「おーっと!笹森隊員の旋空弧月が早川隊長の左腕と丸井隊員の胴を切り落とした!」
「旋空弧月は起動に少し時間がかかりますが、その分射程が伸びます。早川はサブトリガーに射撃トリガーがあるので、咄嗟に旋空弧月を選んだのはいい判断でしたね。」
「これで早川隊は未だ0ポイントで2人落とされてしまいましたし、早川くんも左腕を落とされたことによって射撃トリガーが使えなくなったのでかなり厳しくなりましたね。」
東と時枝がそう解説をしていると、桜子が再び実況に戻る
「さあこれで早川隊は絶体絶命!早川隊長は意地を見せれるか!」
「くっそ...!旋空...」
丸井と自分の左腕を落とされ動揺した早川だったが、接近してきた笹森目掛けて旋空弧月を打とうとしたその時
『ドンッ』
早川の心臓を一筋の光が貫いた。
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
「おーっと!ここで早川隊長が緊急脱出!得点は....颯太郎隊員です!」
桜子がそう言うと、東は少し驚いた様子だった。
「今のは少し驚きましたね。早川は片手を失っていましたし、颯太郎がわざわざ撃たなくても十分落とせました。なのにわざわざ撃ったと言うことは、何か別の狙いがあるのかもしれませんね。」
「僕は万が一でも日佐人くんが落とされるのを恐れたからだと思います。諏訪さんと堤さんは散弾銃しか持っていないので、日佐人くんを援護することは出来ませんから」
「なるほどー!早川隊は残念ながら0点のまま全滅!しかしこれで颯太郎先輩の位置が割れた!鈴鳴第一はどう動くか!」
「太一!颯太郎先輩の位置は分かるかい!」
「はい!かなり遠いですけど、アイビスが見えてるので間違いないです!」
早川の緊急脱出を知った鈴鳴は、この後の動きを立てていた。
「今太一が狙撃すると、僕たちは太一の援護に行くことが出来ない。だから、太一は僕らが諏訪隊と戦ってる最中に狙撃するんだ!」
「了解っす!」
「鋼、僕らは颯太郎先輩を狙うよ。今から行けばそう遠くまでは逃げられないはずだ。しかも太一が颯太郎先輩の位置を抑えてるから、きっと僕らが諏訪さんたちを狙うと思っているはずだ。」
「了解です。スナイパーさえ落とせればこっちが有利になりますから、すぐ行きましょう。」
「今ちゃん!颯太郎先輩の位置までのオペレート頼んだよ!」
「了解!」
(一体なんだ...この不安は...?まるで手の上で踊らされているみたいだ...)
来馬は拭うことの出来ない得体のしれない不安を感じながら、今は点を取ることに集中するために、足を動かした。
「鈴鳴第一はスナイパーの颯太郎隊員に狙いを定め、諏訪隊長たちを避けるように南下していきます!」
「諏訪は飽くまで自分たちが攻めてくるのを待っているという読みだと思います」
時枝がそう言うと、東が補足を入れる。
「諏訪隊の3人と正面から戦うとなると、笹森のシールドや諏訪たちの散弾銃があるので不利になってしまいます。なので、スナイパーの援護を受けるのを自分たちだけにする狙いですね」
「鈴鳴第一は全員がバッグワームを起動しているため諏訪隊は鈴鳴第一の動きがわかりません!諏訪隊はどう動くのか!」
「鈴鳴はこっちにきませんね」
堤がそう言うと、颯太郎から通信が入る
「と言うことは、俺が仕掛けた罠にかかったわけだな。じゃあお前たちも頃合いを見て行動に移ってくれ」
「了解だ兄貴!こっちの指揮は俺が取るから、兄貴は自分の仕事ミスんじゃねーぞ!」
「了解だ隊長」
「お前ら、しっかり演技しろよ!」
「諏訪さんが1番下手そうだけどねー」
「ほっとけ!」
諏訪が堤と笹森に指示を飛ばすが、小佐野にいじられていた。
「...お前らミスんなよ?」
「諏訪隊の3人がバッグワームを起動した!注意して!」
鈴鳴第一のオペレーターの今が、通信で来馬と村上に注意を促す。
「僕たちがスナイパー狙いだって気づいたみたいだね。」
「でもこの距離だと追いつかれないので、まずはスナイパーを落とすことに集中しましょう」
村上が言う通り、来馬と村上はもう目的の家に着いていた。しかし奇妙なことがわかった。
「でも諏訪先輩たち、バッグワーム起動しただけで、まだ動いてないですけどね。」
普通ならバッグワーム起動したなら、すぐ移動を開始するのだが、諏訪隊は何故か移動をしていなかった。
「俺らを探すでも太一を探すでもないなら、一体何が狙いなんでしょうか。」
「わからない...太一、もう少し諏訪隊の動きを見張って欲しい。僕らが颯太郎先輩を倒したら、こっちに移動し始めるんだ!」
「了解っす!」
「鋼、僕らは2点目を取りに行くよ!」
「了解です」
そう言い、来馬と村上が颯太郎がいるであろう建物の屋根に立った時だった。
『ドンッ』
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
一発の銃声と緊急脱出を告げるアナウンスが流れた。