あしたのSchool Days (あしたのジョー×School Days) 作:ラバダブ
翌朝、私は初めて目覚ましのアラームが鳴って暫くしてから起床した。
勉強して夜更かし等はしたことはあるが、昨日は私にとって初めての大胆な行動で疲れてたのかもしれない。
スヌーズ機能がなければ完璧に遅刻している。
とりあえず顔を洗って、さっぱりしようと洗面所に行くと心が歯を磨いていた。
「おねえはぁんおふぁよ」
「おはよう……、心」
歯を磨きながらモゴモゴ喋る心に私は気怠そうに返事を返す。
顔と歯を洗い、髪を解かし自室に戻り制服に着替え居間に行くと心が先に朝食を取っている。
「お姉ちゃんが遅く起きるなんて珍しいね」
「う、うん。今読んでる小説が面白くては遅くまで起きてたの」
遅くまでメールをしてたから、寝不足なんて言えなくて咄嗟に誤魔化すと心は「ふ~ん」と気の抜けた相槌をうつ。
これ以上詮索されるのも嫌で、早く食べなさいと言い、黙々と朝食を食べ、また自室に戻り鞄を持ち、玄関に行く。
「今日は仕事でお母さんが帰ってくるの遅いから、洗濯物取り込んでおいとね心」
「は~い。行ってらっしゃいお姉ちゃん」
本当にやってくれるかなと心配になりつつ、私は家を後にした。
何時もと同じ時間の電車に乗り、何時と同じ席に座り、しおりを挟んでいる読みかけの小説読む。
そこにまた視線を感じる振り向く
、伊藤さんがまた私を見つめて、眼と眼が会うと伊藤さんさんは慌てたように背ける。
何でだろう?
何か私に言いたいこと有るのかな?
不思議に思いつつ、小説に集中する。
電車から降り、学校に向かう途中後ろから肩を軽く叩かれる。
「おっはようー、桂さん」
溌剌とした声を掛けられ、振り向くと西園寺さんがいた。
「おはようございます。西園寺さん」
「もう世界でいいよ、それより昨日はごめんね。遅くまでメールしちゃって眠くない?」
申し訳無さそうに言う西……、世界さんに私は大丈夫ですと一言言うと、世界さんは息を吐き胸を撫で下ろした。
いい人だな世界さんは。
それから別々の教室に行くまで、私達は話していた。
主に世界さんが話し、私が相槌を打ち、最後に世界さんと屋上で昼ご飯を食べる約束をして。
それから、午前の授業が終わり屋上に行くと、世界さんはまだきて居なく、先にベンチに座り席を取っておいた。
世界さんと何を喋ろうか考えているながら青空を見上げていると、ふと丈さんの事顔が頭に浮かんだ。
今何をしているんだろう。今頃丹下会長と一緒に練習しているんだろうな。
今日も行っても大丈夫かな、迷惑じゃないかな。
でも矢吹君さんは何時でも来て良いって、けど試合の1ヶ月前とも言ってたしけど会いに行きたい、絶対迷惑だよ。
思考がループして頭を抱えていると
「桂さんお待たせ~。遅くなってごめんね……て、大丈夫?! 桂さん!?」
世界さんに声を掛けられて、漸く思考のループを抜け出すと、頭を抱えいたところを見られて、恥ずかしくなり手を振り「な、何でもないです」と慌てて言う。
世界さんは「そ、そう」と返し、私の横に座って、お弁当箱を膝の上に置いた。
「桂さんのお弁当凄い美味しそう」
先に広げていた私のお弁当を横眼で見た世界さんが呟くように言う。
「そ、そんなこと無いです。このお弁当お母さんが作ってくれたんです。 私料理の方は苦手で。それより世界さんのお弁当も美味しそうですね」
「私、お母さんと2人で暮らしてるから、小さいときから仕事で居ない時は私が簡単な晩御飯とか作っていたから慣れてるんだよね」
あっけらかんと言う世界さんに悪いことを聞いてしまったと思い、すいませんと小さな声で謝ると、世界さんが気にしてないから大丈夫と笑いながら言う。
そこで少しの間話しは途切れると、また世界さんが口を開いた。
「聞いてよ桂さん。うちのクラスの伊藤って居るんだけどさ知ってる?」
伊藤さんって何時も同じ時間の電車に乗り合わせている伊藤さんの事かなと思い、私は世界さんに聞いた。
「伊藤さんって、3組の伊藤さんですか?」
「……あ、知ってる? そうその伊藤何だけどさ」
そこから世界さんは伊藤さんの事について話し始めた。
隣の席に座り、ちょっかいを出すと面白い反応をしてくる。
授業中よく眠っているとか色々話してくれた。
世界さんは伊藤さんの事を話すとき本当に楽しそうに話し、私はまた相槌しかうてない。
その話を聞いているとき、一つのことが頭に過ぎる。
「でさ……、ってごめんまた私ばっかり話しちゃって」
世界さんは慌てて謝る。
「いえ、私も聞いていて楽しかったです。……世界さんに一つ訊いて良いですか?」
「ん? 何でも訊いていいよ」
「世界さんは伊藤さんの事が好きなんですか?」
私がその事を訊いた瞬間、世界さんは箸で摘んでいる唐揚げを落としてしまった。
あれ?
