幼女戦記 ターニャの優雅なる後方勤務   作:ダス・ライヒ

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もうこれ、戦記だな。

イメージ戦闘BGMはこれ↓
https://www.youtube.com/watch?v=mewu2IxAlLw


幼女VS戦略爆撃機

 ターニャの休暇と同時に後方勤務がアルビオンの侵攻で終わりを迎えた中、ルーシー連邦の首都であるモスコーに進撃した帝国軍と反共十字軍は、ルーシー赤軍と激しい攻防戦を繰り広げていた。

 先に先陣を切ったのは帝国軍の爆撃機の編隊だ。凄まじい対空砲火を浴びつつも、損害に構わず爆撃を行い、敵の防衛線や砲兵陣地にダメージを与える。

 空爆の次は、砲兵による準備砲撃が始まる。まだ空襲で混乱している赤軍に対し、更なる混乱がもたらされ、武器を捨てて敵前逃亡する将兵が続出する。

 数時間に及ぶ準備砲撃で、モスコー第一防衛ラインは帝国軍の侵攻部隊を放火を交えることなく瓦解した。

 この報告は、直ぐにモスコーにいるルーシー社会主義連邦の首脳部にもたらされる。

 

「同志、報告します! 第一防衛ライン、敵軍の砲撃により崩壊しました!」

 

「なにぃ!? なんとだらしない奴らだ!! 例の部隊は!? まだなのか!?」

 

「まだなようで…」

 

「クソっ! このままではルーシー社会主義連邦が崩壊するではないか!」

 

 報告してきた部下に、内務人民委員部長官であり、ルーシーのナンバーツーであるロリヤは怒りの声を上げる。次に帝国軍に対する反撃手段の準備はまだかと別の部下に問うが、まだ出来てないと答え、彼を更に苛立たせる。

 国家存亡の危機であるのだ。ここで帝国軍に敗れ、投降したとなれば革命によって手に入れた共産政権は民衆の反乱か内部崩壊か、帝国が送り込んだスパイによって崩壊するだろう。崩壊、即ち自分らの死を意味しているのか、彼らは何としても、負けるわけにはいかないのだ。

 同志たちと自分の生命の危機を感じ、血相を変えたロリヤは、部下に反撃の要である″兵器″を開発している科学者と繋がっている受話器を貸すように怒鳴る。

 

「貸せ! ポグダンに催促する! 早く貸さんか!」

 

 戸惑って渡さない部下に対し、ロリヤは無理やり奪って受話器を取り、ポグダンなるルーシー社会主義が誇る科学と兵器開発の権威に新兵器投入を催促する。

 

「ポグダン、私だ。ロリヤだ。例の新兵器、超人兵士の実戦投入はまだか? ファシスト共がモスコーに攻勢を仕掛けてくる前に三個師団分が揃うはずじゃないのか? 未だに一分隊たりとも前線に来ていないではないか! どうなっている!?」

 

 反撃の要である超人兵士なる新兵器が、未だに前線に届いていないことに激怒するロリヤに対し電話の向こう側にいるポグダンは、動じることなく落ち着いた様子でまだ十分な調整ができていないと答える。

 

『まだ十分な調整が終わっていない。三個師団分は流石に時間が掛かる。軍将校や私が嫌う魔導士を投入しているのだろう。持たせろ、期待通りの働きはする」

 

「貴様、私を誰だと思っている!? 内部人民委員部長官、即ちナンバーツーだぞ! 貴様など、その賢過ぎるお頭以外用はないわ!」

 

 あのロリヤに全く恐れず、我を通すポグダンはさらに続ける。

 

『ふん、元より貴様らなどの欠落した思想に興味は微塵もない。単に魔導士の排除と言う利害一致で協力したまでだ。気に入らんなら、私を粛正するが良い。今の貴様らに、私が提供した兵器を運用できるとは思えんがな。それと超人兵士の増員や調整は、メモに残していない。後は言わずとも、分かるな? なに、モスコーが荒らされる前に、超人兵士三個師団分の投入は間に合わせるさ。では、調整に入るから電話を切るぞ。それまで持ち堪えることだ』

 

 自分には社会主義思想はない。単に魔導士を排除するという利害一致で赤色革命に協力したまでと告げ、自分を粛正すればルーシー連邦は崩壊するとまで脅しを掛ける。

 何も言い返せず、うなるだけのロリヤにポグダンは調整に集中すると言って電話を切った。

 

「調子に乗りおって! ファシスト共を片付けた暁には、超人兵士の製造法だけ抜き取って、強制収容所にぶち込んでやる!!」

 

