幼女戦記 ターニャの優雅なる後方勤務   作:ダス・ライヒ

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variさん、誤字報告並び修正サンクス!


おまけ

 1930年、数年以上も続いた中央大戦並び、東方戦争は帝国の敗北に終わった。

 帝国の恐るべきゼートゥーアによって計画されたその敗北は、帝国領土が殆ど被害が無いと言う綺麗な敗北であり、密かに合衆国を初めとした西側と協力し、欧州はルーシー連邦に蹂躙されずに済んだ。ルーシー連邦は帝国領すら入れず、西側諸国に先を越され、更には締め出されてしまったのだ。*1

 尚、大戦で行われた殆どの戦いに参加していた二〇三大隊は、指揮下に置いたサラマンダー戦闘団を残して帝国の対合衆国戦線で全滅したと公式には発表されている。

 指揮官であるターニャ・フォン・デグレチャフは戦死し、副官を含めた二〇三大隊全員も戦死したと記録されている。*2

 

 締め出された挙句、遅れて参戦した合衆国に勝利と帝国の人材*3や技術をかすめ取られたルーシー連邦は激怒し、それらを盗人同然に奪い取った合衆国に抗議するが、逆に合衆国はレンドリース法で供給した装備や物資の返還を要求する。

 対帝国戦線で既に枯渇状態であり、自国で生産分で返還する他なかったが、そんなことを国家を牛耳る共産党がするはずがなく、史実ロシア伝統の借金の踏み倒しを決行し、史実世界と同様に一色触発の状態となる。*4

 連邦と合衆国に近い地方で双方の軍が対峙する中、連邦の首都モスコーで連邦一の科学者、ポグダン博士とその配下の超人兵士、機械兵士たちによるクーデターが発生。一瞬にして連邦首脳陣の書記長等は皆殺しにされ、ルーシー連邦はポグダン博士の支配下に置かれる。ルーシー社会主義連邦は潰えた。

 軍人たちはポグダンに気に入られており、クーデターに協力した。だが、魔導士たちは共産党員らと共に虐殺されるか、国外へ逃亡した。

 新たなに現れた新政権に世界は警戒するが、ポグダンの意外な行動で度肝を抜かれ、一応ながら戦争の脅威は去った。*5

 

 科学者の新政権は外国に亡命していた元の支配者である皇帝(ツァーリ)遺族に返還したが、それと同時に自分の創設する機関の支援を要求。その機関の名は「科学の世界」。世界中から科学者を招集し、科学の発展を高めると言うのが目的だが、それは表向きであり、裏では魔法根絶を掲げた研究が行われていた。

 ポグダンは機関の責任者には就任せず、魔法を根絶する研究に没頭する。代わりに機関の責任者に就任したのは、助士のオルガであった。*6

 それと同時に「ジラント」と呼ばれる組織が世界で暗躍し始める。リーダーの名はジラント・カマンヂール。顔が見えない鉄仮面を付けた指導力に優れた指揮官である。そんな奇妙な出で立ちのリーダーは、突如となく世界に恐ろしい要求を突き付けた。*7

 

 世界に告げる。諸国に存在する軍属問わず、魔導士と魔力を有する人間を直ちに抹殺を実行せよ。さもなければ、我々が支援している世界各地で潜伏している共産主義者を含めたテロリストが、無差別テロを行うだろう。

 

 その要求を誰もが冗談だと思って冷笑したが、合衆国の主要都市や復興中のフランソワ西部地方で赤色テロが発生。その後、立て続けに様々な過激思想による無差別テロが多発する。

 これを冗談ではないと判断した国際連盟は、加盟国の精鋭たちを集めて対テロ合同部隊を結成し、テロを未然に防ごうと躍起になるが、その殆どが未然に防ぐことは至難の業であった。*8

 ルーシー新帝国を除く世界中がジラントの暗躍で混乱に陥る中、合衆国もジラントの指令による無差別テロに見舞われた。これらを早期に制圧し、秩序と治安の回復を行うべく、前大戦で活躍した将兵や帝国より接収した人員、半ば子分と化しているアルビオンや秋津洲より人員を徴収し、治安維持と秩序回復を目的とした国際混成部隊を創設する。

 指揮権は創設元の合衆国が持とうとしたが、早期解決を目的とするため、世界各国は協力を条件に指揮権を優秀な男女二人の将校に委任した。*9

 

 その部隊の名はワールド・ガーディアンズ、略称はワールドとガーディアンズの頭文字をとってW.G.。

 指揮権を与えられたのは合衆国軍の将校、G.I.ジョーのコードネームを持つジョフ・イン・コランダーとG.I.ジェーンのコードネームを持つジェシー・アイ・マテリアルによって率いられた世界各地のエキスパートたちによって構成された国際混成部隊である。

 W.G隊の中には、戦死扱いの元二〇三大隊の面々も含まれており*10、更には大物のターニャ・フォン・デグレチャフの姿もあり、シルバー・ウィング*11のコードネームを持って、ジラントとの戦いに身を投じた。

 

 

 