「な、な、な、そんな 、こと、ある、あるわけ、有るわけない、何であいつの事好きな訳ないじゃん」
明らかに世界さんは動揺していた。
お茶飲み込んで、一息ついた世界さんはまだ顔を赤らめてはいるけれど、先ほどよりは幾分か落ち着いていた。
「桂さんいきなりどうしそう思ったの?」
「いえ、世界さんが余りにも楽しそうに話していたんでそうかなって思って」
「ないよ~アイツがだらしないから世話してあげてるの。それよりも桂さんはどうなの?」
「え? わ、私ですか 」
思わない切り返しに今度は私が動揺し、世界さんはしてやったりと、悪戯な笑みをうかべている。
「はは~ん、どうやら居るみたいですね~。誰? 何組の男子? もしかして年上? 年下?」
白状しろと言わんばかりに世界さんは色々訊き、私は観念したとばか一言言う。
「……気になる人なら居ます……、まだ好きかどうかは分かりませんけど。」
シドロモドロに言う私に、世界さんは驚いた顔をしている。本当に居るなんて思わなかったんだろう。
「へ、へぇ~居るんだ~。誰? 同じクラスの男子?」
「い、いえ!? うちの学校の生徒じゃないんです」
最初は力強く言い、恥ずかしくてどんどんか細い声になる。
言って良かったのかな?
その後は、マスコミのレポーターの様に世界さんに色々訊かれたがこれ以上の事は恥ずかしくて言えなかった。
「う~ん。ガード堅いな桂さん。まあ今日はこれぐらいで勘弁しますか」
「う、もう許してください」
「なんてね。嘘よ、嘘。じゃあおまじない教えるね」
「おまじない? ですか?」
聞き返すと、世界さんは携帯電話を取り出す。
「好きな相手を待ち受け画面に設定して、3週間誰にもバレなかったら想いが叶うんだって。 まあ都市伝説だけどね」
想いが叶う?
じゃあもしかしたら丈さんと恋人になれるの?
それから昼食が終わり、午後の授業と生徒委員会の仕事が終わると気づいたらドヤ街に行き、丹下ジムに向かっていた。
土手沿いを歩き、今日聞いたおまじないを実行するかどうか考えていた。
子どもじみたおまじない。
だけど想いが叶うんなら実行する価値は有るかもしれない。
けれど、この気持ちはほんとに〝好き〟なんだろうか?