 これにロリヤは受話器を床に八つ当たりで叩き付け、超人兵士の製造法だけ抜き取り、ポグダンを強制収容所に入れてやると叫んだ。

 

 

 

「念願の後方勤務はどうだった? デグレチャフ中佐」

 

「ゼートゥーア閣下…まさか貴方が直々に出迎えとは…!」

 

 リリーと別れ、車で指定された基地に到着したターニャとレルゲンを出迎えたのは、首都のベルンに居るはずのゼートゥーアであった。

 これにターニャは驚き、予め知っていたレルゲンと共に敬礼を交わす。そんなターニャに、ゼートゥーアは彼女がまだ軍服ではなく、幼い貴族令嬢が着るような愛らしい外出着であったことに眉を顰め、その格好で出撃するのかと冗談を言う。

 

「中佐、まさかそのドレスで出撃するのではあるまいな?」

 

「えっ? おっと、これは失礼。更衣室はどちらですかな?」

 

「真面目だな。更衣室の方はあちらだ。それと君の部下は既にこの基地に召集済みだ。早く支度を済ませろ」

 

「了解!」

 

 この冗談にターニャは真に受けずに更衣室の場所を問えば、ゼートゥーアはつまらなさそうに更衣室がある方向に指差し、出撃準備を整えるように告げる。

 それにターニャは小さな手で敬礼し、急いで更衣室へと駆け足で向かった。その後ろ姿を見ていたゼートゥーアは、自分の娘のことを思い出す。

 

「娘はあの年頃でも、まだお転婆だったな」

 

「閣下、今はそれどころでは…」

 

「分かっている。この美しい南部がもうじき空から来る巨人(ギガント)によって炎に包まれようとしている。守らねばな、この景色を」

 

 レルゲンに昔を思い出している場合ではないと言われれば、ゼートゥーアはここへやってくる戦略爆撃機から帝国(ライヒ)南部を守らねばと口にした。

 身支度も終わり、ターニャはブリーフィングルームとして使われる基地の会議室へ出頭すれば、航空魔導士の装備を身に着けた自分の二〇三魔導大隊の面々と、ワルキューレ魔導連隊第四大隊の面々が集合していた。

 

「私の二〇三ならともかく、なぜワルキューレ連隊の第四大隊まで? 連隊本部の許可は?」

 

「向こうはモスコー攻略で手一杯だ。こちらの指揮下に置いても文句はあるまい。それに東は遠いし、今は少しでも多く戦力が必要だ」

 

「そういう物ですかね」

 

 連隊本部に予備戦力である第四大隊を借りる許可は取ったのかと問えば、ゼートゥーアは本隊の連隊が居る戦線は遠過ぎ、こちらに近いので引き抜いたと答えた。

 自分が理想とする上司が言うので、ターニャは気にせずに状況説明をするその理想の上司であるゼートゥーアの話に耳を傾ける。

 

諸君(マイネヘーレン)、参謀本部のゼートゥーアだ。諸君も聞いていると思うが、この南部地帯の演算宝珠の生産工場に、敵の戦略爆撃の脅威が迫りつつある。我々はこれより、美しい我が帝国の南部を焼きに来た戦略爆撃機に対する迎撃作戦を取る」

 

 ターニャ達の前で、ゼートゥーアはボードに指示棒を当てながら敵軍の戦略爆撃機に対する迎撃作戦の説明を始める。その脇には、空軍の佐官も同席していた。まずは標的である戦略爆撃機の概要を、同席している空軍中佐に説明させる。

 

「まずは標的である敵戦略爆撃機の概要だが、これには交戦経験の報告書を参考に説明してもらおう。空軍中佐(オーベルストロイトナント)、説明したまえ」

 

「はっ! 敵戦略爆撃機と交戦した第五防空大隊の報告書によれば、全長は二二メートルほどで全幅は三十メートル、全高は五メートルほど。機体後部に二連装型の五十口径重機関銃の機銃座があり、左右の胴体にも同口径の通常型の機銃あり。更に上部と下部に旋回式二連装機銃座が確認したとのこと。それらの弾幕に近付けず、数機が被弾、または撃墜されたと記されている」

 

「まるで要塞じゃないか…!」

 

 この空軍中佐の説明に、ターニャは敵戦略爆撃機が完全にB-17だと分かった。

 

「(B-17ではないか。おそらく五十機は居るだろうな。生身であの弾幕の中をくぐりぬける羽目になりそうだ)」

 

 生前のアメリカ在学中に、軍事に詳しい友人からB-17戦略爆撃機の概要を聞かされていた。B-17が出てくる映画を見たり、ゲームをやったこともある。更には大編隊を迎撃するドイツ空軍の側でプレイしたこともある。

