ。
そんな後輩を招き入れたフリードリヒの服装はバスローブであり、シャワーを浴びてそれほど時間が経っておらず、髪を拭き終えたばかりで、ソファーに腰を下ろして机の上に置いてある煙草の箱から一本取り出し、口に咥えて煙草の尖端に火を点ける。
「吸うか?」
「いえ、結構です」
「すまんな、何の歓迎も無しに」
一服したフリードリヒは、レルゲンに煙草を進めたが、彼は拒否して直立不動状態を保ったままだ。灰皿を取って煙草の灰を落としから、レルゲンに何の用で来たのかを問う。
「でっ、何の用だ?」
「ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐を後方に下げた件です」
「あぁ、例の手紙の小娘か」
レルゲンの用件とは、主力と言って良いターニャとその部下たちを後方に下げた件であった。予想通りの事であったか、フリードリヒは満更でもないように答える。
「俺がデザインし、軍司令部が授与条件を制定して出来た勲章をデグレチャフ中佐が授与された。その転属命令は軍司令部の正式な物だが?」
「…真意をお答え願いたい」
「フッ、お前には敵わんな。俺が自分のデザインした勲章を取るためと、あの悪魔を前線から遠ざけるためだ」
フリードリヒの答えに、直ぐにレルゲンは嘘だと見抜き、真意を問い質せば、ターニャにも告げていない理由を明かした。
この答えにレルゲンはフリードリヒのプライドの高さを知って前者の方を理解したが、後者の方に至っては、現実主義的な考えで何故にそんな考えに至ったのかを問う。
「前者は先輩の性分で分かりますが、デグレチャフ中佐が悪魔だと言う理由は…?」
「昨日、奴と話してから分かった。あれはお前が手紙で書いてた通り幼女の皮を被った化け物だが、俺から見れば、悪魔に乗っ取られた幼女だ。俺の娘より八歳は年上なのにな。考えてもみろ、なぜ戦争が長引くのか? 奴が過剰なまでの戦果を挙げて引き延ばし、我が帝国を滅ぼそうとしているからだ」
ターニャが悪魔と言う理由に、フリードリヒは彼女が過剰とも言うべき戦果を例に挙げ、祖国を疲弊させて滅ぼそうと言う理由であった。いささか妄想が過ぎる理由に対し、レルゲンは疲れているのではないかと問う。
「妄想なのでは? それに先輩は戦い過ぎている。中佐と同じ転戦続きで疲れているのでは?」
「妄想で良ければな。俺にはそうしか考えられんのだ。あの最高統帥会議は悪魔が挙げる痛快な戦果を今でも期待している。これ以上、過剰な戦果など挙げれば、最高統帥会議は気を良くし、今度は合衆国に宣戦布告をしかねん。それで我が祖国はお終いだ」
フリードリヒは帝国の最大の敵はルーシー連邦では無く、常勝の女神ターニャと、勝利のみを欲して戦争を長期化させる最高総帥会議であると思っているようだ。
彼が皇族の人間であるから、堂々と帝国の政治の最高意思決定機関である最高統帥会議を非難できるのだが、レルゲンを初めとした何の後ろ盾も無い軍人らが非難すれば、どんな目に遭わされるか、或いはどんな処分に下されるか分かった物では無い。
自国の最高政治機関を堂々と批判するフリードリヒに対し、レルゲンはやや難色を示したが、何故ターニャが帝国の敵であると考えるのかを問う。
「私もいささか首脳部のやり方に賛同しかねますが。何故、デグレチャフ中佐が我が帝国の敵だと考えるのですか?」
「連邦首都襲撃の件だ。奴は蜂の巣をつついてルーシー連邦を怒らせ、首脳部に対ルーシー戦線を構築させた。ただでさえ西の連合王国が残っていて、いつ我が帝国の背中を刺そうと狙っているか分からんと言うのに。これではまた二正面だ、長引く戦争に帝国は限界に等しい。今度の攻勢作戦は確実に成功させ、ルーシー連邦に講和条件を結ばせ、今年中に東部戦線を終わらせねばならん。あの悪魔が居れば、また余計な事をしかねん。だから後方に下がらせたのだ…!」