 1942年の夜中、戦勝を祝う式典で栄える合衆国の経済都市である自由の女神像が都市のシンボルであるニューユーク市にて、ジラントの三隻の空中戦艦に突如となく夜空に現れ、強襲攻撃が行われた。

 空中戦艦の重巡級の主砲による砲撃で、自由の女神像のたいまつを掲げる右腕の部分が破壊される。その次の標的は、像の下に居る住人達だ。三隻の砲撃で数万の市民が吹き飛んだ。

 

「助けて!」

 

「自由の女神像が攻撃された!」

 

 突如となく現れたジラントからの攻撃に、ニューユーク市民たちはパニックとなる。

 

「へび野郎どもが! 俺たちの国から出ていけ!」

 

 ただ黙ってやられる合衆国ではない。直ぐに州空軍のP-40戦闘機がスクランブル発進し、ジラントの空中艦隊に攻撃を仕掛けるが、凄まじい対空砲火で返り討ちにされる。

 撃墜されたP-40戦闘機が次々と市街地へと火を噴いて墜落して被害が拡大する中、州陸軍のM3中戦車部隊に、合衆国海軍のフレッチャー級駆逐艦とF4F艦上戦闘機、空軍のP-47戦闘機部隊が駆け付けて来るが、ジラントの人の形に近い最新式の二足歩行戦車、空中戦艦より次々と発艦する戦闘機に、降下してくる空挺兵や超人兵士、機械兵士らにやられるばかりだ。海の方ではジラント軍の潜水艦が現れ、駆け付けてきた駆逐艦や軽巡洋艦を魚雷で撃沈している。

 

「な、なんてことだ! 合衆国軍の兵器が次々と!?」

 

 遅れてやって来た陸軍のM4戦車の戦車長はキューボラから上半身を出し、次々とハエの如く落とされる友軍の戦闘機や、海上で続々と沈められる駆逐艦、撃破されるばかりの州陸軍の戦車を見て、死の恐怖を覚える。

 だが、ここは自分の国だ。ここを守らねば、帰る家は無い。

 

「ガッデム! ここで退いたら帰る家もねぇ! 一人でも多く道連れにしてやるぜ! 戦車前進(タンクムーブ)!」

 

「G.I.ジョー!!」

 

 特攻覚悟で、M4戦車部隊は州兵や陸軍歩兵部隊と共にジラントの長兵器部隊に突撃した。

 結果は惨敗。あっという間に戦車のスクラップの山と黒煙を上げる兵器群、海を重油で汚しながら沈む駆逐艦の仲間入りを果たす。

 辺り一面が死屍累々となる中、虫の息の歩兵は合衆国の終わりと思い始める。

 

「す、合衆国(ステイツ)が…! お、終わりだ…!」

 

 AKに似た突撃銃を持つジラント兵に、とどめを刺されようとした瞬間、そのジラント兵は数発の拳銃弾を受けて倒れた。

 敵兵を撃った正体を見ようと、銃弾が飛んできた方向に視線を向ければ、M3グリーズガンと呼ばれる短機関銃を持った小さな少女が目に入る。

 

「ま、まさか…こんな嬢ちゃんが、ヒーローだなんて…!」

 

「君たちは良くやったよ。後は私に任せるが良い。衛生兵(メディック)、彼を」

 

「イエッサー」

 

 背中にウィングを展開できるジェットパックを装備した少女、シルバー・ウィングは衛生兵に瀕死の歩兵を治療するように指示すれば、ウィングを展開した。

 展開と同時にシルバー・ウィングの左右には、幼女戦記を知る読者たちが知るような顔ぶれ達が集結し、各々が手にしている銃の安全装置を解除する。

 最後にW.G.の面々とそのリーダーであるGIジョーとGIジェーンが登場し、士気向上と号令を兼ね備えた掛け声を上げる。

 

『GO! WG!!』

 

「GO! WG!!」

 

 シルバー・ウィングことターニャ・フォン・デグレチャフも二人の司令官と同時に叫べば、空高く跳躍してニューユークを荒らし回るジラント軍に向けて攻撃を開始した。

 ワールド・ガーディアンズことWGには様々な面々が属している。アルビオンの特殊部隊隊員に騎士、魔導士と紳士。秋津洲からは侍に忍者、陸軍と海軍の魔導士、シルバー・ウィングら旧帝国の人材、現連邦政権から数名の人員、合衆国の盾を得物とした超人兵士、インディアン、カウボーイとカウガールのガンマン、騎兵隊、海兵隊などがジラント軍の将兵と超兵器群と交戦する。

 陸と海、空で激しい交戦が行われる中、数はジラント軍の方が多いが、W.G.は前大戦の生き残りや特殊訓練を受けた精鋭たちが属しており、ジラント軍を圧倒していた。機械兵士は次々と破壊され、前大戦で帝国軍の将兵を恐怖のどん底に叩き落した超人兵士らは、今や見る影もない。二足歩行戦車も、陸と空からの攻撃で次々と破壊される。海上の高速艇や魚雷艇、海の潜水艦もGWの海戦部隊にやられるばかりだ。