 その編隊飛行を取るB-17の対空弾幕は生前に見ていたガンダムの戦艦並みであり、何度被弾してゲームオーバーになったことか。そこに単発や二発機の護衛機が付けば、接近は至難の業である。この空中要塞の異名を持つ巨人機の迎撃を、生身の魔導士でやることになるとは、思いもしなかった。

 

「デカ過ぎる…! やれるのか…?」

 

「五十口径だってよ。魔法障壁が持つか?」

 

「食らったことが無いから分からないよ」

 

「砲撃術式を唱えている暇があるのか?」

 

 初めて相手にする巨人機に対し、数々の困難を乗り越えてきた二〇三の面々は、撃墜できるのかと疑問を口に出し始める。

 特に第四大隊の方は初めての実戦が巨人機の迎撃作戦だということに過度な緊張を覚え、顔を青くする。それもそのはず、最新鋭のレシプロ戦闘機ですら近付くことすら困難で、撃墜されるのだから。相手は違うが、初の実戦が似たような過酷であったターニャは、彼女らに同情を覚える。

 

「(あぁ、分かるぞ。私の初陣は敵魔導士一個中隊だったからな。でも、相手は魔導士ではなく、B-17。酷いものだな)」

 

 初の実戦が過酷な相手なことに、ターニャは同情しつつ、南部に空襲に来る敵戦略爆撃機の数を問う。

 

「南部に空襲に来る敵戦略爆撃機の数は何機で?」

 

「レーダーによれば、十五機だ。護衛機の機影は確認されていないが、いると思って対処しろ。本土防空部隊は敵本隊の対応で手一杯であり、今現状で対応できる戦力は、君の二〇三と予備大隊のみだ。空軍の支援は期待できない」

 

「現地の高射砲部隊は全て婦人隊員です。練度が低く、誤射の可能性もあります」

 

「…最高ですな」

 

 数は十五機であるが、護衛機の機影は確認されていないらしく、ゼートゥーアは居ると思って対処するように言えば、空軍の支援はあてにするなと言う。理由は隣にいる空軍将校が説明した。南部に配置されている高射砲並び対空砲部隊は練度の低い婦人部隊であるらしく、誤射される可能性があるためにあてにならない。

 これにターニャは笑うしかなかった。自分の大隊と実戦経験者が少な過ぎる大隊でやるしかないので、笑う他ない。

 

「そうだな。だが、私はデグレチャフ中佐はできると信じている。エレ二ウム九五式を使用しろ。あの火力なら、その十五機の空中要塞でも撃墜は可能なはずだ。それと作戦参加者全員が装備できるほどの対戦車用のパンツァーファウストを幾つか用意させた。四つのエンジンに命中させれば、一撃で撃墜は可能なはずだ。各員、最低一本は装備するように」

 

 成功する可能性が低い迎撃作戦に笑うターニャに向け、エレ二ウム九五式を知っているゼートゥーアは使用しろと命じた。他の参加者らについては、使い捨ての対戦車発射器であるパンツァーファウストを最低でも一本は持ってくるように指示する。

 エレ二ウム九五式は、大嫌いな存在Xに信仰しなければ使用できない代物であり、ターニャは使用を躊躇ったが、あのゼートゥーアが使用しろと言うのだからここは敢えて従うことにした。少々の精神汚染があるが、九五式の火力の絶大差は認めざる負えない。あの演算宝珠なら、空中要塞であるB-17の撃墜も可能だ。

 次に何処で十五機編隊の戦略爆撃機を迎撃するかについてだが、偵察魔導士に監視させ、逐一報告させることにした。これなら爆撃機の編隊が何処に居るか、何処を通るか分かるが、偵察魔導士にはこちらが確認できていない護衛機の攻撃に耐えてもらう必要がある。

 通信機から戦略爆撃機の編隊の位置を確認しつつ、ターニャら迎撃部隊は南部に進行中の敵戦略爆撃機編隊を迎撃すべく出撃した。

 

 

 

『こちらヘビィメタルリーダー、各機現状を報告せよ』

 

「こちらヘビィメタル四、何処にも損傷個所無し。石ころが当たった程度ですよ」

 

 一方でB-17に類似した戦略爆撃機に乗る機長は、編隊長機から損害の提示報告の無線連絡が来たので、キャノピー越しから見える左右二つずつのプロペラエンジンを確認し、異常が無いか確認する。機銃手たちにも確認させれば、何処も損傷個所が無いとの合図があったので異常なしと報告した。事実、機体各所には異常は見られない。銃創の跡はあるが、航空に支障はない。