レルゲンの問いに首都襲撃の過剰な戦果を例に挙げ、これから行われる作戦で東部戦線を終わらせるため、ルーシー連邦を降伏させる作戦があると答える。
だが、不安定要素にターニャの存在がある。彼女と二〇三大隊はもはや作戦の要と言って良い程の戦闘力を有しているが、その作戦に彼女らを投入でもすれば、今度こそ連邦首都を地図から消しかねない。
それで敵首脳陣がそれで全員死ねば、臨時政府が講和に応じるはずだが、最悪の場合、逃げた敵首脳部か臨時政府が首都を後方へ移動し、戦争が長期化する恐れがある。
だからこそ、やり過ぎる二〇三大隊を作戦から外したとフリードリヒは後輩のレルゲンに語る。首都攻勢作戦を知っているレルゲンは、二〇三大隊のやり過ぎには確かに一理あると思ったが、果たして常に勝利を齎して来た常勝の女神であるターニャ抜きの大攻勢作戦が成功するかどうか怪しい。
「確かに一理あります。ですが、二〇三無き作戦の成功の確率は低いでしょう…! 仮に成功したとしても、どれほどの損害が出るか…!」
「それは承知している。この俺でも、あの悪魔の功績は認めざる負えない。おそらく、俺が提案した外国人義勇兵団である反共産十字軍の大半が消し飛ぶだろう。それでも成功すれば、戦争終結、即ち
「はい! 我々の手で、必ずやこの戦争を終わらせましょう!」
真剣な眼差しで攻勢作戦に挑むフリードリヒの覚悟を決めた男の顔を見たレルゲンは、決死の想いで作戦を成功させる構えであると悟り、自分をその覚悟に足りる義務を果たすべく、ソファーから立ち上がって敬礼した。
「では、御武運をお祈りしております、先輩」
「あぁ。二〇三無しでも、帝国軍は覇者であると世界に見せ付けるさ」
それからレルゲンは挨拶を交わしてから、フリードリヒの部屋を後にする。
士官学校時代は頼れる先輩であるフリードリヒであるが、これ程の大作戦、やり過ぎなターニャ抜きで成功する確率は低いだろう。帝国が常勝に至ったのは、彼女が居たからこそだ。先輩であるフリードリヒの強い意志に対して申し訳なさを感じつつ、レルゲンは廊下を歩きながら作戦が失敗して再び膠着状態と化した場合を想定し、どのように帝国を生き延びさせるかを考えた。
黄金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章とは、実在する勲章です。
ナチス・ドイツが制定した最高位の勲章で、ヒトラーは十二名の授与者を予見して作ったが、結局、尋常では無い戦果を挙げたルーデルのみしか需要出来なかった。
そしてこの二次SSのオリジナル主人公、フリードリヒ・アドルフ・ラインハルト・フォン・シェーンハウゼン。
周りが言うように皇帝の次男坊であるが、親の七光りをガルマの如く嫌うプライドの高い男であり、実力だけで大佐まで上り詰めた男。
部下からの信頼も高い上に高い実力者で模範的軍人、レルゲンの先輩、容姿端麗でジョースター家並の長身に金髪のオールバック、更に皇帝の息子と色々ブッ込んでるチート染みた男!
しかし、その所為かやたらプライドが高く、敵が卒倒する戦果を叩き上げる幼女であるターニャに嫉妬し、自分の手柄げ減るのを恐れて親父の皇帝に泣き付いて後方に送らせる戦犯。後の歴史家たちに馬鹿呼ばわりされること間違い無し!
おまけにターニャの真似して自分で魔導大隊を結成。でも精鋭だから安心!
イメージCVは現ジャイアンの木村昴。
ついでに妹も居り、ジャイアンの如く妹に甘いので、自分の権限使って人事部に妹を少佐まで格上げし、更には魔導大隊まであげる身内に甘い奴。
読者の方々は想像通り、後々酷い目に遭うこと間違い無し!
次回からこのバカ息子と妹の魔導大隊を出す予定なので、次回の更新を待て!