ー玉狛支部ー
「諏訪隊と荒船隊か...」
「どんな相手でも、まずは相手の事を調べんとな」
「もっとデータ持ってくるね」
話を切り出したのは、玉狛第二隊長でシューターの三雲修。三雲は他のボーダー隊員と比べて秀でた才能があるわけではないが、発想力があり、戦力差があってもその発想力で切り抜けられる力をもっている。
それに答えたのがアタッカーの空閑遊馬。ネイバーフッドから来たネイバーで、嘘を見抜くと言うサイドエフェクトをもっている。幼年時代から戦争を経験している空閑は、若干15歳ながら歴戦の兵並の戦闘経験を持つ。
スナイパーの雨取千佳は敵感知・気配を消す、と言うサイドエフェクトを持っていて、接近するネイバーの気配を感じとることが出来る。小さな体に眠る潜在能力は凄まじく、トリオン量の多さから、ネイバーに狙われている。
そうだな。と修が言うと、奥からオペレーターの宇佐美栞が入って来た。
オペレーターの宇佐美は、玉狛所属部隊を補佐する名オペレーターで、戦闘に於いては精密な情報解析、的確な行動指示を出す。
「おーがんばっとるかね?諸君」
「はい。今諏訪隊と荒船隊についてデータを見てた所です。」
「相手の戦い方は掴めた?」
宇佐美がそう聞くと、修がはい、と言ったので宇佐美は眼鏡をクイっと上げて見解を聞いた。
「荒船隊はスナイパー3人で、射程を活かした三方位から狙い撃ってきます。どうにかして近くしかないですね。諏訪隊の動き次第ですが...」
「うんうん。大体あってるね。じゃあ今度は諏訪隊は?」
「諏訪隊はアタッカーが1人、ガンナー2人の3人だったんですが...」
修がそこまで言うと、空閑が続きを言う。
「スナイパーが1人増えちゃったからな。」
「アタッカーがシールドで2人を援護して、ガンナーの2人が近いてドカドカ撃つ戦法がメインなのは変わらないと思うんですが、スナイパーが新しく加わったことで、近づくことが難しくなりました。
「スナイパーさえどうにか出来れば、近づいて来る相手だからやりやすいんだけどな」
「なるほどねー。でも颯太郎さんをどうにかするのは中々難しいね。」
それを聞いて修は頷いた。
「前回の試合でも一回も姿を見せずに2得点します。しかも今シーズンからなのでデータも少なくて...」
「それも踏まえてステージも選ばないとね」
そう言うと、入り口からある人物が入ってきた。
「おーうお前らしっかりやってるかー?」
「林藤支部長」
入ってきた人物は林藤匠。ネイバーとの協調を望む玉狛支部の支部長で、旧ボーダー創立時からの古株である。
「ボスがこの時間に帰って来るなんて珍しいね。」
「ああ。今日はお前らに会わせたい奴がいてな。おーい、入ってきていいぞ」
林藤がそう言うと、もう1人入ってきた。
「留学行く前もあんまり来れてなかったし、玉狛にくるのはかなり久しぶりだな。」
「あれ、この人って...」
「お、玉狛第二じゃないか。初めまして、俺は諏訪颯太郎。次の試合の相手だからよろしくな。」
颯太郎が挨拶すると、玉狛のメンツも揃って挨拶をした。
「颯太郎さんじゃーん!留学から帰って来ると時もそうだけど、来るなら一言言ってよー!」
「悪い悪い」
宇佐美が颯太郎に話しかけてるのを見て、修が宇佐美に尋ねた。
「宇佐美先輩は颯太郎先輩と面識があるんですか?」
「あるよー。颯太郎さんは私より早くボーダーに入ってるんだけど、私は本部所属だったから話す機会も多かったんだよね」
なるほど、と修が言うと、空閑は林藤に質問した。
「ボスがそうたろう先輩と俺らを会わせたいっていう理由は?」
「ああそのことか。何、深い意味はない。。お前らも今後防衛任務やらで一緒になることがあるかもだから、面識くらいは持っとけよってことさ。」
「そういえば、颯太郎先輩はどうしてスナイパーになったんですか?」
「俺か?狙撃が好きってのと、洸太郎がガンナーをやるって言ったからだな。今の洸太郎はしっかり隊長してるが、昔は危なっかしかったし、兄弟だし俺が支えてやらないとなって。」
空閑が、これが兄弟愛って奴だな。とキリッとしながら言っていると、颯太郎が林藤に声をかける。
「では林藤支部長、俺はこの辺で。」
「なんだもう行くのか。少しゆっくりしていきゃいいのに。」
「お心遣いありがたいんですが、この後作戦会議があるので失礼します。」
「そうか。たまにはうちの千佳のことも面倒見てやってくれ。」
「構いませんよ。じゃあ失礼します。」
そう言うと、颯太郎は玉狛支部を出て行った。
それを見送り中に戻ると、千佳は修がボーッとしていることに気づいた。
「どうしたの?修くん」
「いや...なんでもない。」
(なんだか不思議な雰囲気の人だったな...あれが東さんの1番弟子の颯太郎先輩か。油断出来ない人だ)
「修ー作戦立てるぞー。」
「ああ、今行く!」
そう言うと、空閑達の元へ急いだ。
「あのメガネの子、いい作戦を考えそうだったな。さあどんな作戦で来るのかな、今から楽しみだ。」
これが、颯太郎と玉狛第二の出会いである。