 爆撃目標に向かっている間、航空魔導士や高射砲部隊の攻撃を受けたが、自機の迎撃能力の高さと護衛の双発重戦闘機のおかげで撃退できた。戦闘機の編隊が仕掛けて来ても、大編隊でない限り現状の戦力で対処できるだろう。

 もっとも、帝国の防空部隊の殆どは本隊である戦略爆撃機の大編隊と大多数の護衛部隊の方へ集中しており、南部地方爆撃隊の方へ来るのは、魔導士しか高射砲部隊しか来ない。爆撃日和と言っても過言ではない。

 

『各機、異常はないみたいだな。だが、警戒体制は維持しろ。敵の防空戦力はまだ残ってるかもしれん。警戒態勢は大陸を出るまで解くな。ヘビィメタルリーダー、アウト』

 

『了解!』

 

「了解。けっ、戦闘機が居るならとっくに来ても可笑しくないんだがな」

 

 敵の予備隊が居るかもしれないので警戒態勢は解くなと言う編隊長の指示に、ヘビィメタル四の機長は悪態をつく。

 それもそのはず、護衛機が居なくとも、この戦略爆撃機の搭載機銃である12.7ミリ重機関銃なら、魔導士を容易で撃退できる。魔導士の魔法障壁は何十発もの五十口径弾を防げるわけではない。狙いを定められる前に、護衛戦闘機か随伴の魔導士に背中を取られてやられてしまう。

 魔法障壁に長け、ネームド級なら対処できるかと思うが、そんなに器用な魔導士はそうは居ない。ターニャとメアリーは例外と言ってもいい。

 そんな我が物顔で帝国本土を飛ぶ十五機の南部方面爆撃隊に、先行している護衛のP-38に類似した双発戦闘機から、魔導士二個大隊が迎撃に向かっているとの報告が来る。

 

『こちらヘビィメタルリーダー、先行した護衛機が前方に敵魔導士二個大隊が展開しているのを確認した! 各機、迎撃態勢を取れ! 魔導士隊は直ちに出撃だ!』

 

「おいでなすったぞ。さっさと銃座につけ! 五十口径をぶち込んでやれ!!」

 

 この報告が編隊長機よりくれば、機長は機銃手らに銃座に着くように指示を出す。機内では機銃手らが急いで銃座に着き、安全装置を解除し、発射レバーに親指を乗せて合図を待つ。この間に、戦略爆撃機に乗っていた随伴魔導士はハッチを開けて大空に飛び出し、防御陣形を取る。

 前方では、魔導士を発見した護衛戦闘機群が迎撃に向かい、交戦が行われている。二個大隊なので百機は居るので、何機かが爆撃機編隊にまで来るだろう。向かってくる方向へ向け、二連装前部銃座についている機銃手はそちらに銃口を向ける。

 だが、前方を飛んでいるこのヘビィメタル四を含める五機は、一人の魔導士が放った強力な追尾型砲撃術式によって撃墜された。

 

「っ!? なんだこいつは!?」

 

「回避急げ!」

 

「間に合わない!」

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 こちらへ向けて飛んでくる魔弾に驚いた機長は、僚機四機が被弾して墜落していく中、操縦桿を動かして回避を試みようとするが、間に合わず、僚機と同じ末路を辿った。

 

 

 

 時間は三分前に巻き戻し、魔導士二個大隊を率いて戦略爆撃機の編隊の迎撃に向かったターニャは、自分の二〇三大隊と第四大隊に護衛機の迎撃を命じる。

 

「こちらピクシー、二〇三と第四大隊は護衛機と随伴魔導士の迎撃に移れ。私は爆撃機をやる」

 

『了解!』

 

 この指示に二〇三の面々が応じ、こちらを発見して迎撃に向かう護衛の随伴魔導士や双発戦闘機と交戦を始める中、ギュンターら第四大隊は、なぜ自分らは爆撃機と交戦させないのかと問う。

 

『ギュンター少佐です! なぜ我々は爆撃機を狙ってはならないのです!? 数が多いほうが…』

 

「バカ者! ブリーフィングで敵は空中要塞だと聞かなかったのか!? お前たち新兵ではハエの如く叩き落されるのがオチだ! ここは私のエレ二ウム九五式が最適だ! お前たちは命令通り、護衛機や魔導士を私に近付かせるな!」

 

『…了解!』

 

 新兵の多い第四大隊ではやられる一方だと返せば、彼女らは指示通り、P-38に類似した護衛戦闘機と交戦を始める。邪魔者が近付いて来ない間、ターニャは前方の戦略爆撃機の編隊を確認し、戦利品の短機関銃からライフルに持ち替えて構える。