ただ矢吹さんの自由な、内に秘めた熱さに憧れてはいる。これは本当。
考えても、考えてもグチャグチャに絡まった糸のように考えが纏まらない。
あー私どうしたんだろう、最近変だな。
そうこうしている内に丹下ジムの前まで来てしまった。
中からはサンドバックを重く、激しく叩く音が聴こえた。
此処まで来て引き返してしまうと、前に、明日に進めない。
矢吹さんに会えば、会い続ければこの気持ちもハッキリする筈だ、そう心を決めてノックしようとしたその時、
〝ぷぁー〟間の抜けたチャルメラの音に、ドアを開けるタイミングを逃してしまった。恐る恐る後ろを振り向くと子供達が私の事を物珍しげに視線を向けている。
「あー誰か来てるでんやんすよ」
「ほんとだ、珍しいなジョー兄のファンかな」
「ふんだ、ジョーには私がいるんだい」
幼い、子供たちの声が聞こえ後ろを振り向くと子どもが4人私の方を一点に見ている。
子ども達の瞳はと物珍しげな動物を視るかのようや興味深さと、親の仇を視るかのような眼差しと、…チャルメラ?を呑気に吹いてる子ども達がそこにいた。
呆気にとられて声を出せずにいると、子ども達はそんな私を無視してジムに入っていく。
…2人の子どもは自然にタバコを吸っていたけど見間違いだよね。
体感にして1時間、実際の時間は1、2分位の時が流れた後、矢吹さんがいつもの飄々とした感じでジムから出てきた。
「よう桂。また来たか。そんなところに突っ立てないで入んな。今日も茶ぐらいしか出えねがはいんなよ」
「桂ちゃんまた来たのかいって、チビどもも一緒かい」
矢吹さんの言葉でやっと我に返り 、小さく頷くと何時の間にか中に入った子ども達がお椀のなかでサイコロを降って、チンチロリンと音がなっていた。
「ピンゾロでやんす!払ってもらいますよ、払ってもらいますよ!さぁさぁさぁ!」
帽子かぶった男の子が行きよいよく捲し立て 、他の子は嫌々100円を投げつけていた。
その様はまるで任侠映画で視る場面だ。
視たことはないけど…。
「お邪魔します…」
小さな声は子ども達の盛り上りで虚しく、掻き消えていく。
「おお桂さん。こいつらに勉強でも教えて黙らせてやってくれ。五月蝿くてミット打ちが出来ねえ」
「…はい?」
会長さんに頼まれ5分後、私は何故か子ども達に勉強を教えていた。
最初は嫌々文句を言っていた子ども達を会長が1人ずつ頭を殴って黙らせたのは私は視ていない。
「コトお姉ちゃんこれであってる?」
男の子がだらけで唯一の女の子が聞いてきた。
「ええ。正解ですよサチちゃん。良くできました」
サチちゃんの頭を優しく撫でると嬉しそうな、恥ずかしそうな顔をして照れている。
最初は敵意を向け出しにして、暇そうにあやとりを始めて返信もしてくれなっかたけど「サチちゃんの手は細くて綺麗ですね」
呟くように、考えるより早くボソッと心のまま言った言葉が聴こえたのか、サチちゃんはマジマジと自分の手と私の手を見比べた。
「…うそだ。お姉ちゃんの手の方がきれいだもん」
「いえいえ。私よりサチちゃんは綺麗で可愛くて私とは全然違います。羨ましい位ですよ。それにあやとりも凄い上手。今度私にも教えて下さい」
サチちゃんの手を優しく触りながら伝えると顔を真っ赤に、 嬉しそうに笑いかけてきてからいつの間にかコトお姉ちゃんと呼んでくれて慕ってくれた。
「すまねぇな桂さん面倒事押し付けて。俺はこれからボクシング協会に行って、試合の手続きしに行かなきゃならねえ。ジョーもロードワークに行く時間だから少しの間こいつらの面倒見てやってくれねえか」
それから私と子ども達だけになり、息抜きとタバコを吸おうとしている、キノコ君と太郎君のタバコを取り上げようと走り廻っているとジムのドアが軋む音が響き廻る。
会長か矢吹さんどちらかが帰ってきたと視線を向けると。
「あら、見慣れないお客様ね。丹下会長はいらっしゃるかしら」
長い黒髪を靡かせ、モデルか銀幕の映画に出てくるような綺麗な大人の女性。
同じ女の私ですら眼を奪われる女性。
「貴方は初めましてね。初めまして私は白木 葉子。丹下会長は出掛けてるのかしら?」
白木 葉子。
彼女は黒いサングラスを取りそう名乗った。