 空からもP-51戦闘機の編隊が現れ、ジラント軍の空中戦艦より発艦したLa-7戦闘機などを撃墜する。勝利はGWに傾きつつあった。

 だが、まだ勝敗は決していない。ジラント軍の司令官、ジラント・カマンヂールは自らジェットパックを装備し、時限爆弾をもって旗艦の空中戦艦より出撃する。自らが仕掛けるつもりだ。

 

「へび野郎共の親玉だ! 撃ち落とせ!!」

 

 司令官であるGIジョーがジラント・カマンヂールを見付ければ、敵司令官を捉えている者たちは集中砲火を浴びせる。

 流石は敵の親玉であるのか、ジラント・カマンヂールは弾幕を避けながら自由の女神像の足元に着地し、時限爆弾を仕掛けて即座に退避した。爆発までの時間は約三分。急がなければ、自由の女神像は足元より崩れ去るだろう。

 激しく交戦が継続される中、一人が敵戦闘機を奪取し、それで敵を攻撃し始める。ジラント軍の高速艇や魚雷艇は、P-47戦闘爆撃型のロケット弾の掃射で撃沈され、自由の女神像の左腕の部分でGIジョーと交戦していたジラント・カマンヂールは顔面を蹴り込まれ、地面へと落下していく。だが、勇敢な部下が乗るVTOL機に救出される。

 中間あたりでは、GIジェーンが火炎放射器を持つジラント兵をM1A1トンプソン短機関銃で仕留め、日本刀を持つ秋津洲海軍の女性士官と共に、周囲のジラント兵を一掃する。

 

「シルバー・ウィング! 奴らにこれをお返ししろ!」

 

「了解!」

 

 時限爆弾を発見したGIジョーは、この中で一番早い魔導士であるシルバー・ウィングに時限爆弾を投げ渡す。敵に返してやると言うのだ。これを受け取って抱えたシルバー・ウィングは、敵の攻撃を回避しながら空中戦艦へと飛翔する。

 爆弾を返しに来るシルバー・ウィングに対する三隻の空中戦艦から対空弾幕が行われるが、小さき銀の翼はこれを軽やかに避けて懐まで接近して、更には真下に取り付く。取り付いた瞬間に爆発まで残り三十秒となった時限爆弾を設置し、シルバー・ウィングは急いで空中戦艦より離れる。依然と対空弾幕が行われているが、シルバー・ウィングが安全な場所まで退避した三十秒後に、セットされた時限爆弾は爆発した。

 その威力は空中戦艦を、搭載されている弾薬の誘爆の助けもあって木端微塵に吹き飛ばすものであり、ニューユーク市にまたも被害を与えるが、墜落した戦闘機に比べれば微々たるものだ。

 空中戦艦をやられたジラント軍は、ジラント・カマンヂールの指示通りに退却を始める。

 

「ジラント軍、退却! 退却ぅ!!」

 

 退却するジラント軍に対し、GWは追撃せず、自由の女神像の折れた松明を掲げる右腕の修復を始める。数十人の魔導士が落ちた右腕を総出で持ち上げ、折れた部分に置けば、火の類の魔法を使える魔導士が応急処置を行い、何とか固定する。後は補修工事を行えば、完全に固定されることだろう。

 ジラント軍を撃退したGWは勝ち鬨を上げ、勝利を祝う。だが、一人勝利を喜べない者が居る。その人物とは、シルバー・ウィングことターニャ・フォン・デグレチャフであった。

 

「まだ諦めてないのか!? 存在X!!」

*1
ゼートゥーアが外務省を通じ、合衆国に人材や技術を提供する代わりに、ルーシー連邦を牽制する条件に降伏したとも言われている。

*2
実際は指揮官のデグレチャフの独断と言うか、無断で合衆国軍に投降しており、部下共々合衆国軍に歓迎されていた。

*3
その人材の中には、ターニャ・フォン・デグレチャフと二〇三大隊も含まれる。

*4
世界では次の戦争が始まると叫ばれた。

*5
彼は負債を驚くべき方法で、合衆国に全て返済したのだ。

*6
ポグダンの愛人でも無ければ恋人でもない。

*7
またの名をコブラ・コマンダー。

*8
対テロ部隊はアヴェンジャーズ、報復部隊とマスコミや市民に呼ばれた。正式名称はタクスフォース203。尚、その報復部隊には、メアリー・スーも参加している。

*9
どこの国の将校が指揮権を握るか論争となったが、最終的に試験に合格した合衆国軍の将校に決まる。

*10
全員がコードネームを持っている。

*11
銀翼突撃章を授与した縁で。




ターニャ・フォン・デグレチャフと愉快な部下たちは、帝国軍からGIジョーに転職しました。

まぁ、完全なるおまけです。
続きを書くなら、GIジョー風味にしてどうぞ。
まぁ、誰もやらないと思いますが。

今度こそ、ターニャの優雅なる後方勤務は、このおまけをもって終了です。
皆さん、次回作や他の作品でお会いしましょう。

それではまた。そして、GIジョー!(Yo JOE!(幼女)
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