 

「本当にB-17だな。護衛機に至っては、P-38ライトニングだ。まぁ、似たようなのは良く見てきたがな」

 

 敵機が本当に生前に見た実在機と同じであると分かれば、ターニャは関係なしにエレ二ウム九五式を使う詠唱を始める。

 

「主よ、友人との約束を守れぬ我を赦したまえ。そして我の願いを叶えたまえ。祖国を焼かんとする敵に裁きの鉄槌を…!」

 

 この詠唱を行っている間に前の五機を照準に収めれば、躊躇いもなしに撃ち込んだ。放たれた弾丸は五つに分かれ、ターニャが照準に収めた標的に向けて飛んでいき、一撃で五機の戦略爆撃機を撃墜する。撃墜された戦略爆撃機は、火を噴きながら地面に墜落していく。

 エレ二ウム九五式を使用したことは、存在Xに関わりのある者たちに知れ渡った。一方は東部のモスコーで戦うメアリー・スーに。もう一方は西部で帝国西方軍と戦う瀬戸シュンと、存在Xのもう一人の魔法戦士に。シヌ・リーオは論外である。

 

「流石は戦闘団長殿!」

 

「これが、ラインの悪魔の力…!」

 

 一撃で五機の戦略爆撃機を撃墜したターニャに、部下たちは褒め称え、第四大隊の面々は異名通りの者であると呟く。更にターニャは回避行動を取る残り十機に向け、同じくエレ二ウム九五式を使って撃墜を試みる。

 

「五機同時は一撃か。なら、十機はどうだ?」

 

 その後に詠唱を行い、弾幕を張る十機を全て照準に捉えて発射した。放たれた弾丸は十発の魔弾に分かれ、標的に向けて飛んでいく。

 追尾する魔弾に巨人機は躱しきれず、被弾して六機が落ちたが、三機は大破してもまだ飛んでおり、一機は小破程度でまだ飛べている。完全に全て破壊するには、追撃が必要だ。

 護衛機に関しては、熟練の二〇三の面々は一個小隊で一機に対処し、そのやり方を面倒見の良いヴィーシャは第四大隊の面々に伝え、ターニャに鍛え上げられた彼女らは見事にそれを実践して護衛機を掃討している。魔導士は三人一組で対処し、エース級が集まる二〇三と共に、徐々に数を減らしている。

 

「まぁ、前に狙ったのは複葉機だからな。流石にフライングフォートレス十五機には厳しいか。各員に通達、三機は高射砲部隊に任せればよい。残る一機は健在だ、追撃せよ!」

 

 自分がやらなくとも、優秀な部下と教え子たちがやってくれるので、ターニャは無線手を呼び、作戦本部に居るゼートゥーアに敵戦略爆撃機の編隊を撃退したことを無線で報告する。

 

「こちらピクシー、敵戦略爆撃機を撃退セリ。次なる指示を請う」

 

『こちら作戦本部。凄いな、想定より十分は早い。では、敵本隊の迎撃中の防空部隊の増援に向かってもらおう』

 

「新兵を抱えているのですが…」

 

 想定より早く敵戦略爆撃機の編隊を撃退したターニャに、ゼートゥーアは敵本隊の迎撃中の防空部隊の増援に迎えとの指示を出す。これにターニャは断ろうとしたが、敵の戦略爆撃が成功すれば、二〇三大隊を中核とするサラマンダー戦闘団は各戦線から引っ張りだこになり、後方勤務は夢のまた夢となると告げて従わせる。

 

『そうか。敵の戦略爆撃が成功すれば、我が祖国は物資不足となり、各戦線は逼迫し、貴官らサラマンダー戦闘団を便利屋として各地を転々としてもらう必要性があるな」

 

「っ!? 謹んで増援に向かわせてもらいます! では、これにて失礼!」

 

『うむ、その意気だ。頑張りたまえ」

 

「各機に通達! 参謀本部から新たな指令だ! 敵本隊へ迎撃中の防空部隊への増援として急行する! 早く片付けろ!!」

 

 ゼートゥーアの策にはまり、指示に従ったターニャは掃討戦が終わり次第、敵本隊の迎撃中の防空部隊の増援として向かうと指示を出す。

 最後の一機を第四大隊が総力を挙げて仕留めれば、ターニャ等サラマンダー戦闘団は防空部隊への増援として現場に急行した。




次は戦艦でも仕留めさせようかな。

大日本帝国と大英帝国の連合軍が攻めて来てるし。
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